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【開催報告】AWS AI/ML@Tokyo #3

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社の伊藤です。AWS Japan では、2020年からAI/ML関連情報を発信するイベント「AWS AI/ML@Tokyo」を定期的に開催しています。2020年4月23日にオンラインで開催された AWS AI/ML@Tokyo #3では、AWS Japan によるAmazon SageMaker Studioの紹介と、Amazon SageMaker をご利用いただいているお客様をゲストスピーカーにお招きし、実際に導入頂いたお客様による「体験談」をお話し頂きました。


「機械学習のための統合開発環境(IDE) Amazon SageMaker Studioの概要とデモンストレーション」[Slides1][Slides2]

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
機械学習ソリューションアーキテクト 伊藤 芳幸

Amazon SageMaker は、すべての開発者やデータサイエンティストが機械学習 (ML) モデルを迅速に構築、トレーニング、デプロイできるようにする完全マネージド型サービスです。SageMaker は高品質モデルの開発を容易にするため、機械学習の各プロセスから負荷の大きな部分を取り除きます。本セッションでは、re:Invent2019で発表されました、機械学習のための統合開発環境(IDE) Amazon SageMaker Studioの機能説明と、機能のひとつであるAmazon SageMaker Autopilotのデモンストレーションを行いました。Amazon SageMaker Studioは5つの機能が統合されています。Amazon SageMaker Notebooksは、インスタンスやカーネルを選択することができ、データやスクリプトを固定のまま実行環境を変更することができます。また、ノートブックを同僚と簡単に共有することができます。Amazon SageMaker Experimentsは実験という単位でデータを管理し、学習やパラメータチューニングジョブの実行結果を管理し、可視化することができます。これによりモデル改善の指針を立てることができます。Amazon SageMaker Debugger は、学習状況をモニタリングし、異常が発生したときのデバッグ作業を支援します。Amazon SageMaker Model Monitor は、入力データの傾向変化を監視し、これまでのデータと特性が変わった場合にアラートを発行します。これにより、外界の変化に迅速に対応することが可能になります。
セッションの後半には、Amazon SageMaker Studio上で、Amazon SageMaker Autopilotを用いたAutoML機能のデモンストレーションを実施しました。AWS Single Sign-On(AWS SSO)を用いることで、マネジメントコンソールを経由せずにブラウザにSageMaker StudioドメインのURLを入力するだけでアクセスすることができます。対象のデータをS3に格納し、GUIを操作するだけでデータ分析、特徴量作成、モデル作成、パラメータチューニングまで自動で実行され、最良のモデルをデプロイすることができました。また、検証結果を Amazon SageMaker Experiments を利用して可視化できることをお見せしました。

 

機能の詳細に関しましては各リンクよりご参照いただければと思います。
また、イベント後にはAmazon SageMaker Studioのリージョン拡大(既存のオハイオに加えオレゴン、バージニア北部、アイルランド)、Amazon SageMaker NotebooksAmazon Augmented AI(A2I)Amazon Kendraの一般公開発表がありました。

 

「マイマガジンサービスでのSageMakerを活用したレコメンドシステム構築事例」[Slides]

株式会社NTTドコモ
サービスデザイン部
秦 将之 様

株式会社NTTドコモは通信事業だけではなく様々なスマートライフ事業を展開しており、コンテンツ配信や・ライフスタイルサービスや、金融・決済サービスを提供しています。マイマガジンは2013年からスタートし、主にLIVE UXで豊富なジャンルのニュースを届けるキュレーションアプリです。ご講演では、ユーザの趣味・趣向に合わせた記事の表示を行なっており、ユーザの記事クリックの傾向からユーザークラスタの生成、記事のクラスタ割り当て、記事のレコメンドスコアリングを行っているというご説明いただきました。また、スコアが高いほどユーザークリック率も高いはずという仮説を検証しているが、新しい学習モデルの検討や、迅速に検証できる環境の構築といった課題があり、Amazon SageMakerを活用して新しいアルゴリズム構築、アーキテクチャの刷新などのアプローチをとったとのことです。学習モデルについてはAmazon SageMakerのビルトインアルゴリズムの中からFactorization Machinesを採用し、事前処理としてBERTを導入することでコンテンツ特徴量を表現するなどの工夫を行なったとのことでした。環境の面では、Amazon SageMakerを組み込むことでビルトインアルゴリズムでのベースラインモデル構築やハイパーパラメータの自動最適化、過学習になっていないかの評価を迅速に行うことができた。また、Amazon SageMakerを導入することで、学習機能、推論機能を疎結合とするアーキテクチャを構成し、開発チーム、データ分析チーム、MLチームが個別で作業をすることが可能になったとのことでした。新しいモデルを商用適用してみると一定のクリック傾向改善効果があり、これからCTRやクリック数、特徴量の関係性や寄与度を見ながらサイクル化してモデル改善に努めていくと仰っておりました。Amazon SageMakerを利用したご感想として、セキュアな Jupyter 環境を手軽に利用できたこと、分析リソースの確保が容易であったこと、学習時のみインスタンスが立ち上がるのでサーバコストを20%削減できたことなどが挙げられておりました。
今後はスポットインスタンスを利用したさらなるコスト効率化や、Amazon SageMaker AtutopilotやAmazon SageMaker Studioの導入による、アルゴリズムの選定やベースモデルの構築の自動化などの学習モデル構築の効率化をしていきたいというお話をいただきました。

 

まとめ

今回はAmazon SageMaker Studioのご紹介とデモンストレーションののち、Amazon SageMakerを活用されているゲストをお迎えし、実際の活用事例についてお話しいただきました。次回のAWS AI/ML@Tokyoは、6/11の開催を予定しています。https://awsj-ml.connpass.com/ にご登録ください。2019年に開催した「Amazon SageMaker事例祭り」、2020年からスタートした「AWS AI/ML@Tokyo」の開催報告と登壇スライドは、以下のリンクからご覧いただけます。

  • 第1回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年1月15日 [Web]
  • 第2回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年2月12日 [Blog]
  • 第3回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年3月12日 [Blog]
  • 第4回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年4月24日 [Blog]
  • 第5回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年5月21日 [Blog]
  • 第6回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年7月18日 [Blog]
  • 第7回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年8月29日 [Blog]
  • 第8回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年9月19日 [Blog]
  • 第9回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年10月30日 [Blog]
  • 第10回 Amazon SageMaker 事例祭り 2019年11月28日 [Blog]
  • 第1回 AWS AI/ML@Tokyo #1 2020年2月6日 [Blog]
  • 第2回 AWS AI/ML@Tokyo #2 2020年2月27日 [Blog]

またAmazon SageMakerのオンラインによる体験ハンズオンがございますので、こちらもご活用ください。
https://pages.awscloud.com/event_JAPAN_hands-on-ml_ondemand.html