機能
Amazon EC2 は、真に仮想的なコンピューティング環境を提供します。これにより、ウェブサービスのインターフェイスを使用して、さまざまなオペレーティングシステムのインスタンスを起動し、それらをお客様のカスタマイズされたアプリケーション環境に読み込み、ネットワークのアクセス権限を管理し、必要な分だけシステムを使用して、イメージを実行することが可能となります。
Amazon EC2 を使用するには、以下の手順に従うだけです。
- 即時に稼働を開始するには、事前設定済みの、テンプレート化された Amazon Machine Image (AMI) を選択します。または、使用するアプリケーション、ライブラリ、データ、および関連する設定から成る AMI を作成します。
- Amazon EC2 インスタンス上でセキュリティやネットワークアクセスを設定します。
- 目的のインスタンスタイプを選択したら、AMI のインスタンスを必要な数だけ開始、監視、終了します。この作業には、ウェブサービス API や、提供されているさまざまな管理ツールを使用できます。
- インスタンスに対して、複数のロケーションで実行したいのか、固定 IP のエンドポイントを利用するのか、または堅牢なブロックストレージを追加するのか等を決定します。
- 利用料金は、インスタンス稼働時間またはデータ転送のような、お客様が実際に消費するリソースに対してのみ発生します。
特徴
Amazon EC2 では、スケーラブルで耐障害性のあるエンタープライズクラスのアプリケーションを構築するために、いくつかの強力な機能を利用できます。
Amazon EC2 のベアメタルインスタンスでは、基盤となるサーバーのプロセッサとメモリにアプリケーションから直接アクセスできます。こうしたインスタンスは、ハードウェアの機能群 (Intel® VT-x など) へのアクセスが必要なワークロードや、ライセンスやサポートの要件により非仮想環境で実行する必要のあるアプリケーションに最適です。ベアメタルインスタンスは、AWS が構築したハードウェアオフロードとハードウェア保護のコンポーネントを一体化させた Nitro システム上に構築されており、EC2 インスタンスでの高パフォーマンスネットワーキングとストレージをセキュアに実現できます。ベアメタルインスタンスは EC2 インスタンスであり、他の仮想 EC2 インスタンスの場合と同じ堅牢なセキュリティ、信頼性、キャパシティーの伸縮性が実現しており、さまざまなオペレーティングシステムやソフトウェアパッケージにも対応しています。さらにベアメタルインスタンスは、Amazon Virtual Private Cloud (VPC)、Elastic Block Store (EBS)、Elastic Load Balancing (ELB) などの AWS のサービスでも使用できます。
Amazon EC2 フリートでは API コールひとつで、複数の EC2 インスタンスタイプ、アベイラビリティーゾーン、購入モデルにわたってコンピューティング性能をプロビジョニングでき、スケール、パフォーマンス、コストを最適化するのに役立ちます。どれだけのオンデマンド、スポットキャパシティーを起動するかは EC2 フリートで指定できます。どのインスタンスタイプを優先するか、またキャパシティーをコア、インスタンス、またはメモリのどれに応じてスケールするかを指定できます。詳細はよくある質問と AWS ブログをご覧ください。Amazon EC2 Auto Scaling を使用して EC2 フリートにアクセスし、同一の Auto Scaling グループにおいて異なる EC2 インスタンスタイプ、異なるアベイラビリティーゾーン、異なる購入オプションであっても、プロビジョニングと自動スケーリングを行えるようになりました。詳細 >>
Amazon EBS でバックアップした Amazon EC2 インスタンスを休止させ、休止したときの状態から再開できます。状態をブートストラップしてメモリ (RAM) に読み込むのに時間のかかるアプリケーションは、この機能の恩恵を受けられます。休止機能は停止と起動におけるメリットのすべてをもたらすうえ、メモリ (RAM) のデータはセッション間で保持され続けます。インスタンスが休止している間、インスタンスの使用量が請求されることはありません。ストレージには EBS の標準の料金が請求されます。休止機能、サポート対象のインスタンスタイプおよびオペレーティングシステムについての詳細は、よくある質問をお読みください。
膨大な浮動小数点処理能力が必要なお客様には、最大 8 つの NVIDIA Volta V100 GPU を搭載できる、AWS の次世代汎用 GPU コンピューティングインスタンスである Amazon EC2 P3 インスタンスが最適です。P3 インスタンスの浮動小数点パフォーマンスは、混合精度で最大 1 petaFLOPS、単精度で最大 125 petaFLOPS、倍精度で最大 62 petaFLOPS です。300 GB/ 秒の第 2 世代 NVLink インターコネクトでは、レイテンシーが低く高速な GPU 間通信を実現できます。P3 インスタンスはまた、カスタムのインテルプロセッサに基づいた最大 96 個の vCPU、768 GB の DRAM、および Elastic Network Adapter (ENA) を使用した 100 Gbps の専用集計ネットワーク帯域幅も特長です。P3 インスタンスは機械学習、ハイパフォーマンスコンピューティング、計算流体力学、金融工学、耐震解析、分子モデリング、ゲノム、レンダリングなどのワークロードに最適です。
高性能なグラフィック機能が必要なお客様には、GPU グラフィックスインスタンスが最適です。現行世代の GPU グラフィックスインスタンス、G3 インスタンスでは NVIDIA Tesla M60 GPU にアクセスでき、各 GPU が最大 2,048 並列処理コア、8 GiB の GPU メモリ、および最大 10 の H.265 (HEVC) 1080p30 ストリームと最大 18 の H.264 1080p30 ストリームをサポートするハードウェアエンコーダを備えています。ドライバーの最新リリースでは、この GPU で OpenGL、DirectX、CUDA、OpenCL、Capture SDK (旧 GRID SDK) がサポートされています。GPU グラフィックスインスタンスは、3D ビジュアライゼーション、大量のグラフィックリソースを必要とするリモートワークステーション、3D レンダリング、アプリケーションストリーミング、動画エンコーディング、その他のサーバー側グラフィックワークロードに最適です。
データに対してきわめて高頻度で低レイテンシーのランダム I/O アクセスが必要な場合は、ハイ I/O インスタンスが適しています。ハイ I/O インスタンスは Amazon EC2 インスタンスタイプの 1 つであり、ランダム I/O の速度は 300 万 IOPS を上回ります。ハイ I/O インスタンスである I3 および I3en インスタンスには NVMe (Non-Volatile Memory Express) ベースの SSD が使用されているため、きわめて高いパフォーマンスの NoSQL データベース、トランザクションシステム、Elastic Search ワークロードを実行するのに適しています。さらに、ハイ I/O インスタンスでは最大 16 GB/秒のシーケンシャルのディスクスループットを実現するため、分析ワークロードにも適しています。
ハイ I/O インスタンスの詳細については、Amazon EC2 インスタンスタイプをご覧ください。
超並列処理 (MPP) データウェアハウス、MapReduce および Hadoop 分散コンピューティング、分散ファイルシステム、ログおよびデータ処理など、大量のデータを処理するアプリケーションのために、インスタンスあたりの密度が非常に高いストレージおよび高いシーケンシャル I/O を必要とするお客様には、高密度ストレージインスタンスが適しています。高密度ストレージインスタンスは Amazon EC2 インスタンスタイプで、最高 3.9 GB/秒のシーケンシャル I/O スループットと、24 個のハードドライブに最大 48TB のインスタンスストレージ、または残りをプレイスメントグループ内で ENA ベースのネットワークで最高 25 Gbps のネットワーク帯域幅で、vCPU あたり少ないストレージとメモリをお届けします。高密度ストレージインスタンスの詳細については、Amazon EC2 インスタンスタイプをご覧ください。
CPU を最適化する機能は 2 つの点で Amazon EC2 インスタンスの制御を向上します。まず 1 つは新規インスタンスの作成時に指定する vCPU の数をカスタム化でき、vCPU に基づいたライセンスコストを削減できます。2 つ目は、ある種のハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) アプリケーションのように単一スレッドの CPU でも良好に動作するワークロードに対して、インテルのハイパースレッドテクノロジー (Intel HT Technology) を無効化できます。最適化した CPU がどのように役立つかについての詳細は、CPU の最適化ドキュメントをこちらでご覧ください。
必要なストレージ要件は、Amazon EC2 ワークロードによって大きく異なります。組み込みのインスタンスストレージに加えて、Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS) や Amazon Elastic File System (Amazon EFS) によっても、その他のクラウドストレージワークロードの要件に対応できます。
Amazon EBS は、Amazon EC2 インスタンスと共に使用できる、永続的で高い可用性と安定性を持つ低レイテンシーのブロックストレージボリュームです。コンポーネントに障害が発生した場合でも高い可用性と耐久性を提供できるように、各 Amazon EBS ボリュームはアベイラビリティーゾーン内で自動的にレプリケートされます。ワークロードに応じてキャパシティー、パフォーマンス、コストを調整することが必要なアプリケーション管理者向けに設計されています。
Amazon EFS によって、共有アクセスに使用できる、シンプルでスケーラブル、かつ永続的な完全マネージド型のクラウドファイルストレージが実現します。高い可用性と耐久性を目指し、複数のアベイラビリティーゾーンにまたがって設計された、ファイルシステムアクセスの標準的なセマンティクスを持つファイルシステムが実現します。また、キャパシティーは自動的に収縮し、アプリケーション管理者は高いスループットと安定した低レイテンシーをペタバイト規模で利用できます。
実際に消費された分の EC2 リソースに対して、各月末に課金されます。
例えば、ある時点において、時間当たり 0.085 USD のスモールタイプのインスタンスを 20 個起動すると仮定します。インスタンスはすぐにブートを開始しますが、それらのすべてが必ずしも同時に開始するわけではありません。各インスタンスはその実際の起動時刻を保存します。その後、各インスタンスは、それぞれが起動された時間に関連して、各時間の開始時にその実行時間 (0.085 USD/時間) )を請求します。各インスタンスは、以下のいずれかが発生するまで稼動し続けます。TerminateInstances API 呼び出し(または同等のツール)によるインスタンスの停止、インスタンスがそれ自体をシャットダウンする(例: UNIX「shutdown」コマンド)、またはソフトウェアもしくはハードウェアの障害により、ホストがインスタンスを停止する。消費したインスタンス時間は、Windows インスタンスの場合は 1 時間単位で、Linux インスタンスの場合は分単位で請求されます。
Amazon EC2 では、複数のロケーションにインスタンスを配置することができます。Amazon EC2 のロケーションは、リージョンとアベイラビリティーゾーンで構成されます。アベイラビリティーゾーンとは、それぞれ独立したロケーションであり、他のアベイラビリティーゾーンで発生した障害の影響を受けないように設計されています。同一リージョン内の他のアベイラビリティーゾーンへは、低コスト、低遅延でネットワーク接続できるようになっています。独立したアベイラビリティーゾーンでインスタンスを起動することにより、単独のロケーションにおける障害から、アプリケーションを保護することができます。リージョンは、複数のアベイラビリティーゾーンから構成され、それぞれ別々のエリアまたは国に分散して、存在しています。Amazon EC2 サービスレベルアグリーメントは、各 Amazon EC2 リージョンにおいて、99.99% の可用性を誇っています。Amazon の製品およびサービスがリージョンごとに提供されているかの詳細については、製品およびサービス一覧 (リージョン別) を参照してください。
Elastic IP アドレスは動的クラウドコンピューティング用の固定 IP アドレスです。Elastic IP アドレスは特定のインスタンスではなくアカウントに関連付けられており、明示的にリリースするまではそのアドレスをコントロールします。従来の固定 IP アドレスとは異なり、Elastic IP アドレスでは、パブリックな IP アドレスをお客様のアカウントの任意のインスタンスにプログラム的に再マッピングすることにより、インスタンスまたはアベイラビリティーゾーンの障害をマスクすることができます。データ技術者がホストを再設定または置換するのを待つのではなく、DNS がすべての顧客に伝播するのを待つのではなく、Amazon EC2 を使用すると、Elastic IP アドレスを置換インスタンスにすばやく再マッピングすることで、インスタンスまたはソフトウェアの問題に対処することができます。さらに、必要に応じて、このフォームに記入することで、任意の Elastic IP アドレスの DNS 逆引きレコードを設定することができます。
Amazon EC2 Auto Scaling では、お客様が定義する条件に応じて、Amazon EC2 の能力を自動的にスケールアップおよびスケールダウンできます。EC2 Auto Scaling では、お客様が使用中の Amazon EC2 インスタンスの数を、需要が急上昇した時はシームレスに増やしてパフォーマンスを維持し、需要が弱まる時に自動的に減らすことにより、コストを最小化することができます。EC2 Auto Scaling は特に、使用量が週、日、時間ごとに変化するアプリケーションに最適です。EC2 Auto Scaling は、Amazon CloudWatch で有効にすることができ、Amazon CloudWatch の料金を超える追加料金は発生しません。詳細については、Amazon EC2 Auto Scaling を参照してください。EC2 以外のサービスもスケールする場合は、AWS Auto Scaling を使用できます。
密結合並列処理などの複雑な演算ワークロードや、ネットワークパフォーマンスの影響を受けやすいアプリケーションなどを、専用に構築されたインフラストラクチャと同等のコンピューティング性能およびネットワークパフォーマンスでこなし、なおかつ Amazon EC2 の伸縮自在性、柔軟性、コスト優位性といった恩恵も受けることができます。クラスターコンピューティング、クラスター GPU、およびハイメモリクラスターインスタンスは、特に高性能ネットワークを提供するように設計されおり、プログラムでクラスターに起動することができます。これにより、密結合ノード間通信に必要な少ない待ち時間のネットワーク性能をアプリケーションに備えることができます。クラスターインスタンスはまた、著しく強化されたネットワークスループットを提供するため、ネットワーク負荷の高いオペレーションを実行する必要のあるお客様のアプリケーションに最適となります。Amazon EC2 や AWS のその他のサービスを HPC アプリケーション用に活用する方法の詳細をご覧ください。
拡張ネットワーキングでは、パケット毎秒 (PPS) が非常に大きく、ネットワークジッターが低く、レイテンシーが低くなります。この機能では、従来の実装と比較し、I/O パフォーマンスが高く、CPU 利用率が低くなる新しいネットワーク仮想化スタックが使用されます。拡張ネットワーキングを最大限に利用するためには、VPC で HVM AMI を起動し、適切なドライバをインストールする必要があります。EC2 インスタンスで拡張ネットワーキングを有効にする方法については、Linux の拡張ネットワーキングおよび Windows の拡張ネットワーキングのチュートリアルを参照してください。この機能を利用できるインスタンスについて、または詳細については、よくある質問の拡張ネットワーキングセクションを参照してください。
Elastic Fabric Adapter (EFA) は、Amazon EC2 インスタンスのネットワークインターフェイスで、数値流体力学、気象モデリング、貯留層シミュレーションなど、高レベルのインスタンス間通信を要する HPC アプリケーションを、AWS 上で大規模に実行できます。カスタムビルドのオペレーティングシステムバイパス技術を使用して、HPC アプリケーションのスケーリングに不可欠なインスタンス間通信のパフォーマンスを向上させます。EFA により、Message Passing Interface (MPI) 等のポピュラーな HPC テクノロジーを使用する HPC アプリケーションは、何千もの CPU コアにスケールできます。EFA は業界標準の libfabric API をサポートしているため、サポート対象の MPI ライブラリを使用するアプリケーションは、ほとんど、あるいはまったく変更する必要なく AWS に移行できます。
EFA は、EC2 ネットワーク機能として C5n.18xl、P3dn.24xl、I3en.24xl インスタンスにおいて任意で利用できます。この後数か月のうちにさらなるインスタンスタイプがサポート対象に追加されます。
お客様は、Amazon Virtual Private Cloud (VPC) や AWS Direct Connect を使って、パブリック IP を使用せずに Amazon EC2 API にプライベートでアクセスできます。トラフィックはインターネットを経由する必要がありません。AWS PrivateLink は Amazon のサービスにパフォーマンスと可用性の高い方法でアクセスするお客様向けに設計された専用テクノロジーで、ネットワークトラフィックが AWS ネットワークの外に出ることはありません。AWS PrivateLink で Amazon EC2 を使用するには、VPC で EC2 用のエンドポイントを作成する必要があります。このエンドポイントが送信先となるトラフィックは、EC2 サービスまでプライベートでルーティングされます。AWS PrivateLink の詳細については、PrivateLink のドキュメントをお読みください。
オペレーティングシステム
Amazon マシンイメージ (AMI) にはオペレーティングシステムの一覧があらかじめ設定されており、追加は果てしなく続いています。可能な限り多くの選択肢を提供するため、私たちはパートナーやコミュニティと協力しています。当社の同梱ツールを使用して、お客様独自のオペレーティングシステムをアップロードすることもできます。Amazon EC2 インスタンスで現在使用できるオペレーティングシステムは、以下のとおりです。

ソフトウェア
AWS Marketplace には、EC2 インスタンス上で実行するように設計された、著名ベンダーからの有料/無料のソフトウェアが数多く揃っています。製品の例を次に示します。全製品の一覧については、AWS Marketplace にアクセスしてください。

想定される用途と制約
このサービスのご利用には、アマゾン ウェブ サービスカスタマーアグリーメントが適用されます。