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米海軍は、DevSecOpsをAWS環境で実現。

今回のブログでは、 AWSジャパン・パブリックセクターより、「新機能の継続的な提供で兵士をエンパワーし続けるために、 AWSクラウド上で DevSecOps 環境をデプロイする米国海軍の取り組み」を紹介します。
AWSでは、類似の取り組みを日本の防衛分野でも推進していくべく、各関係機関との対話を歓迎します。ご不明の点、「Contact Us」までお問合せください。(以下、米国現地のチームが執筆したブログの翻訳となります。)

スピードこそ防衛の要

 防衛では、迅速であること ── つまり機能の迅速性、提供までの迅速性、そしてサービスの迅速性──が重要になります。米国海軍に求められる「スピード」でサービスを提供するため、Naval Information Warfare Center Pacific (NIWC PAC) はAWSクラウドを活用し、国家の兵士たち(its servicemen and women)のための新機能の開発そのものを迅速化することで、クラウド・ジャーニーのあらゆる段階で必要とされるコンプライアンスに対応できる能力を手に入れました。 NIWC PAC は今年、求められるセキュリティ対応がますます複雑化していく中、「Project Overmatch」 の一環として、最新のソフトウェア開発において DevSecOps の実現に焦点を当てています。このミッションを達成し、軍人たちに新たな機能を提供し続けるため、米国海軍は AWS Secret Region で DevSecOps 環境を開発しました。Overmatch Software Armory (OSA) として知られる、インパクトレベル 6 (IL-6) の要件を満たすこの環境は、Amazon のリージョンである AWS GovCloud (米国) を使用して、これまでの成功を積み重ねて来た海軍の経験に基づいて構築されています。このリージョンは、機密データと規制対象のワークロードをホストし、米国政府の最も厳格なセキュリティおよびコンプライアンス要件に対応するように設計されたものです。

Project Overmatch とは

Project Overmatch は、海軍および海兵隊のプラットフォームと機能性を有効にし、遠距離と近距離とを問わず、さらにはあらゆる方向性、あらゆる領域からの同期化された致死的あるいは非致死的な戦術効果(synchronized lethal and non-lethal effects)の実現を目的とする、複数部隊横断での取り組みです。Project Overmatch にとって、有人および無人システムを使用した、継続的な海上優位性を実現する運用・開発環境をサポートするための要である、ネットワーク、インフラストラクチャ、データアーキテクチャ、ツール、および分析の開発──これらの構成要素が極めて重要なのです。

さらに、Project Overmatch は、全世界で展開可能な艦隊の「即応性」を向上させるために、AI、機械学習 (ML)、情報共有およびネットワーク技術などの最新のデジタル・テクノロジーを活用します。これには、NAVWAR が開発した Overmatch Software Armory (OSA) が含まれます。これは、DevSecOps 原則を使用するクラウド対応のデジタル環境であり、艦隊にソフトウェア機能を迅速に提供し続けることで、兵士が最前線(at the edge)で重要な情報に即時にアクセスすることを可能にします。

デベロッパーを「遊軍」にする

限られたリソースや俊敏性とイノベーションの必要性を両立させるべく、米国海軍の Overmatch Software Armory チームは、米国軍隊向けに構築される「初の機密性情報も取り扱うことが可能な、クラウド・ソフトウェア開発パイプライン」の 1 つとして、 DevSecOps パイプラインを開発すべく AWS に支援を求めました。

海軍は、艦船にソフトウェアを導入し、戦場全体で武器とセンサーを接続するために、グローバルかつ、ハイブリッドな構成のシステムを考案する必要がありました。

クラウドの柔軟性と伸縮性により、海軍全体のデベロッパーは互いに協力し、これまでのオンプレミス基盤と比較した場合には、従来の「数週間」ではなく「数日間」で機能を提供することが可能となりました。また、AWS GovCloud (米国)AWS Secret Region のもたらすセキュリティとコンプライアンスは、ユーザーがセキュアな環境で作業し、国防総省のデータ分類要件で最高水準とされる「 IL-6」、機密国家安全保障情報を対象とする最高のインパクトレベル(IL)が課す要件を満たすことも可能にしています。

現在、海軍のチームは基盤となるインフラストラクチャについて心配することなく、デベロッパーは開発に、コーダーはコーディングに、それぞれが集中するべき専門分野により多くの時間を費やすことが出来ています。オンプレミスからクラウドへのこの移行は、機動的な「実験」を後押しし、最終的にはチーム全体におけるイノベーションを促進することでしょう。

クラウドは、海軍による開発・テスト・およびプロトタイピングを可能にして、実験とその繰り返し、および変更も容易にします。こうした情報共有・伝達は、軍隊の運営に欠かせないため、重要です。クラウド基盤の特性は、軍隊の組織的インフラストラクチャよりもはるかに高速です。AWS を使用することで、数週間ではなく数日間でのデリバリーが可能になり、これまでになかった柔軟性と作戦展開の可動域(reach)が実現しました。

迅速性に加えて、クラウドは「艦隊」とののユーザー・フィードバックをやり取りすることも可能としました。各艦船は、無線通信経由で更新を受信することができます。これらの即時の更新を戦略的前線(edge)にもたらすことで、場所を問わず、メンテナンスとアップグレードを簡素化できます。

最終的には、海軍は「機能提供の迅速化」を目指しています。国防総省は、海軍が運営面における戦術的な優位性を確保し、海軍兵士と海兵隊員が、必要なタイミングで、求められる限り最高の機能を提供して、任務を遂行できるようになること──これを目指しているのです。

米国海軍がクラウドを使用し、兵士たちに多様な機能を提供するストーリーについては、以下の「Learn More」もご参照ください。

Learn More

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このブログは英文での原文ブログを参照し(著者は下記のLiz Martin)、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・執筆しました。

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小木 郁夫
AWSジャパン パブリックセクター
統括本部長 補佐(公共調達渉外)
BD Capture Manager
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