Amazon Web Services ブログ

週刊AWS – 2023/8/7週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。
今週も 週刊AWS をお届けします。

AWS Dev Day 2023 のオンデマンド配信は、2023 年 8 月 31 日までの期間限定で配信されています。クラウド開発に関する最新のテクノロジーや手法について、技術解説セッション、ユーザー事例、デモ、ライブコーディングなどの、合計 59 のセッションを通じて幅広く学ぶことができます。すぐに視聴を開始いただけますので、ぜひこの機会にご登録ください。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2023 年 8 月 7 日週の主要なアップデート

  • 8/7(月)
    • Amazon Interactive Video Service announces Real-Time Streaming
      Amazon IVS でレイテンシーが 300 ミリ秒以下のリアルタイムライブ配信を、 最大 1 万人の視聴者に配信できるようになりました。これまでは、低遅延ストリーミング機能により、レイテンシーが3 秒未満のライブ配信をサポートしていました。リアルタイムストリーミング機能を利用することで、より低レイテンシーでライブ配信が出来るようになり、ソーシャルメディアアプリケーションやオークションのような低レイテンシーが重要なユースケース向けにサービスを提供しやすくなりました。詳細はこちらのブログをご確認ください。
    • AWS Security Hub launches 12 new security controls
      AWS Security Hub で新たに 12 個のセキュリティコントロールをリリースしました。Security Hub の機能の一つに、AWS アカウント上のリソース設定状況を基に、セキュリティのベストプラクティスから逸脱されているものを自動的に検出してくれるものがあります。今回のアップデートで、検出を行うためのコントロールが追加され、Amazon Athena、 Amazon DocumentDB、Amazon Neptune が検出対象に追加されました。
  • 8/8(火)
    • AWS Glue Studio now supports Amazon CodeWhisperer in additional regions
      AWS Glue が利用できる全てのリージョンで、Glue Studio ノートブックと Amazon CodeWhisperer を連携してコードを生成する機能が利用できるようになりました。利用できるリージョンに東京・大阪の両方が含まれています。例えば、Glue Studio ノートブックに「JSON ファイルから Spark DataFrame を作成する」といったコメントを英語で記述すると、このコメントに合わせて自動的にコードを生成します。これにより素早い開発が可能になります。詳細はこちらのブログをご確認ください。
    • AWS Global Accelerator extends IPv6 support to EC2 endpoints
      AWS Global Accelerator で、IPv4 と IPv6 を利用できる dual-stack accelerator に、EC2 エンドポイントを追加できるようになりました。dual-stack accelerator を使うことで、Global Accelerator が IPv4 と IPv6 の両方の IP アドレスを持ちます。これにより、IPv4 と IPv6 のトラフィックに対して AWS Global Accelerator のメリットである可用性、セキュリティ、パフォーマンスなどの向上が期待できます。これまで dual-stack accelerator は ALB のみの対応でしたが、このアップデートで IPv6 の ENI を持っている EC2 インスタンスを追加できるようになりました。
  • 8/9(水)
    • You can now scale IOPS separately from storage on Amazon FSx for Windows File Server
      Amazon FSx for Windows File Server で SSD ストレージタイプを構成する際に、ファイルシステムのストレージ容量とは別に、IOPS (1 秒あたりの IO) を追加できるようになりました。これまでは、1 GiB あたりのストレージ容量に対して 3 IOPS が固定で付与されていました。今回のアップデートで 1 GiB あたり最大 500 IOPS を追加できるようになりました。高い IOPS 性能を求める際に、不要なストレージ容量を追加する必要がなくなり、コストをより最適化できるようになりました。
    • Amazon S3 Glacier Flexible Retrieval improves data restore time by up to 85%
      Amazon S3 Glacier Flexible Retrieval で、データの取り出しに掛かる時間を最大 85 % 改善しました。この改善に伴う追加の料金はありません。Amazon S3 Glacier Flexible Retrieval は S3 ストレージクラスの 1 つで、より安価なストレージ料金を提供します。1 年に 1 ~ 2 回ほどアクセスし、リアルタイム取り出しが不要なアーカイブやバックアップデータの格納に最適なストレージクラスです。いままではデータ取り出しに掛かる時間が 3 ~ 5 時間ほどでしたが、今回のアップデートで数分以内にデータの取り出しが開始できるようになりました。データの取り出しは、プロセスの進捗に応じて段階的に取得されます。
    • Mountpoint for Amazon S3 is now generally available
      Mountpoint for Amazon S3 の一般提供が開始しました。Mountpoint for Amazon S3 は、GitHub で公開されているオープンソースの S3 アクセスクライアントです。大規模なデータセット (テラバイトからペタバイトのサイズ) を読み取り、拡張性や高スループットを必要とするワークロードに最適です。例えば、機械学習トレーニングなどのユースケースがあげられます。このソフトウェアはよく質問を受けるので、いくつかの注意点を記載します。一見、EBS 等にアクセスするかのように S3 にアクセスができますが、S3 上のオブジェクトを操作している以上、一般的なストレージとは違うものだと考える必要があります。例えば性能特性は大きく異なりますし、現時点ではロック機能はサポートされていません。つまり普通のファイルシステムだと考えず、このソフトウェアを利用することのメリット・デメリットを検討の上でご利用ください。Mountpoint for Amazon S3 のファイルシステムの動作に関する詳細はこちらをご参照ください。今後のロードマップについてはこちらで公開されています。
    • AWS Fargate now supports process ID namespace sharing and kernel parameter configuration
      Amazon ECS on AWS Fargate で、稼働するコンテナの PID namespace の共有と、一部のカーネルパラメータ設定 (sysctl) をサポートしました。PID namespace を共有すると、ECS の 1 タスクで複数のコンテナを起動した際に、複数のコンテナ間でプロセスを参照できるようになります。ユースケースを一つあげると、コンテナセキュリティを監視するための製品の中には、PID namespace の共有が必要な場合があり、これに対応できるようになりました。カーネルパラメータ設定は、アプリケーションの特性に応じて、カーネルの動作を最適化できるようになりました。一つ例をあげると、net.ipv4.tcp_keepalive_time を変更して、Fargate で実行されているアプリケーションの接続をより長く維持できるようになりました。
    • Amazon Interactive Video Service announces live video output price changes
      Amazon Interactive Video Service の低遅延ストリーミングのライブビデオ出力価格が最大 50% 値下げになりました。ビデオ出力の時間あたりの料金は、韓国で最大 50%、インドで 46%、台湾で 43%、オーストラリアで 41%、南米で 30%、日本、香港、東南アジアで 29% 削減されます。さらに、低遅延ストリーミングのライブビデオ出力の価格は、利用量に応じて段階的に下がる仕組みが備わっています。例えば、日本で HD 解像度 (720p) で配信を行う場合、最初の 10,000 時間までは 1 時間あたり $0.0460 の価格です。次の 40,000 時間までは、1 時間あたり $0.0420 の価格に下がります。500,000 時間まで 5 段階の価格で提供される仕組みがあります。詳細はこちらをご確認ください。
  • 8/10(木)
    • Network Load Balancer now supports security groups
      Network Load Balancer (NLB) がセキュリティグループをサポートしました。これまでは、NLB にセキュリティグループを指定できなかったため、例えば NLB と EC2 間に限定した通信制御の設定が難しい場合がありました。このアップデートで NLB に直接セキュリティグループを適用できるようになったため、NLB と EC2 間のネットワーク通信などをより厳密に、より簡単に構成できるようになりました。
    • Amazon EventBridge Schema Registry and Schema Discovery now in additional regions
      Amazon EventBridge Schema Registry と Schema Discovery の機能が、大阪リージョンを含めた、いくつかのリージョンで利用できるようになりました。複数のチームがそれぞれシステムを開発する際に、互いのシステムが受け取るイベントのスキーマを理解したうえで、リクエストを投げる必要があります。EventBridge Schema Registry を使用すると、チームが公開しているイベントの構造を共有できるため、他のチームがイベントを組み込んだ実装を見つけて作成できるようになります。使いどころの詳細は、こちらの資料もご活用ください。
  • 8/11(金)
    • Amazon EventBridge API Destinations is now available in additional regions
      Amazon EventBridge API Destinations の機能が、大阪リージョンを含めた、いくつかのリージョンで利用できるようになりました。API Destinations を利用すると、任意の HTTP API を定義して送信できるようになり、EventBridge 上のイベントと連携がやりやすくなります。HTTP API を接続する際の認証方式として、ベーシック認証・OAuth のクライアントクレデンシャル・ API key に対応しています。例えば、これらの認証方式に対応している SaaS アプリケーションとの連携がやりやすくなります。
    • Amazon QuickSight launches hierarchy layout for pivot tables
      Amazon QuickSight 上でピボットテーブルを利用する際に、新しいレイアウトとして要素を階層化したレイアウトが利用できるようになりました。視覚的にわかりやすい階層表示が出来るオプションが追加され、ユースケースに合わせた最適なレイアウトを選択しやすくなりました。新しい階層化したレイアウトは、スペースを節約しながら大量のデータを表示し、カテゴリごとのデータを明確で読みやすく表示したい場合に最適です。新しい階層化したレイアウトに関する Blog があり、画像を使って新しいレイアウトが紹介されています。どういったことができるのかを視覚的に理解できるため、こちらもご活用ください。

それでは、また来週お会いしましょう!

ソリューションアーキテクト 杉山 卓 (twitter – @sugimount)