AWS Startup ブログ
スタートアップ支援プログラム AWS Activate 活用事例。セーフィー社が受けた資金的・技術的サポートとは
AWS Activate は、スタートアップ企業や初期段階にいる起業家に対して、AWS を使用する際に必要なリソースを提供することを目的とした、スタートアップ支援プログラムです。このプログラムでは、最大 100,000 USD の AWS Activate クレジットや 24 時間年中無休の技術サポートなどを提供しています。2013年10⽉からプログラムを開始し、世界中で数⼗万のスタートアップにご利用頂いています。2020年の1年間で、1,000億円以上のクレジットを提供してきました。
クラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」を運営するセーフィー株式会社は、2015 年に AWS Activate を利用したスタートアップ企業です。プログラムを利用したことで、セーフィーの事業にはどのような好影響があったのでしょうか。今回はセーフィーの事業概要や AWS Activate を利用した感想、今後の事業展開などを取締役 CTO の森本 数馬 氏に伺いました。
クラウド録画サービスシェア No.1 の「Safie」
――まずは御社の紹介をお願いします。
セーフィーは 2014 年に創業した会社で、クラウド録画サービスシェア No.1 の「Safie」を開発・運営しています。私たちは、目的や設置場所に合わせて利用できる多種多様な防犯カメラを提供しており、ユーザーはそれらのカメラで撮影したデータを「Safie」によってリアルタイムに映像確認や、録画・配信することができます。
それに加えて、私たちは映像データを分析・活用することで、ユーザーの日々の生活や働き方を改善する「映像プラットフォーム」になることを目指しています。自社の力だけではなく、パートナー企業や導入いただいている企業も巻き込みながらプラットフォームをより良いものにしていき、ユーザーへの提供価値を最大化したいと考えています。
とはいえ、防犯カメラの市場全体から見ると、クラウドカメラの利用割合はまだまだ少ないのが現状です。そのため、この割合を増やしていくことを直近の目標として事業を推進しています。
各種サポートを受けられる AWS Activate
――今回のインタビューでは、主に AWS Activate の利用実績について伺います。このプログラムを利用した経緯をお聞かせください。
弊社は、スタートアップの登竜門であるプレゼンテーションイベント「Infinity Ventures Summit 2015 Spring」に登壇して、2 位を獲得しました。その際に、代表取締役社長 CEO である佐渡島 隆平が、イベント関係者から AWS 社員を紹介されたのです。AWS 社員と情報交換をするなかで、AWS Activate の存在を知りました。
弊社の場合は 5,000 USD 分の AWS クレジットを受け取れることがわかったため、ぜひ利用しようと考えて申し込みました。資金が限られているアーリーフェーズのスタートアップにとって、金銭的なサポートを受けられるのは非常にありがたいです。AWS に申請して承認が下りるまでのプロセスもスムーズに進み、煩雑な手続きは全く必要ありませんでした。
――金銭面以外で AWS Activate によってもたらされた利点はありますか。
AWS Activate を利用してから、AWS のソリューションアーキテクトと技術的な相談や情報交換を積極的に行うようになりました。たとえば、「AWS の各種サービスをどのように活用すれば、動画の管理や配信などの処理をハイパフォーマンスかつ低コストにできるか」などの質問をしました。“AWS を扱うプロ”のノウハウを得られる機会は貴重です。
――ソリューションアーキテクトによる技術支援を、他のスタートアップの方々にもおすすめしたいですか。
はい。特に、システムのアーキテクチャをこれから新規構築しようと考えているスタートアップは、初期フェーズのうちからソリューションアーキテクトに相談することをおすすめします。アーキテクチャのなかでも、ネットワーク構成やセキュリティに関連する箇所などは、確実に相談しておいたほうがいいです。後から変更することが難しい部分ですから。
――それ以外に、AWS のスタートアップチームから受けた支援はあったでしょうか。
私たちのプラットフォームとシステム連携できそうな会社を紹介してもらったことがあります。それから、AWS が各種コミュニティイベントを定期的に開催していることも、非常に助かっています。イベント内で IT 業界の方々とつながりができて、それを機に仕事を依頼したこともあります。他社の人々とコミュニケーションをとれる貴重な機会なので、ぜひ今後も、積極的に開催してほしいです。
――もし、森本さんがもう一度アーリーフェーズに戻れるならば、どのように AWS Activate を利用しますか。
話が重複しますが、ソリューションアーキテクトと逐次コミュニケーションを取りながら仕事を進めます。それからクレジットを惜しまずに使って、最初からスケールしやすく信頼性の高いアーキテクチャを構築すると思います。
私たちの場合は、なるべくランニングコストが安価になるよう初期のアーキテクチャを組んだのですが、サービスの成長に伴って組み替えの必要性が生じてしまいました。その後の事業拡大も見越して、AWS Activate のクレジットをシステムの先行投資に回しておくことが重要です。
サービスの進化スピードが速いのは AWS の大きな魅力
――AWS 自体の利用状況についてもお聞かせください。どのようなサービスを御社のシステムに活用していますか。
Web サーバーとしては Amazon EC2 をメインで使っており、最近では Amazon ECS などコンテナ系のサービスも活用しています。また、AWS Lambda を取り入れている箇所もあります。データベースとしては RDBMS の Amazon Aurora を主に活用しており、データウェアハウスサービスの Amazon Redshift も使っています。
冒頭でもお話ししたとおり、セーフィーは各種データを分析してさまざまな施策に活かす取り組みをしています。たとえば、ユーザーの契約・解約状況やサービスの利用動向などの集計・分析を行っているのですが、Amazon Redshift は主にそうした分析系の処理で使用していますね。また、データ活用に関連した文脈だと、機械学習を用いたサービスを実現するために Amazon SageMaker を活用した調査・研究なども行っています。ここに挙げた以外にも、多種多様なサービスを利用しています。
――AWS の各種サービスに対する要望はありますか。
欲を言えば、Amazon Redshift はインスタンス管理に金銭的なコストがそれなりにかかるため、より安価に使えるようになると助かります。とはいえ、基本的には AWS の各種サービスに十分満足しています。AWS があったからこそ、私たちの事業はここまで成長できました。
AWS はサービスの進化のスピードが速いため、自分たちが自前で実装しようと考えていた機能がいつの間にかリリースされていることもあります。
これからもサービスを通じてユーザーの課題を解決したい
――今後、事業やサービスをどのように成長させたいですか。
これからも引き続き、データの分析・利活用を推進します。そして、データ分析関連の機能をパートナー企業やディベロッパーなどに提供し、他社が利用可能にすることで、私たちのプラットフォーム上で新しいシステムが生まれる土壌を構築していきます。
たとえば、ある企業は私たちのソリューションを活用することで、人が特定の領域に侵入したらアラートを出す防犯システムを作れるかもしれません。また、別の企業はユーザー属性や売上傾向のデータなどを活用することで、カメラに映っている人にどのようなマーケティングをすべきかをレコメンドするシステムを作れるかもしれません。
セーフィー社の提供するウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2」。
――その状態を実現できれば、御社の提供するシステムが真の意味でのプラットフォームになっていきそうですね。開発チームとしての目標はありますか。
これからもエンジニアの人数を増やしていきたいです。現在、弊社の社員数は 300 人を超えたのですが、エンジニアはそのうち 70 人程度です。この割合を半分くらいに持っていきたいと考えています。今後、セーフィーはテックカンパニーであることを対外的に強くアピールしていきたいので、更に技術的レベルの高いエンジニアに加わってもらえたら嬉しいです。
一方で、技術のこと“だけ”を考えるエンジニアではいけないと思っています。私たちの役割は、ユーザーにサービスを提供して、ユーザーの課題を解決することです。エンジニアリングによって課題解決を行うことに魅力を感じる人に、ぜひ参画していただきたいです。
――これからの御社の事業成長が楽しみです。今回はありがとうございました。
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