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AWS ストレージの更新 – S3 と Glacier の値下げ + Glacier に追加された取得オプション

2006 年に、S3 のサービスを画期的な従量課金制 (月額 15 セント/GB の初期料金) で開始しました。以降、これまでの間に GB あたりの料金を 80% 値下げし、すべての AWS リージョンで S3 を開始しました。元の汎用モデルにはユーザー主導型の機能として、ウェブサイトのホスティングVPC の統合IPv6 のサポートなどが追加され、さらに S3 の低頻度アクセスなどの新しいストレージオプションも追加されました。AWS の多くのお客様は、法的、コンプライアンス、その他の目的で重要なデータをアーカイブしますが、このようなデータは滅多に参照することがないため、2012 年に Glacier を発表しました。そして、ライフサイクルのルールを使用して S3、S3 の低頻度アクセス、Glacier の間でデータを転送する機能を提供しました。ここでは、2 つのビッグニュースを紹介します。まず、S3 の標準ストレージと Glacier ストレージの料金が値下げになります。さらに、Glacier に新しい取得オプションが追加されます。

S3 と Glacier の値下げ
AWS を長くご利用いただいているお客様はご存じだと思いますが、AWS では絶えずコスト削減に取り組んでおり、その結果を AWS の値下げという形でお客様に還元しています。S3 の標準ストレージの GB あたりの料金は、ほとんどの AWS リージョンで 2016 年 12 月 1 日より値下げになります。12 月の使用量に対する請求には、自動的に値下げ後の新料金が反映されます。標準ストレージの新料金は以下のとおりです。

リージョン 0〜50 TB (USD / GB / 月) 51〜500 TB (USD / GB / 月) 500+ TB (USD / GB / 月)
  • 米国東部(バージニア北部)
  • 米国東部 (オハイオ)
  • 米国西部 (オレゴン)
  • 欧州 (アイルランド)

(値下げ幅は 23.33%〜23.64%)

0.0230 USD 0.0220 USD 0.0210 USD
  • 米国西部(北カリフォルニア)

(値下げ幅は 20.53%〜21.21%)

0.0260 USD 0.0250 USD 0.0240 USD
  • 欧州 (フランクフルト)

(値下げ幅は 24.24%〜24.38%)

0.0245 USD 0.0235 USD 0.0225 USD
  • アジアパシフィック (シンガポール)
  • アジアパシフィック (東京)
  • アジアパシフィック (シドニー)
  • アジアパシフィック (ソウル)
  • アジアパシフィック (ムンバイ)

(値下げ幅は 16.36%〜28.13%)

0.0250 USD 0.0240 USD 0.0230 USD

上の表を見ておわかりのように、料金体系も 6 段階から新しい 3 段階に簡略化されます。Glacier のストレージの料金もほとんどの AWS リージョンで値下げになります。たとえば、US East (Northern Virginia)、US West (Oregon)、または Europe (Ireland) リージョンで 1 GB を 1 か月保存した場合の料金はわずか 0.004 USD (1 セントの半分未満) であり、43% の値下げになります。参考までに、同じ量のストレージは 2012 年の Glacier の開始時では 0.010 USD であり、前回の Glacier の値下げ (30%) 時では 0.007 USD でした。料金の値下げは、お客様が AWS を信頼して何兆というオブジェクトを利用された直接の結果です。ただし、利点はそれだけではありません。新しい機能に関して寄せられたフィードバックによると、クラウドストレージプラットフォームの真価は迅速で安定した進化にあります。お客様からは、お客様のニーズを事前に把握し、そのニーズに応じた新しい機能を提供している点を評価できるとよく言われます。

Glacier の新しい取得オプション
AWS の多くのお客様は、Amazon Glacier を階層化ストレージアーキテクチャのアーカイブ用コンポーネントとして利用しています。Glacier を使用すると、コンプライアンス要件 (組織または規制の要件) を満たしながら、必要なだけクラウドベースの処理能力を引き出してデータを処理し価値を取り出すことができます。Glacier には、データを取り出すための新しいオプションが 2 つ追加されました。データの取得を急ぐ場合は、少しのコスト負担で緊急オプションを利用できます。急がない場合は、より低価格の取得オプションを利用できます。Glacier に保存したデータの量とそれを取り出す頻度に基づいて、新しい料金体系を導入しました。この変更は AWS でのサービスの提供コストを正確に反映した結果ですが、説明しようとすると少し複雑です。これからは従量ベースの取得料金が、よりシンプルな GB あたりの料金に変ります。メディアおよびエンターテインメント業界のお客様は、テレビ映像を Glacier にアーカイブします。緊急事態が発生して特定の画像を取り出すために分を争うような場合、画像にすばやくコスト効率よくアクセスする必要があります。医療関係のお客様は、「患者を待たせている間に」アーカイブされた医療画像やゲノム情報にすばやくアクセスする必要があり、衛星データを販売するフォトアーカイブ企業も似たような必要性に迫られます。一方、データの取り出しを事前にスケジュールできて、5〜12 時間以内にデータを取得できれば問題ないというお客様もいます。以上のような状況を応じて、Glacier からデータを取り出す際に、以下のオプションを使い分けることができます (これまでの従量制の取得モデルは今後適用されません)。

標準取得は、Glacier が従来提供していたオプションの新しい名前であり、API 駆動のすべての取得リクエストに対するデフォルトです。データは数時間 (通常 3〜5 時間) で取得されます。料金は 0.01 USD/GB、0.05 USD/1,000 リクエストです。

緊急取得は、迅速対応アクセスのニーズに対処します。データはすばやく取得されます。通常、所要時間は 1〜5 分です。Glacier に 100 TB を超えるデータを保存 (または保存を計画) し、頻度は低いが急いでデータのサブセットをリクエストするような状況には、このオプションが最適です (データ量が少ない場合は、S3 の頻繁にアクセスしないストレージクラスがより適切なオプションです)。取得コストは 0.03 USD/GB、0.01 USD/リクエストです。

通常、取得の所要時間は 1〜5 分です (全体の需要により異なります)。まれに需要が非常に多い場合でも、この所要時間内にデータを取り出す必要がある場合は、取得容量をプロビジョニングすることができます。プロビジョニングを行うと、すべての緊急取得のデータは自動的にプロビジョンド容量を経由して取得されます。プロビジョンド容量の各ユニットは月額 100 USD です。これにより、5 分ごとに最低 3 回の緊急取得を行うことができます。取得スループットは最大 150 MB/秒です。

一括取得は、事前にスケジュールできる場合や緊急でない場合に最適です。通常、取得の所要時間は 5〜12 時間。料金は 0.0025 USD/GB (標準取得の 75% 未満)、0.025 USD/1,000 リクエストです。一括取得は、大量のデータを 1 日以内に取得する場合に最適です。さらに数時間を余分に待機できる場合は、大きな割引も得られます。

アーカイブを取り出す際に、どの取得オプションも指定しないで InitiateJob を呼び出すと、標準取得が開始されます。既存のジョブは引き続き正常に動作し、新料金が課金されます。詳細については、データ取り出し (よくある質問 – Glacier) を参照してください。これまで同様、嬉しいニュースでした。同じように喜んでいただければ幸いです。

Jeff;