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【開催報告&資料公開】新聞・出版業界向け re: Invent 2020 Recap セミナー
1 月 28 日に新聞・出版業界のお客様向けに AWS re:Invent 2020の Recap セッションを実施しました。
クラウドコンピューティングの分野で世界最大規模の「学習型」カンファレンスである AWS re: Invent は、例年 12 月に 1 週間程度いただいてラスベガスで開催しておりました。しかし、昨年はコロナウィルス感染拡大の影響により、11 月末からの 3 週間に拡大して完全オンライン(参加無料)で開催されました。およそ 50 万人の方にご登録いただき、5 つの基調講演と 500 以上のセッションをご提供、期間中は 200 以上の新機能・新サービスを発表しました。
AWS re:Invent 2020 Recap
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 ソリューションアーキテクト 八木 達也 [Slide]
re: Invent 2020 の多くのセッションや発表の中から、開催概要や AWS のリーダーシップセッションの内容、お客様事例についてご紹介しました。また日本の新聞・出版業界のお客様からいただくご相談の傾向を踏まえ、よくご利用いただいているサービスを中心にアップデートをご紹介しました。
■AWS re: Invent 2020 における 5 つの基調講演
これら 5 つの基調講演については現在、動画でご視聴いただけます。自動翻訳が設定可能です。
・Keynote with Andy Jassy (動画)
・Infrastructure keynote with Peter DeSantis (動画)
・Machine Learning Keynote with Swami Sivasubramanian (動画)
・Developer Keynote with Dr. Werner Vogels (動画)
・AWS Partner Keynote with Doug Yeum (動画)
AWS CEO Andy Jassy のセッションでは企業が再発明を継続するための「リーダーシップに必要な8つのポイント」について語っています。
1.Leadership will to invent and reinvent
(発明と再発明へのリーダーシップの意志)
2.Acknowledgement that you can’t fight gravity
(顧客によりよい体験を提供する必要性の重力には逆らえないということ)
3.Talent that’s hungry to invent
(発明に対する強い意欲を持った人材)
4.Solving real customer problems with builders
(お客様の真の課題を解決すること)
5.Speed
(あらゆる企業においてスピードは重要)
6.Don’t complexify
(技術選定の複雑化に注意すること)
7.Use the platform with the broadest and deepest set of tools
(最も幅広く、最も深いツールセットを持つプラットフォームを使用すること)
8.Pull everything together with aggressive top-down goals
(トップダウンによるアグレッシブな目標設定と推進)
■新聞・出版業界でのお客様事例
AWS on Air 2020: Voice of the Customer のセッションでは the Financial Times 社のエンジニアに登壇いただき、最高品質のジャーナリズムを提供するため、データドリブンな社内のカルチャーを作るために、お客様とSA (ソリューションアーキテクト) がどのように協力して課題に対応したかを語っていただきました。(動画)
What’s new in Amazon Managed Blockchain では、技術とビジネス両面のチャレンジで高い評価を得ていた、日本国内でトップシェア・世界第二位の電子書籍流通事業者である、メディアドゥ社のデジタルコンテンツ権利管理基盤の事例を紹介しました。(動画) ※要登録
他には、Thomson Reuter 社における自然言語理解のためのプロジェクトでの活用事例(Blog)や、the Financial Times 社では従来のクラウドファーストから Cloud Only というコンセプトの元、トップダウンでクラウド化を推進している事例を紹介しました。(Blog)
■日本の新聞・出版業界のお客様からのご相談の傾向
コンテンツ制作・管理システムにおいて、新規開発や既存システムの移行に関するご相談が増えてきています。このセッションでは、こうした基幹システムの移行でよく採用されている手法についてご紹介しました。
この中でも特に取られることの多い「リホスト」と「リプラットフォーム」という方法において、必ず検討することになる、基本サービスを中心にサービスアップデートをご紹介しました。
■re: Invent 2020 サービスアップデート
本年は 200 以上と非常に多くのアップデートが発表されました。本セッションではその中から、多くの新聞・出版業界のお客様にご利用いただいているサービスに絞った形で、ご紹介させていただきました。このブログでも、いくつかのポイントを紹介させていただきます。
・Compute
AWS では Intel Xeon processor、AMD EPYC processor の他に、ARM ベースでローコストとハイパフォーマンスを実現した、自社開発の Graviton 2 Processor を実装したインスタンスを提供しています。それぞれ CPU、メモリ、ネットワークを強化したもの、GPU・FPGA 等のアクセラレーターを備えたものなど、様々なサイズのインスタンスがご利用いただけるため、基幹システムで求められるパフォーマンス、ニーズの変化にも柔軟に対応できます。(国内事例)
本セッションでは、最新の AWS Graviton2 Processor を搭載したインスタンスの利点についてもご紹介しました。
インスタンスの新規調達もスケールアップ・ダウンも、必要なときに必要なだけ実施することができます。今より性能価格費の良いインスタンスが登場した場合にも、柔軟に対応できるようになるため、継続的なコスト最適化が可能になります。
・Storage
EC2 にマウントして使用する Elastic Block Storage (EBS) で、新しい汎用 SSD ボリュームである gp3 がリリースされました。最大スループットが 4 倍と大幅に向上しており、GB あたりのコストも最大 20% 安価になります。
また、個別にスループット、IOPS をスケールできるというのも非常に大きな特徴です。同様の仕組みをオンプレミスで実現しようとすると、全体で必要なパフォーマンスを計算、キャパシティプランニングをして場合により機器増設、小分けにして設定可能にする仕組みの構築が必要で、結局 リソースのオーバーヘッドが発生してしまいます。EBS であれば追加投資を必要とせず、サービスの中で必要な性能を確保しつつ、コストを最適化することができます。
Amazon S3 は非常に耐久性の高い、容量無制限・サイジング不要なオブジェクトストレージです。S3 にはストレージクラスという概念があり、保存したファイルの利用頻度に応じて、コスト最適なストレージクラスを選択することができます。この度アクセスパターンを分析して、自動的にクラスを調整する機能が強化され、アーカイブ階層を含めて調整できるようになりました。
その他に S3 ではで書き込み後の読み取り一貫性を提供開始、同じ/異なるリージョン間、1:N で複数のバケットにレプリケーションを行う機能、バケット間の双方向のレプリケーションが行えるようになるなど、留まることなく進化を続けています。
・Database
東京リージョンでも Amazon RDS for Oracle と Amazon RDS for SQL Server にて、高いパフォーマンスが発揮できる R5b インスタンスが利用可能となりました。最大で 60Gbps の EBS スループット、IOPS は最大で 256,000 IOPS に達しました。
また Amazon Aurora ではサービスに Graviton2 プロセッサを搭載したインスタンスを組み込むことで、お客様が意識しなくても、パフォーマンスとコスト効率を上げることができるように取り組んでいます。
※Preview の期間は本番環境ではご利用いただけません
・Network
HA 構成を組むことができて 数十万の接続に対応、トラフィック量に応じて自動的に拡張する AWS Network Firewall が発表されました。AWS Network Firewall は柔軟なルールエンジンを持ち、カスタムルールを作成する事で、お客様のワークロード固有の通信要件を満たす事ができます。1 コンテキストあたり数千のルールが設定可能で、ポート、プロトコル、IP アドレス、アウトバウンドでは FQDN を利用したルールを利用できます。また、Suricata フォーマットで記述された IPS ルールをサポートしています。(Blog)
AWS Media & Entertainment 参考コンテンツ
・AWS Media & Entertainment Blog (日本語)
・AWS Media & Entertainment Blog (英語)
・AWS Media Services
AWSのメディアチームの問い合わせ先: awsmedia@amazon.co.jp
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おわりに
新聞・出版業界向け re: Invent 2020 Recap にご参加いただいた方、誠にありがとうございました。参加いただけなかった方も、このブログから動画や資料に触れることで、今後の AWS 活用のヒントになりましたら幸いです。今後もお客様の新たなビジネスのチャレンジ、システム移行のご相談をお待ちしております。引き続き業界の皆様に役立つ情報を、セミナーやブログで発信してゆきます。どうぞよろしくお願い致します。
このブログは Solutions Architect 森が担当しました。