Amazon Web Services ブログ

週刊AWS – 2023/11/20週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。
今週も 週刊AWS をお届けします。

AWS re:Invent が今日から 12 月 1 日 までラスベガスで開催されています。現地に行けない方でも、キーノートとイノベーショントークのライブ配信を視聴頂けます。こちらからご登録ください。また、ご登録頂くとオンデマンドでいくつかの動画が視聴できるようになります。リアルタイムの視聴が難しい場合もぜひご利用ください。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2023年11月20日週の主要なアップデート

  • 11/20(月)
    • Amazon QuickSight now Supports Connectivity to Google BigQuery
      Amazon QuickSight から Google BigQuery に直接接続できるコネクターの一般提供を開始しました。QuickSight のデータセット画面から BigQuery コネクターが選択する際に、BigQuery のテーブルを直接指定することが出来ます。また、カスタム SQL オプションを利用して、異常検出、予測、自然言語クエリなどの ML 機能を使用して QuickSight で高度な分析を実行できるようになります。詳細はこちらのブログをご覧ください。
    • Introducing Amazon CodeWhisperer for command line (preview)
      コマンドライン用の Amazon CodeWhisperer のプレビューを発表しました。「CLI 補完」と「自然言語から bash へ変換」の 2 つのコア機能を提供しています。「CLI 補完」は、コマンドラインに文字を入力すると、文字に合わせたコマンドの補完をします。git、npm、docker、aws のサブコマンドを表示してくれ、候補の中から実行したいものを選択できます。「自然言語から bash へ変換」は、例えば「S3 バケットからデスクトップにデータをダウンロードする」といった自然言語命令を記載すると、Amazon CodeWhisperer が実行可能なシェルコードに変換します。こちらの X ポストに動作している様子の GIF アニメーションがあり、ご覧頂くと動作を理解しやすいです。
    • Amazon S3 now supports enabling S3 Object Lock on existing buckets
      Amazon S3 の既存のバケットに対して、S3 Object Lock を後から有効化ができるようになりました。S3 Object Lock を利用することで、指定した期間、オブジェクトの上書きや削除を禁止でき、データ保護に活用できます。既存のバケットに対して S3 Object Lock を有効化すると、新たに作成するオブジェクトに保持期間を適用できます。既存のオブジェクトを保護するには追加の作業が必要です。各オブジェクト対して保持に関する設定を有効化が出来ますが、ひとつづつ設定するのは大変なので S3 Batch Operations を利用して複数のオブジェクトを一括で有効化できます。
    • Amazon EMR on Amazon EKS is now available in 3 additional regions
      Amazon EMR on Amazon EKS が大阪リージョンで新たに利用可能になりました。EKS を既に利用されているお客様は、EMR を既存の EKS クラスタで実行できます。これにより、EKS 環境のリソースの利用率を向上させ、インフラ管理を簡素化でき、効率よく EMR のアプリケーションを動かすことが出来ます。
    • EC2 Security group connection tracking adds support for configurable idle timeouts
      Amazon EC2 のコネクショントラッキングに、アイドルタイムアウトを設定する機能が新たに追加されました。EC2 に割り当てるセキュリティグループには、確立された各コネクションをトラッキングして、戻りパケットを期待通りに受信する動作をします。インスタンスごとにトラッキングできるコネクション数の上限があり、アイドルのままのコネクションはトラッキングの枯渇に繋がります。TCP 接続の場合は、デフォルトで 5 日間アイドルコネクションを保持します。今回のアップデートで、アイドルのままのコネクションを、タイムアウトする時間を短く設定することができるようになり、コネクションの枯渇を緩和しやすくなりました。詳細はこちらのドキュメントをご覧ください。
    • Amazon QuickSight now supports runtime filtering for embedded dashboards and visuals
      Amazon QuickSight で埋め込みダッシュボードを表示する際に、QuickSight Embedding SDK を通じて「見た目のテーマの動的変更」と「データを表示する際のフィルターの動的変更」が利用できるようになりました。例えば、QuickSight のダッシュボードを SaaS アプリケーションに組み込む際に、表示するユーザーによってカスタマイズを行いたいときがあります。「見た目のテーマの動的変更」は、ダークモードやライトモードといった表示色や、フォントをログインユーザーに合わせて変更が出来ます。「データを表示する際のフィルターの動的変更」は、ログインするユーザーに合わせてフィルターの変更を動的変更でき、表示するデータを出し分けることができます。例えば、管理者は全てのデータが見えるが、一般ユーザーは一部の許可されたデータしか表示しない、といったコントロールがやりやすくなりました。詳細はこちらの Blog をご覧ください。
  • 11/21(火)
    • Amazon CloudFront announces CloudFront KeyValueStore, a globally managed key value datastore
      Amazon CloudFront で CloudFront KeyValueStore を一般提供開始しました。これは、CloudFront Functions 内からの読み取りアクセスを提供する、グローバルで利用可能な低レイテンシーのキーバリューストアです。メリットを一つあげると、CloudFront Functions 内の設定データを外部の KeyValueStore に外出しできます。例えば、CloudFront Functions を利用して URL のリダイレクトを行う際に、「リダイレクトの条件」や「リダイレクト先の URL」を変更したいときがあります。いままでは CloudFront Functions のソースコード内に設定データを埋め込んだ実装が必要でした。そのため、動作を変更をしたい場合に CloudFront Functions 全体をデプロイすることになり、意図しない変更を加えてしまうリスクがありました。KeyValueStore を利用することで設定データを外出しでき、ソースコードの全体をデプロイすることなく、簡単に設定データだけを更新できるようになりました。詳細はこちらの Blog をご覧ください。
    • AWS Amplify launches next generation of backend building capabilities
      AWS Amplify はコード中心の開発者体験を提供する機能のパブリックプレビューを開始しました。従来の機能では、Amplify CLI や Amplify Studio を使用してバックエンドを作成する、ツール中心の利用方法でした。Gen 2 と表現される新しい機能では、コード中心のアプローチに移行し、開発者がアプリの要件 (データモデル、ビジネスロジック、認可ルール) を TypeScript で表現できるようになりました。必要なクラウドインフラストラクチャは、明示的な定義なしに、アプリケーションコードに沿って自動的にデプロイされます。詳細はこちらの Blog をご覧ください。
    • Amazon S3 server access logging now supports automatic date-based partitioning
      Amazon S3 のサーバーアクセスログは、日付ベースの自動パーティショニングをサポートしました。サーバーアクセスログは、オブジェクトサイズ、合計時間、所要時間、HTTP リファラーなどを含む、S3 バケットに対して行われたリクエストの詳細なログを保存します。日付ベースのパーティショニングにより、Amazon S3 はログをバケットに保存するときにイベント時間または配信時間のプレフィックスを自動的に生成します。これによって、Amazon Athena、Amazon EMR、Amazon Redshift Spectrum などのサービスがクエリー実行するときに日付パーティションを活用しやすくなり、パフォーマンス向上やコスト削減のメリットがあります。
  • 11/22(水)
    • Amazon EMR Studio is now available in 4 new AWS Regions
      Amazon EMR Studio が大阪リージョンを含めた 4 つのリージョンで、追加で利用可能になりました。EMR Studio は、データサイエンティストやデータエンジニアが、PySpark、Python、Scala、R で記述された分析アプリケーションを簡単に開発、視覚化、デバッグできるようにする統合開発環境 (IDE) です。デバッグをやりやすくするために、Spark UI や YARN Timeline Service などのツールも提供されています。詳細は Amazon EMR Studio のドキュメントや、YouTube のデモ動画をご覧ください。
    • Amazon QuickSight launches a new redesigned analysis experience
      Amazon QuickSight はダッシュボードをより直感的かつ効率的に作成できる、新しい分析体験の機能を提供開始しました。いくつか機能を挙げると、レイアウトが 3 ペインに変わりました。明確に整理された画面構成となり、データの選択、可視化のためのビジュアルの構築、オブジェクトのプロパティ画面などがより直感的にわかりやすくなりました。他にも、分析ツールバーが新しくなり、UNDO/REDOボタンの追加、ビジュアルの追加ボタンなど、重要な機能群に素早くアクセスできるようになりました。詳細はこちらのブログをご覧ください。新しい画面レイアウトの画像と共に新機能が紹介されています。
    • Logs support now available in AWS Distro for OpenTelemetry
      AWS Distro for OpenTelemetry (ADOT) でログ収集の機能が一般提供開始になりました。ADOT は AWS がサポートする OpenTelemetry プロジェクトのディストリビューションです。今回のアップデートにより、お客様は ADOT コレクターとサポートされている OpenTelemetry SDK (Java、JavaScript、.NET、Python) を使用して、ログを収集し、Amazon CloudWatch や Amazon OpenSearch などの OpenTelemetry Protocol (OTLP) をサポートするバックエンドに送信できるようになりした。また、Amazon EKS および Amazon ECS で実行されているアプリケーションで、標準化された方法でログを含めたすべてのテレメトリデータを収集できるようになりました。Filelog レシーバーと AWS CloudWatch Logs エクスポーターのサポートを ADOT コレクターに追加することで、アプリケーションログを収集し、CloudWatch Logs にログを収集できます。
    • Amazon OpenSearch Service now supports Neural Sparse Retrieval
      Amazon OpenSearch Service 2.11 で Neural Sparse Retrieval がサポートされました。この機能は「セマンティック検索」を実現する際に利用できる機能です。「セマンティック検索」は、単にキーワードをマッチングするのではなく、ユーザーのクエリの意図と文脈を理解しようとする検索技術です。従来、OpenSearch Sercvice で「セマンティック検索」を実現するために、ベクトル埋め込みによる k-NN 検索を利用してきました。k-NN 検索は、ベクトル数や次元数によっては多くのメモリと CPU を要求します。今回新しく追加された Neural Sparse Retrieval ではベクトルの代わりに、入力トークンと関連性の高いキーワードを重みとともにドキュメントに埋め込むことで、転置インデックスによるセマンティック検索を実現します。これは k-NN と比較してリソース消費量を抑えられる可能性があります。
  • 11/23(木)
    • アップデートはありませんでした
  • 11/24(金)
    • アップデートはありませんでした

次回の 週刊AWS は、AWS re:Invent で紹介された内容のうち、いくつをピックアップして紹介する特別号をお送りする予定です。私自身、新たに発表される内容を楽しみにしています :)

それでは、また来週お会いしましょう!

ソリューションアーキテクト 杉山 卓 (twitter – @sugimount)