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AWS Storage Gateway がファイルゲートウェイに Amazon S3 Intelligent-Tiering を追加



ストレージコストの最適化という課題を最小限化する取り組みの一環として、本日は AWS Storage Gatewayファイルゲートウェイによる Amazon S3 Intelligent-Tiering ストレージクラスのサポートが開始されたことを発表します。お客様のワークロードには、変化し続ける、または不明確なストレージアクセスパターンが存在することが多く、最も頻繁にアクセスされるデータベースの特定が困難になります。たとえば、運用および財務チームは、異なるアプリケーションを使って同じデータにアクセスする必要があり、そのアクセスには季節的、またはピーク需要によって変化するパターンがあります。これは、IT 部門がどのデータセットを低頻度アクセス用に設計された低コストのストレージクラスに移動させることができるかを正確に判断しづらくする場合がありますが、

ファイルゲートウェイのお客様は今後、S3 Intelligent-Tiering を選択し、データアクセスパターンの変化に応じてストレージコストを自動的に最適化するために役立てることができるようになります。オブジェクト単位のわずかなモニタリングおよびオートメーション料金で、S3 Intelligent-Tiering は 2 つのアクセス階層、つまり高頻度アクセス用に最適化された階層と低頻度アクセス用に最適化された低コスト階層間でデータを自動的に移動させます。

ファイルゲートウェイは SMB および NFS プロトコルを使用して、ほぼ無制限のクラウドストレージへのファイルベースのキャッシュされたアクセスをオンプレミスアプリケーションに提供します。ファイルゲートウェイは、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) オブジェクトストレージへのファイルプロトコルアクセスを必要とする、オンプレミスおよび Amazon EC2 ベースのアプリケーションで使用できます。このローンチにより、ファイルゲートウェイで SMB および NFS ファイル共有を設定するときのストレージクラスとして S3 Intelligent-Tiering を選択することが可能になります。このブログ記事では、ファイルゲートウェイに対する S3 Intelligent-Tiering サポートの仕組み、使用する時と場合、およびこのストレージクラスを利用するためのファイル共有の設定方法といったこの階層の基礎について説明します。

概要

ファイルゲートウェイで S3 Intelligent-Tiering を使用することにより、ワークロードのデータアクセスパターンが不明確だというお客様は、このストレージクラスが提供する最適化を利用することができます。具体的に言うと、S3 Intelligent-Tiering は、パフォーマンスに影響を及ぼしたり、運用オーバーヘッドを発生させたりすることなく、コスト効率性が最も高い階層にデータを自動で移動させることで、お客様がストレージコストを簡単に最適化できるようにします。

ファイルゲートウェイの SMB または NFS ファイル共有データが S3 Intelligent-Tiering に書き込まれると、S3 Intelligent-Tiering の高頻度アクセス階層がデータの開始点となります。プロジェクト単位のわずかな料金で、S3 Intelligent-Tiering はアクセスパターンをモニタリングし、30 日間連続でアクセスされなかったオブジェクトを抵コストの低頻度アクセス階層に移動させます。これは、しばらくアクセスされていないオブジェクトの S3 ストレージコストの削減に役立ちます。その後、低頻度アクセス階層にあるオブジェクトへのアクセスがあると、このオブジェクトは自動的に高頻度アクセス階層に戻されますが、これはすべて S3 Intelligent-Tiering ストレージクラス内で行われます。S3 Intelligent-Tiering ストレージクラスの使用時に取得料金はかからず、アクセス階層間におけるオブジェクトの移動時にも追加の階層化料金はかかりません。さらに、S3 Intelligent-Tiering は S3 の標準ストレージクラスと同じ低レイテンシーと高スループットを提供します。

ファイルゲートウェイでの S3 Intelligent-Tiering の使用により、お客様はパフォーマンスに一切の影響を及ぼすことなく S3 ストレージコストを自動で最適化すると同時に、データの管理に関連する運用オーバーヘッドも削減することができます。このため、お客様はクラウドストレージコストを削減するだけでなく、データに最適なストレージクラスを特定しようとデータアクセスパターンを分析するために費やしていたであろう時間を解放することもできます。

どのような時にファイルゲートウェイで S3 Intelligent-Tiering を使用すればよいですか?

S3 Intelligent-Tiering は以下の状況で使用します。

  • アクセスパターンが不明確、または変化し続ける有効期間の長いデータがある
  • S3 ストレージコストを簡単かつ自動的に最適化したい
  • S3 標準と同じ低レイテンシーと高スループットのパフォーマンスが必要

以下は、S3 Intelligent-Tiering について考慮すべき要因です。

  • 予測可能なアクセスパターン: オブジェクトに予測可能性が極めて高いアクセスパターンがある場合は、ストレージコストの節約を最大化し、オブジェクト単位のモニタリング/オートメーションに対する少額の月額料金を避けるために、他の S3 ストレージクラスの使用を検討するようにしてください。
  • 小規模オブジェクト: S3 Intelligent-Tiering が対応する自動階層化の最小オブジェクトサイズは 128 KB です。これより小さいオブジェクトを保存することもできますが、常に高頻度アクセス階層の料金が課金されます。オブジェクトの大部分が 128 KB 未満である場合は、追加のモニタリング/オートメーション料金が発生しないように、それらを S3 標準に維持しておくとよいでしょう。
  • 有効期間が短いオブジェクト: S3 Intelligent-Tiering には、30 日間の最小ストレージ期間の料金がかかります。30 日未満でオブジェクトが削除された場合でも最小 30 日間の料金が課金されるため、有効期間が短いオブジェクトには S3 標準の使用をお勧めします。
  • 料金: 他の S3 ストレージクラスと同様に、毎月のストレージ、リクエスト、およびデータ転送に料金を支払います。高頻度アクセス階層に保存されるオブジェクトには、S3 標準と同じ料金が課金されます。低頻度アクセス階層に保存されるオブジェクトには、Amazon S3 標準 – 低頻度アクセス (S3 標準 – IA) と同じ料金が課金されます。S3 Intelligent-Tiering には、オブジェクト単位のモニタリング/オートメーションに対する少額の月額料金があるため、オブジェクトサイズが大きくなるほど、ストレージクラスがより一層経済的になることになります。

どのように使用を開始すればよいですか?

使用を開始するには、AWS マネジメントコンソールに移動して Storage Gateway を選択します。ファイルゲートウェイを前もって作成し、使用できるようにしておく必要があります。これからは、新しいファイル共有を作成する、または既存のファイル共有を変更するときに、共有設定にある「新しいオブジェクトのストレージクラス」オプションとして S3 Intelligent-Tiering が表示されます。

以下は、ファイル共有作成ウィザードで S3 Intelligent-Tiering を選択するステップのスクリーンショットです。

ファイル共有作成ウィザードで S3 Intelligent-Tiering を選択

新しいオブジェクトに S3 Intelligent-Tiering をストレージクラスとしたファイル共有を作成したら、ファイル共有の [詳細] タブに以下が表示されます。

新しいオブジェクトに S3 Intelligent-Tiering をストレージクラスとしたファイル共有を作成したら、ファイル共有の [詳細] タブに以下が表示されます

 

ステップバイステップの手順は、AWS Storage Gateway ユーザーガイドに記載されています。この新機能は、AWS Storage Gateway を利用できるすべてのリージョンでご利用いただけます。

まとめ

このブログ記事では、ファイルゲートウェイが S3 Intelligent-Tiering のストレージクラスとしての使用をサポートするようになったことを説明しました。S3 Intelligent-Tiering に関する詳細、この階層が実現するコスト最適化、および S3 Intelligent-Tiering の使用を決定するときの主な考慮事項も取り上げました。最後に、このストレージクラスを利用するためにファイルゲートウェイを使ってファイル共有を設定し、データをより効率的に保存してストレージコストを最適化する方法を紹介しました。詳細情報を確認して、ファイルゲートウェイでの S3 Intelligent-Tiering の使用を開始するには、以下のリンクをチェックしてください。

ファイルゲートウェイが S3 Intelligent-Tiering をストレージクラスとしてサポートする方法に関するこのブログ記事をお読みいただき、ありがとうございました。ご質問がおありの場合は、以下のコメント欄からお知らせください。