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【開催報告】アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間 第二十九回 (4/27)

みなさんこんにちは!
アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 ソリューションアーキテクトの長屋です。

2023 年 4 月 27 日に「第二十九回 アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間」をオンラインで開催しました。本イベントは、AWS の数あるアップデートの中から「すぐ使える、運用に役立つ、あったらいいなと思ってた、おもしろい、重要」なものをピックアップし、ちょっぴり DiveDeep してカジュアルな雰囲気でお伝えするイベントです。

今回は、「SaaS」がテーマということで、SaaS そのものの基礎や、AWS Lambda を用いたテナント多層化戦略の実装ついてデモを交えながらご紹介させていただきました。
また、今回は、エムオーテックス株式会社の小沼 氏・辻 氏、株式会社システムインテグレーターの横山 氏に SaaS プロダクト開発における体験について、ご登壇いただきました。

今回も非常に多くの方にご参加いただきました。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!

過去の開催報告はこちらからご確認頂けます。

実施内容

AWS のメンバーから SaaS に関する 2 つのセッションをお届けし、エムオーテックス株式会社の小沼 氏・辻 氏、株式会社システムインテグレーターの横山 氏から SaaS プロダクト開発の体験をご紹介いただき、合計 1 時間半の盛りだくさんの内容でお送りしました。
本記事の最後に発表資料・録画へのリンクを記載していますので、ぜひご利用ください!

アジェンダ

  • SA の今月のお勧め 5 分間アップデート
  • エンジニアとして押さえておきたい SaaS の基礎 (15分)
    • スピーカー:アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 DNB ソリューション本部 ソリューションアーキテクト 遠藤 宣嗣
    • 国内においても SaaS の利用者は伸び続けており多くのプロダクトが生まれています。SaaS とは Software as a Service のことであり、ソフトウェアの提供モデルの 1 つです。では、SaaS はビジネスモデルとも言われるのはなぜでしょうか。それを理解することはアーキテクチャにも影響を与えます。このセッションでは、SaaS Provider のエンジニアとして理解しておきたい SaaS の基礎について考えます。
  • AWS Lambda の予約済同時実行数の設定によるテナント多層化戦略の実装 (15分)
    • スピーカー:アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 エンタープライズ技術本部 ソリューションアーキテクト 三宅 穂波
    • AWS Lambda の予約済同時実行数は、関数の同時実行インスタンス数を保証します。SaaS アプリケーションをマルチテナントで実現するには、他テナントのパフォーマンスへの影響、及びテナント間で不要なアクセスが発生しないように実装する必要があります。このセッションでは、AWS SaaS Factory のソリューションについてご説明し、AWS Lambda の予約済同時実行数の設定によってサーバレスな SaaS アプリケーションでテナントの多層化戦略を実現させる方法について、デモを交えてご説明いたします。
  • 大規模なデータを Amazon Kinesis Data Firehose の動的パーティショニングとAmazon Athena を利用して、ニアリアルタイムに処理する事例の紹介 (15分)
    • スピーカー:エムオーテックス株式会社 小沼 祐貴 氏、辻 翼 氏
    • LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版は、組織が管理する PC の操作ログを検索・レポーティングできるサービスを提供しています。当初、操作ログ検索基盤は Amazon EMR と Amazon OpenSearch Service を利用したアーキテクチャでしたが、近年、急速に増加するユーザー数に対してログ検索機能のリアルタイム性を失いつつありました。この度、Amazon Kinesis Data Firehose を使うことによって、リアルタイム性と運用コストの両立が実現できた事例をご紹介します。
  • 立ち上げ期のマルチテナント SaaS に AWS を使って GPT を爆速で組み込んだ話 (15分)
    • スピーカー:株式会社システムインテグレータ 横山 弘典 氏
    • 世の中、GPT-3.5 や GPT-4 の話題で持ちきりですね。自社 SaaS に GPT を組み込めないか?と考える方も多いのではないでしょうか。本セッションでは、AWS のサーバレスアーキテクチャを利用して GPT を爆速で組み込んでみようとしたものの、ハマった落とし穴や、理想と現実を比較して現実的なインフラ構成でリリースした、という実体験をお伝えします。みなさまの SaaS 改善の参考になれば幸いです。

当日の様子

当日の内容を抜粋してご紹介します。

エンジニアとして押さえておきたい SaaS の基礎

この日最初のセッションは、ソリューションアーキテクトの遠藤による、エンジニアとしておさえておきたい SaaS の基礎の紹介でした。SaaS モデルとは一体何か?成功要因は何か?また、それらとアーキテクチャとの関係やどういった形で設計していくのかについて説明しました。設計原則では、AWS Well-Architected FrameworkSaaSレンズ についてご紹介しました。SaaS レンズはAWS上でマルチテナント SaaS アプリケーションのワークロードを設計、デプロイ、設計する方法に焦点を当てたベストプラクティスになります。ぜひ動画をご確認いただき、SaaS 知識の土台を固めにご活用ください!

AWS Lambda の予約済同時実行数の設定による テナント多層化戦略の実装

2 つ目のセッションは、ソリューションアーキテクトの三宅による、AWS Lambda の予約済同時実行数の設定によるテナント多層化戦略の実装についてご紹介しました。最初にマルチテナントにおけるノイジーネイバーの課題を挙げ、次に各テナントの要件は多様多種であり、それらに応じて顧客体験を差別化する必要があることをお伝えいたしました。また、本セッションでは、AWS Lambda の予約済み同時実行数の機能を用いて、テナントごとの異なる要件を実現する方法を AWS SaaS Factory ソリューションを使ったデモを交えてご紹介しました。実際の動画をご覧いただき AWS SaaS Factory ソリューションを体験してみてください!

大規模なデータを Amazon Kinesis Data Firehose の動的パーティショニングとAmazon Athena を利用して、ニアリアルタイムに処理する事例の紹介

3 つの目のセッションは、エムオーテックス株式会社 小沼 祐貴 氏、辻 翼 氏による、同社製品の LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版の開発において、Amazon Kinesis Data Firehose の動的パーティショニングと Amazon Athena を利用してニアリアルタイムに処理する事例をご紹介いただきました。利用ユーザーの急激な増加に伴って、ログ受信のニアリアルタイム性を失いつつある状況でしたが、 3 回のアーキテクチャの変遷の経て、ハードリミット・タイムアウトの回避、パフォーマンスの向上を図り、結果的に利用コスト・運用コストを同時に抑えることを実現されました。試行錯誤を繰り返し、より良いアーキテクチャへの執念が垣間見える素晴らしい体験談を是非動画でもご確認ください!

立ち上げ期のマルチテナント SaaS に AWS を使って GPT を爆速で組み込んだ話

最後のセッションは、株式会社システムインテグレータ 横山 弘典 氏による、自社のマルチテナント SaaS に AWS を使って GPT を爆速で組み込まれた体験についてご紹介いただきました。限られたリソースの中で、いかに精神論に頼らずに AWS で仕組み化できるかに注力されており、最近話題になっている ChatGPT を活用し、迅速にサービスを展開していく体験と工夫をお伝えいただきました。また、開発において AWS サービスのクォータの壁に当たり、どのように突破したのかお話しいただきました。ぜひ動画をご確認いただき、爆速の開発ストーリーをお聞きください!

各種資料・動画のダウンロード

  • 今月のお勧め5分間アップデート[資料動画]
  • エンジニアとして押さえておきたい SaaS の基礎 [資料動画]
  • AWS Lambda の予約済同時実行数の設定によるテナント多層化戦略の実装[資料動画]
  • 大規模なデータを Amazon Kinesis Data Firehose の動的パーティショニングとAmazon Athena を利用して、ニアリアルタイムに処理する事例の紹介 [資料動画]
  • 立ち上げ期のマルチテナント SaaS に AWS を使って GPT を爆速で組み込んだ話 [資料動画]

次回予告

次回は「AWS をとことん使いこなす」編です。
先日新しく一般提供を開始した Amazon VPC LatticeAmazon EKS を使ったアプリケーションネットワーキングについてや、AWS MarketPlace の利用方法、AWS Summit の振り返り、加えて、ゲストスピーカーとして株式会社hacomono の矢嶋 氏をお招きした AWS サービスを活用した事例セッションもございます。
次回も多くの方々のご参加を心よりお待ちしております!

2023 年 4 月以降に開催予定の『アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間』の視聴申し込みを一括でできるようになりました!毎月申し込みする必要はなくなります。また、イベント開催直前にリマインドメールをお送りいたします。下記リンクから参加ご希望月の申し込みをお願いいたします。

第三十回「アップデート紹介とちょっぴり DiveDeep する AWS の時間」-AWSをとことん使いこなす編-

  • 開催日時:2023 年 5月 25 日(木)16:00 – 17:30 オンライン開催
    • アジェンダ
      • 16:00 – 16:10 オープニングセッション
      • 16:10 – 16:25 hacomono というバーティカル SaaS を支えるアーキテクチャとその変革
        • スピーカー: 株式会社 hacomono VP of Platform Engineering 矢嶋 裕介 氏
      • 16:25 – 16:40 Amazon VPC Lattice × EKS で実現するアプリケーションネットワーキング
        • スピーカー: アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 DNB ソリューション本部 ソリューションアーキテクト 後藤 健汰
      • 16:40 – 16:45 Q&A
      • 16:45 – 17:00 AWS Marketplace を活用したソフトウェアの利用と販売方法について
        • スピーカー: アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ISV パートナー本部 パートナーソリューションアーキテクト 櫻谷 広人
      • 17:00 – 17:15 15 分でちょっぴり知る、AWS Summit Tokyo ソフトウェア / SaaS 事業会社向け特集
        • スピーカー: アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 DNB ソリューション本部 ソリューションアーキテクト 塚本 真理
      • 17:15 – 17:20 Q&A
      • 17:20 – 17:30 クロージングセッション

このブログの著者

長屋 和真 (Kazuma Nagaya)
ソリューションアーキテクトとして ISV/SaaS 系のお客様の技術支援を行っております。好きなサービスは Transit Gateway です。趣味は、美術館巡り、ゲーム、ジムです。最近は、WBC に感化されバッティングセンターに行ったりします。