Amazon Web Services ブログ
Amazon QuickSight を使用した AWS Cost and Usage Reports の可視化(後編)
本ブログは Amazon QuickSight を使用した AWS Cost and Usage Reports (AWS CUR)(コストと使用状況レポート)の可視化についてご紹介します。
2部構成であり、今回は後編をご紹介します。
前編: AWS CUR や Amazon Athena の設定、 Amazon Athena から SQL クエリを使用した AWS CUR の分析手順
後編: Amazon QuickSight のセットアップ、 AWS CUR の可視化、分析やダッシュボードの共有
Amazon QuickSight のセットアップ
この手順では以下を含んだ Amazon QuickSight の初期設定を行います。
- Amazon Athena へのアクセス許可
- AWS CUR レポートが作成される Amazon S3 バケットへのアクセス許可
詳細の手順は以下をご参照ください。
Setup QuickSight for the first time
“5.Select S3 Buckets You Can Access Across AWS, under Use a different bucket enter the CUR bucket name, choose Add S3 bucket and choose Finish.” は実施不要です。
Setup QuickSight IAM Policy は必要に応じて実施してください。
Amazon QuickSight のデータセットの作成
この手順では Amazon QuickSight のデータセットの作成を行います。データソースとして Amazon Athena から検索可能な AWS CUR のテーブルを設定します。 Amazon Athena からデータを Amazon QuickSight に読み込むことによって、 Amazon QuickSight でデータを確認することが可能になります。
詳細の手順は以下をご参照ください。
Create a dataset
これで Amazon QuickSight を使って AWS CUR の可視化を行う準備ができました。
AWS CUR の可視化とダッシュボードの作成
Amazon QuickSight を使用した可視化の例として、下記のダッシュボードの作成を行います。
この手順では以下の3つのグラフを作成します。
- AWSアカウント単位、プロダクトコード単位のコスト
- インスタンスタイプ、購入オプション(オンデマンド、スポット、リザーブドインスタンス)ごとの1時間ごとの Amazon EC2 インスタンスの使用状況
- line_item_line_item_descrption(利用明細)別の日次のコスト
line_item_line_item_descrption とは、利用明細の説明になります。例えば、利用明細の説明として特定の期間に利用した Amazon EC2 のインスタンスタイプを要約したものが記載されます。
詳細の手順は以下をご参照ください。
Create visualizations
設定項目名が分からない場合は Amazon QuickSight の言語設定を English に変えてご確認ください。
Amazon QuickSight のその他の可視化機能については以下のブログをご覧ください。
BIサービス Amazon QuickSight のセルフハンズオンキット日本語版を公開(随時更新)
Amazon QuickSight の運用については以下のブログをご覧ください。
【開催報告&資料公開】Amazon QuickSight のノウハウ総まとめ! 〜BI設計から運用まで〜
作成した分析の共有とダッシュボードの公開
作成した分析やダッシュボードは共有することが可能です。
詳細の手順は以下をご参照ください。
Share your Analysis and Dashboard
ダッシュボードの共有については特定のユーザーやグループを指定する方法、アカウント内の全ユーザーに共有する方法、インターネット上で共有する方法があります。 Amazon QuickSight API を使用して共有を設定することも可能です。
また、ダッシュボードを PDF としてエクスポートすることや、レポートを E メールで送付することも可能です。ぜひご要望に沿った形式でダッシュボードやレポートの共有をご活用ください。
詳細は Amazon QuickSight ダッシュボードの共有をご参照ください。
前編、後編を通して、AWS CUR の内容を Amazon QuickSight を使用して可視化し、共有する事ができるようになりました。
AWS Cost and Usage Reports【AWS Black Belt】
Amazon QuickSight を使用した AWS CUR の分析については以下の AWS Black Belt Online Seminar でもご紹介していますのでご参照ください。
AWS Cost and Usage Reports【AWS Black Belt】
Cost and Usage Dashboard powered by Amazon QuickSight
AWS CUR の可視化として、Cost and Usage Dashboard powered by Amazon QuickSight が使用可能になりました。
AWS CUR のデータに対して、事前に定義された Amazon QuickSight の100以上のビジュアルを簡単に使用する事が出来ます。こちらもぜひご活用ください。
前編と後編を通じたまとめ
クラウドのコストを最適化するためには、まず現在の使用状況を把握、分析することが重要です。書籍「AWS コスト最適化ガイドブック」からコストの可視化に関する記述を引用します。
“クラウド利用費用最適化の最初のステップは、 AWS サービスの利用状況の可視化です。クラウドは利用量によって利用費用が変動する従量課金形式が基本であるため、クラウドを効率的に最適化するためには、根拠となるクラウド利用費用と利用状況の情報の可視化は非常に重要です。可視化のポイントは、何をどこまで可視化するのか、という点にあります。可視化のための手間や得られた情報の保存にかかる費用など、すべてを可視化することが逆に最適化の足かせになってしまうことも考えられます。 無駄な監視や情報収集をしないために、まずは可視化の目的、すなわち、「どのような情報が得られたらどのようなアクションを実施したいのか」という点を明確に定めることで、必要な情報や粒度などが自然と定まります。例えば、各部門(あるいは各システム)の毎月(あるいは毎週)の予算が70%を超えたらアラートを上げる、90%を超えたら新規のインスタンスの立ち上げを認めないようにする、各部門あるいはシステム単位で Amazon EC2 の利用量の日単位での変化を収集し土日の稼働停止がどの程度できているか確認し、常時稼働のシステムについては後述する Savings Plans の適用を検討する、などといったように、可視化で何をしたいのかということが明確に示せるようになれば、可視化したい項目や粒度などが定まってくるでしょう。 ただし、クラウド利用費用の数字だけを可視化・報告するというのは、陥りがちな間違いです。「いくらかかっているのか」という情報だけでなく、「利用量や利用状況に対していくらかかっているのか」ということを可視化することで、その費用の妥当性が判断できるようになります。 AWS の各サービスには、クラウド利用費用がいくらになっているのか、という情報はもちろんのこと、利用者のサービスの利用状況も記録されています。この利用状況の情報を利用者が出力・集計したり、あるいは表やグラフなどの形式で過去の経緯や現在の状況を可視化したりすることができます。” 出典: AWS コスト最適化ガイドブック(門畑 顕博 (著), 仁戸 潤一郎 (著), 柳 嘉起 (著), 杉 達也 (著), 小野 俊樹 (著), 藤本 剛志 (著))
本ブログでは、前編、後編を通じて、AWS Well-Architected Framework の コスト最適化の柱 における5つのベストプラクティスのうち、経費支出と使用量の認識 の可視化に着目してご紹介しました。
他にも、タグポリシーに関するワークショップや、その他のベストプラクティス「コスト効率を考慮しながらリソースを利用する」と「需要を管理しリソースを供給する」に関するワークショップもありますのでご活用ください。
カスタマーソリューションマネージャー 森川 賢、髙木 香里