Amazon Web Services ブログ
週刊AWS – 2021/3/15週
みなさん、こんにちは。AWSソリューションアーキテクトの小林です。
AWS Summit Onlineを5/11-12で開催することが決定し、事前登録のお申し込み受付を開始しました。各日に開催される基調講演に加えて150以上のセッションをご提供いたします。また、オンラインでの開催ではありますがAWS Robot Delivery ChallengeやAWS DeepRacer Leagueなど参加型のコンテンツもご用意しています。様々なご相談をチャットで受け付ける仕掛けもありますので、みなさまのご参加をお待ちしています。こちらからぜひご登録ください!
それでは、先週のアップデートを振り返ってみましょう。
2021年3月15日週の主要なアップデート
- 3/15(月)
- Amazon ECSでコンテナ内でのコマンド実行を可能にするECS Execを発表
Amazon EC2またはAWS Fargateで実行しているコンテナで対話型のシェルや単一コマンドの実行を可能にする新機能、ECS Execが利用できるようになりました。トラブルシュートやワンショットでの情報取得などに便利な機能で、IAMによるアクセス制御が可能です。CloudTrailでアクセス履歴を記録したり、実行コマンドの履歴をS3やCloudWatch Logsで記録することもできますので、監査要件にも対応できます。ECS Execはコンテナエージェントバージョン1.50.2以降が導入されたECS Optimized AMIを実行するEC2インスタンスか、プラットフォームバージョンが1.4.0以降のFargateで利用できます。ちなみにAmazon ECSで稼働するアプリケーションへ運用機能を提供するAWS Copilotのバージョン1.4でもサポートされています。 - Amazon S3 GlacierのPUTとライフサイクルリクエストが40%安価に
全てのAWSリージョンでPUTとライフサイクルリクエストの料金が40%値下げされることを発表しました。S3 PUT APIを利用してバックアップや監査データを直接アーカイブしたり、ライフサイクルポリシーを利用してアーカイブを行う際に、これまでよりも低コストでアーカイブ処理を実行できるようになります。
- Amazon ECSでコンテナ内でのコマンド実行を可能にするECS Execを発表
- 3/16(火)
- AWS Fault Injection Simulatorが一般利用開始に
AWSにおいてクラウド側の障害をシミュレートすることでシステムのパフォーマンスや復元力、可観測性を改善することを容易にするマネージドサービスであるAWS Fault Injection Simulatorが一般利用開始になりました。必要な障害を定義したテンプレートを利用してテストをセットアップし、実行することが可能です。詳細についてはブログ記事をご覧ください。本ポスト執筆時点では大阪リージョンと中国の2リージョンを除く全ての商用リージョンでご利用いただけます。現在サポートされていないサービスも、2021年中に追加する予定がありますのでお楽しみに。 - AWS Batchが大阪リージョンとケープタウンリージョンで利用可能に
パラメータが多岐にわたる計算処理を並列実行するタイプのバッチ処理を実現するAWS Batchが大阪リージョンとアフリカ(ケープタウン)のリージョンでご利用いただけるようになりました。 - AWS Graviton2プロセッサを搭載した新しいメモリ最適化インスタンスX2gdを発表
AWS Graviton2ベースの新たなメモリ最適化インスタンス、X2gdインスタンスを発表しました。バージニア、オハイオ、オレゴン、アイルランドのリージョンでご利用いただけます。X2gdインスタンスはベアメタルインスタンスを含めて9つのサイズから選択でき、最大で64vCPU、1,024GiBのメモリ、1.9x2TB SSDベースのインスタンスストレージ、25Gbpsのネットワーク帯域幅、19GbpsのEBS帯域幅を利用できます。 - Amazon Corretto 16が一般利用開始に
Amazon Correttoは無料で利用できるマルチプラットフォームかつ本番環境の利用が可能なOpenJDKのディストリビューションです。Amazon Corretto 16はJDK 16の機能をサポートし、Linux/Windows/macOSでご利用いただけます。GitHubから入手できますので、ぜひお試しください。 - Amazon SageMakerで推論エンドポイントに複数のコンテナをデプロイ可能に
Amazon SageMakerのリアルタイムエンドポイントに複数のコンテナをデプロイし、リクエスト毎に個別に呼び出すことが可能になりました。これによってひとつのエンドポイントで最大5つの異なるMLモデルやフレームワークを実行できるようになり、リソースを集約することを通じて最大80%のコスト削減が可能です。例えば開発・テスト用のエンドポイントや、リクエストの頻度が低いワークロードに最適です。この機能はAmazon SageMakerが利用可能な全てのリージョンでご利用いただけます。 - Amazon RDS ProxyでAmazon Auroraのレプリカ向けの読み取り専用エンドポイントを作成可能に
Amazon RDS Proxyを利用してAmazon Auroraのレプリカへの接続を提供する読み取り専用エンドポイントを作成できるようになりました。RDS Proxyはアプリケーションからのデータベース接続をプール・共有し、全体としてのスケーラビリティ向上に寄与する機能です。今回のアップデートで読み取りができれば良いクエリを読み取り専用エンドポイントを介してレプリカにアクセスさせるような設計が可能になり、プライマリノードへの負荷を分散させることができるようになりました。 - Amazon RDS Proxyが複数のVPCからの接続をサポート
Amazon RDS Proxyで複数のVPCからの接続に対応できるようになりました。データベースが存在するVPCにプライマリのエンドポイントを作成し、それに加えて他のVPCからの接続を受け付けるためのエンドポイントを作成することで利用できます。 - IAM Access Analyzerで利用できる100以上のポリシーを新たにリリース
AWS Identity and Access Management(IAM) Access Analyzerはリソースポリシーを分析して、意図しないアクセスの可能性を特定し最小権限の原則を守ることを容易にするサービスです。今回のアップデートで100以上のポリシーチェックが利用可能になり、それぞれについて実用的な推奨事項を参照できるようになっているためこれまで以上に問題の検知とそれに対する対応を容易に実行できるようになりました。この機能は全ての商用リージョン、中国リージョン、AWS GovCloud(US)でご利用いただけます。
- AWS Fault Injection Simulatorが一般利用開始に
- 3/17(水)
- Amazon Connectでサービスレベル測定のための新しいメトリック取得が可能に
Amazon Connectでキュー毎のサービスレベルを定義して、オペレータが対応できたか否かの統計情報を1秒間から7日間の範囲で測定できるようになりました。この機能を利用すると、例えば問い合わせを72時間以内に対応したか否かを測定したり、VIP顧客からのコールを所定の時間内で応答できているかどうかをチェックする、といった分析が可能になります。この機能は全てのAmazon Connectが用意されているリージョンにて無料でご利用いただけます。
- Amazon Connectでサービスレベル測定のための新しいメトリック取得が可能に
- 3/18(木)
- S3のGETリクエスト時に独自のコードを実行できるS3 Object Lambdaをローンチ
Amazon S3でGETリクエストを要求する際に独自のコードを実行してデータを処理することができるようになりました。標準のS3 GETリクエストでは、保管されたデータがそのまま返されますが、S3 Object Lambdaを利用するとデータを処理する独自のコードを実行して、その結果を返すことができます。独自のコードはAWS Lambda関数として定義でき、これを利用すると、データの用途に応じて元データの派生コピーを複数持ったりすることなく、用途に合わせたデータを簡単に利用できるようになります。S3 Object Lambdaは大阪リージョン、中国2箇所のリージョン、AWS GovCloud(US)を除いた全てのリージョンでご利用いただけます。詳細についてはブログ記事をどうぞ。 - Amazon EC2 Auto Scalingのインスタンスリフレッシュ機能で段階的デプロイが可能に
Amazon EC2 Auto Scalingのインスタンスリフレッシュ機能は、Auto Scalingグループ内のEC2インスタンスを差し替えて更新するための機能です。今回のアップデートで,更新時にチェックポイントを定義して更新作業を段階的に実行できるようになり、これまでも細やかに一連の更新プロセスを制御可能になりました。チェックポイントを利用すると一度に差し替えるインスタンス数のパーセンテージを設定したり、あるステップが終了した後に次のステップを開始するまでの待ち時間を定義できます。これを利用すればカナリヤリリースなど、一般的なリリース戦略をインスタンスリフレッシュ機能でも実現できるのがポイントです。
- S3のGETリクエスト時に独自のコードを実行できるS3 Object Lambdaをローンチ
- 3/19(金)
- AWS Fargateのプラットフォームバージョン1.4.0がLATESTに
AWS Fargateのプラットフォームバージョン1.4.0がLATESTとして扱われるようになりました(これまでは1.3.0がLATESTとして扱われていました)。これによってFargate起動タイプが指定されている状況下において、platformVersionパラメータがLATESTに設定されていたり、明示的な設定が行われていない場合、全ての新しいECSタスクやサービスは1.4.0で実行されます。しばらくの間は従来の1.3.0を利用したい場合は、platformVersionパラメータを明示的に1.3.0に設定するようにしてください。 - Amazon EKSのクラスタ作成時間が最大40%高速に
Amazon EKSで新たにクラスタを作成する際の所要時間が最大で40%短縮されました。ひとつのクラスタを運用し続けるのではなく、アプリケーション更新やその他のタイミングでクラスタ自体を作り直す運用をしている場合に所要時間が短くなります。
- AWS Fargateのプラットフォームバージョン1.4.0がLATESTに
先週のアップデートではS3 Object Lambdaが興味を引かれますね。クライアントからのリクエストを受けて、サービス側でデータを加工して応答できるので、幅広い使い方ができそうです。面白い使い方や便利な使い方を思いついたら、是非おきかせください!
それでは、また来週!
ソリューションアーキテクト 小林 正人 (twitter – @maccho_j)