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【速報】AWS Summit Osaka 2019:ヌーラボ様における Amazon EKS 活用のストーリー

皆さんこんにちは。AWSのスタートアップマーケティングマネージャーの石渡です。

本日、2019年6月27日、記念するべき第1回目の AWS Summit Osaka が行われました。タイミング的に、日本で初めての開催となるG20サミットを重なったこともあり、厳戒態勢の中で開催となりました。

AWS Summit Osakaについて

我々にとって、大阪での AWS Summit 開催は悲願でした。初開催に向けて準備を重ねてきた昨年、開催2日前に発生した大阪北部地震の影響により、開催を見送りとさせて頂きました。そういった背景もあり、我々一同、AWS Summit Osaka 2019 に並々ならぬ努力を注いで準備を重ねてきました。最終的に、目標を大きく上回る2,300名にも上るお客様をお迎えしたイベントとして開催することができました。

今回のブログでは、基調講演およびブレイクアウトセッションにご登壇頂いたヌーラボ様のストーリーをご紹介します。

基調講演にご登壇頂いたのは、株式会社ヌーラボのファウンダー、橋本正徳氏

株式会社ヌーラボは、国内最大級のプロジェクト管理ツールとして知られる「Backlog」、チャットツールの「Typetalk」、そしてオンライン描画ツールの「Cacoo」を提供しているスタートアップです。恐らくスタートアップやデベロッパの皆様の中には、これらのツールを愛用している方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

スタートアップ都市として知られる福岡を拠点に、アムステルダム、シンガポールやニューヨークなど海外にも積極的に展開しているヌーラボが、AWSをどのように活用しているのかを橋本氏にご紹介頂きました。

ヌーラボでは、世界中に拠点を構えるエンジニアによる分散開発体制を採っています。Cacoo の場合は、プロダクトのおよそ41%が福岡で、ニューヨークが42%、そしてアムステルダムで17%の割合で開発を分担しているといいます。

そうした中で顕在化してきた課題が、コミュニケーションコストの高さであったと振り返ります。

そうした課題の打開策の一つとして取り組んだのが、マイクロサービス化への移行であり、それにより各拠点の開発チーム間の依存度を低めることでした。

そして、マイクロサービス化の第一歩としてのコンテナ化に向けて、Kubernertes (K8s) の導入に取り組みました。

実際に、マイクロサービス化による効果は大きく、わずか1.5ヶ月で AWS 構成図の自動生成機能を新規に実装することができたと言います。同機能の詳細

しかしながら、Cacoo における K8s の運用を進めるうちに課題も見えてきました。具体的には、頻繁なバージョンアップやセキュリティパッチの適用にまつわる保守の手間が大きくのしかかってきたのだと振り返ります。

そうした経験も踏まえ、「Backlog」におけるマイクロサービス化においては、Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS) の採用を決定しました。

EKS の採用により、K8s そのものの運用に時間を割く必要がなくなり、その分、アプリケーション開発に集中できるようになったというのが、導入におけるメリットと橋本氏は語りました。EKS をコンテナエンジンとしてマイクロサービス化に取り組んだ「Backlog」では、様々な新機能も開発も進んでいるということで、今後にご注目頂きたいとして、基調講演をクローズしました。

ブレイクアウトセッションでは、より詳細なクラウドネイティブ化に向けたストーリーが披露されました

午後のブレイクアウトセッションでは、基調講演で橋本氏にお話し頂いたストーリーを、ヌーラボ開発チームの木村氏、吉岩氏が、より詳細な技術論として展開頂きました。

セッションタイトル「クラウドネイティブがもたらすスケーラブルな開発、インフラストラクチャー、そして組織

セッションの概要「ヌーラボの提供するオンライン作図ツール Cacoo では、変化するビジネスやユーザーのニーズに対応するため、 Kubernetes によるアーキテクチャのマイクロサービス化に取り組んでいます。今回は私たちがコンテナやマイクロサービスといったクラウドネイティブと呼ばれるアプローチによって解決しようとしている開発やインフラストラクチャー、組織上の課題と取り組みの内容、その成果についてご紹介します。」

ヌーラボにおけるマイクロサービス化の取り組みの経験を踏まえ、マイクロサービス化およびその第一歩としてのコンテナ化興味を持つ方に向けた非常に実践的な内容をご紹介頂きました。

セッションの冒頭に木村氏が紹介したのが、CNCF が公開しているクラウドネイティブ化に向けたロードマップ『Cloud Native Trail Map』の紹介です。

全部で10のステップからなるクラウドネイティブ化のロードマップのうち、今回のセッションでは、1から3のステップについて詳細を説明頂きました。

コンテナ化について、ヌーラボでは、過去、以下の様な変遷を経ていることが紹介されました。

ヌーラボにおけるコンテナ化、マイクロサービス化の目的は、海外チームとの間での独立性を高めることというのは、基調講演でも紹介されたことでしたが、木村氏は、ビルド・デプロイも高速になったという点をメリットとして強調していました。

ここでスピーカーを、同じく開発チームの吉岩氏にスイッチし、「Backlog」のマイクロサービス化にいたる課題、そして現状に至る実践的な事例をお話し頂きました。

先ほどのスライドで紹介したヌーラボにおけるコンテナの変遷を経ていく中での課題をご紹介頂きました。まずは、運用上の課題について。

続けて、開発面における課題として紹介頂いたのが以下のスライドです。

こうした背景から、既に Cacoo チームで実績のあった K8s ベースのコンテナ運用を、そして K8s 運用に関連する課題を感じている中で、Amazon EKS の導入を決定したことが紹介されました。

吉岩氏が最後に紹介したまとめのスライドが以下です。

コンテナの導入、そしてマイクロサービスの導入を検討している全ての方に読んで頂きたいと思える学びにあふれたヌーラボ様の講演スライドは、まもなく AWS Summit Osaka 公式サイトで公開されます。ぜひお楽しみに。

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