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新サービス – Amazon FSx for NetApp ONTAP

2018 年に、フルマネージドで信頼性が高く、高性能なファイルシステムである Amazon FSx ファミリーの最初の 2 つのサービス、すなわち Amazon FSx for LustreAmazon FSx for Windows ファイルサーバーについての記事を書きました。これらの両方のサービスでは、ハードウェアのプロビジョニング、ソフトウェア設定、パッチ適用、バックアップなどに対処することなく、一般的なオープンソースおよび商用ライセンスファイルシステムを使用できます。これらのリリース以降、お客様のリクエストに応じて、両方のサービスに多くの新機能を追加しました。

Amazon FSx for Lustre は、長期的なストレージとワークロード用の SSD および HDD ベースのストレージ、ストレージ容量のスケーリングクラッシュコンシステントバックアップデータ圧縮、およびストレージクォータを備えた永続ファイルシステムをサポートするようになりました。

Amazon FSx for Windows ファイルサーバーは、マルチ AZ ファイルシステム、セルフマネージド Active Directory、きめ細かなファイルの復元、ファイルアクセス監査、ストレージサイズおよび容量スループットのスケーリング、および低コストの HDD ストレージオプションなど、多くのエンタープライズに対応した機能をサポートするようになりました。

これらのサービスは、Lustre および Windows ファイルサーバーのユーザーが既に十分に理解しているファイルアクセスとストレージのパラダイムをサポートしているため、既存のアプリケーションを簡単に移行し、使用時に既存の運用体制を簡単に微調整できます。移行は重要ですが、新しいアプリケーションも同様に重要です! すべての Amazon FSx システムは、ファイルシステムが提供する一連の豊富な機能とともに、高性能フルマネージドストレージを必要とするアプリケーションを簡単に構築できるようにします。

Amazon FSx for NetApp ONTAP
頻繁にお伝えしているとおり、当社では常にお客様のニーズを満たすためのより多くの方法を模索しています。この目的のため、当社では Amazon FSx for NetApp ONTAP を2021 年 9 月 2 日リリースします。ONTAP ファイルシステムの一般的な機能、パフォーマンス、および API を、AWS の俊敏性、スケーラビリティ、セキュリティ、および回復力と併せて利用することで、ネットワークアタッチドストレージ (NAS) アプライアンスに依存するオンプレミスアプリケーションを AWS により簡単に移行できます。

ONTAP (NetApp 製品) は、Oracle、SAP、VMware、Microsoft SQL Server などでの使用に適した高性能ストレージを提供するように設計されたエンタープライズデータ管理サービスです。ONTAP は柔軟かつスケーラブルで、マルチプロトコルアクセスと 176 PiB までスケールアップできるファイルシステムをサポートします。インラインデータ圧縮、重複排除、圧縮、シンプロビジョニング、レプリケーション (SnapMirror)、ポイントインタイムクローン (FlexClone) など、データ管理のコストをより低く抑え、かつ、データ管理をより容易にするために設計された幅広い機能をサポートしています。

FSx for ONTAP はフルマネージドであるため、これらのすべての機能の使用を数分で開始できます。AWS は、ファイルサーバーとストレージボリュームのプロビジョン、レプリケーションの管理、ソフトウェアの更新とパッチのインストール、誤動作するインフラストラクチャコンポーネントの置き換え、フェイルオーバーの管理などを行います。オンプレミスの NAS 環境からデータを移行する場合でも、まったく新しいクラウドネイティブアプリケーションを構築する場合でも、多くの点でご満足いただけることでしょう。 移行する場合は、既存のツール、ワークフロー、プロセス、および運用に関する専門知識を活用しながら、フルマネージドファイルシステムのすべての利点から恩恵を受けることができます。まったく新しいアプリケーションを構築する場合は、ONTAP の一連の豊富な機能を活用するクラウドネイティブなエクスペリエンスを作成できます。いずれの場合でも、数十万の IOPS をサポートするようにスケールでき、コンピューティング、ストレージ、およびネットワークコンポーネントの舞台裏における継続的な進化から恩恵を受けることができます。

ストレージ階層は 2 つあり、インテリジェントな階層化を有効にして、必要に応じてそれらの間でデータを移動できます。

Primary Storage は、高性能ソリッドステートドライブ (SSD) 上に構築され、アクティブな、および/またはレイテンシーの影響を受けやすいデータセットの一部を保持するように設計されています。ファイルシステムごとに最大 192 TiB のプライマリストレージをプロビジョンできます。

Capacity Pool Storage は必要に応じて拡張および縮小し、ペビバイトにスケールできます。コスト最適化されており、アクセス頻度の低いデータを保持するように設計されています。

Amazon FSx for NetApp ONTAP ファイルシステム内では、1 つ以上のストレージ仮想マシン (SVM) を作成でき、それぞれが 1 つ以上のボリュームをサポートします。ボリュームには、NFS もしくは SMB を介して、または共有ブロックストレージ用の iSCSI LUN として、アクセスすることができます。この図表からわかるように、AWS コンピューティングサービス、VMware Cloud on AWS、およびオンプレミスアプリケーションから各ボリュームにアクセスできます。

オンプレミスアプリケーションが既に独自のデータセンターで ONTAP を利用している場合は、クラウドで ONTAP ファイルシステムを簡単に作成し、NetApp SnapMirror を使用してデータをレプリケートし、Amazon FSx for NetApp ONTAP が提供するすべての利点を活用できます。

Amazon FSx for NetApp ONTAP の開始方法
コマンドライン、AWS マネジメントコンソール、または NetApp Cloud Manager から最初のファイルシステムを作成できます。API コールを実行するか、CloudFormation テンプレートを使用することもできます。ここではマネジメントコンソールを使用します。

各ファイルシステムは Virtual Private Cloud (VPC) 内で実行されるため、まず VPC とサブネットのペア (優先およびスタンバイ) を選択します。すべての SVM は、両方のサブネットに関連付けられたアベイラビリティーゾーンにエンドポイントを持ち、継続的なモニタリング、自動フェイルオーバー、および高可用性を確保するための自動フェイルバックを備えています。

Amazon FSx コンソールを開き、[Create file system] (ファイルシステムを作成) をクリックし、[Amazon FSx for NetApp ONTAP] を選択して、[Next] (次へ) をクリックします。

[Quick create] (クイック作成) を選択してベストプラクティスのセットを使用することも、[Standard create] (標準作成) を選択してすべてのオプションを自ら設定することもできます。必要に応じて後ですべての設定オプションを変更できるため、ここでは最初のオプションで続行します。[Quick create] (クイック作成) を選択し、ファイルシステムの名前を入力し (jb-fsx-ontap-1)、ストレージ容量を GiB で設定します。また、[VPC] を選択し、ONTAP のストレージ効率機能を有効にします。

すべての選択内容を確認します。また、このオプションによって Storage Virtual Machine (fsx) とボリューム (vol1) も作成されることを確認します。その後、[Create file system] (ファイルシステムを作成) をクリックして、ファイルシステムを作成します。

ファイルシステムの [Status] (ステータス) は [Creating] (作成中) として開始され、約 20 分以内で [Available] (利用可能) に移行します。

その後すぐに、最初の SVM が [Pending] (保留中) から [Created] (作成済み) に移行し、最初のボリュームも [Pending] (保留中) から [Created] (作成済み) に移行します。SVM をクリックすると、その詳細とともに、SVM が提供する管理エンドポイントとアクセスエンドポイントの完全なセットを確認できます。

左側のナビゲーションで [Volumes] (ボリューム) をクリックすると、すべてのボリュームが表示されます。ルートボリューム (fsx_root) は自動的に作成され、SVM 上のすべてのストレージを表します。

ボリュームを選択して [Attach] (アタッチ) をクリックすると、Linux または Windows を実行している EC2 インスタンスにアタッチするためのカスタマイズされた手順が表示されます。

ボリュームを選択し、[Action] (アクション) メニューから [Update volume] (ボリュームを更新) を選択して、ボリュームのパス、サイズ、ストレージ効率、または階層化ポリシーを変更できます。

階層化ポリシーの詳細については、Amazon FSx for NetApp ONTAP Storage についてお読みください。

[Create volume] (ボリュームを作成) をクリックして、任意のファイルシステム内に追加のボリュームを作成できます。

ご紹介したもの以外にもさまざまな機能がありますので、ぜひコンソールを開いてお試しください。

知っておくべきこと
Amazon FSx for NetApp ONTAP について知っておくべきことをいくつかご紹介します。

Regions (リージョン) – 新しいファイルシステムは、ほとんどの AWS リージョンと GovCloud で使用できます。詳細については、AWS リージョン別のサービスのリストをご覧ください。

Pricing (料金) – 料金は、プライマリストレージ、容量プールストレージ、スループット容量、追加 SSD IOPS、バックアップストレージ消費など、複数の使用状況ディメンションに基づいています。詳細については、Amazon FSx for NetApp ONTAP の料金のページを参照してください。

Connectivity (接続) – AWS Direct Connect を使用して、オンプレミスのアプリケーションを新しいファイルシステムに接続できます。Transit Gateway を使用して、他のアカウントやリージョンの VPC に接続できます。

Availability (可用性) – 前述したように、各ファイルシステムは、1 対のアベイラビリティーゾーンの AWS インフラストラクチャを利用しています。Amazon FSx for NetApp ONTAP は、ゾーン間でデータを自動的にレプリケートし、AWS インフラストラクチャをモニタリングし、フェイルオーバーを開始し (通常は 60 秒以内)、必要に応じてインフラストラクチャコンポーネントを置き換えます。各ファイルシステムには 99.99% の可用性 SLA が適用されます。

Jeff;