Amazon Web Services ブログ

AWSを活用して教育コミュニティ活性化に取り組む、Edtechスタートアップのご紹介

本ブログでは、世界の EdTech スタートアップが AWS を活用して、教育コミュニティを繋ぎ、活性化に取り組んでいる事例についてご紹介します(AWS Public Sector Blog へ掲載された投稿の翻訳となります)。また、最後には日本の EdTech コミュニティ活性化に向けたMeetup イベント「EdTech LT Night and Meetup」をご案内します。

よりよい学習体験には、社会との繋がりが不可欠です。調査によると、家庭や地域コミュニティが学校活動に関与していると、生徒に良い結果をもたらすことがわかっています。家庭や地域コミュニティと連携することで、生徒は理解の齟齬を減らし、より効果的に学習内容を身に着けることができます。教育者同士が交流することも、教育文化の向上、データの有効活用、そして生徒にとってより良い学びをもたらすことに繋がります。

世界中の Edtech スタートアップは、クラウドを活用しコミュニティを繋げ、共に学んで活動できるような学習体験をもたらしています。
その中には、Amazon Web Services(AWS)が提供する AWS EdStart プログラムに初期から加入する EdTech スタートアップもいます。AWS EdStart は、EdTech の起業家が AWS を用いて、次世代のオンライン学習、分析、キャンパス管理などを構築できるように設計された、スタートアップアクセラレーターです。

本記事では、AWS EdStart のメンバーの 4 社が、AWSを利用して、世界中の学習者が繋がり連携できる体験をどのように作り出しているのかご紹介します。

学校コミュニティのコミュニケーションをシンプルかつ安全に

米国疾病予防管理センターによると、保護者の学校活動への参加は、生徒の行動改善、学力向上、社会性の強化に密接に関係しています。学校と保護者の関係が、子どもたちの健康と学習を強化する場合もあります。生徒が学校で成功するためには、効果的なコミュニケーションとコミュニティの関与が不可欠です。

アメリカ発のEdTechスタートアップである Flathat は、学校が地域コミュニティと連携しやすくするというミッションのもと、コミュニケーション・プラットフォームを開発しています。ソーシャルニュースフィード、チャンネル別チャット、管理者用のアナウンスツール、アバター、そして教師、生徒、保護者が繋がれるようUX (ユーザーエクスペリエンス)がデザインされています。教師は Flathat を使うことで、生徒や保護者に個別に連絡を取らなくても、日常的に、簡単かつ安全に生徒や保護者と繋がることができます。さらに、Flathat は人工知能(AI)サービスを使って学校のニュースや最新情報を多言語に翻訳し、多様な生徒や家族とより公平に情報交換することを可能にしています。Flathat によって、生徒、保護者、教師が素早く簡単にやりとりでき、コミュニケーションが活発になりました。それによって、学校のエコシステム全体でリアルタイムのコミュニケーションを実現し、学校からのお知らせが断片的に共有されるという問題を解消しています。

学校のニーズに迅速に対応するため、Flathat は AWS を利用しています。例えば、 セキュアでサイズ変更可能なコンピューティングである Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)、フルマネージドドキュメントデータベースサービスとして JSON ワークロードを簡単に拡張できる Amazon DocumentDB 、75 の言語で公平なコミュニケーションをサポートできる機械翻訳サービスの Amazon Translate を利用しています。

「自分も教師ですが、親がコミュニケーションをとろうとしないとき、やる気がないか、無関心なのだと思い込んでしまうことがありました。しかし、実際はそんなことは殆どなく、情報へのアクセスや言語が障壁となっていることが多いのです。Flathat は AWS EdStartと協力して、高速でカスタマイズ可能な言語翻訳を提供するAIサービス、Amazon Translateを導入し、これらの障壁を取り除くことができました」と、Flathat の共同創業者、Jodi Fox 氏は述べています。

ゲーミフィケーションで、トレーニングやチームビルディングをより面白く

南アフリカの EdTech スタートアップ Kunjani は、ブレンド型の学習ゲームによって、遠隔地にいるチームメンバーの研修、オンボーディング、エンゲージメントを支援しています。Kunjani はオンライン会議ツールと統合されており、異なるタイプのゲーム体験を提供して、遠隔チーム内の活発なコラボレーションを促します。研究結果によると、学習者がアイデアや気づきを共有することで、誤解を解消してより効果的に学習内容を吸収し、理解を深めることができるそうです。さらに、職場でのコラボレーションによって、同僚同士が繋がり、交流し、学び合うことができます。

Kunjani では、チームミーティングの参加者を小グループに分け、コアトピック(オリエンテーショントレーニングなど)について、用意されたゲームからプロンプトを与え、互いに競わせます。このプロンプトは、重要なビジネススキルのロールプレイ、コンセプトの詳細な説明など、スキルトレーニングをより記憶に残る体験にするために工夫されています。チームは、チャット、ホワイトボード機能、ブレイクアウトルーム、投票、プレゼンテーション、ビデオ共有機能などのツールを一緒に使用しながら、ポイント、時間制限等で互いに競い合います。

「AWS EdStartメンバーである Kunjani は、ビデオ会議、ブレンド型学習ゲームでのコラボレーションを組み合わせることで学習を定着させやすくし、ROI(投資対収益)を高めることができています。AWS 無料利用クレジットのおかげで、私たちは自由に開発を繰り返し、開発を迅速に進めることができました。」「AWS のおかげで、法人顧客に対してシームレスに拡張可能なクラウドソリューションが展開できています。顧客には最高レベルのセキュリティが提供されているという安心感を与えることができ、販売サイクルを半分に短縮できました」とKunjani の最高経営責任者(CEO)兼共同創業者であるHans Zietsman 氏は述べています。Kunjaniは、高性能ブロックストレージに Amazon Elastic Block Store(Amazon EBS)を、安全なコンピューティング能力に Amazon EC2 を使用し、高性能なシステムをサポートしています。

世界中の教師と教育機関をつなぐ

Tower Education Technologies(以下、Tower)は、世界中の高等教育機関、および教育機関同士の情報のサイロ化解消を支援するアメリカのスタートアップです。Tower では、学生情報システム(SIS)、顧客関係管理(CRM)、学習管理システム(LMS)を完全に統合し、重要なリソースとデータを1つのツールにまとめることができます。さらに、Towerは、世界中の仲間と協業できるオンラインワークスペースを教員に提供し、同期式のオンラインクラスを開催しています。Towerは、マレーシア、香港、フィリピン、中国、ラテンアメリカ、北米の大学やカレッジの学生や関係者をつなぎ、学術の連携を促しています。グローバルネットワークを強化するために、Towerは、グローバルスケールで高いパフォーマンスと可用性を実現する Amazon Aurora データベースを使用し、安全なコンピューティング能力を確保するために Amazon EC2 を使用しています。

「当社の主力製品である InspirED® は、大学が研究成果を残し、学生の成功をサポートできるよう、世界中の大学に無料で提供されているクラウドベースの EdTech プラットフォームです。AWS EdStartチームは、時間をかけて私たちのミッションと目標を理解してくれました。開発の効率化だけでなく、コスト削減のためのソリューションや、スケールアップに伴う次のプランニングも支援してくれ、顧客に最高の体験を提供できるようになりました」と、Tower Educationの最高経営責任者(CEO)Ben Shank 氏は述べています。

学生のエンゲージメントを高めるeラーニングツール

Yeira Learning は、学習コースを効果的なEラーニング体験に変換するプラットフォームを開発するメキシコのスタートアップです。Yeira を使えば、教師は学習パスを素早く作成し、長いコースを短い学習モジュールに変換することができます。コースへのエンゲージメントを高めるために、教育者はZoom、動画、議論、アンケートをカリキュラムに入れ込み、生徒が学習に没頭できるようにします。教育関係者はこのプラットフォームを使って、学生の行動を分析し、コースの進行状況やユニークなユーザー全体のパフォーマンスを確認することもできます。また、コンテンツにアクセスできるユーザーを管理し、各コースを独自のブランディングでパーソナライズすることも可能です。高性能なワークロードを維持しながら、コンテンツとその大量のユーザーを支えるために、Yeira は Amazon Aurora を使用しています。99.9999%の可用性で障害から保護し、迅速な拡張に伴う一貫したユーザー体験をサポートするために、Yeira はストレージに Amazon EBS を、コンピューティングに Amazon EC2 を使用しています。

「Yeira とそのコンテンツ作成ツール “Bloom” は、リアルタイムの学習体験を作り出す数多くの学習パターンを講師に提供しています。すべてのパターンで、講師は直接オンラインコースを編集し、自分で学習分析を実行することができます。顧客と学習者にこうした強力な機能を提供するためには、AWS がキーとなりました」と、Yeiraの最高技術責任者(CTO)兼共同創業者のErnesto Riestra氏は述べました。

AWS for EdTech

AWS は、未来の教育ツールを開発する起業家を、アイデア出しの段階から創業、成長までご支援します。AWS EdStart は、AWS無料利用クレジット、グローバルコミュニティへの参加、トレーニング、共同マーケティングの機会、技術サポート、および大企業と同じスケーラブルなテクノロジーへのアクセスを提供し、世界中のEdTechスタートアップがより速く成長できるよう支援しています。AWS と AWS EdStartが、教育分野の最新トレンドに対応し、イノベーションを推進するために行っている EdTech スタートアップ支援については、「2022 AWS EdTechスタートアップガイド」(英語)をダウンロードしてご覧ください。

日本でのEdTech コミュニティ活性化に向けて、Meetupを開催します

AWS EdStartでは、日本の教育分野のスタートアップを繋ぎ、コミュニティを活性化させるため、2022年 11月 2日 EdTech LT Night and Meetupを開催いたします。

イベント概要
会期:2022年11月2日(水)17:00-18:00 (18:00-19:30 懇親会)
会場:Yotsuba 目黒セントラルスクエア27階
主催:アマゾンウェブサービスジャパン合同会社目黒本社
東京都品川区上大崎3丁目1−1目黒セントラルスクエア27階Yotsuba café
登録はこちら: https://pages.awscloud.com/edtech-meetup_reg.html

本イベントでは、4-5名の EdTech スタートアップのCxOの方々にご登壇いただき、皆様の教育分野で事業展開される上での課題や工夫、創業当時、組織運営における工夫や苦労話を「パネルディスカッション形式」で EdTech スタートアップ業界に於いて活動されている皆様に共有いただきます。

ご登壇者:
株式会社Digika 代表取締役社長 橋本様
株式会社アクティブブレインズ 代表取締役社長 平山様
株式会社コードタクト 代表取締役社長 後藤様
ワンダーラボ株式会社 CTO 北畑様

その他、AWS EdStart プログラムにご興味のある方は、お気軽に「Contact Us」にご連絡ください。

このブログは、英文での原文ブログを参照し、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター 事業開発マネージャー(Startup)である岩瀬 霞が翻訳・執筆しました。