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週刊生成AI with AWS – 2024/6/3週

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの小林です。

6月になりました。ちょっとまえの週刊生成AI with AWSでご紹介した、AWS公式ウェブマガジン “builders.flash” で新しい記事が公開されています。生成AIに関係しない記事もいろいろ公開されているのですが、このブログポストは「週刊生成AI with AWS」ですので、生成AIに関係するところをピックアップしてみましょう。

ひとつめの記事はAmazon Qの概要をお伝えするものですね。Amazon Qは一般利用開始になって以来、様々なお客様に興味を持って頂いています。この記事をご覧頂くと、Amazon Qがどういった機能を備えており、何ができるのか、概要を把握することができます。が、あくまで現時点の機能です!Amazon Qは活発に開発が行われているので、最新情報はWebをチェックするようにしてくださいね。

ふたつめのnote株式会社様にご寄稿いただいた記事は、Amazon Titan Text Embeddingsモデルに関するものですね。文書や画像検索や類似性判定ではEmbeddings(埋め込み形式)を扱うモデルが利用されます。noteでの実例に基づいてEmbeddingsを利用すると何ができるのかが解説されていますので、これまで今ひとつイメージがわかなかった、という方にとってわかりやすくまとまった記事になっています。

最後の記事は、AWSの様々なアップデートを日本語で要約して、SlackやTeamsに投稿する仕組みを作る方法を解説するものですね。実は私自身がブログ記事を書くときに、生成AIを使う場合もあったりします。その経験からすると、この仕組みは便利に使って頂けるだろうな、と半ば確信めいた思いを抱いています。

それでは、6 月 3 日週の生成AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。

さまざまなニュース

    • AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社システムインテグレータ様、プログラミングスキル判定サービスにAIによる解析機能を追加
      株式会社システムインテグレータ様は、プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC(トップシック)」を提供していらっしゃいます。TOPSICでは、提出されたソースコードを受験者同士で共有し、他者の解答を参照することで自分自身のスキルアップに繋げることを推奨していますが、参照すべきソースコードや解答を探すための効率的な方法が提供できていないことが課題でした。その解決のために、ソースコードをタグ付けし、学習に適したソースコードを探しやすくする必要があり、そのために生成AIを活用することにしました。約1ヶ月という短期間でAmazon BedrockとAnthropic Claude 1.2によるプロトタイプ開発を完了し、課題に対する解法のカテゴライズや、プログラミング言語ごとの傾向把握が可能になったそうです。次のステップとして、Claude 2やClaude 3 Haikuへのモデル変更を検討しており、コスト最適化とレスポンス時間の短縮を見込んでいるとのことです。
    • AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社エクサウィザーズ様、RAGに用いる業務データをよりセキュアに連携可能な仕組みを開発
      生成AIを組み込んだアプリケーションを開発するためのサービスも増えてきています。今回は株式会社エクサウィザーズ様の事例をご紹介します。エクサウィザーズ様はAIアプリケーションの開発環境として「exaBase Studio」を提供しています。exaBase Studio上で利用できるテンプレートとして、Amazon Bedrockを利用した検索拡張生成(RAG)によるアプリケーションを容易に開発できる「RAGOps」テンプレートが公開されました。これは業務データを安全に生成AIアプリケーションと連携し、RAGによる業務データに基づく回答を提供することが容易に実現できるようになったそうです。
    • Amazon Q Businessのお客様の声にソニー・ミュージックエンタテインメント様のコメントが掲載
      Amazon Q BusinessのWebページでは、お客様からの声を掲載させて頂いています。まだ和訳が追いついていませんが、ソニー・ミュージックエンタテインメント様のコメントが掲載されました。課題管理ツールのJiraと組み合わせてご利用頂いていますので、ぜひご覧ください(社名のアルファベット順で並んでいます)。
    • ブログ記事「【開催報告】生成AIの価値を最大限に引き出すためのデータ基盤」(日本語)を公開
      AWSでは様々なセミナーを通じて最新情報の発信を行っていますが、5/16に実施した生成AIとデータ基盤に関するセミナーの開催報告ブログが公開されています。実現したい価値や解決したい課題に応じて、生成AIの応答をカスタマイズする必要が生じることは多く、そのためには自組織のビジネスに関係したデータが必要不可欠です。このセミナーでは生成AIでデータを活用するためのデータ基盤の構築や、データアーキテクチャについて解説しています。資料と動画へのリンクがありますので、ぜひ一度ごらんください。
    • ブログ記事「【開催報告&資料公開】 流通・小売・消費財業界向け:クラウドと生成 AI による顧客接点改革」(日本語)を公開
      こちらもイベントレポートのブログ記事です。5/9に流通・小売・消費財業界の方を主な対象として、クラウドと生成AIによるお客様接点におけるイノベーションをテーマにしたセミナーを開催しました。生成AIは、それ自体を試してみるフェーズから、実業務への適用を検討し、実行に移すフェーズに入りつつあります。このセミナーではコンタクトセンターの対応品質向上や、物体検出の仕組みの実現、マルチモーダルなモデルによるお客様エクスペリエンスの向上などをテーマに様々なコンテンツを公開しています。動画へのアクセスと、一部を除き資料のダウンロードができるようになっていますのでこちらもぜひ。
    • ブログ記事「AWSとSAPの生成AIサービスを活用しセキュアでスケーラブルなビジネス環境に」(日本語)を公開
      先週ご紹介したAWSとSAPの協業拡大について、具体的に解説するブログをご紹介しました。この協業はAmazon Bedrockとの連携をはじめとして、生成AI分野で両社がさらに協力関係を強めるというものです。その和訳が公開されましたので、ぜひご覧ください。

サービスアップデート

    • Amazon Q Developerでコマンドラインのインライン補完が可能に
      Amazon Q Developerで、シェルで入力されたコマンドラインに基づいた、リアルタイムでのインライン補完が可能になりました。たとえば、コマンドラインで”git”と入力すると、Q Developerが次を予測して”push origin main”と補完候補を提示します。OKならそれを採用し、NGであれば意図したコマンドを入力するイメージです。この機能はQ DeveloperとQ Proの双方でご利用いただけますが、現時点ではmacOSのみの対応となっています。
    • Knowledge Bases for Amazon BedrockでAmazon Titan Text Embeddings V2が利用可能に
      Amazon Titan Text Embeddings V2は検索拡張生成(RAG)で利用することに最適化された埋め込みモデルです。今回のアップデートで、Knowledge Bases for Amazon BedrockでAmazon Titan Text Embeddings V2をご利用頂けるようになり、より効率的なデータセットを構築することができるようになりました。このモデルは100以上の言語データで事前学習が行われており、多言語に対応しているのもポイントです。

著者について

Masato Kobayashi

小林 正人(Masato Kobayashi)

2013年からAWS Japanのソリューションアーキテクト(SA)として、お客様のクラウド活用を技術的な側面・ビジネス的な側面の双方から支援してきました。2024年からは特定のお客様を担当するチームを離れ、技術領域やサービスを担当するスペシャリストSAチームをリードする役割に変わりました。好きな温泉の泉質は、酸性-カルシウム-硫酸塩泉です。