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週刊生成AI with AWS – 2024/6/10週

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの小林です。

いよいよ今週はAWS Summit Japanです!たくさんのセッションをはじめとする、学びの機会をご用意すべくAWS Japanのスタッフ一同で力を注いできました。もちろん生成AIに関するコンテンツも充実しています。私自身は特定のブースに立っているわけではないのですが、会場を歩き回っている予定ですので見かけたらぜひお声がけくださいね。

それでは、6 月 10 日週の生成AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。

さまざまなニュース

    • AWS生成AI国内事例ブログ: レアジョブテクノロジーズ様、英会話レッスンレポートのさらなる充実に生成AIを活用
      レアジョブグループ様が展開する「レアジョブ英会話」では、PCやスマホで様々な講師と英会話レッスンが受講できます。従来、英会話の講師がメモを残し、受講者に対してフィードバックを作成する作業を行っており、講師側の負担になっていたそうです。それを生成AIで解決する事を狙い、Amazon Bedrockを活用した生成AIによる「AIレッスンレポート」を開発されました。現時点では一部のお客様に限定して展開しているそうですが、利用者からは好意的な反応が得られているそうです。builders.flashにも記事が出ていますので、こちらもあわせてご覧ください。builders.flashのほうはブログ記事よりももう少し技術的な詳細に踏み込んでいますので、両方見ていただくと理解が深まります。
    • AWS生成AI国内事例ブログ: ファーストトレード様、海洋情報APIとAmazon Bedrockで海況自動文書化を実現
      ファーストトレード株式会社様は「なみある?」というサーフィンを楽しむ方に向けた波情報アプリを提供していらっしゃいます。これまで、手作業で海況情報を作成していましたが、作業の非効率性や品質のばらつき、情報入手コストの高騰が課題になっていました。これに対してAmazon Bedrockで生成AIを組み込むことで、海況情報文書の自動作成による課題解決に取り組みました。これによって、手作業が自動化され無人による文書生成、波情報のリアルタイム更新が可能になりました。また、AIによる高品質な波情報の提供が可能になるとともに、文書化のコストが80%削減されるという結果を確認されています。
    • AWS生成AI国内事例ブログ: KDDIアジャイル開発センター株式会社様、Amazon Bedrock統合によるチャットボットをグループ4社に展開
      KDDIアジャイル開発センター株式会社様では、日常業務への生成AIの積極活用を推進していらっしゃいますが、同時にセキュリティやシャドーITなどのコンプライアンスに関する懸念がありました。これを解決することを目的に、社内で利用しているSlackをインタフェースとしてセキュアに利用できる生成AI環境をAmazon Bedrockを利用して開発されました。セキュリティを担保するために全ての履歴とログを保存するとともに、サーバ側との通信にはパブリックなエンドポイントを経由しない通信方式を採用することで社内のセキュリティ監査で認められ、業務情報にも活用できる環境を構築できたとのことです。現在、KDDI Digital Divergence Holdingsグループ4社の約1,200名に展開しており、非エンジニアの方の利用も広がっているそうです。
    • AWS生成AI国内事例ブログ: JFEエンジニアリング株式会社様、建設業における業務効率化に生成AIを活用
      JFEエンジニアリング株式会社様は、生成AIを活用したプラットフォーム「Pla’cello xChat」を開発し、建設業における見積もり等の業務の効率化に取り組んでいらっしゃいます。2023年9月にリリースされたPla’cello xChatですが、11月に実業務に役立つユースケースの特定に着手され、PoCを通じて効果が確認できたものをアプリケーションとして実装する作業を進めていらっしゃいます。その一例が、見積書からのデータ抽出です。ある事業部では年間5,000時間を要しているそうです。今回、OCRと生成AIを組み合わせる事で高い精度でのデータ抽出が実現され、実際に使用した事業部のユーザーによれば見積もり比較業務の時間を数十パーセント削減できることが期待できるとのことです。
    • ブログ記事「誰でも簡単に生成AIを活用!AWS Japanメンバーが作ったPartyRockアプリ集」を公開
      AWSが提供する「PartyRock」は画面操作と自然言語による指示だけで簡単に生成AIを組み込んだアプリを作成し、URL共有により誰でもアクセスできるようにする仕組みです。6/20-21に開催されるAWS Summit Japanにむけて、AWS JapanのメンバーがPartyRockで開発したアプリをブログで公開しました。PartyRockはこの記事を執筆した時点ではAWSアカウントもクレジットカードも不要で、無料でご利用頂けますのでぜひトライしてみてください。AWS Summit Japanでは、AWS Villageの生成AIコーナーでPartyRockのブースも用意していますので、こちらもお見逃しなく。
    • ブログ記事「生成AIのマーケティング戦略への適用: 入門編」を公開
      生成AIは様々な分野への応用が期待されていますが、そのひとつにマーケティング分野があります。このブログ記事は「生成AIのマーケティング戦略への適用」というシリーズを構成するひとつで、AI主導のコンテンツ生成と効果的なコンテンツ配信のためのマーケター向けポータルの構築について解説しています。

サービスアップデート

    • Amazon SageMaker Canvasで利用した基盤モデルの本番環境への転用が容易に
      Amazon SageMaker Canvasから、基盤モデルをSagaMakerのリアルタイム推論エンドポイントにデプロイできるようになりました。SageMaker Canvasは様々な基盤モデルをもとに、検索拡張生成(RAG)によるモデルの応答のカスタマイズや、基盤モデルの微調整が可能です。SageMaker Canvasで作業した成果を、Amazon SageMakerのリアルタイム推論エンドポイントにデプロイする事で、本番で利用するアプリケーションに容易に組み込みが可能です。リアルタイム推論エンドポイントはフルマネージドで負荷に応じてスケーリングしますので、運用の手間も最小化できます。
    • Amazon CloudWatchで自然言語によるクエリ生成が可能に
      Amazon CloudWatchは、収集されたログとメトリクスを分析することで潜在する問題や改善箇所の発見を容易にします。今回のアップデートで、生成AIの技術を活用することによって自然言語でログやメトリクスを分析するクエリを生成できるようになりました。現時点では英語に対応する形ですが、例えば「過去24時間で最も遅かったLambdaへのリクエストを表示して」「最もスロットリングが発生しているDynamoDBのテーブルは?」といった質問に対して、蓄積されたデータに基づいた応答を返します。
    • AWS CloudTrail Lakeで自然言語によるクエリ生成が可能に
      AWS CloudTrailはユーザアクティビティとAPIの使用状況をログとして記録するサービスで、AWS CloudTrail Lakeはその情報に対してSQLライクの言語でクエリが可能な仕組みです。今回、生成AIの技術によって自然言語を利用した問い合わせが可能になりました。現時点では英語に対応しており「過去一週間のエラー数とその原因は?」「昨日マネジメントコンソールでログインしたユーザを一覧表示して」といったリクエストに応答してくれます。
    • AWS Audit Manager generative AI best practicesの対象サービスにAmazon SageMakerを追加
      AWS Audit ManagerはAWSの使用状況を継続的にチェックし、リスクとコンプライアンスの評価を容易にするサービスです。責任あるAIの利用は重要なテーマですが、AWS Audit Managerは生成AIに関するベストプラクティスをまとめたフレームワークを提供しています。発表当初はAmazon Bedrockが対象となっていましたが、今回Amazon SageMakerが対象に含まれました。このツールを利用することでBedrockやSageMakerを介した生成AIアプリケーションのベストプラクティス準拠状況の把握や、監査に必要な情報収集が容易になります。ブログ記事もご確認ください。

著者について

Masato Kobayashi

小林 正人(Masato Kobayashi)

2013年からAWS Japanのソリューションアーキテクト(SA)として、お客様のクラウド活用を技術的な側面・ビジネス的な側面の双方から支援してきました。2024年からは特定のお客様を担当するチームを離れ、技術領域やサービスを担当するスペシャリストSAチームをリードする役割に変わりました。好きな温泉の泉質は、酸性-カルシウム-硫酸塩泉です。