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AWS ModAx によるモダナイゼーションで、クラウドのメリットを最大化

オンプレミスのワークロードをクラウドに「リフトアンドシフト」することは、クラウドへ迅速に移行するための優れた選択肢です。このアプローチを採用している組織は、クラウドのモダナイゼーションのメリットを活用するのに適した立場にあります。クラウドへの最初の移行はコスト削減とスケーラビリティの向上につながる可能性がありますが、アプリケーションと開発プロセスを最新化することでさらに多くのメリットが得られます。

このブログでは、AWS で開発されたモダナイゼーションの方法論である Modernization Experience Based Acceleration (ModAx) がクラウドのモダナイゼーションを加速させるのにどのように役立つかを紹介します。

なぜアプリケーションをモダナイズする必要があるのか?

オンプレミスアプリケーションは通常、柔軟性、耐障害性、自動化など、クラウドが提供する機能を活用するようには設計されていません。リフトアンドシフトアプローチを使用して移行したワークロードには引き続きこのような制限があり、技術的負債はクラウドに引き継がれます。緊密に結合されたモノリシックなアプリケーションと DevOps の自動化の欠如は、ビジネスに必要なアジリティを制限することになります。組織がイノベーションのペースを速め、新しい顧客体験を構築しようとする場合、アプリケーションの構築と運用の方法をモダナイズすることが鍵となります。では、モダンアプリケーションとは何でしょうか?

モダンアプリケーションとは、最新のテクノロジー、アーキテクチャ、ソフトウェアデリバリープラクティス、運用プロセスを組み合わせたものです。これにより、チームはより素早く、頻繁に、継続して価値を提供できるようになります。運用ツールとセキュリティツールを活用して、導入の信頼性と一貫性を高めながら、デプロイを1 日に何度も安全に実行します。AWS クラウドプラットフォームは、ソフトウェアの構築と維持に必要なサービスを提供します。サーバーレスコンテナフルマネージドデータベースなどのテクノロジーは、最も困難なビジネス要求にも対応する、高速で安全なモダンアプリケーションの鍵です。これにより、チームはIT内部ではなく、ビジネス価値とイノベーションに時間を集中できます。インフラストラクチャのプロビジョニング、コードのデプロイ、テスト、脅威の検出、監視と警告、災害復旧は、クラウド上で完全に自動化できます。

モダナイゼーションに関する共通の課題

モダナイゼーションの取り組みを遅らせ、顧客がクラウドのメリットを享受することを妨げている共通の課題を見てみましょう。最初の課題は、複雑なモノリシックアプリケーションを理解するのが難しいため、リファクタリングが困難なことです。これらのアプリケーションは時間の経過とともに老朽化し、密結合や、もはや会社に在籍しない開発者が書いたレガシーコードが原因で、解き明かすのが難しいことがよくあります。
2つ目の課題は開発者はマイクロサービス、コンテナ化、DevOpsクラウドテクノロジーを使ってアプリケーションをモダナイズするのに必要なスキルセットを欠いている可能性があります。これは開発の遅延、複雑でコストのかかるアーキテクチャにつながり、セキュリティの脆弱性をもたらします。
3つ目の課題は組織のサイロ化です。チーム間のコミュニケーションやコラボレーションが限られているという特徴があり、テクノロジーのモダナイズへの取り組みを大幅に遅らせる可能性があります。それらは情報共有を妨げ、コラボレーションを妨げ、変化への抵抗を生み出し、非効率的な資源配分につながり、モダナイゼーションへのアプローチを断片化します。
4つ目の課題は分析が機能しないことです。組織が選択肢の分析や長所と短所の比較検討に多くの時間を費やしていると、モダナイゼーションプロセスを加速する機会を逃してしまいます。クラウドを利用すると、積極的にイノベーションを進めながらも方向を素早く修正できるため、双方向の意思決定が現実のものとなります。
最後に、モダナイゼーションの取り組みは、優先順位が相反する複数のチーム間で作業を調整する必要があるため、管理が複雑になる可能性があります。モダナイゼーションによるビジネス成果について、利害関係者の意見を一致させることが重要です。モダナイゼーションのメリットを定量化して追跡し、その価値を実証する必要があります。そうしないと、企業は短期的な目標を優先し、長期的な利益を引き出すモダナイゼーションの取り組みを遅らせることになります。

Modernization Experience Based Acceleration (ModAx)

AWS Experience-Based Acceleration (EBA) は、ModAx を支える方法論であり、アプリケーションの評価、有効化、実行プロセスを組み合わせて、チーム内のモダナイゼーション力を強化します。

上の図で示すように、ModAx プロセスは「アセスメント & アーキテクト」と「ビルド & デプロイ」という2つの主要なフェーズで構成されています。アセスメント & アーキテクトのフェーズでは、組織のモダナイゼーションへの準備状況を評価するために、モダナイゼーションアセスメントを実施します。このアセスメントでは、モダナイゼーションの成果について、さまざまなチームの利害関係者が意見を一致させます。このフェーズでは、モダナイゼーションの潜在的な候補として2〜3個のアプリケーションが特定されます。対象となる状態のアーキテクチャとサービスが明確に定義され、文書化されます。このフェーズは1週間にわたり、以降の 「ビルド & デプロイ」フェーズの基礎となります。

4~6週間続く「ビルド & デプロイ」フェーズでは、選択したアプリケーションに最小実行可能な製品 (MVP) 機能を提供するための詳細な計画と準備を行います。ワークストリームのリーダーは AWS ソリューションアーキテクトまたはパートナーと協力して、前提条件となる ModAx タスク、バックログアクティビティ、および依存関係を特定します。定期的な会議において、進捗状況を追跡し、問題に対処します。チームメンバーは Immersion Days を通じてモダナイゼーションを実行するために必要なスキルについてトレーニングを受けます。最後の3日間の ModAx 全員参加型パーティーフェーズでは、チームが集まって、対象を絞り込んだモダナイゼーションアクティビティを実行し、スプリントを計画し、部門を越えてMVPを構築して導入することを完了させます。

Modernization Pathways

ModAx では、以下の6つの定義済みモダナイゼーションパスウェイのうち1つ以上を採用して、アプリケーションの決定とモダナイゼーションのアプローチを効率化します。

  1. Move to Cloud Native: このアプローチは、モノリスをマイクロサービスに分解し、それによってアジャイルでスケーラブルなアーキテクチャを実現することに重点を置いています。
  2. Move to Containers: 「Move to Containers」の背後にある中心的な考え方は、お客様が既存のアプリケーションをコンテナ化したり、既存のコンテナオーケストレーションワークロードをフルマネージド型の Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) または Amazon Elastics Kurbenetes (Amazon EKS) に移行したりできるようにすることです。
  3. Move to Managed Databases: AWS では、お客様がモダナイズするために選択できるさまざまなデータベースソリューションを提供しています。このアプローチは、フルマネージド型の Amazon Relational Database Service (Amazon RDS)目的別データベースによるモダナイズに焦点を当てています。
  4. Move to Open Source: このアプローチは、既存の .NET ワークロードをオープンソースに移行することに重点を置いています。AWS のスケーラブルなインフラストラクチャとマネージドサービスは、この移行のメリットをさらに拡大し、オープンソースアプリケーションのホスティングとデプロイのための信頼性が高く効率的なプラットフォームを提供します。
  5. Move to Modern Analytics: モダンアナリティクスへの移行は、データウェアハウス、データ処理、AWS での分析を活用しリアルタイム分析に焦点を当てたお客様のデータレイクイニシアチブを支援するという考えに基づいています。
  6. Move to Modern DevOps: このパスウェイを利用することで、お客様は最新の DevOps プラクティスを統合し、パイプラインのデプロイを自動化した最新の運用に移行できます。AWS のデベロッパー用のツールを活用することで、組織はデジタルトランスフォーメーションの取り組みをさらに加速し、アプリケーションをより速く、より確実に、より低コストで提供できます。

ModAxのメリット

ModAxは、組織、管理、開発者の各レベルで企業に利益をもたらします。リーダーシップの連携の強化、プロセスの障害の特定と排除、組織のサイロ化の解消、スケーラブルで持続可能な作業モデルの確立に役立ちます。EBAは導入に関連する摩擦点を特定し、特定のイニシアチブについて有意義な成果に向けて加速し、最終的にはデリバリーのプレッシャーを軽減できるため、マネージャーにとってメリットがあります。ビルダーが EBA を楽しんでいるのは、中断することなく特定のタスクに集中でき、AWS の専門家の指導の下で新しいアーキテクチャや AWS サービスを試すことができるからです。さまざまなタイプの EBA とそれを活用するためのベストプラクティスについては、「Level up your Cloud Transformation with Experience-Based Acceleration (EBA)」を参照してください。

ModAx EBA についてお客様からのコメント

Koch Industries社「EBAのおかげで、実際のユースケースを体験することができました。知識やトラブルシューティングに AWS リソースを利用できるだけでなく、チームメンバーとの専任の開発時間を途切れることなく集中して過ごすことができたのは素晴らしいことです。これは実際には簡単には得られません。私たちは問題を早期に発見し、より良い設計を考え出し、その結果、より良いソリューションを構築しました。さまざまなテクノロジーを既存のアプリケーションと組み合わせて実際に実装したことで、ソリューションを差別化し、新しいアーキテクチャやテクノロジーに最新化する方法を理解するのに本当に役立ちました。」— Koch Engineered Solutions社(KES)のソフトウェア開発スーパーバイザー、Mike Engle氏

Baker Tilly記事 — 「Why building and scaling a cloud modernization strategy is important to your organization’s bottom line」から抜粋
「AWS EBA の方法論は、組織内のサイロを解消するのに非常に効果的でした。EBAプランニングと3日間のオンサイトで達成したことは、本来なら何ヶ月も掛かっていたでしょう! Baker Tillyのチームは、本当に刺激を受け、モチベーションが高まり、EBAが完了した後でも、新しいアジャイルな働き方を取り入れ続けています。」— Baker Tillyのクラウド担当ディレクター、Sean Narsingh氏

ModAx を始めましょう

モダナイゼーションの旅を始める準備はできていますか? ModAx の詳細と、ModAx がクラウドへの移行を加速させるのにどのように役立つかについては、AWS にお問い合わせください。クラウドは初めてですか? ビジネスの変革を開始するには、AWS にお問い合わせください。

この記事はアマゾン ウェブ サービス ジャパン ソリューションアーキテクトの小森谷一生が翻訳を担当しました。原⽂はこちらです。