Amazon Web Services ブログ

小売業者へ: サードパーティ Cookie 廃止の前にデータ主権者となりましょう

ブログのパート 1 となる「サードパーティ Cookie がなくなりつつあります: 小売業者はどのように対処すべきでしょう?」では、サードパーティのマーケティング Cookie を 2023 年末までに廃止するという Google 社の発表について解説しました。簡単に要約するとこの決定は、個人データとオンライン上の行動に対するより強いプライバシーとコントロールを望む消費者をなだめ、ハッカーが消費者データにアクセスするためにマーケティング Cookie を侵害したり模倣したりするといったセキュリティリスクの排除にも繋がります。これをよいことだとみなそうが、あまりよくないものとみなそうが、Google 社のマーケティング Cookie の廃止によって、小売業にマーケティング担当者が顧客を理解し、ターゲティングし、宣伝、関与するためのデータ収集方法にとって大きな変化が起こります。

しかしながら、マーケティング担当者がこれまでのような行動データを収集して広告をターゲティングできるようにするための、サードパーティ Cookie に代わる新しいテクノロジーはまだ見えていません。とは言え、変化が起こるのをただ待つだけというのは決してよい考えではありません。そうではなく、いつ事態が発生しても Cookie 廃止により有利な立場で対応できるよう、今から積極的な変革を進めることをお勧めします。今から備えておくことで、マーケティング Cookie に取って代わる可能性を持つ新しいテクノロジーも素早く利用できるでしょう。

ブログパート 1 では、小売業者が自社のファーストパーティデータプラットフォームを構築して、既存の顧客データから最大の価値を引き出し、データの主権者となり、顧客データ戦略の将来性を確たるものにすることを推奨しました。言い換えれば、データを所有すれば、コアとなる顧客情報ソースとしてサードパーティデータに依存する必要がないのです。このブログでは、マーケティングデータを自社で活用するための次なるステップについて説明します。

自社のファーストパーティデータプラットフォームを構築する

ファーストパーティデータソースのインベントリを作成する

まず、自社のファーストパーティデータソースのインベントリが必要になります。CRM やコンタクトセンターシステムの記録、e コマースや実店舗 POS トランザクションのデータ、ウェブサイトへの訪問者やニュースレター購読者などがあるでしょう。ファーストパーティーデータとは、企業あるいは、ブランドが直接収集したあらゆるデータです。

インベントリができれば、ファーストパーティデータプラットフォームの出発点に立ったと言えます。これらのデータは企業内のさまざまなシステムにサイロ化されている可能性があります。これらのデータを集約して統合し、単一の顧客に関するすべての情報を一箇所で確認できるようにします。これにより、360 度の顧客ビューが構成されます。

データプラットフォームのニーズを見極める

ここではファーストパーティデータで何をしなければならないかについて、全体像を長期的に考えてみます。さまざまなソースからの既存の社内データを統合する必要があるだけでなく、データが流入するときにこれらのさまざまなソースからまったく新しいデータを取り込む必要もあるでしょう。外部のサードパーティデータソースを使ってファーストパーティーデータを強化する必要もあります。たとえば、顧客についてのより多くの洞察や、見込み顧客の可視性を高めるために人口統計情報を追加したりします。オーディエンスのセグメント化、プロファイルと顧客モデルの作成、顧客アイデンティティの管理、マーケティング活動に役立つ分析から得られた洞察の提供といったことを可能にする、強力なプラットフォームが必要になります。さらに、他の内部システムやツール、外部ベンダーと簡単に統合できるような柔軟なプラットフォームも必要となるでしょう。

構築 vs 購入

ファーストパーティデータソースとデータプラットフォームのニーズをしっかりと理解したら、自社でデータプラットフォームを構築するべきか、購入するべきかを決定する必要があります。構築する場合、データプラットフォームを設計、構築、デプロイ、保守するためのスキルと専門知識があるかどうかを判断します。スキルが不足している、あるいは、IT 部門に引き受ける余力がない場合には、必要なデータプラットフォームソリューションを提供するベンダーを見つけなくてはなりません。外部のテクノロジーベンダーからデータプラットフォームを「購入」したとしても、依然としてデータの所有者はあなたの会社であることに変わりはないのです。

もう少し考えてみましょう

自社のファーストパーティデータプラットフォームを構築するためのハイレベルな戦略を紹介しましたが、新入社員でも一晩考えれば簡単に理解できるようなものだというような誤解は与えたくありません。同時に、このタスクは克服できないものでもありません。既存のファーストパーティーデータソース、データプラットフォームのニーズ、またソリューションを構築するか購入するか、王道のアプローチでこれらを理解するには時間がかかります。マーケティング担当者と IT 担当者からなる経験豊富なチームを組成してこの大仕事に取り組み、自社の最善の戦略を立てたいと考えるでしょう。さらに、戦略が策定され承認されたなら、それを実行してデータプラットフォームを長期的に管理するための適切なチームを編成する必要もあるでしょう。

2021 年第 4 四半期以降、小売業者はあと 2 年強で次のことを行う必要があります:

  • 想定されるマーケティング Cookie の廃止に伴う今後の課題を理解します
  • 自社のデータプラットフォームのニーズを見極めます
  • マーケティング Cookie 廃止後の世界で顧客を効果的に取り込み惹きつけるために必要とされるデータを所有、コントロールするための、包括的な戦略を策定します

自社ファーストパーティデータのニーズについてご相談があれば、AWS がお手伝いします。今すぐアカウントチームに連絡してください。


著者について

Craig Miller

Craig Miller は、AWS Advertising and Marketing Technology チームのグローバルリーダーであり、AWS のお客様が広告およびマーケティングの潜在的な収益を獲得できるよう支援しています。Craig はインターネットの登場以来、広告とテクノロジーを革新してきました。MatchLogic、および Excite でのサードパーティ広告配信のパイオニアとしての活動から、Xandr の TV プラットフォームではプロダクトの責任者としてテレビ広告の将来に関する取り組みに至るまで、Craig は、サービスを提供する顧客の広告エコシステムの変革に役立つプロダクトとテクノロジーの戦略的な創造を目指しています。Xandr(以前の Appnexus)の前には、Appnexus のプロダクトの売り手側の製品スイートの構築を支援していました。また、Yieldex の CTO 時代には、2008 年に AWS Startup Challenge で優勝しました。MatchLogic、Excite@Home、Avaya、Clear Technology においてテクノロジーのリーダーを務めてきました。広告、予測、歩留まりの最適化、リアルタイム入札といった分野において、Craig は多数の特許を取得しています。

Chip Reno

Chip Renoは、AWS でワールドワイドに Advertising and Marketing のテクノロジーリードを務めており、企業向け Ad Tech プラットフォームの戦略、開発、展開を 10 年以上リードしています。成功した 2 つのテクノロジースタートアップの創設者兼マネージャーでもあります。現在、アイデンティティの解決、匿名のデータ共有と分析といったデジタルメディアにおける長年の課題を解決するための製品とサービスの構築、また絶えず変化するプライバシー環境においてメディアを最適化する方法に注力しています。

Vince Koh

Vince Koh は、AWS のデジタルコマースにおいてワールドワイドな戦略とソートリーダーシップをリードしています。AWS の小売業、消費財のリーダーシップチームと協力し、オンラインやソーシャル、モバイルコマースにおける新機能でいかにビジネスを変革するべきか、また顧客接点を繋げていかに統一された顧客体験を創るのか、ガイダンスを求めている企業に向け、市場開拓戦略や、革新的なパートナーソリューションの提供に取り組んでいます。Vince は 15 年のキャリアを通じて、グローバル企業と高成長のスタートアップ企業の両者に対してデジタルコマースを主導し、Direct-to-Consumer(DTC)やマーケットプレイス、小売におけるオムニチャネルイニシアチブを開発、実践してきました。AWS 以前には、Weber Shandwick においてCommerce & Conversion SVP を務めていました。また Iconix Brand Group では e コマース VP を、ベンチャーキャピタルが支援するスタートアップ(Keaton Row & Fab)ではマーチャンダイジングや戦略、運用をリードしていました。Accenture ではグローバルに小売コンサルティングプロジェクトを主導しました。コーネル大学の SC ジョンソン経営大学院で MBA を取得しています。

翻訳は Solutions Architect 杉中が担当しました。原文はこちらです。