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週刊AWS – 2024/3/4週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。
今週も 週刊AWS をお届けします。

2024 年 3 月 21 日に、AWSome Day Online Conference が開催されます。時間は、 10:00~13:00、14:00~17:00 の 2 パターンから参加しやすい方を選択いただけます。クラウドジャーニーのはじめの一歩として、AWS クラウドに関する基礎知識を 3 時間で学ぶ無償の初心者向けオンラインイベントです。クラウドに関する事前知識は必要ありません。クラウドそのものの解説からはじまり、EC2、Lambda、RDS、IoT など多くの AWS サービスを幅広く学習いただけます。是非ご登録ください。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2024 年 3 月 4 日週の主要なアップデート

  • 3/4(月)
    • Anthropic’s Claude 3 Sonnet model now available on Amazon Bedrock
      Amazon Bedrock で新たなモデルの Claude 3 を提供する旨がアナウンスされました。Claude 3 には 3 つのモデルがあり、3 つの中で最速の出力を行い軽量な利用向けの Claude 3 Haiku、スキルとスピードのバランスのとれた Claude 3 Sonnet、トップレベル向けの最もインテリジェントな Claude 3 Opus です。既に Sonnet は、オレゴンと北部バージニアリージョンで利用可能で、残り 2 つは Coming Soon です。パフォーマンス・精度・信頼性の向上、ハルシネーションの軽減、ビジョン機能の追加などの特徴があります。ビジョン機能は画像を与えることで、画像の内容を読み取り出力を得られます。個人的に面白いと感じたのが、AWS のアーキテクチャ画像を与えて、レビューを依頼する使い方です。「可用性、拡張性、コスト最適化、セキュリティの 4 つの柱をより強く意識してアーキテクチャレビューをしてください」といったプロンプトを与えると、100 点満点ではないですが、比較的妥当な結果が得られました。一部、誤った結果が出る可能性は 0 ではないので、その点も留意して試してみてください。Claude 3 についての詳細はこちらのブログをご確認ください。
    • AWS WAF enhances rate-based rules to support configurable time windows
      AWS WAF のレートベース機能でリクエストを集計する期間を変更できるようになりました。レートベースでは、受信リクエストをカウントし、レートが高い場合にはリクエストを制限します。例えば、特定の IP アドレスからのアクセスが、一定期間に 10,000 回以上のものを対象にブロックできます。これまでは集計期間が 5 分固定でしたが、1 分、2 分、10 分を指定できるようになりました。
    • Amazon FSx for NetApp ONTAP doubles maximum throughput capacity to 72 GBps
      Amazon FSx for NetApp ONTAP でファイルシステムあたりの最大スループット容量が 2 倍に増加しました。以前は、最大 36 GB/秒の読み取りスループットと 6 GB/秒の書き込みスループットを実現する最大 6 つの HA ペアを使用してファイルシステムを作成できました。現在では、最大 12 HA ペアでファイルシステムを作成でき、最大 72 GB/秒の読み取りスループットと 12 GB/秒の書き込みスループットを実現できるようになり、より高性能な ONTAP ワークロードを AWS に移行できるようになりました。
  • 3/5(火)
    • Free data transfer out to internet when moving out of AWS
      AWS のサービスをご利用のお客様にご満足いただけるよう努めています。しかし、何らかの事情により他のプラットフォームへ移行しなければいけない場合もあります。このような状況に対応するため、他のプラットフォームへ移行時にアウトバウンドデータ転送を無料にするようリクエストできる仕組みを提供しました。この仕組みを利用するには、担当の営業にご連絡いただくか、担当がいない場合は AWS サポートまでお問い合わせください。詳細はこちらの FAQ をご覧ください。
    • Amazon ECS adds gMSA authentication for Linux containers for AWS Fargate
      Amazon ECS on Fargate で動かしている Linux コンテナで、グループマネージドサービスアカウント (gMSA) がサポートされ、Windows 認証を使用しているアプリケーションを動かしやすくなりました。gMSA は Windows 認証周りを支援する機能です。一例を挙げると、アプリケーションから SQL Server や Windows ファイルサーバーへアクセスする際に、Active Directory と連携して、アクセスがしやすくなります。アップデート以前は Linux コンテナで gMSA を利用するために、ECS on EC2 を利用する必要がありましたが、今回のアップデートで ECS on Fargate で利用ができます。
  • 3/6(水)
    • Amazon RDS now supports io2 Block Express for consistent sub-millisecond latency and 99.999% durability
      Amazon RDS で高性能ストレージ io2 Block Express ボリュームの提供を開始しました。ミッションクリティカルなワークロードに対して一貫したサブミリ秒単位のレイテンシーを提供します。io2 Block Express は 99.999% の耐久性、最大 64 TiB ボリューム、4,000 MB/秒のスループットをサポートします。また、ModifyDBInstance APIを使用して、ダウンタイムなしで io1 ボリュームから io2 Block Express ボリュームにアップグレードできます。
    • Amazon EC2 C7gd, M7gd, and R7gd metal instances are now available
      Amazon EC2 で、最大 3.8 TB のローカル NVMe SSD ストレージを搭載した C7gd、M7gd、R7gd ベアメタルインスタンスの一般提供を発表しました。これらのインスタンスは、同等の Graviton2 ベースのインスタンスと比較して、NVMe ストレージ性能が最大 45 % 向上しています。AWS Nitro System 上に構築されており、一時ファイル、キャッシュなどのデータの一時的な保存を必要とするアプリケーションを含め、高速で低レイテンシーのローカルストレージへのアクセスを必要とするアプリケーションに最適です。東京含め 13 リージョンで提供されています。
    • Introducing the AWS Generative AI Competency Partners
      AWS パートナー関連のアップデートです。AWS Generative AI コンピテンシーの開始を発表しました。これは、AWS で生成 AI を実装する際の技術的な習熟度を示しており、お客様との継続的な成功を収めてきた実績がある AWS パートナーが対象として選ばれています。これらのパートナーは、Amazon Bedrock、Amazon SageMaker Jumpstart、Amazon CodeWhisperer、AWS Trainium、AWS Inferentia などの生成 AI 関連テクノロジーを活用する実績があります。詳細はこちらからご覧ください。
  • 3/7(木)
    • Amazon Managed Grafana launches Enterprise plugins upgrade
      Amazon Managed Grafana で Grafana Enterprise へ直接アップグレードを行う機能が提供されました。これにより、Grafana Enterprise で提供されているプラグイン (ServiceNow、Splunk、New Relic など) にアクセスできるだけではなく、Grafana Labs からのサポートとトレーニングも可能になります。アップデート以前は、AWS Marketplace から Grafana Enterprise をサブスクライブすることで Enterprise Plugin にアクセスできましたが、今回のアップデートで、AWS マネジメントコンソールから直接サブスクライブできるようになりました。前払い料金や最低契約は不要で、アップグレードされたワークスペースあたりのアクティブユーザー数に基づいて使用した分のみ料金が発生します。プラグインの一覧はこちらをご確認ください。
    • Announcing new Amazon VPC DHCPv6 setting to adjust IPv6 preferred lease time
      Amazon VPCの DHCP オプションセットに「IPv6 preferred lease time」と呼ばれる機能が追加され、IPv6 アドレスを DHCP で配布 (リース) する際に、リースの更新期間を調整できるようになりました。Amazon EC2 インスタンスは DHCP リース更新を定期的に行い、IPv6 アドレス割り当てを行います。デフォルトで、「IPv6 preferred lease time」は 140 秒となっており、DHCP リース更新処理は、140 秒の半分である 70 秒ごとに実行されます。この期間を長く調整することで、IPv6 リースの更新回数を最小限に抑え、万が一の更新に失敗する可能性を低減できます。
  • 3/8(金)
    • AWS announces Aurora MySQL integration with Amazon Bedrock for Generative AI
      Aurora MySQL 3.06 バージョンの Amazon Aurora ML 機能で、SQL で直接 Amazon Bedrock にアクセスできるようになりました。Amazon Aurora MLはモデルを SQL 関数として公開し、標準 SQL を使用してモデルにデータを渡したり、クエリ結果としてモデルの出力を返すことができます。データベース内で Bedrock へのアクセスがシンプルに実現でき、独自のインテグレーションなどのカスタマイズの負担を軽減できます。例えば、SELECT invoke_titan(request) FROM prompts; といった SQL クエリーを投げることで、Bedrock から出力されたテキストを SELECT で取得できます。詳細はこちらの Document をご覧ください。
    • AWS WAF now supports larger request body inspections for regional resources
      AWS WAF でリージョナルリソース (API Gateway、Cognito User Pool、App Runner、Verified Access) に紐づけて検査する際、受信リクエストのサイズ上限が 64 KB に緩和されました。 元々 AWS WAF は、最大検査サイズの上限が 8 KB でした。CloudFront は 2023 年に 64 KB まで上限が緩和されていますが、それにリージョナルリソースが追いついた形です。一方、留意点として、ALB と AppSync はこのアップデートの対象外となっています。また 16 KB を越えて上限を緩和する設定を実施した際に、追加の料金が発生するようになります。料金の詳細はこちらをご覧ください。
    • Application Load Balancer now supports Resource Map in AWS Management Console
      Application Load Balancer (ALB) でリソースマップをサポートし、AWS マネジメントコンソール上で、ALB とそれに紐づくターゲットグループや EC2 インスタンスなどの関連リソースを視覚的に確認ができるようになりました。ALB の詳細画面に「Resource map 」タブが新規に追加され、簡単に確認ができます。

最後に、週刊AWS のサムネイルの写真を更新しました。今までは小林さん、下佐粉さんの写真でしたが、2023 年の夏頃に新たに参加した根本さんと杉山も含め、4 人の写真にアップデートしました (少し恥ずかしいですが・・・)。これからもよろしくお願いします。

それでは、また来週お会いしましょう!

ソリューションアーキテクト 杉山 卓 (twitter – @sugimount)