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AWS IoT SiteWise アラームを使用した産業機器のリアルタイムモニタリング

はじめに

AWS IoT SiteWise のアラーム機能を使用すると、デバイス、機器、プロセスのルールベースのアラートを設定、視覚化、および管理できます。機器データがしきい値に違反した場合、ほぼリアルタイムにSMSまたは電子メールでアラートを受信できるため、運用チームは計画外の機器のダウンタイムを削減するためのタイムリーなアクションを実行できます。AWS IoT SiteWise アラームは AWS IoT Events によって提供され、それに緊密に統合されているため、AWS IoT SiteWise コンソール、AWS IoT SiteWise 監視ウェブアプリケーション、または AWS IoT SiteWise SDK を使用してアラームを作成できます。本記事では、AWS IoT SiteWise と AWS IoT SiteWise モニターでの統合されたアラーム体験を紹介します。AWS IoT SiteWise でアラームを作成し、AWS IoT SiteWise と AWS IoT SiteWise モニターで監視します。

AWS IoT SiteWise に関わらず、AWS IoT Events で直接アラームを作成、監視、管理することもできます。詳細については、AWS IoT Events 開発者ガイドの「アラームによるモニタリング」を参照ください。

収集した機器データからアラームを作成するには、大きく次の3つの手順があります。

  1. 適用するアラームルールを定義します。例えば、1分あたりの回転数が特定の値を超えています。
  2. このアラームの重要度を選択します。例えば、1~5の整数を選択して、重要度が高くなることを示します。
  3. アラームがトリガーされたときに送信される通知を設定します。例えば、メールや SMS、あるいは他の AWS サービスをトリガーする。

これを説明するために、CIP(定置洗浄)システムの実際のアプリケーション例を示します。CIP システムは、食品および飲料、バイオテクノロジー、医薬品を製造する製造施設で使用され、分解せずに機器を洗浄、フレーバーを中和し、以前のサイクルからの残留物を除きます。効率的な洗浄のために、プラントオペレータは苛性液などの洗浄液に対して所定の温度を維持する必要があります。この例では、アラームを使用して苛性液の温度を監視し、温度が事前設定されたしきい値を下回ったときに通知を上げます。

アセットモデルの作成

まず CIP システムの仮想表現を作成するために、AWS IoT SiteWise でアセットモデルを作成します。実際のシナリオでは機器のタイプ、場所、またはその他の基準に基づいてグループ化できる複数の CIP システムを監視する場合が多いです。この例では、CIP システムのアセットモデルと複数の CIP システムのアセットモデルを含む CIP グループのアセットモデルを作成します。AWS IoT SiteWise でアセットモデルを作成する方法の詳細については「アセットモデルの作成」を参照ください。

次に、下の図に示すように CIP システムのアセットモデルに関連するいくつかの計測(センサーからの生データなど)を定義します。これらは様々な種類の洗浄液を含むタンクの温度レベルを表します。

CIP システムのアセットモデルでは、40 °C という温度のしきい値を保存するため、Caustic Temperature Threshold という属性も作成しました。この属性値は、後でタンクの温度を監視するアラームを作成する際に使用します。

アセットの作成

アセットモデルを作成したら、アセット自体を作成します。CIP グループのアセットは、場所などの一般的な基準に基づいて複数の CIP システムのグループを表します。また、2つの CIP システムのアセットを作成し、CIP System 1CIP System 2CIP Group のアセットに追加します。このようなグループ化はアラームの作成には必要ではありませんが、実際のシナリオに合わせてアセットを整理しています。

AWS IoT SiteWise の CIP システムのアセットは実際の CIP システムからデータを取得する必要があります。多くの場合ここには、産業用自動化アプリケーションのための通信プロトコルとして OPC-UA が使用されています。OPC-UA データはエイリアスとして編成され、これらは各アセットの測定値にマッピングする必要があります。このプロセスの詳細については「産業用データストリームのマッピング」のドキュメントを参照ください。これが完了すると、AWS IoT SiteWise の CIP システムへのデータのストリーミングが開始されます。

アラームの定義

ここまでで、CIP システムをモデル化、仮想の CIP システムアセットを作成し、OPC-UA サーバーから各アセットに直接データをストリーミングし始めました。ここでは、CIP システムの動作パラメータが制御範囲外になったときのアラームを定義します。

例として、苛性タンクの温度が指定した値を下回ったときのアラームを作成します。アラームは、アセットモデル (この場合は CIP System アセットモデル) の一部として作成されます。アセットモデルの一部としてアラームを作成すると、このモデルを使用して作成されたすべてのアセットが、デフォルト設定で自動的にこのアラームに設定されます。アラーム設定は、個々のアセットごとに更新され、その後このアセットモデルを使用して作成されます。

初めは、以下のようにアセットモデルにアラームがまだ定義されていません。

CausticTemperatureAlarm という名前の最初のアラーム定義をアセットモデルに追加します。AWS IoT SiteWise アラームは AWS IoT Events によって評価されるため、デフォルトのアラームタイプは AWS IoT Events アラームです。

もう1つのアラームタイプである External alarm は、AWS IoT SiteWise 以外の他のアラーム検出および管理システムで生成されるアラームを指します。アラームを統合するために、これらを AWS IoT SiteWise に取り込むこともできます。このタイプのアラームについてはこの記事では取り上げませんが、外部アラームの状態の取り込みに関する詳細はこちらでご覧いただけます。

アラームのしきい値定義では、特定の条件を満たすプロパティの値に基づいて、アラームをトリガーするタイミングを指定します。CIP システムでは、苛性タンク内の流体の温度が 40 °C を超えていることが重要であるため、Caustic Tank TemperatureCaustic Temperature Threshold を下回った際にアラームが発報するようしきい値を設定します。Caustic Temperature Threshold は以前に作成され、40 °C に設定されていることを思い出してください (上記の「アセットモデルの作成」を参照)。

オプションで、このアラームを電子メールやテキストにて通知する設定もできます。有効な宛先として表示するには AWS Single Sign-On サービスを有効にし、現在のリージョンに追加したユーザーが有効になっている必要があります。

電子メールやテキスト通知に加えて、アラーム通知を独自のチケットシステムと統合するため、アラームがトリガーされたときに実行される AWS LambdaAmazon Simple Queue Service (SQS) 、Amazon Simple Notification Service (SNS) など、他の AWS サービスに対するアクションを設定することもできます。例えば、AWS Lambda 関数を呼び出してチケットシステムをトリガーして更新し、Amazon DynamoDB テーブルを更新できます。サポートされているすべてのアクションの詳細については、こちらを参照ください。

この例では、電子メールとテキストの両方で通知を送信します。

デフォルトアセットの状態を 有効 に設定し、アラームの追加 をクリックしてアラームを保存します。有効 の状態は、このアセットモデルから作成されたすべてのアセットに、デフォルトでこのアラームが評価されるようにします。

この操作により、CausticTemperatureAlarm アラームは CIP System アセットモデルページの アラーム定義 タブに表示されるようになりました。

アラームの監視

これで アセットの詳細 ページでアラームとその状態を確認できます。苛性タンクの温度は設定したしきい値内であるため、状態は Normal と表示されます。

次にアラームが発生していることを示すために、CausticTemperatureAlarm をトリガーします。これはシミュレーションされた入力値を使用して、苛性タンクの温度を変化させることによって行います。本記事ではこのシミュレーション方法については説明しません。

また、AWS IoT SiteWise モニターを使用してアラームを視覚化するためのダッシュボードを作成しました。AWS IoT SiteWise モニターでダッシュボードを作成する方法は、このガイドを参照ください。

以下の AWS IoT SiteWise モニターの画面は、CIP System 1 のシミュレートされた温度を示しています。50 °Cで安定した状態を維持すると、温度が下がり始め、最終的には先ほど設定された 40 °C の温度しきい値に違反します。

アセットの詳細 ページに 有効 なアラームが表示されるようになりました。通知が設定されていれば、それらもトリガーされます。

アクション ボタンには、有効なアラームの応答オプションが表示されます。受信したアラームの確認、一定期間のスヌーズ(アラームがアクティブに戻る)、またはリセットできます。一般的な工業プロセスでは、オペレータはアラームを確認し、それを確認して問題の識別と解決プロセスの開始を示します。このワークフローを模倣し、アラームを承認します。アラームのライフサイクルの詳細については、「アラームの状態」のドキュメントを参照ください。

アラームが承認されると、アラームのステータスが Acknowleded に変わります。したがって、運用チームはアラームが調査中であることを認識できます。その他のオプションとアラームのライフサイクルの詳細については「アラームの状態」のドキュメントを参照ください。

まとめ

本アラーム機能を使用すると、製造業界では自動監視とアラートを利用できるため、運用チームは品質と生産性の目標の達成に継続的に集中できます。

この記事で示すように、AWS IoT SiteWise、AWS IoT Events および AWS IoT SiteWise モニター全体で統合されたアラーム機能により、アラームの作成、モニタリングおよび処理が簡素化されます。電子メールおよび SMS 通知は、アラームが発生した際に送信されるよう構成することもできます。アラームは、AWS IoT SiteWise コンソールと AWS IoT SiteWise モニターのウェブアプリケーションの両方で表示できます。アラーム通知を独自のチケットシステムと統合するには、アラームがトリガーされたときに実行される AWS Lambda、Amazon Simple Queue Service (SQS) 、Amazon Simple Notification Service (SNS) など、他の AWS サービスに対するアクションを設定することもできます。

AWS マネジメントコンソール内の AWS IoT SiteWise に移動して、アラームを使ってみましょう。

 

本記事は、原文を飯塚が翻訳しました。