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新機能 – Amazon S3 バッチレプリケーションで既存のオブジェクトをレプリケートする

2022 年 2 月 8 日(米国時間)より、新しい Amazon S3 バッチレプリケーション機能を使用して、既存の Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) オブジェクトをレプリケートし、バケットを同期できるようになりました。

Amazon S3 レプリケーションでは、複数のお客様のユースケースがサポートされています。たとえば、地理的にユーザーに近い AWS リージョンへデータのコピーを保持することでレイテンシーを最小限に抑え、コンプライアンスやデータ主権の要件を満たし、災害対策計画への回復力を高めることができます。S3 レプリケーションは、バケット間で新しくアップロードされたオブジェクトをレプリケートする、フルマネージド型の低コストの機能です。
バケットは、同じアカウントに属することも、異なるアカウントに属することもできます。オブジェクトは、1 つの宛先バケットにレプリケートすることも、複数の宛先バケットにレプリケートすることもできます。宛先バケットは、異なる AWS リージョン (クロスリージョンレプリケーション) またはソースバケットと同じリージョン (同一リージョンレプリケーション) にあります。

レプリケーションフロー

しかし、今日まで S3 レプリケーションは既存のオブジェクトをレプリケートできませんでした。しかし、S3 バッチレプリケーションでは、これを実行できるようになりました。

お客様が既存オブジェクトのレプリケーションを希望する理由は数多くあります。たとえば、災害対策準備のために、新しい AWS リージョンにデータをコピーしたい場合があります。そのためには、新しい宛先バケットに既存データを入力する必要があります。既存データをコピーするもう 1 つの理由は、世界中に拡大している組織にあります。たとえば、米国を拠点とするアニメーション会社がシンガポールに新しいスタジオを開設したと想像してください。従業員のレイテンシーを短縮するには、すべての内部ファイルおよび処理中のメディアファイルをアジアパシフィック (シンガポール) リージョンにレプリケートする必要があります。もう 1 つの一般的なユースケースは、合併や買収を経験しているお客様が既存データの所有権を、ある AWS アカウントから別の AWS アカウントに転送する必要がある場合です。

バケット間で既存のオブジェクトをレプリケートするために、お客様は複雑なプロセスを作成することになります。また、バケット間でオブジェクトをコピーしても、バージョン ID やオブジェクト作成時間など、オブジェクトのメタデータは保持されません。

本日、S3 バッチレプリケーションをリリースしました。これは S3 バッチオペレーションを通じて提供される新機能であり、バケット間で既存のオブジェクトをコピーする独自のソリューションを、お客様が開発する必要はありません。ソースバケットから 1 つ以上の宛先に既存データをレプリケートする簡単な方法を提供します。この機能により、1 つのジョブで任意の数のオブジェクトをレプリケートできます。

Amazon S3 バッチレプリケーションを使用するタイミング
S3 バッチレプリケーションは次の目的で使用できます。

  • 既存のオブジェクトをレプリケートする — S3 バッチレプリケーションを使用して、レプリケーションルールが設定される前にバケットに追加されたオブジェクトをレプリケートします。
  • レプリケートに失敗したオブジェクトをレプリケートする — アクセス権限が不十分またはその他の理由により、S3 レプリケーションルールを使用してレプリケーションに失敗したオブジェクトのレプリケーションを再試行します。
  • すでに別の宛先にレプリケートされたオブジェクトをレプリケートする — データの複数コピーを別々の AWS アカウントまたはリージョンに保存する必要があるかもしれません。S3 バッチレプリケーションでは、すでにレプリケートされたオブジェクトを新しい宛先にレプリケートできます。
  • レプリケーションルールから作成されたオブジェクトのレプリカをレプリケートする — S3 レプリケーションは、宛先バケットにオブジェクトのレプリカを作成します。ライブレプリケーションで、オブジェクトのレプリカを再びレプリケートすることはできません。これらのレプリカオブジェクトは S3 バッチレプリケーションでのみレプリケートできます。

S3 バッチレプリケーションを今すぐ始める
S3 コンソールから S3 バッチレプリケーションを開始するにはさまざまな方法があります。レプリケーションの設定ページ、またはバッチオペレーションのジョブ作成ページからジョブを作成できます。また、新しいレプリケーションルールを作成したり、新しい宛先バケットを追加したりすると、既存のオブジェクトをレプリケートするよう求められます。

このデモでは、既存のオブジェクトを持つバケットにレプリケーションルールを作成することを想像してください。ルールの作成が完了すると、既存のオブジェクトをレプリケートするかどうかを確認するメッセージが表示されます。

既存のオブジェクトをレプリケートするかどうかを確認するプロンプト

「はい」と答えた場合は、簡略化されたバッチオペレーションの作成ジョブページが表示されます。ジョブの準備ができた後、このジョブを自動的に実行する場合はデフォルトオプションのままにしておくことができます。ジョブを実行する前にマニフェストまたはジョブの詳細を確認する場合は、[待機] を選択して、準備ができたらジョブを実行します

このジョブの作成方法では、レプリケートするオブジェクトのマニフェスト生成が自動的に実行されます。マニフェストとは、レプリケーションルールを適用する特定のソースバケット内でのオブジェクトのリストです。生成されたマニフェストレポートは、Amazon S3 インベントリレポートと同じ形式になります。

バッチオペレーションジョブビューを作成する

S3 バッチレプリケーションでは、他のバッチオペレーションジョブと同様に、レプリケーションジョブの結果に関する情報を含む完了レポートが作成されます。このオプションを選択し、このレポートを保存するバケットを指定することを強くお勧めします。

完了レポートの設定

最後のステップでは、このバッチジョブを作成するためのアクセス許可を設定します。デフォルト設定のままにすると、Amazon S3 は新しい AWS Identity and Access Management (IAM) ロールを作成します。

権限設定

このジョブを保存したら、バッチオペレーションページでジョブステータスを確認します。ジョブの進行状況、レプリケートされたファイルの割合、レプリケーションに失敗したファイルの総数が表示されます。

既存のオブジェクトは、新しいオブジェクトよりレプリケーションに時間がかかる場合があり、レプリケーションの速度は AWS リージョン、データサイズ、オブジェクト数、暗号化タイプに大きく依存します。

ジョブステータスページ

バッチレプリケーションジョブが完了したら、完了レポートを保存したバケットに移動して、オブジェクトレプリケーションのステータスを確認できます。レポートの形式は Amazon S3 インベントリレポートと同じです。

レポートとマニフェストの検索

料金と可用性
この機能を使用すると、リージョン間でのリクエストとデータ転送に対してレプリケーション料金が、
バッチオペレーションおよびマニフェスト生成を選択した場合はマニフェスト生成料が発生します。

また、レプリケートされたデータを宛先バケットに保存するためのストレージコストと、オブジェクトを AWS KMS でレプリケートした場合は AWS KMS に課金されます。詳細については、S3 料金表ページの [レプリケーション] タブで確認してください。

S3 バッチレプリケーションは、AWS GovCloud リージョン、Sinnet が運営する AWS 中国 (北京) リージョン、NWCD が運営する AWS 中国 (寧夏) リージョンなど、すべての AWS リージョンで利用できます。また、Amazon S3 コンソールCLIS3 API、または AWS SDK クライアントの使用を開始することもできます。

S3 バッチレプリケーションの詳細については、Amazon S3 ユーザーガイドをご覧ください。

Marcia

原文はこちらです。