Amazon Web Services ブログ

消費財企業が成長するための極意

本ブログでは、消費財業界向けに発表した e-Book「消費財企業が成長するための極意」について紹介します。


消費財業界は、販売量と収益性の向上に焦点を当てた変革期を迎えています。 Deloitte の「 2024 Consumer Products Industry Outlook 」によると、72% もの経営幹部が、2024 年の業績目標を達成するためには販売数量を増やす必要があると答えています。販売量の増加は、収益、収益性、株主価値の向上を意味します。一方、消費者のし好の変化、競争激化、景気低迷、サプライチェーンの混乱などの要因はすべて、販売量停滞の一因となりかねません。成長を遂げるには、販売量と収益性のバランスが取れた戦略的なアプローチによる変革が必要です。この変革のカギとなるのが、クラウドテクノロジーとAI、特に生成 AI の活用です。

新たに公開された AWS の eBook では、 AWS が提供する包括的なクラウドソリューションを基盤として、消費財企業が成長するための方法を、IT とデジタルトランスフォーメーション、製品開発、消費財製造のスマート化、サプライチェーンの最適化、データドリブンマーケティング、e コマースという 6 つのビジネスの側面から、AI および AWS の活用について紹介しています。

  1. IT とデジタルトランスフォーメーション ‐ AI で成果を生むための基盤を築く

    コード作成の高速化とエラー削減やデジタルトランスフォーメーションの加速と開発コスト削減という形で、AI の活用は開始されています。そして、IT とデジタルトランスフォーメーションは、AI 活用の基盤となり、強固なデータ戦略とモダンクラウドインフラストラクチャの構築が重要です。サイロ化されたデータをクラウドに集めてデータ基盤を確立してAIジャーニーをスタートするために、AWS は効率的なデータ管理に必要な柔軟性とスケーラビリティを提供します。そして生成 AI の導入により、開発プロセスの効率化やコスト削減が可能になります。

    紹介されている顧客事例

    Dole Packaged Foods は、AWS で稼働する Pillir の EdgeReady Cloud を活用して、製品発売プロセスを合理化しました。その結果、材料のマスターデータ管理コストを 30% 削減し、製品発売までの時間を短縮した事例を紹介しています。

  2. 製品開発 – 製品開発を最適化してイノベーションを起こす

    成熟市場では、イノベーションが競争力維持の鍵となります。同じような商品だと価格競争になってしまうことも多く、そうならないためには製品開発の競争力が大事になります。AI は製品開発プロセスを革新し、消費者ニーズに合った画期的な製品の創出を支援します。また、生成 AI の導入により製品レビューの分析や新製品のアイデア創出が効率化され、市場投入までの時間短縮が可能になります。AWS は、AI やクラウドベーステクノロジーを最大限活用するためのインフラストラクチャ、サービス、ツール、ソリューションを提供し、企業が迅速な製品開発に集中できる環境を整えます。

    紹介されている顧客事例

    adidas は AI を活用して、販売実績、類似品、市場、競合他社に関する分析をまとめて、より適切な製品構成を決定しました。これにより、メンズの黒のパーカーの種類の最適化を実現しています。また15 万枚のシューズ画像で Stable Diffusion アルゴリズムをトレーニングし、迅速なアイデア創出と視覚化を実現している例についても紹介しています。

  3. 消費財製造のスマート化 – AI で製造コストを削減する

    Bain & Company によると、消費財業界の経営幹部の 54% が、2023 年の消費者支出削減の影響を大きく受けたと回答しています。消費者支出の削減への対応には、製品開発力だけでなく、AI を活用したスマートマニュファクチャリングによる、コスト削減も利益維持の鍵となります。AWS の製造業向けソリューションは、品質の向上、製造ラインのダウンタイムの削減、セキュリティ強化を実現し、製造オペレーションの変革を支援します。生成AIの導入により、機器のトラブルシューティングや診断が効率化され、ダウンタイムの削減ができる点についても紹介しています。

    紹介されている顧客事例

    Georgia-Pacific は、AWS パートナーである SAS の SAS Viya ソリューションを導入し、15,000 以上の機械学習モデルを実行しています。その結果、潜在的な機器の故障の警告を検出できるようになり、生産施設での計画外のダウンタイムを 30% 削減、さらに設備総合効率 (OEE) を 10% 向上できた事例となっています。

  4. サプライチェーンの最適化 ‐ AI で俊敏性とレジリエンスを高める

    AI を活用したサプライチェーンの最適化は、効率的な製品配送と顧客満足度向上の要となります。予測の改善、在庫の最適化、マルチチャネル流通の実現により、企業の俊敏性とレジリエンスが高まります。生成 AI の導入により、複雑なサプライチェーンシナリオの分析や意思決定のサポートが可能になり、より戦略的なサプライチェーン管理が実現します。

    紹介されている顧客事例

    The Modern Milkman は、AWS パートナーの Peak と連携し、AI を活用した牛乳の需要予測を実装しました。これにより、サプライチェーンを全面的に合理化し、プロセスの効率を大幅に向上させ、食品廃棄を削減できています。向上した需要予測の精度とプロセスの効率性により、食品が傷まないようにする一方で、顧客にはこれまでどおり地元の農場の新鮮な商品を玄関先で受け取れ、新鮮な配達を実現できました。また、効率的な在庫管理プロセスにより、最大で週 3 回の注文を一晩で輸送および配達できるようになり、顧客体験の向上も実現しています。

  5. データドリブンマーケティング ‐ 適切な消費者に適切なタイミングで訴求する

    データドリブンマーケティングは、効果的で強力なキャンペーンの実現と投資収益率の最大化を可能にします。顧客データプラットフォーム( CDP )の構築や、AWS Clean Rooms などのツールの活用により、顧客データの力を最大限に引き出すことができます。生成AIの導入により、ターゲット顧客のセグメント化やパーソナライズされたコンテンツ作成が効率化され、より効果的なマーケティング活動が可能になります。

    紹介されている顧客事例

    水筒など飲料容器のメーカーの Pacific Market International(PMI)は、AWS パートナーの Amperity が提供する AI 搭載 CDP ソリューションを実装して分散している顧客データを統合し、統合カスタマービューを構築しました。その結果、高価格商品を買うセグメントが特定できて、そこに効果的なマーケティングを打つことができるようになり、それでクリックスルー率がが 350% 以上増加し、販売のコンバージョン率は 7 倍になりました。

  6. e コマース – 消費者の購入機会を捉え接点を持つ

    eコマースにおける AI の活用は、オムニチャネル戦略と消費者直販( D2C )戦略の成功に不可欠です。需要計画、パーソナライズされたプロモーション、自動化されたカスタマーサービスなど、AI を活用することで販売機会を最大化できます。生成 AI の導入により、製品レビューの要約や検索体験の向上、インテリジェントなデジタルアシスタントの実現が可能となり、よりシームレスで魅力的な顧客体験を提供できます。

    紹介されている顧客事例

    L’Oréal Kerastase は、AWS パートナーの Valtech と協力して、ブラジルの消費者向けにシームレスでラグジュアリーなオンラインショッピング体験を 10 週間で構築しました。新しいプラットフォームにより、ブランドのサイトとバックエンドにおける e コマース機能が統合されていない部分が解消されてスムーズな UXを実現できました。これにより、デバイスやチャネルを問わずカートにアクセスできるようになり、ショッピング体験が向上したことで、カゴ落ちが減少しました。

まとめ

消費財企業が成長するための方法を IT とデジタルトランスフォーメーション、製品開発、消費財製造のスマート化、サプライチェーンの最適化、データドリブンマーケティング、e コマースという6つのビジネスの側面から、e-Book の一部を紹介しました。消費財業界では販売量と収益性に再びスポットが当たったことで、変革が進んでいます。AI は企業が優位に立つために必要な生産性と効率の向上をもたらしますが、AI を効果的に活用するには適切な戦略が必要です。AWS は、AI での成功を導く強固な基盤の設計と実装を支援します。AWS やパートナーが提供する AI などのクラウドベースソリューションは、お客様の成長の可能性を最大限に引き出すのに役立ちます。詳細についてはぜひ、本 eBook や その他の e-book をご参照ください。

スマートストアテクノロジーの力を活用する

小売業のデジタルコマースを最適化する 4 つの重要なステップ

流通・小売・消費財企業のイノベーションを生成 AI で促進する

消費者に愛されるブランドを構築する

本ブログはソリューションアーキテクトの山下が執筆しました。