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E.ON 社 が NET2GRID を利用してエネルギーディスアグリゲーションを提供し顧客エンゲージメントを向上

この記事は、「E.ON Enhances Customer Engagement Through Energy Disaggregation with NET2GRID」を翻訳したものです。

このブログは、AWSパートナである Net2Grid CEO Bert Lutje Berenbroek 氏によって寄稿されました。

2017年、ドイツ市場ではまだスマートメーターの設置が待たれていましたが、E.ON 社はデジタルメーターに基づくリアルタイムのエネルギー消費量のディスアグリゲーション(訳註:世帯内のどの機器でどの程度電力消費されているか詳細に分解・分析すること)などの付加価値のあるサービスをいち早く顧客に提供したいと考えていました。NET2GRID 社は、EUの一般データ保護規則(GDPR)や長距離(LoRa)と短距離(Wi-Fi)の両方のソリューションを必要とするドイツのメーター設置場所のサポート要件を満たし、E.ON 社の入札を勝ち取りました。さらに、NET2GRID 社のディスアグリゲーション精度は、E.ON 社が選定する際の重要な基準であり、その結果、Amazon Web Services(AWS)上での展開が決定されました。

E.ON社の革新的なオファリング

E.ON 社は、ドイツのエッセンに本社を置く、国際的な民間エネルギー供給会社です。E.ON 社は、2つの強力なコアビジネスに明確に注力し、エネルギーおよび顧客ソリューションのパートナーとして選ばれることを目指しています。E.ON 社は、「Smart Control サービスアプリケーション」 を開発し、NET2GRID 社は、スマートリーダーのハードウェア、プラットフォーム、非侵入型負荷監視(NILM: Non-Intrusive Load Monitoring - 訳註:個別の装置にセンサー等を設置せずに配線を流れる電流の変化を検知することで装置の違いを識別する技術)の機能部分を提供しました。Smart Control は、お客さまの電気使用量を詳細に表示・管理できるサービスです。関連するモバイルアプリケーションとウェブアプリケーションによって消費量が可視化され、お客さまはエネルギーを消費している機器を特定したり、複数の機器を比較したり、エネルギーコストの内訳を把握したりすることが可能になります。E.ON 社は2019年にドイツで、デジタルメーターを活用した Smart Control サービスを自社顧客に対して開始しました。

E.ON Smart Control の顧客向けモバイルアプリのインターフェイス

Smart Control のデータ処理、データ保存、データ削除の機能は、GDPR の要件を考慮しています。NET2GRID は、E.ON の AWS アカウントにプラットフォームサービスをインストールすることで、E.ON が安全なデータ管理者となり、GDPR に沿った独自の条件を顧客に設定できるようにしました。

お客様へのこだわり(Customer Obsession)が大きな成果を生む

E.ON Smart Control サービスは、これまで高いレベルの顧客満足度を生み出し、その結果、顧客ロイヤルティが大幅に改善しました。2020年10月に調査した Smart Control のユーザーは、60%という素晴らしいネット・プロモーター・スコア(NPS)で回答しました。また、50%のユーザーが毎日、90%のユーザーが週に1回以上アプリケーションを利用していることも明らかになりました。ディスアグリゲーション機能は、お客様に最も評価されている機能の一つであり、お客様のエンゲージメント向上に貢献していることがわかりました。

E.ON Smart Control を利用することで、消費者は電気使用量を正しく理解・把握し、「電気代の浪費者(訳註:家庭内の電気機器)」を即座に特定できるだけでなく、家庭内のエネルギー消費機器を比較して節約することが初めて可能になりました。このサービスにより、消費者は消費量をより具体的に把握できるようになり、個々の機器が消費量全体に与える影響を明確に把握できるようになります。消費者は、どこで大きなコストが発生しているかを正確に把握し、コストを管理・削減するための対策を簡単に講じることができるようになりました。

顧客から高い評価を得たアプリケーション機能

Google Play では星 4.6、App Store では星 4.3と評価されている E.ON Smart Control アプリケーションには、リアルタイムでの総電力消費量とコストの表示、電気機器カテゴリレベルでの消費量とコストの表示、各顧客の家庭の検針結果の比較統計と分析が含まれています。また、必要に応じて、消費量が異常に多い場合に警告を発するように設定することができ、機器のスイッチがオフになっているかオンになっているかを確認したり、家庭内で電力ピークが発生した場合に警告を発したりすることもできます。

利用ユーザーのフィードバック

E.ON Smart Control アプリでは、冷蔵庫(冷凍庫、冷凍室付き冷蔵庫)、オーブン・コンロ、洗濯機、食器洗い機、洗濯乾燥機などの機器を認識します。また、テレビやゲーム機などの待機中の機器をまとめて1つのカテゴリーに分類します。最後に、 E.ON Smart Control は、実際にかかった月々のコストと設定した前払い金を比較します。差額が生じた場合は、エネルギー供給会社に標準的な月額料金を調整してもらうことができます。これにより、年末に請求書が届いたときの想定外の高額請求を防ぐことができます。

AWS を活用した NET2GRID の E.ON への展開方法

NET2GRID は AWS パートナーであり、AWS CloudFormation を使用して E.ON の AWS アカウント内にサービスを展開し、Amazon Elastic Container ServiceAWS Lambda を多く利用することで、拡張性の高いソリューションを実現しました。また、Amazon CloudWatch を使用して、AWS サービスのリアルタイムモニタリングをサポートしています。

NET2GRID が E.ON 社の AWS アカウント内にプラットフォームを導入したのには、いくつかの理由があります。E.ON 社はさまざまな国に複数の子会社を持っていますが、そのすべてが AWS 上の同じ E.ON NET2GRID サービス・デリバリー・プラットフォーム(SDP)上で稼働できるようにしているため、E.ON 社は異なる市場でのパフォーマンスを比較することができます。AWSでは、エンドユーザーの増加に伴う需要変化に応じて、必要なAWSリソースを自動的に拡張することができます。NET2GRID は、AWSの異なるアベイラビリティーゾーン間の自動フェイルオーバー機能を利用して、ビジネスの継続性を確保しています。最後に、AWSは簡単にアップグレードできるため、E.ONは新しい機能を素早く構築、テストし、市場に投入することができます。

E.ON 社の役員幹部からのフィードバック

E.ON 社の役員からのフィードバックは、エンドユーザーからのポジティブなフィードバックを反映しています。例えば、ドイツの E.ON 社のスマート・データ・ドリブン・ソリューション担当副社長の Matthias Terschueren 氏は、「Smart Control アプリは、E.ON 社で最も革新的な製品の一つです。ユーザーの90%が週に1回以上このアプリにアクセスしています。これは、お客様のご家庭における当社の関連性を示すものです。」と述べています。

また、E.ON Energie Deutschland 社のスマートコントロール責任者である Jens Puknat 氏は、「お客様は E.ON Smart Control アプリを気に入ってくださっており、私たちが提供するサービスは真の付加価値を生み出しています。E.ON Smart Control はデジタル世代の精神を象徴しており、コスト削減と環境保護を同時に実現する可能性を提供しています」と述べています。

まとめ

NET2GRID の E.ON社の Smart Control アプリケーションのサポートに登録して、顧客事例の全内容をダウンロードすることが可能です。または AWS Power & Utilities online サイトをご覧ください。

本ブログは、ソリューションアーキテクトの丹羽が翻訳しました。原文はこちらです


著者について

Bert Lutje Berenbroek

Bert Lutje Berenbroek

Bert Lutje Berenbroek 氏は、シリコンバレーやボストンの革新的な企業で20年にわたり半導体ビジネスに携わってきました。10年前に NET2GRID を設立し、リアルタイムのエネルギーデータへのアクセスが、エネルギー転換を支えるパズルのピースとして必要であるというビジョンを持っています。