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空港もクラウド。チャンギ国際空港は AWS で旅行者体験を DX。

今回のブログでは、 AWS ジャパン・パブリックセクターより、「シンガポールのチャンギ国際空港を始め、空港の IT インフラでも AWS の利用が加速している事例」について紹介します。チャンギ空港グループでのアプリケーション開発に要する時間は、6ヶ月から4週間へと、大幅に短縮されています。ご不明の点、「Contact Us」までお問合せください。(以下、AWS Public Sector Blog へ掲載された「Changi Airport Group Uses DIVA Digital Factory to Meet Global Travel Challenges alongside AWS and Accenture」と題された投稿の翻訳となります。)

チャンギ国際空港グループは、革新的なテクノロジーを駆使して、世界で最も評価の高い空港の一つであるシンガポール・チャンギ国際空港を運営しています。2020 年初頭に COVID-19 のパンデミックが発生した際、同空港の利用客は数週間のうちに 98% も激減してしまいました。また、世界各国の政府が渡航制限を開始し、旅行者に追加の渡航書類を要求するようになりました。同空港は、このような旅行に関する課題を解決するために、弾力性のある新しいソリューションを必要としていました。
チャンギ国際空港グループは 2018 年に Amazon Web Services(AWS)上の単一のエンタープライズデータハブに移行していたため、COVID-19 パンデミック到来時の変化に適応するために必要なアジャイル開発環境を備えていました。このソリューションを利用して、同空港は公衆衛生の規制を満たし、乗客の安全を守り、空港での体験を合理化するための価値あるアプリケーションを、以下のとおり開発しました。

顧客中心の製品開発サイクルをスピードアップ

スカイトラックス社から 8 年連続で「世界最高の空港」に選ばれたシンガポール・チャンギ空港は、2019 年に約 7,000 万人の旅客を受け入れた世界有数の”多忙な”空港でもあります。

チャンギ国際空港グループは、カスタマーエクスペリエンスを重視し、顧客中心のテクノロジーの活用を追求しています。同グループのシニア・バイスプレジデントであるジェフリー・ロケ氏は、「あらゆるものがデジタル化する中、安全・安心という中核的な義務を果たしながら、顧客重視の製品を提供することに関して、よりアジャイルになることを目指しています」──と述べています。

2018 年以前は、同グループが多額の初期の技術投資を行った後、1つのアプリケーションの開発に平均して 6 カ月もの時間を要していました。開発サイクルのペースを上げたいと望んだチャンギ国際空港グループは、2018 年に AWS パートナーのアクセンチュアの支援により、クラウドネイティブな 「DIVA(Digital, Innovations, Ventures, and Analytics)デジタル ファクトリー」を立ち上げました。

「”デジタル化 “と “データ “が 2 つのトリガーでした」とロケ氏は言います。「私たちは、収集した情報を集約し、価値を創造できるインサイトに変換することを検討していました。そして、Time to Market(=市場へ投入するまでの所要時間)が鍵でした。新しいことに大きな投資をする前に、より早く試したかったのです。」

サーバーレスとデータインサイトで、
カスタマーエクスペリエンスを向上

チャンギ国際空港グループは、DIVA デジタルファクトリーの立ち上げにおいて、サーバーベースの技術から脱却し、イノベーションのスピードを高めたいと考えていました。サーバーを使用すると、調達やメンテナンスに時間がかかるため、プロジェクトや同グループの将来の取り組みが遅くなってしまう可能性がありました。そこで、同グループは AWS Lambda を採用しました。このサーバーレスのサービスにより、開発者はサーバーを用意したり管理したりすることなく、ほぼすべてのタイプのアプリケーションやバックエンドサービスのコードを実行することができます。

サーバーレスな開発環境を採用し、データを単一のエンタープライズ・データハブに取り込むことで、チャンギ国際空港グループは顧客中心のさまざまなサービスを迅速かつコスト効率よく実験することができます。ロケ氏は、「このアイデアの狙いは、顧客のペインポイントを特定し、迅速なソリューションを作成することでした」──と述べています。「そして、お客様からフィードバックを得て、平均”4週間”のサイクルで、製品を改良していくのです。必要なデータへのアクセスを改善することで、2つの異なるデータソース間の点と点を結びつけ、製品を素早く作るために必要なインサイトを得ることができました” と述べています。

グローバルな課題に迅速に対応し、
乗客の安全をサポート

COVID-19 のパンデミック発生後、各国では厳しい渡航条件が課されました。チャンギ国際空港グループは、新たな規制を遵守し、旅行者が安心して旅行できるようサポートする必要があるのだと、すぐに気づきました。同グループは、DIVA 環境を用いて、これらの課題に対応する革新的で高品質なソリューションを迅速に構築しました。

チャンギ国際空港グループは、シンガポールのチャンギ空港に到着するすべての乗客にワンストップ・ポータルを提供するために、シンガポールのすべての入国要件のチェックリストをユーザーに提供する安全な旅行コンシェルジュ・アプリケーションを構築しました。このソリューションを使用することで、乗客は COVID-19 の流行期間中、毎日変動する可能性のある健康状態や入国制限に関する最新情報を入手し、旅行の中断を回避することができるのです。また、シンガポール政府が特定の国から入国する乗客に義務付けている、到着後の COVID-19 即日検査の事前予約も可能です。

チャンギ国際空港グループはまた、出発する乗客がフライト前にチェックインとセキュリティ・スクリーニングの予定を立てるために使用するアプリケーション、「ChangiQ」を開発しました。同グループはこのスケジュール管理ツールを使って、ソーシャルディスタンスの確保と群衆管理のためのプロトコルを確立し、乗客の安全をサポートしています。

シンガポールチャンギ空港の清掃スタッフは、清掃可能な隔離滞在用の客室のリストを提供し、ほぼリアルタイムのフライトデータを使用してフライト間の部屋の空き状況を評価するアプリケーションである「Where2Clean」も使用しています。このソリューションを使用することで、清掃担当者は、ターミナルに散在する50以上の隔離滞在用の客室へと必要な人員をより適切に計画することができます。その結果、スケジュールベースの清掃から、オンデマンドの清掃へとオペレーションを効率的に切り替えることができ、スタッフの作業負担を軽減することができたのです。

高度なアナリティクス機能の
可能性を解き放つ

チャンギ国際空港グループは、サーバーレスでクラウドネイティブの DIVA ファクトリーを活用して、COVID-19 パンデミックのあいだの旅行者支援と空港環境内の業務プロセス改善のための、革新的なソリューションを開発しました。同グループは、従業員のデジタルスキルのさらなる強化を支援することで、さらにアジャイルな意思決定ができる組織になり、弾力的かつ将来に備えた労働力を構築することを熱望しています。将来的には、同グループは「自社のデータハブ」を拡張し、人工知能を使用して新しいアプリケーションを構築するためのより強力なインサイトを得ることを計画しています。

革新的なテクノロジーを使って顧客満足度を向上させることに重点を置いているチャンギ国際空港グループは、今後もデータを分析し、顧客のペインポイントを特定し、顧客体験を高めるために新しい製品を試していく予定です。「パーソナライズされた旅行体験を開発し、お客様の満足度を高め、新たな収益機会を見出すことが重要です。これは、適切なタイミングでお客様にサービスを提供するための適切な情報を持っている場合にのみ可能であり、DIVA が大きな貢献ができるところなのです。」

旅行会社やホスピタリティ企業がどのように AWS 上でサービスを構築しているかについては、aws.com/travel を参照してください。

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このブログは英文での原文ブログを参照し、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・執筆しました。

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小木 郁夫
AWS ジャパン パブリックセクター
統括本部長 補佐(公共調達渉外)
BD Capture Manager
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