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週刊生成AI with AWS – 2024/6/17週

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの小林です。

6月20日から21日にかけてAWS Summit Japanが開催されました!たくさんの方にご来場頂き、本当にありがとうございました。初日の基調講演では生成AIに関するニュースをお届けしました。お客様事例登壇も大変興味深いものでしたので、ご覧になっていない方は7/5までオンデマンドで配信中の動画をぜひご覧ください。ここではサービス関係のお知らせをまとめていきましょう。

  • 7月中に、東京リージョンのAmazon BedrockでAnthropic Claude 3をご利用可能に
  • 2024年中に、Amazon Q Businessの日本語正式サポートと東京リージョン対応を実施
  • 生成AI実用化推進プログラムを発表。基盤モデル自体を開発・カスタマイズする方と、既存のモデルを活用してプロダクトやソリューションの機能や価値を高めたい方の両方を支援(詳細は近日発表)

また、日本時間の6月20日から21日にかけて、AnthropicからClaude 3.5 Sonnetが発表されました。このモデルはバージニアリージョンのAmazon Bedrockを介してご利用頂けるようになっていますので、こちらもご注目ください。

それでは、6 月 17 日週の生成AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。

さまざまなニュース

    • ブログ記事「Anthropic’s Claude 3.5 Sonnet model now available in Amazon Bedrock: Even more intelligence than Claude 3 Opus at one-fifth the cost」を公開
      冒頭でも書きましたが、AnthropicのClaude 3.5 Sonnetが発表され、バージニアリージョンのAmazon Bedrockにてご利用頂けるようになっています。Claude 3.5 SonnetはClaude 3 Opusよりも高いベンチマークスコアを記録する高い能力を発揮すると同時に、Opusよりも80%安価にご利用頂けるとされています。用途に応じて適したモデルを選べるのがAmazon Bedrockの価値のひとつですので、Anthropicのモデルもそうですが他の多言語対応をうたっているモデル、例えばCohere Command R/R+などと比較し、最適なものを選択しましょう。
    • AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社ナウキャスト様、決算短信データ抽出業務にLLMを適用
      株式会社ナウキャスト様は、POSデータやクレジットカードの決済データを解析し、生活者の消費行動や企業活動をより早く正確に捉えるデータソリューションの提供に取り組んでいます。そのためにはデータが必要不可欠ですが、膨大な適時開示資料から人力でデータ抽出を行っており、作業負担が課題になっていました。ナウキャスト様はLLM(大規模言語モデル)を自然言語の処理技術として捉え、適したタスクの見極めを行うことを考え、「セグメント別売り上げ情報抽出」が適したタスクのひとつだと判断、Amazon Bedrockを介したClaude 2で処理を行うこととしました。それによって抽出精度90%を達成、作業工数を50%削減という結果を達成しています。またローコード開発ツールStreamlitとAWSのマネージドサービスを活用し、担当者1名という限られたリソースで短時間の開発と検証を実施したそうです。今後は対象業務と銘柄の拡大を行い、データ単体のマネタイズやオペレーション自体の顧客への提供を考えているとのことです
    • ブログ記事「非構造化金融データに隠された関連性を Amazon Bedrock と Amazon Neptune で発見する」を公開
      先週公開されたブログですが、ピックアップ漏れがあったので今回紹介します。生成AIの適用が期待される領域に、データから新たな洞察(インサイト)を得るというものがあります。このブログ記事では、フルマネージドなグラフDBのサービスであるAmazon Neptuneと、Amazon Bedrockの生成AIモデルを活用することにより、金融データに隠れたデータ間の関連性を見いだす方法を解説するものです。

サービスアップデート

    • AnthropicのClaude 3.5 SonnetがAmazon Bedrockで利用可能に
      既にお知らせしているように、AnthropicのClaude 3.5 SonnetがバージニアリージョンのAmazon Bedrockでご利用頂けるようになりました。
    • Amazon BedrockがCohere EmbedモデルによるCompressed Embeddingsをサポート
      Amazon BedrockでCohereのEmbedを利用したCompressed Embeddingsに対応しました。これは検索拡張生成(RAG)やセマンティック検索で利用されるケースが多い機能で、生成AIを組み込んだアプリケーションを効率化します。一般的にはEmbeddings形式のデータは、FP32(32ビット浮動小数点数)で表現されますが、Compressed EmbeddingsはINT8(8ビット整数)またはバイナリで表現します。これらのデータはFP32よりもサイズが小さく、ベクトルデータベースへの負荷や検索の時間的・費用的コストを抑えることが可能です。生成AIアプリケーションの大規模展開を考えるとベクトルデータベースへの負荷が課題になるケースがあり、そういった場合に検討できる対策のひとつといえます。
    • Amazon SageMakerでフルマネージドなMLflow機能を提供開始
      MLflowは機械学習のライフサイクル管理で利用されるオープンソースツールのひとつです。今回、SageMakerでフルマネージドなMLflowのトラッキングサーバーを利用できるようになりました。MLflowへのアクセスはAWS IAMによって制御可能で、開発者の方は使い慣れたMLflowを利用した実験・分析を容易に実行できます。
    • Amazon SageMaker HyperPodがクラスタストレージのカスタマイズに対応
      Amazon SageMaker Hyperpodはモデルの分散トレーニングのためのインフラストラクチャの構築と最適化を容易にする仕組みです。今回、SageMaker Hyperpodで構築されるクラスタのストレージがカスタマイズ可能になり、一般的なユースケースよりも大容量のストレージを必要とする場合にも対応できるようになりました。
    • Amazon SageMaker JumpStartで基盤モデルに対する詳細なアクセス制御が可能に
      Amazon SageMaker JumpStartは生成AIを支える基盤モデルをなど学習済みのモデルをすぐに起動できる枠組みで、機械学習に関するタスクを素早く始めることを可能にするハブとして機能します。今回、管理者が組織内のユーザに対して利用できる基盤モデルを細かく制御できるようになりました。SageMaker SDKを利用してSageMaker JumpStartにプライベートなハブを作成し、ユーザが利用してよいモデルだけを登録できるようになりました。これによって、例えばApahce 2.0ライセンスのもののみ触って良い、といったルールを適用することが容易になります。
    • Amazon CodeCatalystでブループリントの選択にAmazon Qを活用可能に
      Amazon CodeCatalystはAWSで稼働するシステムの構築・開発を迅速化する統合ソフトウェア開発サービスです。CodeCatalystを利用して開発を開始する方法のひとつが、プロジェクトのひな形のようなブループリントを利用する方法です。これまではブループリントの説明文を読んで適しているものを判断する必要がありましたが、Amazon Qとの統合により自然言語でプロジェクトの概要を説明することで、適したブループリントを提案してくれるようになりました。
    • Amazon CodeCatalystがAmazon Qによる問題分析と推奨されるタスク分割の出力に対応
      Amazon CodeCatalystがAmazon Qとの統合を強化し、問題の分析と推奨されるタスク分割を提案することが可能になりました。従来、プロジェクトにおけるタスクは主導で作成する必要がありましたが、今回のアップデートで問題の複雑さをAmazon Qに分析させ、作業を詳細タスクに分割するアイデアを提示してもらうことが可能になりました。
    • Amazon CodeCatalystがGitHub CloudとBitbucket CloudとAmazon Qの連携に対応
      Amazon CodeCatalystで、GitHub CloudやBitbucket Cloudに保存されたソースコードレポジトリに対してAmazon Qによる開発支援が可能になりました。CodeCatalystで管理されるタスクをAmazon Qに割り当てることによって、これらのサービスで保存されるコードを分析し、対応計画を作成し、プルリクエストを生成できます。

著者について

Masato Kobayashi

小林 正人(Masato Kobayashi)

2013年からAWS Japanのソリューションアーキテクト(SA)として、お客様のクラウド活用を技術的な側面・ビジネス的な側面の双方から支援してきました。2024年からは特定のお客様を担当するチームを離れ、技術領域やサービスを担当するスペシャリストSAチームをリードする役割に変わりました。好きな温泉の泉質は、酸性-カルシウム-硫酸塩泉です。