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【Amazon Game Tech Night】ゲーム開発に新しい付加価値を与える:ゲーム業界向け機械学習最新状況アップデート (2022/03/15)

こんにちは、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 ソリューションアーキテクトの岩井泰児です。
2022年3月15日に Amazon Game Tech Night を開催いたしました。

Amazon Game Tech Night とは?

Amazon Game Tech Night は、オンラインゲーム開発と運用に携わる開発者やインフラエンジニアを対象に、ゲームに特化した技術情報や関連する AWS サービスの情報をお届けすることを目的としたイベントです。
2022 年は 毎月第 2 火曜日 19 時から 20 時にかけてイベントを開催予定です!

  • 3月15日(火) 19:00-20:00
    • 〜インフラエンジニアでもできる!ゲーム開発に新しい付加価値を与える〜
      ゲーム業界向け機械学習最新状況アップデート
  • 4月19日(火) 19:00-20:00
    • 〜やりこみ要素をクラウドで作るための実例紹介 〜
      ユーザーアチーブメント管理を Amazon DynamoDB でやってみる
  • 5月17日(火) 19:00-20:00
    • 〜パフォーマンスもコストもどっちも大事!最新インスタンスで 40 % のコスト削減 〜
      【徹底比較】ゲームサーバーで Graviton インスタンスのパフォーマンス測定
  • 6月28日(火) 19:00-20:00
    • 〜 サーバー管理は大変ですか?ゲーム会社の社内システム担当の情シス必見 〜
      ファイルサーバーとアセット管理システムのマイグレーションと構成例

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次回イベントはこちら→ https://amazongametechnight2022apr.splashthat.com/


イベントの概要

「そろそろ機械学習を自分たちのゲーム開発に取り入れようかな。でも、どこから始めたらいいのか・・・。」

ゲーム開発でよくある悩みとして、例えばログインデータや課金履歴のようなプレイヤーの行動履歴を全てデータとして保存してあるがゆえにデータ量が巨大すぎて効率的な分析ができなかったり、作ったゲームのグラフィックの描画にバグがないかを探すためのテストパターンが膨大になってしまい人的コストが膨れ上がってしまったりと、ログや画像といったデータの処理に比較的に強いとされる機械学習に頼りたい状況は多々あるかなと思います。

しかし、機械学習を利用してやりたいことは決まっているものの、データ処理のためのツールであったり、そもそも機械学習を推進する際のスキル不足であったりと、機械学習の開発を実際に取り組むまでの敷居が高いと感じる方も多いです。

そこで、今回の Amazon Game Tech Night では、「手軽さ」ということに注目して、ビジネスサイドの方むけのセッションとして、手軽にかつノーコードで利用可能な「Amazon SageMaker Canvas」のご紹介をいたしました。

また、画像処理を含むようなより高度な分析に取り組む方にむけて、手元のゲームデータと機械学習の組み合わせを手軽に試せる環境を提供する「Amazon SageMaker Studio Lab」を使ったデモやサンプルコードを解説いたしました。

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それでは、2 つの視聴者層に向けて、どのようなセッションの内容を紹介したいったのかを見ていきましょう。


必要なものはデータだけ!誰でもできるゲームの離脱予測分析

こちらのセッションでは、ソリューションアークテクト岩井から、ビジネスサイドで普段 csv データを分析されているようなユーザーを対象に、ノーコードで簡単に機械学習のモデルを開発できる Amazon SageMaker Canvas の紹介をいたしました。(動画内6分32秒〜

  • 例えば、次のような分析を Excel を使った手作業で行っている例を考えます。
    このログインのユーザーは 2 週間後にゲームを遊ばなくなるか?(二値分類
  • ユーザーデータ内の複数パラメータ同士の相関関係を調べたい(回帰分析
  • 過去の履歴からみて次に課金が増えるタイミングがいつになりそうか?(時系列予測

こうした分析はゲームの運用において重要な知見を得ることを目的としていますが、日々の運用の中で大量のデータからこのような予測や分類を行うことは人手では大変です。

そんな毎日忙しいビジネスサイドのユーザに向けて、ノーコードかつ GUI で簡単にモデルを生成可能な Auto ML のサービス、Amazon SageMaker Canvas をご紹介いたしました。

SageMaker Canvas ではゲームでよくある分析のユースケースをカーバーしているだけでなく、 AWS コンソールを介さずにログインが可能なため、ときには AWS アカウントを所持していないようなビジネスサイドのユーザーでも簡単にログインが可能です。また、モデルの構築やデータのインポート、そして可視化までを GUI 上で一気通貫で行うことができます。

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実際にゲームデータを模した csv ファイルから、ユーザーの離脱を予測するデモをご紹介しました。
CSV データは S3 またはブラウザから直接アップロードが可能で、直ぐに中のデータを確認することができます。

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ここでは、ユーザー ID や時間帯ごとのログイン時間や課金回数が含まれるサンプルデータから、一週間以内にプレイヤーが離脱してしまうかどうかを推定するモデルを実際に作っていきます。

SageMaker Canvas では、利用したいデータを選んだ後は、予測したい対象を選び、学習速度を決めるだけでゲームの運用に役立つような機械学習モデルを構築することが可能です。

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今回のモデルでは、与えられた情報から 95.8% の確率でプレイヤーの離脱を推定できることがわかり、深夜課金回数と夕方のプレイ時間が離脱するかどうかに寄与する非常に重要な要因であることがわかりました。

更にデモの中では、シミュレーターの機能(What-If 分析)を利用して、プレイヤーごとの課金がどの程度伸びれば離脱しづらくなるのかを検証するような分析もご紹介いたしました。

こうした知見を得られると、ビジネスサイドのメンバーは夕方に人が集まり、深夜に課金しやすくなる施策を打つべきであることがわかるなど、ゲームビジネスの収益を高めるための具体的な行動への紐付けが可能になります。

Amazon SageMaker Canvas は東京リージョンでのサポートも開始いたしましたので、ぜひお試し頂ければ幸いです。


Amazon SageMaker Studio Lab ではじめる機械学習

セッションの後半ではソリューションアーキテクト西坂より、Amazon SageMaker Canvas でカバーできないような高度な機械学習モデル開発の第一歩を踏み出すためのサービス Amazon SageMaker Studio Lab について紹介がありました。(動画内41分58秒〜

まずはじめに、以下のようにゲームにおける機械学習のユースケースの整理を行いました。

  • プレイヤーの離脱予測
  • ゲームの売上予測
  • プレイヤーの感情分析
  • Abuse 行為の検出
  • アセット管理の自動化
  • QA/デバッグの自動化
  • コンテンツの自動生成
  • プレイヤーのチート検出

これらのユースケースの内、最後の 3 つの課題に関しては強化学習をはじめとした独自モデルの構築が必要になることが多く、ゲーム業界でもモデル開発の環境準備や運用コストが課題になっているといった業界における最新状況の共有がありました。

そうした課題の解決に向けて、これから機械学習を始めるゲーム業界のエンジニアがメールアドレスだけで直ぐに利用できる JupyterLab ベースの開発環境を提供するサービス Amazon SageMaker Studio Lab についてご紹介いたしました。

1 Click かつ無料ですぐに利用可能なだけでなく、ゲーム用機械学習モデルの開発に着手される際に十分な GPU やストレージが提供されることも特徴になっています。

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後半のセッションでも、ゲーム業界での利用を念頭においたデモを実施いたしました。デモのはじめに、メールアドレスでログインした直後、すぐにインスタンスが起動できることが見て取れます。環境構築も JupyterLab のスクリプトで必要なライブラリをすぐに導入できています。

また、デモでは CPU を使った学習から更に高速な学習環境を用意するために、GPU インスタンスに数クリックで自由に切り替えられることが見て取れます。最終的には無料枠内で画像の中に「バナナ」が写っているかどうかを検出するモデルを構築することができました。

似たようなやり方で、ゲームのプレイ動画内に「特定のキャラクター」や「不適切なロゴ」などが映っていないかを検出するモデルの開発に取り組むことも Amazon SageMaker Studio Lab を使ってすぐにはじめることができます。

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PoCが軌道にのってくると、「より潤沢なマシンリソースで学習を高速化させたい」「より大きなサイズのデータセットで学習したい」などのニーズが生じてきます。そこでセッションの最後には、Amazon SageMaker Studio Lab で作成したモデルを Amazon SageMaker にスムーズに移行することで、機械学習モデルの運用やスケールが可能となることをご紹介しました。

繰り返しになりますが、メールアドレスだけで登録可能かつ完全無料ですので、下記リンクから SageMaker Studio Lab をぜひお試し頂けましたら幸いです。https://studiolab.sagemaker.aws/

これから学習を始めていく方は以下の学習リソースを参照に、Studio Lab の「Getting Started with Amazon SageMaker Studio Lab」ノートブックからサンプルのモデルを幾つか動かしてみて頂くと感触を掴めると思います!


まとめ

2022 年 3 月開催の Amazon Game Tech Night では AI/ML をテーマに、最新サービスを活用することで機械学習の新規プロジェクトを、ビジネスユーザーやエンジニアが上手に進められるようなデモをご紹介させていただきました。
ゲームでの機械学習をこれから始められる際には AWS の機械学習サービスをぜひお試し頂けましたら幸いです。

最後に

次回 Amazon Game Tech Night は 4/19(火) 19:00-20:00 に「ユーザーアチーブメント管理」をテーマに、詳細なコードの実装例を紹介するなどアプリケーション開発者にとって学びの多いセッションを提供させて頂きます。飛び入り参加大歓迎ですので、技術を深堀りしたい方はぜひご参加ください!

ソリューションアーキテクト 岩井泰児