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AWS Supply Chain により可視性を向上し、サプライチェーンのレジリエンスを向上

世界的な経済、環境、社会的要因が依然としてサプライチェーンを混乱させています。これにより、組織が顧客の需要を満たし、運用コストを管理する能力が制限されています。サプライチェーンの問題の原因は様々ですが、サプライチェーンの可視性の欠如はその筆頭にあげられます。 ガートナーの調査 によると、サプライチェーンの可視性が向上すると、業務が合理化され、収益性が向上し、顧客体験が向上することがわかりました。

サプライチェーン関連のデータは、スプレッドシートなどの一般的なソースを含め、さまざまなシステムに散在していることがよくあります。従来のアプローチでは、特定の機能分野に合わせて作成された複数のレポートを使用するか、注文の可視化や輸送の可視化などのために個別のプラットフォームを使用するという方法がとられてきました。どちらのアプローチでも、異なるシステムを統合するには手作業が必要なため、お客様のスピードを低下させてしまいます。お客様からのフィードバックから、次の 2 つの共通的な課題が指摘されています。

  • お客様は、さまざまな形式や成熟度レベルのデータを統合したり、スプレッドシートなどのソースから情報を収集したりするために、多大なリソースと費用を投資しています。
  • 個別のプラットフォームはすぐに時代遅れで不正確になります。

レジリエンス(回復力、復元力)を高めるには、過去の寄せ集めの情報をもとにした受け身な対応から、サプライチェーン業務を全体的に可視化することによる将来予測へと移行する必要があります。

この記事では、今日直面しているサプライチェーンの可視化に関する主な課題と、 AWS Supply Chainを使用して可視性を向上させる方法について説明します。また、AWS Supply Chain が次の用途にどのように役立つかについても学びます。

  1. 顧客の需要への効率的な対応
  2. 市場と環境への対応の俊敏性の向上
  3. 在庫、リソースなどの運用コストを最小化
  4. 収益性の向上

サプライチェーンの可視化に関する課題

サプライチェーンは、需要計画、補充計画、輸送、実行管理などの関連機能に依存しています。理想的には、これらの機能はシームレスかつ調和的に相互運用できるはずですが、私たちが従来のアプローチを検証したところ、相互接続性が失われていることがわかりました。サプライチェーンを効果的に可視化するには、情報を確認したり、ステータスを取得したりするだけでは不十分です。可視性が高いということは、迅速で予測的な認識が可能になり、それにより俊敏な意思決定が可能になります。

サプライヤーから他のサプライチェーンへの商品の流れを管理する単純な多層サプライチェーンを考えてみましょう。次の図は、サプライヤー、製造施設、物流センター、店舗がピラミッド状に配置された小売店のサプライチェーンを示しています。この図は、仕入先から物流センター、店舗への完成品のワークフロー、および工場または製造施設、物流センター、店舗への原材料のワークフローを示しています。

The illustration shows a typical supply chain with goods flowing from suppliers to manufacturing and distribution centers before reaching the stores.サプライヤーの発注書(PO)に対する遅延通知などの問題により、主要な物流センターや工場で欠品が発生し、店舗での在庫切れにつながる可能性があります。これにより、顧客サービスレベルが低下し、収益が失われる可能性があります。パフォーマンスを低下させる可能性のあるサプライチェーンの問題の例は他にもたくさんありますが、サプライチェーン全体に広がる前に問題を認識しておくと、問題を未然に防ぐことが可能です。

可視性を統合的に持つことにより、個々の問題や関連する影響をすばやく特定できます。サプライチェーンの可視性が向上することで、あなたやチームは、いかなる混乱に対してもその広範な影響を迅速に特定し、対処することができます。これにより、顧客サービスレベルの低下、コストの増加、サプライヤーとの関係の悪化、生産スケジュールの混乱、ビジネスにおける潜在的な損失を防ぐことができます。

可視性が向上することで、障害の検出を迅速化し、対応時間を短縮し、最終的にはより良いリスク軽減策につながります。

他の物流センター、倉庫、店舗に関する情報にアクセスできると、実行可能な在庫再配置の選択肢を特定するのに役立ちます。解決策が見つかった場合は、他のサプライチェーングループとの調整が最適な再配置オプションの決定に役立ちます。このような積極的なアプローチにより時間を節約できるだけでなく、代替サプライヤーの利用や追加の速達料金のような有効でない代替ソリューションによって顧客を失望させたり、収益が悪化したり、コストが増加することを防ぐことができます。

AWS Supply Chainによる可視性の向上

AWS Supply Chain は、企業全体における可視性と、機械学習 (ML) に基づく実用的なインサイトを提供するエンドツーエンドのビジネスアプリケーションです。可視性と機械学習を活用したインテリジェンスにより、差し迫ったサプライチェーン関連の問題を特定して解決する能力が向上し、サプライチェーンのレジリエンスが高まります。

AWS Supply Chain は、エンタープライズリソースプランニング (ERP)、注文管理システム (OMS)、倉庫管理システム (WMS)、輸送管理システム (TMS)、その他の既存システム上にある意思決定を支援するレイヤーとして機能します。データが取り込まれると、AWS Supply Chain は ML モデルを使用してサプライチェーン全体のビューを表示します。

データはコンテキスト化され、ビジュアルマップの形式でサプライチェーンデータレイク (SCDL) に読み込まれるため、サプライチェーンの状態を追跡できます。次のスクリーンショットは AWS Supply Chain で利用できるビジュアルマップで、米国の地図上に、さまざまな場所に散在するサプライチェーンの例を示しています。このマップには、各拠点における現在の在庫状況、潜在的なリスク、およびサプライチェーンリスクが表示されます。このダイナミックマップは、色分けされたドーナツグラフを使用して各場所の状態を示しています。個々のドーナツグラフから、需要を支えられる在庫の割合とリスクのある在庫の割合がわかります。

The illustration shows a map of the US with four inventory storage locations in Seattle, Texas, Indianapolis, and Washington DC.

AWS Supply Chain は、従来必要であったさまざまなデータソースを統合し、統一されたビューを手動で作成するというアプローチを置き換えるものです。こうした作業には時間がかかり、データが最初に抽出された時点の在庫状況のスナップショットしか提供されない場合があります。サプライチェーンの状態を確認する頃には、すでに情報が古くなっているかもしれません。

AWS Supply Chain のマップとビューは、ソースデータの更新に合わせて更新されます。これにより、人手を介さなくても可視性が維持されます。処理時間を節約し、情報の更新を迅速に行い、データが不正確になるリスクを軽減します。

詳しく調べたい場合は、倉庫、物流センターや店舗を調べて、その場所のサプライチェーンの状態を評価できます。マップビューと同様に、その場所の状態が色分けされて表示され、需要に対応できるかどうかが予測されます。このビューには、手持ち在庫、輸送中の在庫、およびリスクがある可能性のある在庫が表示されます。

AWS Supply Chain はサプライヤーのリードタイムを分析し、ML を使用して将来のリードタイムを予測します。次に、リードタイムの予測を手持ち在庫、未処理の顧客注文、および製品予測と比較して、潜在的な問題を特定します。在庫切れや在庫過剰などの問題が特定された場合、AWS Supply Chain は ML アルゴリズムを使用して在庫再配置のオプションを生成し、サプライチェーンのリスクを軽減します。

AWS Supply Chain は、サプライチェーン内の複数の拠点を評価し、複数の在庫再配置の選択肢を自動的に評価、ランク付け、共有し、お客様が検討できるようにします。次のスクリーンショットは、システムによって生成された推奨事項と各選択肢のスコアを示しています。推奨事項画面には、解決されたリスクの割合、施設間の距離、持続可能性への影響(CO2排出量に関するデータなど)に基づいてスコアが付けられ、色分けされた選択肢のリストが表示されます。色付きのボックスは、再配置の将来の影響と、再配置のアクションによって発生する可能性のある問題を示しています。このビューにより、他の拠点をリスクにさらすことなく、潜在的なリスクのバランスをすばやく調整できます。

The illustration shows suggested decisions of how to rebalance inventory across storage locations.

将来の解決策や推奨事項も在庫再配置の決定に基づいて改善されるため、AWS Supply Chain はお客様の好みや決定に合わせて再学習します。また、特定の場所、ターゲット、または主要なビジネス分野に焦点を当てるのに役立つように、場所やリスクの種類(在庫切れや過剰在庫リスクなど)ごとにウォッチリストを作成することもできます。これにより、リスクの検出が向上し、リスク軽減の意思決定を迅速に行えるようになります。

結論

AWS Supply Chain は、サプライチェーンの可視性を向上させることで、サプライチェーンのレジリエンスを高めます。AWS Supply Chain は、手動で行っていた多くの作業を簡単にし、サプライチェーンの健全性を判断するためにこれまで必要だった非生産的な時間を減らします。可視性の向上により問題を検出し、対応する時間が短縮されるというメリットがあります。また、機械学習はサプライヤーのリードタイムの異常を検出し、計画を改善し、効果的なリスク軽減アクションを可能にします。サプライチェーンの可視性を向上、維持させることで、ボトルネックや潜在的な混乱を特定できます。また、意思決定の迅速化により、業務に影響を与えずに潜在的な問題を迅速に軽減できます。

これらの改善により、顧客の要求に効果的に対応し、市場や環境の変化に適応し、運用コストを削減できるようになるため、サプライチェーンのレジリエンスが向上します。 AWS Supply Chain にアクセスして詳細を確認し、使用を開始してください。また、 AWS Workshop Studio にアクセスし、自分のペースでソリューションの技術的な概要を確認してください。

本ブログはソリューションアーキテクトの水野 貴博が翻訳しました。原文はこちら

著者について

Vikram BalasubramanianVikram Balasubramanianは、サプライチェーンのシニア・ソリューション・アーキテクトです。Vikramは、サプライチェーンの経営幹部と緊密に連携して、彼らの目標や問題点を理解し、解決策の観点からベストプラクティスと連携させています。Vikramは17年以上にわたり、サプライチェーン分野のさまざまな業種のフォーチュン500企業で働いてきました。Vikramは、パデュー大学でインダストリアルエンジニアリングの修士号を取得しています。ヴィクラムはノースダラス地域を拠点としています。