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ベストプラクティス: Amazon Connect Contact Lens を使用してエージェントのパフォーマンスを向上させる方法

はじめに

エージェントは、企業の顧客体験戦略において重要な役割を果たします。多くの場合、顧客が質問、懸念、または苦情がある場合の主要な連絡窓口となります。エージェントが提供するカスタマーサービスの質は、顧客満足度と顧客ロイヤリティに大きな影響を与える可能性があります。さらにエージェントは同じではなく、時間毎、日毎、週毎など、さまざまなレベルで業務を行います。さらに応対品質とエージェントのパフォーマンス管理により、他の方法では気づかなかったかもしれないプロダクトやオペレーションの問題を明らかにすることができます。

Amazon Connect はエージェントとマネージャーに音声、チャット、タスクを含むオムニチャネル体験を提供します。通話録音をしたり画面録画をしたり、インタラクションを監視するための機能が組み込まれています。Amazon Connect Contact Lens は、会話分析、エージェントの画面録画、自動評価を提供して、エージェントのパフォーマンスを向上させます。このブログ記事では、これらすべての機能をまとめるためのベストプラクティスとして、次のような推奨事項を紹介します。

  1. 通話録音と画面録画のインタラクション
  2. 会話分析による顧客インサイトの抽出
  3. 応対とエージェントのパフォーマンス管理の自動化を実現
  4. 重要なインタラクションを見つけて実用的なインサイトを得る

1. 通話録音と画面録画のインタラクション

インタラクションを記録することは、コンタクトセンターにおいて極めて重要な役割を果たします。この貴重なデータは、顧客の好み、問題点、期待に関する深いインサイトを得る機会を提供します。最終的には、サービスを強化し、優れた顧客体験を提供できるよう支援します。Amazon Connect の録音機能を活用して、音声、チャット、タスクのインタラクションを記録して分析できます。インタラクションを記録することで以下が可能になります。

  • 品質保証とトレーニング
  • パフォーマンス評価
  • 顧客インサイトと分析
  • トレーニングとコーチング

Amazon Connect で通話録音と画面録画を有効にする方法については、Amazon Connect 管理者ガイド に記載されています。

2. 会話分析による顧客インサイトの抽出

会話分析は、顧客の感情、保留時間、文字起こしなどの指標を導入することで、通話記録を強化します。これらの指標を使用してインタラクションをグループ化し、スーパーバイザーが共通の傾向を導き出すことができます。Amazon Connect Contact Lens は、ルールを使用してインタラクションをまとめて分類します。ルールを使用して、介入のアラートをリアルタイムでトリガーすることもできます。一方、機密情報を編集して、会話の価値を損なうことなく、セキュリティとプライバシーを確保できます。機密情報の編集がサポートしている言語の一覧については Amazon Connect 管理者ガイドを参照してください。

Contact Lens ルール

Contact Lens ルール を設定するのは簡単です。これはリスクのある顧客を特定する例です。


スーパーバイザーが有効にする一般的なルールには以下が含まれます。

  • エージェントが挨拶または結論を漏らした
    シナリオと異なるスクリプトを検知して、トレーニングが必要なエージェントを特定します。
  • 保留時間または無音時間の多い通話
    エージェントが顧客を保留にして支援を依頼したり、ナレッジを検索していることを示す指標値です。こうした会話を特定することで、対処すべき知識のギャップを目立たせることができます。
  • 契約条件を明確にしないエージェントによるコンプライアンス違反
    組織がコンプライアンスのギャップを埋め、法令順守を確実に果たせるようにします。
  • リスクがある顧客
    顧客が否定的な感情を示し、「アカウントを解約したい」や「他の会社と契約する」などの言葉を使うと、リテンションチームにリアルタイムで対応するように通知します。
  • 二重の確認
    インタラクションを転送して確認を繰り返すエージェントは、不要なアクティビティをやめるように教育できます。これによりサービスコストが削減され、顧客体験が向上します。
  • インタラクションにおける顧客のエスカレーションまたは暴言
    エージェントが難しい会話を処理できるように訓練されていることを確認してください。

Amazon Connect ルールの完全なリストについては以下のガイドを参照してください。

Eメールとタスクによる通知

問題が発生したときに行動を起こすことで、好ましい解決の可能性が高まります。例えば、ルールによって E メールをトリガーできます。「アカウントを解約したい」と顧客が言った時に、組織のリテンションチームに対応するよう通知できます。同様により積極的にリテンションチームにタスクを割り当てることもできます。

ルールにアクションを設定するには、Amazon Connect 管理者ガイドを参照してください。

ルールに関するアラート

スーパーバイザーはインタラクションを1つずつ手動で聞く代わりに、複数のインタラクションを顧客の感情とともに視覚化して、根本原因をより理解し、それに応じて行動することができます。例えば以下のスクリーンショットは、Contact Lens ルール「Escalation, Angry customer」(エスカレーション、顧客が怒っている)に対するスーパーバイザーアラートがトリガーされ、アラートが選択されるとコンタクトの概要がトリガーされる様子を示しています。

3. コンタクトセンターの品質評価を自動化

手作業による評価は問題の特定に有効ですが、スーパーバイザーはすべてのインタラクションの一部をレビューする時間しかありません。手動評価に時間をかける前に、自動化された品質評価を組み合わせてすべてのインタラクションを可視化できます。これにより、手動による介入がより効果的になります。

Contact Lens ルールで回答された質問で評価を作成できます。例えば「エージェントは顧客に正しく挨拶しましたか?」というルールを見てみます。ルールを正しい言葉で作成し、基準を満たさないインタラクションがあった場合は、スーパーバイザーがコーチングに時間をかける必要があります。次のスクリーンショットを参照してください。Contact Lens の「Greeting」(挨拶)ルールが該当した場合、質問は自動的に「Yes」と採点されます。

このとき「Greeting」(挨拶)ルールは次のロジックで構成されます。

その他の例としては、次のものがあります。

  • 顧客は特定のキーワードについて言及しましたか?
  • エージェントはコンプライアンス規約を読みましたか?
  • 会話が終わると顧客の感情は肯定的に変化しましたか?

詳細については管理者ガイドの「エージェントパフォーマンスを評価する」セクションを参照してください。

4. 重要なインタラクションを見つけて実用的なインサイトを引き出す

コンタクトセンターではインタラクションの量が非常に多いため、インタラクションから価値を引き出そうとするスーパーバイザーは、どこから始めれば良いのかという課題に直面しています。その結果、インタラクションをランダムに選び価値を引き出そうとしますが、ランダムに選んだ場合に良い結果が得られることはめったにありません。

コンタクトの検索を使用すると、スーパーバイザーは適切なインタラクションを見つけるための指示ができます。

例えば「保存した検索」を作成して、次のようなインタラクションを検索します。

  • >1分 (顧客が意見を言いたいけれど解決策を望んでいないという短時間通話を除外)
  • 感情は否定的から始まり、中立的または肯定的に移行
  • 特定のキューに基づく

エージェントの行動を最適化

エージェントの活動時間は、コンタクトセンターの運営における主なコスト要因です。行動を最適化し、AHT (平均処理時間)を短縮する機会を見出すことは非常に有益です。会話分析により、エージェントの通話以外の時間をすばやく分析できます。例えば、通話以外の時間をインタラクションのパーセンテージとして検索したり、通話以外の最長時間を検索したりできます。

検索結果のコンタクトを開くと、Contact Lens は通話以外の時間と正確な時間測定値を棒グラフで強調表示します。

さらに、通話録音のオーディオファイルを視覚的に表現して無音部分を表示できるため、そのセクションにすばやく移動して画面録画を確認し、そのセクションでのエージェントの行動を理解できます。


テーマ検出

構造化されていない顧客応対を理解するために、テーマ検出は機械学習を適用して同じような課題を抱えているコンタクトをグループ化し、その結果得られたテーマを表示します。これにより何を探すべきかをシステムに指示することなく「顧客は私に何を話しているのか」という質問に答えることができます。顧客への働きかけの一般的な理由(例えば「予約のキャンセル」、「注文の遅延」など)を見つけることができます。テーマ検出がサポートしている言語の一覧については Amazon Connect 管理者ガイドを参照してください。

これらの推奨事項をすべてまとめると、1つの画面で次のことを確認できます。

  • 通話録音と画面録画
  • 顧客感情の理解
  • 保留時間やエージェントと顧客が同時に話す時間の特定
  • 発言ごとおよび発言者ごとの感情分析と合わせた文字起こし
  • 自動品質評価

結論

このブログでは会話型分析や自動品質管理を検証し、インタラクションの詳細な分析を行って、その根底にあるテーマや根本原因を把握する効果的なテクニックを詳しく紹介しました。

さらに詳しく知りたい場合は、Amazon Connect 管理者ガイドを参照してください。

ここで取り上げているトピックについて質問がある場合やガイダンスが必要な場合は、私たちがお手伝いします。 AWS サポートからお問合せいただけます。エンタープライズサポートを受けている AWS のお客様は、緊急の問題のエスカレーションを支援するために、 TAM にサポート関連の項目を依頼してください。

Kun Qian はアマゾン ウェブ サービスの経験豊富なプロダクトリーダーで、Amazon Connect 内の複数の製品分野を統率しています。CCaaS の状況を深く理解している Kun は市場開拓戦略の推進と、これらの重要な通信サービスの製品イニシアチブの形成を担当しています。Kun は世界中の顧客やパートナーと積極的に関わっています。積極的にフィードバックを求め、問題を解決することで、顧客体験を形作り、新しい機能の開発を促進するためのインサイトを収集する上で重要な役割を果たします。

 

Elias Sayigh はオーストラリアのシドニーを拠点とするAmazon Connect を専門とするソリューションアーキテクトです。Elias はクラウドテクノロジーを使用して顧客体験を迅速かつ簡単に改善する方法をお客様に理解してもらうことに喜びを感じています。AWS を全面的に採用する前、Elias は顧客としてもパートナーとしても、サポート、実装、アーキテクトの役割において15年以上にわたって貴重な経験を積み重ねてきました。

 

翻訳はソリューションアーキテクト黒木が担当しました。原文はこちらです。