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【動画公開&開催報告】クラウド・生成 AI で実現するサステナビリティ
はじめに
みなさん、こんにちは。2024 年 9 月 12 日に「クラウド・生成 AI で実現するサステナビリティ」を開催しました。
このブログでは、当日参加できなかった方や、参加したが内容を振り返りたい方に向けて、ご自身の取り組みの参考としていただくために当日のセッション内容のまとめを紹介します。
セッション内容の紹介
Amazon / AWS のサステナビリティの取り組みと、課題解決を支える AWS テクノロジー
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アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 事業開発統括本部 シニア事業開発マネージャー 杉山 彩奈
本セッションでは初めに Amazon サステナビリティレポート 2023 年度版を中心に Amazon のサステナビリティの取り組みをご紹介いたしました。Amazon はパリ協定よりも 10 年早く、 2040 年までにネットゼロカーボン(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を達成することを約束する誓約「 The Climate Pledge (クライメイト・プレッジ)」に署名する最初の企業となりました。また Amazon は 2023 年、当初の予定よりも 7 年早く、Amazon 全体で使用する電力量と同等の電力を 100% 再生可能エネルギーで確保するという目標を達成しました。さらに 2024 年、サプライヤーに無料で情報提供を行う Amazon サステナビリティ・エクスチェンジの立ち上げを行ったことをご紹介いたしました。
(より詳しく: Amazon サステナビリティ)
続いて、AWS クラウドによって実現するサステナビリティには 3 つの要素があることをご紹介いたしました。
- クラウドのサステナビリティ (Sustainability of the cloud) : クラウドへのマイグレーション(移行)による IT システムのサステナビリティを向上
- クラウド内のサステナビリティ (Sustainability in the cloud) : AWS Well-Architected Framework のサステナビリティの柱や様々なサービスを利用した AWS のワークロードの最適化
- クラウドを通じたサステナビリティ (Sustainability through the cloud) : AWS のテクノロジーとデータサービスを活用してサステナビリティの課題を解決
本セッションは 3 つ目のクラウドを通じたサステナビリティにフォーカスし、サステナビリティに関する主な課題として、データの収集・分析・報告の複雑さ、作業の非効率性、統一基準の欠如、データの品質・信頼性の問題、限られた洞察などを挙げています。これらの課題に対し、AWS は Guidance for Building a Sustainability Data Fabric on AWS (SDF) をはじめ、様々なユースケースに対応したソリューションを提供しています。
具体的な事例として、シアトルのスポーツアリーナ「 Climate Pledge Arena 」では、AWS を活用してカーボンフットプリントの計算や各種サステナビリティレポートの作成を実現しました。また、三菱倉庫株式会社様では、フォワーディングシステムの刷新により、より現実的な輸送ルートと温室効果ガス (GHG) プロトコル排出量算定し、最適なルート提案を可能にしました。
さらに、生成 AI の活用により、サステナビリティ関連の文書検索・要約、市場動向分析、リスク管理、コンプライアンス確保、データ収集・報告書作成の効率化などが可能になっています。 AWS のテクノロジーを活用することで、サステナビリティデータの収集・計算処理の自動化、開示基準の理解促進、データ収集の頻度向上、正確性・信頼性・監査可能性の向上などが実現できます。これにより、報告書作成作業に追われるのではなく、企業全体の脱炭素計画とモニタリング、各事業部との協力によるサステナビリティ取り組みの加速に注力できるようなることを紹介いたしました。
Amazon / AWS のサステナビリティの取り組みと、課題解決を支える AWS テクノロジー セッション資料
AWS を使ったサステナビリティソリューションの構築
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アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 戸塚 智哉
本セッションでは、企業のサステナビリティ対応の重要性と、排出量計測における課題が説明されました。アクセンチュアの調査によると、デジタル技術と持続可能性を両立させた「ツイントランスフォーマー」企業が 2.5 倍パフォーマンスが良いとされています。日本では 2050 年カーボンニュートラルを目指し温室効果ガス削減目標が掲げられていますが、多くの企業が計測に課題を抱えています。
その解決策として AWS の Guidance for Building a Sustainability Data Fabric on AWS が紹介されました。様々なデータソースからの収集・統合・分析が可能で、自社施設からのセンサーデータ収集や他社・公開データの活用などに対応できます。収集パターンに合わせた構築例も示されました。
さらに発展的なユースケースとして、サステナビリティデータの活用は、3 つのステップで進められます。まずは業務プロセスの最適化から始まり、データ種類が増えるにつれ経営判断の材料となり、最終的には対外的な公開や新規事業創出、収益多角化につながるとされています。
特に注目されているのがデジタルツインの活用です。製造企業ではエネルギー消費パターンを微調整することで、温室効果ガス (GHG) プロトコル スコープ 1 、2 、3 の排出量削減に貢献できます。また、サプライチェーン全体のカーボンフットプリントをリアルタイムで追跡し、製品の環境負荷を最大 40% 削減できるともいわれています。物流の最適化による排出量削減、収益と品質の向上も期待できます。
最後に、データ収集に課題を抱える企業は多いものの、AWS のサービスを活用することで効率的な開発が可能です。まずは小さな範囲から始め、徐々に機能を拡張していくことが推奨されました。サステナビリティ経営の重要性が高まる中、デジタルツインなどの先進的なソリューションの活用が企業の成長に大きく寄与することが期待されています。
AWS を使ったサステナビリティソリューションの構築 セッション資料
脱炭素 SaaS スタートアップである Terrascope のネットゼロへの取り組みと脱炭素化に向けた企業の動向
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Terrascope Japan 株式会社 代表 廣田 達樹 様
Terrascope 様からまず、自社のネットゼロへの取り組みとして、2040 年にネットゼロを目指し、The Climate Pledge の署名企業でもあることをご紹介いただきました。自社の排出量の 98% が温室効果ガス (GHG) プロトコル スコープ 3 に集中しており、特に購入した商品・サービスが 62% を占めています。削減に向けて、ホットスポット分析やデータプロファイリングを実施し、4 つの重点領域(空調・再生可能エネルギー利用、従業員の出張、クラウドサービスの効率化、サプライヤーエンゲージメント)に取り組んでいます。
世界的な脱炭素化トレンドとして、以下の 5 つが挙げられました:
1. ネット・ゼロへの取り組みは、データの収集、脱炭素化アクション、グリーンイノベーションの 3 つの軸が重要
2. グローバルなトレンドの理解と、消費者の意識変化を踏まえた対応が企業に求められている
3. ESG プラットフォーム、カーボンプラットフォーム、環境プラットフォームの 3 つから、自社のステージに応じた選択が求められる
4. 排出データの収集方法には、支出ベース法、活動量ベース法、そしてそれらを組み合わせたハイブリッド方式がある
5. FLAG (Forest, Land and Agriculture、森林、土地利用、農業等) セクターには、より詳細なガイドラインが設定されている
企業は、自社の戦略やフェーズに応じて適切なサステナビリティプラットフォームを選択し、段階的にデータの質と精度を向上させていくことが重要であり、業界固有の基準やコンプライアンス要求にも注意を払う必要があることもご紹介いただきました。また最後には、完璧を求めるのではなく、データ収集から行動、改善のサイクルを繰り返し、少しずつ前進していくことが脱炭素化への道筋となると締めくくっていただきました。
Terrascope 様は 2022 年にシンガポールで創業した企業で、企業のカーボンフットプリント算定を支援するクラウド型ソフトウェアサービスを提供するスタートアップ企業です。親会社の Olam 社の 30 年近いサステナビリティの取り組みを活かし、大規模な排出原単位データベースと機械学習を用いて、複雑なサプライチェーンの排出量を効率的かつ精度高く算定できることが特徴です。
金融機関の脱炭素を強力に推進! Persefoni が金融機関に与える価値とは。 PCAF に準拠した温室効果ガス排出量の算定と、ポートフォリオの脱炭素支援を実現。
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Persefoni Japan Director, Sales and Partnerships – Japan 遠藤 トレイ 様
Persefoni 様は、この後ご紹介する PCAF (Partnership for Carbon Accounting Financials) を用いたファイナンスドエミッションの算定を含め、温室効果ガス排出量算定・可視化・分析プラットフォームを提供するグローバルで一元的な排出量算定を実現するプラットフォームを提供している企業です。
本セッションではまず、地球温暖化の現状と将来予測について説明がありました。観測史上最高の平均気温を記録し、温暖化がほぼ確実に人為的であることが科学的に立証されています。このまま温暖化が進むと、極端な高温や大雨、干ばつなどの自然災害が激化し、食料品価格の高騰や保険料の値上がりなど、家計にまで影響が及ぶことが示されました。 こうした背景から、炭素会計への取り組みが求められており、世界各国で温室効果ガス排出量の開示義務化が進んでいます。日本でも東証プライム上場企業に対して TCFD (気候関連財務情報開示タスクフォース) フレームワークに基づく情報開示が義務化され、今後有価証券報告書への記載も義務化される予定とご紹介がありました。企業は自社の排出量だけでなく、サプライチェーンの排出量の開示まで求められるようになっています。
金融機関においては、GHG プロトコル スコープ 3 カテゴリー 15 の投融資ポートフォリオからの排出量が特に重要で、これは自社の排出量の 700 倍にも上ると言われています。 金融機関の投融資における排出量算定のグローバルスタンダードとして、PCAF によるルールが確立されています。PCAF は様々なアセットクラスの算定を実現するルールを作成しており、金融機関の脱炭素化を進める上で重要な要素となっています。金融機関は投融資先の排出量を理解・管理して初めて、自社ポートフォリオの GHG 排出量削減に取り組むことができ、世界的な脱炭素目標の実現に貢献することができるのです。最後に気候変動対策が訴訟リスクにもつながる中、金融機関にとって正確な排出量算定と開示はますます重要になってきており、Persefoni 様においてこういったお客様を積極的にご支援していることをお伝えいただき、締めくくっていただきました。
おわりに
本イベントでは、Amazon と AWS のサステナビリティへの取り組みと、AWS テクノロジーを活用したサステナビリティソリューションの構築について深く掘り下げました。また、Terrascope 様と Persefoni 様からは、実際のビジネス現場での脱炭素化の取り組みや、金融機関が直面する課題と解決策について貴重な洞察を共有いただきました。 サステナビリティは今や企業経営の中核を成す重要なテーマとなっています。本イベントを通じて、クラウドや生成 AI などの最新テクノロジーが、企業のサステナビリティ戦略を加速させ、より効果的なアクションにつながることをお伝えできたのではないでしょうか。 今回のセッション内容が、皆様のサステナビリティへの取り組みの一助となれば幸いです。AWS は今後も、お客様のサステナビリティ目標の達成を様々な面からサポートしてまいります。