Amazon Web Services ブログ

金融機関で活用される AWS のテレワーク支援サービス

金融機関の皆様においては、社会を取り巻く状況の急変に伴い、お客様及び従業員の皆様を保護しつつサービスレベルや業務効率を維持されるためのさまざまな対策を講じられていることと存じます。そして金融庁からも4月13日に「出勤者7割削減」の要請が周知され、テレワーク環境の構築は、金融業界全体としても喫緊の課題として認識されているものと思います。

欧米各国においては、金融機関の事業継続に向けて、AWS のサービスを活用したテレワーク対応を進めて頂いている事例があります。例えば、ある大手金融機関では、在宅オペレーター数を数百人から数千人に拡張したり、また、別の金融機関では、FAQ におけるチャットボットの活用を促進しています。また、従業員及びその顧客を対象に数千席規模の仮想デスクトップ環境を提供することで業務の継続を図っているケースもあります。

日本でも多くの金融機関のお客様から、テレワークのソリューションに関する問合せ・ご相談を頂いています。既に日本の金融機関でも、AWS  のテレワークを支援するサービスを活用して、数週間でコンタクトセンターのオペレーターの在宅勤務環境を構築したり、仮想デスクトップ端末を短期間で数千台規模に拡大させて社員のテレワーク対応に取組んでいる事例が出てきています。

AWS では、お客様のテレワークを支援するサービスとして、在宅コンタクトセンターの迅速な構築をご支援するフルクラウド型のコンタクトセンター Amazon Connect、社内システムへのリモート環境からのアクセスを実現する仮想デスクトップソリューション Amazon WorkSpaces、フルマネージド型のコンテンツコラボレーションサービス Amazon WorkDocs、リモートでのコミュニケーションやコラボレーションを支援する Amazon Chime、スケーラブルなリモートネットワークアクセスを可能とする AWS Client VPN などを提供しています。 いずれの AWS サービスも、クラウドならではの俊敏性と拡張性を備えており、今回のように急遽テレワーク環境構築が必要とされているケースにご活用いただけるものです。そして、AWSでは、クラウドのセキュリティが最優先事項です。AWSは、高いセキュリティ及びコンプライアンス要件を持つ金融機関のお客様に、テレワークを支援するサービスを安心してご利用いただけるよう、アーキテクチャーの設計をご支援します。

本 Blog では、AWS のテレワークを支援するサービスの中でも、お客様からの問い合わせが多い Amazon Connect と Amazon WorkSpaces について概要をご紹介したいと思います。また、これらのサービスの詳細をご紹介するオンラインセミナーを5月22日に開催する予定です。こちらも是非お申込み頂ければと思います。

 

在宅コンタクトセンターの実現をご支援する Amazon Connect

金融機関の皆様における在宅勤務の促進という観点では、多くのスタッフで集中的にお客様対応を担うコンタクトセンターの在宅対応を可能にすることは、大きなポイントの一つになると考えます。 このような場合に、100%クラウドベースで、コンタクトセンターを即座に立ち上げ、すぐに利用する事ができるソリューションであるAmazon Connect を活用いただくのが有力な対応策の一つとなりえます。 台風などの災害や緊急事態に備える事業継続プラン (BCP) の視点でも、在宅型コンタクトセンターは有効です。

Amazon Connect は元々、Amazon.com の大規模コンタクトセンター向けに開発された技術がベースになっているクラウドサービスです。 IVR(音声応答) や ACD(着信呼自動分配)、CTI 連携といったコンタクトセンターで必要とされる機能に加え、電話回線・電話番号までをも一元的に提供するサービスとなっています。 設定も GUI でわかりやすいので、お客様自身がセルフサービスで環境を作ったり、音声応答フローなどの設定を変更したりすることが可能です。 料金はオペレーター席数や同時通話数には一切関係なく、使った時間つまりお客様と通話した時間に比例する完全な従量課金となっており、特別な初期費用や長期契約は不要です。 もちろん、AWS によるマネージドサービスとして、マルチAZでの冗長構成でサービスを提供しています。

また、クラウドサービスの特徴として、インターネット回線さえあれば、全国どこからでも Amazon Connect のコンタクトセンターにアクセスすることができます。この特徴によって、複数のオフィスやコンタクトセンター拠点や在宅のエージェントを含めて、場所に依存しない運用が簡単に実現できます。これは、1つのルーティングエンジンにより全国で業務を共通化して、適切なエージェントに着信させることで、全体として、業務効率化を図ることが可能になります。

金融機関のコンタクトセンターで考慮が必要となることが多い個人情報を扱う場合は、よりセキュアな PC 環境の構築法として後述の Amazon WorkSpaces と組み合わせて利用することができます。 それにより各エージェント専用の仮想デスクトップにインターネット経由で接続し、社内ネットワークに接続された業務システムを利用しながら、お客様サポートを行う事もできます。
Amazon Connect による在宅コンタクトセンターの迅速な立ち上げが、国内外の金融機関でも進められています。日本の金融サービス企業において、構想から運用開始まで3週間で実現した事例も出て来ています。

<AWS 無料利用枠の一部として、Amazon Connect について以下をご利用いただけます>

  • 最初の 12 か月間について 1 か月あたり90分の無料使用
  • ローカルの直通ダイヤル (DID) 番号
  • 1 か月あたり30分のローカルインバウンドコール
  • 1 か月あたり 30 分のローカルアウトバウンドコール
  • 1 か月あたり 500 件のチャットメッセージ

詳細は、以下リンクを参照ください。

https://aws.amazon.com/jp/connect/pricing/

 

金融機関で活用されるAWSのクラウド型仮想デスクトップサービスAmazon WorkSpaces

現在テレワーク環境の拡充を急ぐお客様が増加しています。 実際、ここ数か月の外出自粛の対応が世界で広がって以来、Amazon WorkSpacesの利用を拡大するためのリクエストは10倍に急増しています。しかしながら、ソリューション導入を急ぐあまりにセキュリティ面でリスクを抱えてしまうお客様や、事態が収束して通常勤務にもどった後も高額なソリューション利用料を払い続けることになるお客様も増えています。

テレワークソリューションを考慮する上で重要であるのは、1)自宅からの作業でもビジネスの生産性を維持できること、2) 高価なラップトップを準備することなく、ユーザーの主要アプリケーションへのリモートアクセスを迅速に展開できること、3) 機密性の高い企業データを管理し、情報漏洩を防ぐソリューションであること、が挙げられます。

それらを解決する Amazon WorkSpaces は、フルマネージド型の DaaS(Desktop-as-a-Service)ソリューションです。わずか数分で Windows または Linux デスクトップ環境をユーザーに提供し、世界中の従業員に数千のデスクトップを提供するために、迅速に拡張できます。日本でも多くのAWSの既存のお客様が、Amazon WorkSpaces の利用を急激に拡大され、わずか数週間で、数百~数千もの仮想デスクトップの展開を実現されています。日本の金融機関のお客様も例外ではなく、某クレジットカード会社様では短期間でほぼ全ての業務環境を Amazon WorkSpaces に移行、展開されております。また某インターネットバンキング専業銀行様では、以前から計画していた Amazon WorkSpaces の展開を前倒しにして、短期間で全社員向けにテレワークソリューションを展開されています。

また、Amazon WorkSpaces と親和性のあるクラウド型ストレージサービスで、Amazon WorkDocs がございます。 Amazon WorkDocs は、フルマネージド型の、安全なコンテンツ作成、ストレージ、およびコラボレーションを可能にするサービスです。 Amazon WorkDocs を使用すると、ユーザーは、業務で使用するドキュメントを簡単に作成、編集、共有できます。 どちらのサービスも、自宅のPC、ラップトップ、タブレットなどほぼ全てのデバイスで、様々な場所から利用できます。また Amazon WorkSpaces のユーザーは、無償で50GB分の Amazon WorkDocsストレージがご利用いただけます。

<期間限定無償オファー:WorkSpaces と WorkDocs>

AWS は、2020 年 4 月 1 日から 2020 年 6 月 30 日まで、AWS アカウントからこの期間中に初めて WorkSpaces を使用し始めるすべてのお客様に対して、Windows Standard バンドルを50個、最大 54個の Amazon WorkSpaces を無料で提供します。また同様に、Amazon WorkDocs を初めて使用するすべてのお客様に対して、当該期間中、最大 50 人のユーザーごとに 1 TB のストレージを持つすべての Amazon WorkDocs 機能も無料で提供します。詳細は、以下リンクを参照ください。

https://aws.amazon.com/jp/remote-work-learning/

 

[オンラインライブセミナー] AWSではじめる金融業界のためのテレワーク環境構築セミナーを開催します。

来る5月22日(金) 16:00-18:00にて、標記セミナーを開催いたします。 金融業界においてテレワーク環境の企画・構築を担当されている方などに広くご参加いただければと存じます。

詳細はこちら→ https://pages.awscloud.com/2020-Amazon-Connect-Webinar-for-FSI–WFH-May-22-V2_01Landing-Page-V2.html

 

金融事業開発本部 飯田哲夫