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AWS Builders Online – クロージング・セッションのサマリをお届けします。「クラウド人材の不足・・・育成すべきか 採用すべきか? 2つの “B” で組織のカルチャーを育む」
今回のブログでは、2022年7月14日(水)に開催されたAWS初心者向けの大規模イベント 「AWS Builders Online」における、クロージング・セッションのサマリーをお届けします。ご不明の点、「Contact Us」までお問合せください。
クラウド人材の不足…採用か育成か?
AWS Builders Online のクロージング・セッションは、「クラウド人材の不足・・・育成すべきか 採用すべきか? 2つの “B” で組織のカルチャーを育む」と題して行われました。このセッションの投影資料は、こちら からご覧いただくことができます。
セッションではまず、参加いただいたBuilders皆様への感謝を申し述べさせていただきつつ、質問を1つ投げかけました。「私たち AWS は本日ご参加のみなさんが非常によく熱心に学び、各人が自立して Builder であり続けるための努力をする方々だと知っています。ですが 次のような”問い”を考えたことはありますでしょうか? Builders である皆さまへ、企業の組織のリソースをもっと投資してもらうにはどうしたらよいだろう?あるいは、組織の投資の意思決定者をどう説得するとよいだろうか?」
実は私たちAWSのメンバーも、社内でよく会話をします。今回、このBuilders Onlineに登壇した SA さんたちは多くの Hands On を年間、いろいろなお客様に実施しています。ですが、その Hands On が響く / 響かないケースが結構2つに分かれます。「その違いとは何だろうね?」──という会話をするのです。
英会話の教室の例で考えてみてください。ご自身が通う場合でも、あるいはお子さんが通う場合でも、まず個人の動機・やりたいという「思い」が必須です。でも果たして”それだけ”でしょうか?
うまくいくケース。そうでないケース。いったい、何が違うのか? ITに置き換えると、セルフでのハンズオン、それを経て内製に踏み切っていくか、あるいは内製ってやっぱ難しいな、無理だな──と外注であるとかそういった他のリソースに頼るのか。組織によって、シナリオが結構明確に分岐します。
つまり「個人の想い、個人の動機だけではないよね?ほかにも何かきっと原因があるよね」、── 私たちは、そういうふうに考えています。 われわれの仮説の一つは、それって「カルチャー」に起因するんじゃないだろうか?──というものです。 どう初めの一歩、そのトライを踏み出していくのか。その分岐・分かれ道を越えて、内製化のサイクルをうまく回し続けている企業さんの例というものも、増えてきています。
カルチャー・マインドセット・行動変容──。もちろん銀の弾丸ではありませんが「成功例・成功の鍵」を一緒に考えてクロージングセッションとしたいと思います。
変わりたいと思っていない。例えば すでに十分な売り上げが立っている、あるいは英語が話せなくても困らない。そういった認識だと「内製化」であるとか、ハンズオンの後の “学び” を続けるメカニズムを作りましょう、という話は全く刺さりません。組織の熱量も高まりません。
クラウドを使いたい(=英語を話したい)という個人としての思い。プラスしてそれを定着させる「組織の行動変容」──。これが必須であると思います。
この絵、よくある「馬を水辺に連れていく絵」です。「そこに無理やり連れて行っても、水を飲ませることまではできないよね。」そういう文脈でよく使われたりします。先程の英会話教室の話もそうですね。でも実は別の見方もあるのではないかって思います。
「旅、 クラウドジャーニー」。私たちAWSは、よくそういう言い方をします。水を飲ませてくれる支援者、サポーター。そして走り続ける優秀な馬。2つのアクターが一緒に歩んでいる──そんな絵にも見えてこないでしょうか。
一緒に同じ方向性を見て歩んでいく。ジャーニーを続けていく。── 今日のセッションは、そんな着地の方向を目指したいと思います。
では 人材育成にコミットするというとき、「何」に気を付けて、一体「何」にコミットすると良いのでしょうか? 2022 年 5 月下旬のAWS Summit での社長の長崎からのメッセージには、こう有ります:「トップのコミットメントがなければ、組織の人材育成は進まない」。
これは、われわれもずっと答えを探していた問いです。でも、「コミットメント? How?」一体どうやって?皆さんは疑問に思われると思います。
Buy vs. Build?
今回のクロージングセッションでは、この問いを考えるヒントとなるネタとして、AWS ブログを1 つ紹介しました。(「クラウド人材: Buildするか、Buyするか?」)
従来 AWS は熱心なBuilder さんたちのために「ぜひトレーニングを受けてください、資格をたくさん取ってください、勉強の仕方はこうですよ」そういうメッセージを出してきました。皆さまも、熱心にそれに応えてくれました。
でもこれは組織か個人か──。この対立軸で行くと、どっちでしょうか? そう 「個人」の軸、ですね。では、前のページで長崎がメッセージしたような「組織のコミットメント、組織としての育成」。どう考えたらいいんでしょうか?どうすると達成できるんでしょうか?
考える素材として、実はこのブログ、ちょっとバズったブログになります。1 日に 20 本とか、多い日はもっと投稿が相次ぐAWS ブログ。その中でも多くの人にお読みいただけたということは、それだけ皆さまにとって、この「人材育成」というテーマについて、関心・悩みが深いのではないかなと思います。
「人材」の必要性はわかる。でも Build なの? Buy なの? つまり、内部で育成するの? それとも外から採用するといいの?どっちが正解なの?
私の所属するパブリックセクターでも多くの声を聞く、その「問い」に答えるための、ひとつのブログでした。ぜひ後でお読みいただきたいと思います。内部で育てるのか、外から採用した方が早いのか、正解なのか。対立するシナリオをこのBlogでは検討しています。非常に大まかに分けると
・Build / Develop内部で育成するシナリオ
それに対して
・Buy / Hire 外からクイックに採用してしまうシナリオ
一体どちらが正解なんでしょうか? 選ぶための主な論点は、以下のとおりです。
まず Build のシナリオ。従業員が新しいスキルを身につけることで、企業文化を継続的に構築し発展させることができます。従来から所属していたメンバーですから、従業員たちは経営陣が自分たちに投資してくれることを実感できます。そうすると モチベーション・士気も高まります。 他の従業員にとっても仲間が成長していく。それを目の当たりにし、学習活動に一緒に参加しやすくなります。 また 研修にかかる費用は新入社員や中途社員の募集や入社にかかる費用よりも「少ない」ということがわかっています。一般的に費用対効果が高い方法であると言われています。
ただし 良いことばかりでなくて、このBuild シナリオにはデメリットもあります。1 つは時間がかかること。新しいスキルを学び使いこなせるようになるまでは当然それなりの時間がかかってしまいます。また学んでいる最中の社員が途中でミスをすることもあります。プロジェクトも、遅延や停止に至ってしまうことももちろんあるでしょう。
それに対して「Buy/Hire/採用」してしまうシナリオでは、どうでしょうか。代わりに新しい人材を採用するならば、そして良い人材が採用できたと仮定すればすぐに活躍してくれるというメリットが期待できます。もしその人が似たような仕事をこれまでした経験があればミスも少ないですし、迅速にタスクを進めることもでき、プロジェクトを加速し納期の短縮にもつながります。
しかしこのシナリオにもデメリットがあります。例えば 文化的に合わないメンバー、カルチャーがフィットしないメンバーを迎え入れてしまうリスク。そういうものがあります。あるいは、新しく入ってきたメンバーが不満を持った場合その彼・彼女の態度が既存のチームメンバーに伝わって結果的にチーム全体・組織全体の離職率が上がってしまう──。そんなシナリオも聞いたことがあります。
では、いったい、どっちが正解でしょうか?実はこれ、「選んでください」と言っておきながら正解は「両方」なんです。両方重要。でも皆さん思いますよね? どうやって「両方」やるんだ?──と。
私たちは お互いのこのシナリオの「デメリットを潰す」、いいとこ取りをする工夫の仕方というのを世界中の企業・組織の皆さんから聞いています。そんな手法をブログの中では「成功例・失敗例」 両方交えて紹介していますので、ぜひご覧ください。(成功例では AWS のマイグレーションを含むいわゆる DX に必要なスキルと経験を持つシニアエンジニアやリーダーを新規に採用する場合、必要なスキルや経験だけではなくて、その候補者が自社の既存のカルチャーにフィットしているかどうか、そこを重点的に見る──という手法などをおすすめしています。)
メガトレンドの中で二兎を追う
さて。ここまでのお話で、「そうか じゃあ、Buy と Build 両方正解なのか。ならすぐにやろう!」・・・という展開には、残念ながら簡単には至りません。
もはや人材育成は個人のスキルアップのお話にとどまらないし、また組織・会社の中のスキルギャップ・人材不足というお話にもとどまりません。もっと大きな社会的・国家的課題だといえるイシューだと思います。いくつかそのお話をさせてください。
実は、AWS だけが「人材が足りない、トレーニングが大事だ」、こう言っているわけではありません。日本でも大きな論点になってきているのが、まさに人材、デジタル人材です。例えば閣議決定もされた政府の政策集では、その中でもはっきりと最新版ではデジタル人材、その育成・確保が重要なんだよ、と『人材』推しの論点が”主役” と言い切るまでの形ではっきり多数盛り込まれています。
主役は「人」なのに、質も量も育成策も全く足りていない──。そんな危機感が政府からも語られています。 私たち AWS は皆さまのような熱心な Builder に囲まれて、今日 このようなイベントが開催できている、だから安心している──ということでは実は全くないんです。日本社会全体の課題。もっと言うと、これは日本だけじゃなくて世界共通の課題なのです。
ここで1つ、面白い数字を紹介させてください。国際調査によると、日本は 「○○のギャップ」 が最大な国です。何のギャップでしょうか?
それは、「必要だと認識してるのに、実際にはトレーニングをしていない」というギャップ。日本が最大なのです。なぜでしょうか? 学習者 =Builder の皆さまが怠けているんでしょうか? いいえ、私たちAWSは、そんなことはない、皆さまは勤勉で熱心でひとりでずっと努力なさっている方だと知っています。
では、一体どうしてでしょうか? Builder ではない、もうひとつの “B”、それが原因ではないか。そのもうひとつの “B” の説得に失敗している、説得が足りていないせいではないか、2つのBが先ほどの絵のように共に歩めていないのではないか──そのように私たちは考えています。
2つの「B」
今日は ひとつ、ぜひ概念を覚えて帰ってください。AWS のサービスの名前ではありません。2 つの “B”。本日は Builders Onlineというイベントですので、1つめのBは、そう、Builderですね。では、もう1 つの ”B”とは、一体なんでしょうか? 先程ご紹介したブログ、「Build するか Buy=採用 外注で会社のお金を投資するか」そういう二項対立でした。もうお分かりですね。もう1 つの “B”、それは買う人=Buyer なんです。
AWS では2つの “B” を重視しています。従来は Builder のほうに比重がありました。でも同時に買う=投資する “B”=Buyer にも焦点を当てるという活動をしています。
サービスを買うといったときにRI や Savings Plans、オンデマンドで買う、どのように個別のサービスを買うかという買い方と、それだけではなくて、どのようにトレーニングや育成プログラムを買うか、組み立てるか、会社のお金をどう使うか──という観点があります。
クラウドの時代には誰もが両方の “B” の観点・素養を持つことが理想的です。先程のブログでも、優秀なBuilder として入社した人物はBuyer の人材・財務部門の育成計画に貢献し、周りの人間の学びをサポートする──というのがベストプラクティスのひとつでした。既存のチームメンバーにどんどん感化・影響を与える形で貢献していく。
ここでもう少し Buyer の定義を明確にしておきます。Builders の育成採用を計画し、あるいは その実施に責任を持つ人事・財務・戦略部門。こういった人たちが Buyer に当てはまるのではないかと思います。もしかするとこの部門の人たちはBuilder の皆さまがお持ちの SAA やクラウドプラクティショナーの資格を持っていないかもしれません。でもこの方たちに皆さま Builder の育成の重要性にコミットしてもらわないといけない。
この2つの B。登壇者の私が勝手に言っていることではなく実はグローバルメッセージです。例えば アマゾンのCEO の Andy Jassy は Builders=クラウドで作る人たちを支援育成すること、このサイクルを回すこと、Flywheel を回すこと、これがイノベーションの鍵だ──とまで言い切っています。(再掲:このセッションの投影資料全体は、こちら)
では もう ひとつの “B”。これ最近出てきたのかというと、実は違うのです、もっと古いのです。創業者のジェフ・ベゾスはアマゾンのカルチャーとして Buyer= 商品を購入する人、その買い物の決断=購買決断を助けるのがコアの活動だよ、単にモノを売るのではなくてお客様の購買決断を助けること、Buyer にフォーカスした活動いうのがアマゾンのカルチャーとして一番大事なことだよ──と言っています。以上のように考えてみると本日ご参加のBuilders の皆さまは、Buyer=会社の偉い人、会社のお財布を持っている人を説得しないといけないということがわかってくるかと思います。つまり Buyer 人材財務・投資部門・戦略部門に納得してもらいBuilders 向けのカルチャー・組織のノリを育成する、作っていく。そのカルチャー自体を Build する。自分たちが Builder として学び続けるために、Buyer である部門からのコミットメント・投資、それを引き出すことが必要です。そのように Buyer の偉い人たち=財務部門=人事部門の行動変容を Build していく──そういう説得ストーリーが必要なのです。
Builder が Buyer とともに、
組織のカルチャーをBuildする
ですが、Buyer に納得してもらいBuilder 向けのカルチャーを育成するといっても、いったいどうやって切り出すとよいのでしょうか? このクロージングセッションの残りのパートでは、 どんな説得パターンが考えられるものか、一緒に考えてみたいと思います。どうすれば Buyer のマインドシェアをとり、エグゼクティブ・アジェンダに載せてもらえるのでしょうか? いくつかの切り口のヒント、テイクアウェイがあることがわかってきています。
まず1つめ。今まで言われてきた”人材” という言葉の定義・幅を広げる。Builder の皆さま、こう言われたことはないですか?「えっ?トレーニング?資格取得?それって IT 部門の人だけがやればいいんでしょう?」──昔はそうだったのかもしれません。今も昔も、いろいろなロールが会社の中にあり、その中でも IT とか基盤というところの役割を持つ人だけが詳しくなればいいと言われていました。
ところが時代は変わり、今ではあらゆるロールがクラウドに一定程度詳しくならないといけない、それがベストプラクティスだ──、というふうにグローバルでは言われてきています。
あるいは2つめ、次の説得パターン。ここで統計をもうひとつご紹介します。ホワイトペーパーから引いた数字ですが、日本に必要なデジタルワーカーは、2025 年までに 3 千万人近いと試算されています。必要なトレーニングの回数も5 億回近いと言われています。しかもこれは non-tech の業界にも共通したトレンドです。そんなメガトレンドがすでに始まっています
3つめ。また「トレーニングって本業とビジネスの、ど真ん中と関係ないよね?」そんなふうに言う Buyer の部門もいるかと思います。もう 1 回、 国際調査を参照してみます。「従業員にトレーニングを実施してスキルアップをすることが、自分たちの業界で勝ち残っていく・生き残っていくために必須である」── そういうふうに回答されています。また「9 割近い企業がトレーニングにより生産性が向上した」と回答。「そのために必要なトレーニングもすでに特定できている」という結果が出ています。デジタルトレーニングはコストではなくて本業で勝っていくための必須の必要な投資です。「8 割から 9 割の経営者が生産性の向上・コスト効率と収益の増加がデジタルトレーニングへの投資によって達成された」──こういうふうに回答しています。決してコストとしてのみ、捉えられるべきものではないヒトへの「投資」なのです。
また 4 つめの説得パターン。「人気の資格?せっかくトレーニングしても辞めちゃうでしょう?あるいはひどい場合にはスキルアップさせたら引き抜かれちゃうでしょう?」 こんなふうに言われたことは、ないでしょうか? 残念ながらそういう声を聞くこともありますが、でも、こうした捉え方はやや一面的です。従業員の離職時のコストは年間給与総額の最大3割にものぼるそうです。それに対してトレーニング費用というのはその額の5 % 以下の費用で済む──ということが国際調査でわかっています。リテンションとしてもトレーニングが効くのです。
5つめ。また もう一回さきほどの国際調査を引きます。国によって解消に注力すべきと位置づけられる社会的弱者の定義はさまざまです。失業者・ハンディキャップのある人・あるいは高齢者の方。デジタルトレーニングは社会的弱者のエンパワーメントにも効くのです。これは、私の好きな論点のひとつです。ところで、少しこの国際調査で危機的だなと思ったのは「日本はインドの農村なみにテクノロジー業界の女性の従業員が足りていない」という結果が出ていることです。この調査を読んでいてびっくりしました。就業率自体も男性と比べて低いですし、また 特にテクノロジー業界は女性の割合が最低水準です。これをデジタルトレーニングによってエンパワーすることができる。この敷居の高さ、入り口の狭さをトレーニングによって、スキルアップによって解決できる、インクルージョンできる──という結果が出ています。
6つめ。また、とりわけ注目すべきトレンドとして、「行政も Builder を支援する時代」になっています。私自身パブリックセクターチームに所属しています。いくつかのエピソードをご紹介させてください。広義のデジタルスキルの育成にコミットするBuyer のいる会社に対して、税制優遇などの支援が始まっています。私のいるパブリックセクターのチームではよくこういう言い方をします:顧客機関のミッションをサポートする。それがわれわれのプライオリティだ──と。例えば 世界中各国の都市でクラウドで自らを刷新し、クラウドで自らの地区の住民たちをエンパワーしようという取り組みが始まっています。投影資料に含めている事例は、いずれも地元自治体と AWS が一緒になって Builder を支援するという取り組み、あるいは Buyer を支援するという取り組みです。海外の元気のよい自治体は、人材に振り切った政策・人材を育成するメカニズムに振り切った政策というのを打ち始めています。
また 行政がデジタルスキル習得のコースを多く提供し始めています。それも需要が高いスキルについてのトレーニング、質の高いトレーニング、こうしたものを行政がどんどん無償で提供し始めている。これまでは、従来行政が提供するトレーニングというのはイケてないコースであることが多かったのです。一例ではワープロですとか表計算の使い方を数十年変わらないコンテンツで教えていたりしました。でもどんどん新しいコンテンツ、イケてるコンテンツというものを行政経由で提供するというトレンドが明確に出てきています。ほかにもアジアでの取り組み、アメリカでの取り組みも加速しています。アジアに限定しても数百万人という無償のオンライントレーニングを提供するという取り組みを始めていたり、あるいは公務員に特化したデジタルスキル涵養・底上げのための基金というものを設立していたり、イギリスですと 6,000 人の公務員がクラウドの資格を取得いただいています。あるいはアメリカのジョージア州では知事がイニシアチブを取る形で5000人の学習者・住民向けのクラウドの資格を取得することを支援しています。若年失業率という社会課題解決のために行政が住民を支援する、その行政を AWS が支援するといった取り組みも増えてきています。
7つめ。参入の市場セグメント・裾野を拡げる、プレーヤーをトレーニングによって多様化させるという考え方は、Buyer のエグゼクティブの目が向きやすいアジェンダです。社会のデジタル化の実現、そのために AWS としてもさまざまな取り組みを今年加速させています。教育ですとか自治体、あるいは公共分野は全体として、残念ながら「民間よりもデジタル化が遅れているよね」──と言われてきた分野です。そこにBuilder を増やしていく、あるいは そこの人材のスキルを積み増していく活動によってビジネスの裾野が広がりつつあります。自らそのドライバーとなっていく。Builder と Buyer を起点に──。そんなトレンドが起きつつあります。
8つめ。 最後の説得パターンです。福利厚生としてもクラウドのトレーニングは人気なんです──というお話。ときどき地方のパートナーさまのところに私もお邪魔します。まだまだ 10 年はクラウドの時代なんて来ないんじゃない?と言われることもあるのですが、逆にすごく先進的なパートナー様もいらっしゃいます。例えば 「AWS のこの資格を取ったら数十万円の報奨金を用意していますよ」など、そうした制度をもつ企業もいらっしゃいます。(一緒に訪問した同僚と“うらやましいね”と話をしたりもします。) また福利厚生の費用として手元で AWS を利用するその利用料やあるいは資格試験の受講・受験費用を会社側で負担する──というケースも出てきていると聞いています。従来の「技術書の書籍代だけは補助します」という制度から、さらに踏み込んだ Builder たちの学びやすい環境を実地で整えていくサポートメニューの一例──そうしたものが増えてきているのだと思います。
以上、このクロージングセッションの後半では、駆け足で8つの「BuilderによるBuyerの説得パターン」を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか? 私たちも色んな角度から説得材料を考えてみました。トレーニング、つまり社内投資への意思決定者たる Buyer に納得してもらい、つまりは Builder の皆さまに投資をしてもらい、Builder 向けにFitした、 Builder が気持ちよく学び続けやすい、そういったカルチャーを育成する=Build するための工夫です。
これを聞いて、すぐには「ぜひやろう!」とはならないのかもしれませんが、少なくとも、そんな会話をキックするためのいくつかの素材を提供できたら良いな──そんなふうに願いながら、このセッションを閉じたいと思います。
Let’s Go Build! ご清聴ありがとうございました。
* * * *クラウドジャーニーの各フェーズでお悩みの際には、お客様・パートナー各社様向けの相談の時間帯を随時設けておりますので、 ぜひ AWS までご相談ください( Contact Us)。このブログは、 アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の 小木郁夫が2022年7月の登壇内容に基づき、執筆しました。(再掲:このセッションの投影資料全体は、 こちら) * * * *