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Amazon ConnectとAmazon Lexの連携により洗練された会話体験を実現

本記事は、Brian Yost、Anubhav MishraによるCreating a sophisticated conversational experience using Amazon Lex in Australian Englishを翻訳したものをベースに、日本語対応のための編集を行ったものです。

コンタクトセンターにおいて、ユーザーが担当窓口を番号で選択する典型的なIVRは、ユーザーの問い合わせが多岐に渡る場合に選択肢や階層が多くなり、顧客体験を低下させてしまう事があります。真に魅力的な会話体験を実現するためには、ユーザーの意図を正確に理解する高品質な音声認識と、自然言語理解が必要です。

Amazon Lexは、音声やテキストを使ってあらゆるアプリケーションに会話型インターフェースを構築するためのサービスです。Amazon Lexが日本語に対応したことより、ユーザーが発する日本語を正確に理解し、堅牢でローカライズされた会話体験を提供することができます。また、Amazon Pollyが自然に聞こえるように合成した日本語音声でユーザーに応答し、完全にローカライズされた会話体験を提供することができます。

この記事では、日本語をサポートするチャットボットを構築し、Amazon Connectの問い合わせフローに組み込むことによって、コンタクトセンターのユーザーに優れた体験を提供する方法を紹介します。

構築する会話のモデル

この記事では、次のような家電の修理の際にエージェントとユーザーが行う会話をモデルにボットを作成します。

ユーザー:修理を予約したいです。
エージェント:はい、家電の種類はなんでしょうか?
ユーザー:エアコンです。
エージェント:お住まいはどちらですか?
ユーザー:東京です。
エージェント:修理のためにエンジニアを派遣します。ご希望の日はありますか?
ユーザー:4月4日でお願いできますか?
エージェント:承知しました、2021年4月4日に伺います。
ユーザー:よろしくお願いします。

このような対話を実現するため、まず最初に修理の予約を受け付け、変更、キャンセルするためのインテントを持ったAmazon Lexボットを構築します。ScheduleAppointmentModifyAppointmentCancelAppointmentの各インテントがこの機能を提供しています。

日本語Lexボットの作成

この記事では、AppointmentBotというAmazon Lexのボットを作成します。ボットのサンプルがダウンロードできますので、これをインポートしてビルドすることで、以下のLexボット作成手順をスキップすることもできます。

  1. AWSコンソールを開き、アジアパシフィック (東京) ap-northeast-1リージョンが選択されていることを確認します。
  2. Amazon Lexコンソールにアクセスします。BotメニューからCreateを選択します。
  3. Custom Botを選択します。
  4. Bot nameAppointmentBotと入力し、LanguageJapanese (JP)を選択します。
  5. Output voiceのドロップダウンリストからMizukiを選択します。
  6. Sentiment analysis、Session timeout、COPPAの設定を指定します。
  7. Createを選択します。
  8. ボットが作成されたら、インテントにScheduleAppointment(修理予約を作成するインテント)、ModifyAppointment(修理予約を変更するインテント)、CancelAppointment(修理予約をキャンセルするインテント)、Disconnect(通話を切断するインテント)を追加して、顧客の発話内容や必要な情報を取得するスロット、レスポンスを追加します。
  9. Buildを選択します。

ここまでの手順で、日本語に対応したLexボットが作成できました。

Language

Amazon Connect 問い合わせフローの設定

このセクションでは、ボットをAmazon ConnectのIVRに展開します。以下の手順はAmazon Connectインスタンスが東京リージョンに作成済みで、かつ、このテストに使用可能な電話番号を取得済みであることを前提としています。

LexボットをAmazon Connectインスタンスに関連付ける

Amazon Connectインスタンスでコンタクトフローを作成して、前のステップで作成したAppointmentBot Lexボットと統合します。まず、ボットをAmazon Connectインスタンスに関連付けます。

  1. Amazon Connectコンソールで、インスタンスエイリアスを選択して、インスタンスを開きます。
  2. メニューから問い合わせフローを選択します。
  3. Amazon Lexのボットのドロップダウンリストから、AppointmentBotを選択します。リストにボットが表示されない場合は、Lexボットを作成したときと同じリージョンを選択していることを確認してください。
  4. +Lexボットの追加を選択します。

ここまでの手順で、Amazon ConnectからLexボットを使えるようになりました。

Amazon ConnectをLexボットと連携させるための設定

ここからは、問い合わせフローを作成し、Lexボットを呼び出す設定を行います。

  1. Amazon Connectの管理画面を開き、左のサイドメニューから問い合わせフローを選択します。
  2. 問い合わせフローの作成を選択します。
  3. コンタクトフローの名前をManage Repairsと入力します。
  4. 左側のメニューから設定をクリックし、展開されたメニューから音声の設定を右側のキャンバスにドラッグします。ボックスをクリックして言語を日本語に変更し、Mizukiを選択してから、Saveをクリックします。
  5. エントリポイントから、追加した音声の設定にコネクタをドラッグして接続します。
  6. 左側のメニューから操作をクリックし、展開されたメニューからプロンプトの再生を右側のキャンバスにドラッグします。
  7. プロンプトの再生ボックスをクリックし、テキスト読み上げまたはチャットテキストを選択します。
  8. テキストの入力に、お電話ありがとうございます。家電修理のご予約、変更、キャンセルができます。と入力します。
  9. Save をクリックします。
  10. 音声の設定ボックスから追加したプロンプトの再生ボックスにコネクタをドラッグして接続します。
  11. 左側のメニューから、顧客の入力を取得するを右側のキャンバスにドラッグします。
  12. 顧客の入力を取得するボックスをクリックし、テキスト読み上げまたはチャットテキストを選択します。
  13. テキストの入力に、どのようなご用件ですか?と入力します。
  14. Amazon Lexを選択し、Lexボットの名前にドロップダウンリストでAppointmentBotボットを選択します。
  15. インテントの追加から、AppointmentBotのインテントであるScheduleAppointmentModifyAppointmentCancelAppointmentDisconnectを追加します。
  16. Saveをクリックします。
  17. プロンプトの再生ボックスから顧客の入力を取得するボックスにコネクタをドラッグして接続します。
  18. 左側のメニューから、プロンプトの再生ボックスを右側のキャンバスにドラッグします。
  19. プロンプトの再生ボックスをクリックし、テキスト読み上げまたはチャットテキストを選択します。
  20. テキストの入力に、他にご用件はありますか?と入力します。
  21. Saveをクリックします。
  22. 顧客の入力を取得するボックスの各エントリ(Disconnect を除く)のコネクタを、追加したプロンプトの再生ボックスにドラッグします。
  23. 追加したプロンプトの再生ボックスの出力側から、 顧客の入力を取得するボックスの入力側にコネクタをループさせるようにドラッグして接続します。
  24. 左側のメニューから終了/転送をクリックし、展開されたメニューから切断ボックスを右側のキャンバスにドラッグします。
  25. 顧客の入力を取得するボックスの Disconnect エントリから 切断ボックスにコネクタをドラッグして接続します。

ここまでの手順で、問い合わせフローは以下の画像のようになっています。

Contact Flow

  1. 管理画面の右上にある保存をクリックして、問い合わせフローを保存します。
  2. 管理画面の右上にある公開をクリックして、新しいコンタクトフローを発信者に公開します。
  3. 左のサイドメニューからダッシュボードを選択します。
  4. 電話番号の表示をクリックします。
  5. 今回のテストに使用する電話番号を選択して開き、問い合わせフロー/IVRを、ここまでの手順で作成したManage Repairsフローに変更します。Saveをクリックします。

以上でAmazon ConnectインスタンスがAmazon Lexボットと連携するように設定されました。設定した電話番号にかけて、アナウンスに従って修理の予約や変更を対話で行い、動作を確認してください。

最後に

Amazon Lexが日本語に対応したことによって、Amazon Connectにおいてもユーザーの会話体験を飛躍的に向上させることができます。あらかじめ定義されたスロットを使用して、名前や都市などの情報を取り込むことが可能になったことで、日本のお客様にも堅牢でローカライズされた会話体験を提供することができます。Amazon Lex日本語版は、AWSコンソール、AWS CLI、AWS SDKからご利用いただけます。今すぐ日本語に対応したチャットボットを体験してください。

翻訳はConnect SAの清水が担当しました。