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AWS への移行中にビジネス価値を引き出すためのビジネスアジリティの利用

この記事は、「Using Business Agility to Unlock Business Value while Migrating to AWS」を翻訳したものです。

McKinsey による最近の記事「価値を解き放つ:クラウド調達と消費に関する 4 つの教訓」で、企業はクラウド支出の約 30% が無駄になっていると推定しています。さらに、約 80% の企業がクラウド支出の管理が課題だと考えています。企業の 70% 以上がクラウド支出の最適化を主要な目標として挙げているにもかかわらず、コスト削減の観点から評価されてしまう捉えどころのない概念にとどまっています。上記のリンク先の McKinsey の記事では、クラウド移行の価値を実現するためのいくつかの課題をプロセスの観点から検討しており、私たちは McKinsey の 4 つの教訓に同意します。しかし、それだけではありません。価値を引き出すことはマインドセットを転換することであり、そのために企業はアジャイルである必要があるのです。このブログでは、クラウド対応のデジタル時代に自社を移行させるために必要な情報や質問によって、チェンジリーダーを支援するための推奨手順を紹介します。

その手順を説明する前に、価値とビジネスアジリティが何を意味するのか、そしてそれらがどのように移行から価値を引き出すのかを確認しましょう。ビジネスアジリティとは、革新的なデジタル対応ビジネスソリューションを用いて、市場の変化や新たに発生した機会に素早く対応することで、デジタル時代において競争し、成功する能力です。ビジネスアジリティには、ソリューションの提供に関わるすべての人が、革新的で高品質な製品とサービスを競合他社よりも早く提供し続けることが求められます。お客様の成果に焦点を絞るために、Amazon はお客様に喜びをもたらす発見と発明の Working Backwards プロセスを使用しています。このメカニズムは、お客様に価値をもたらし、ビジネスアジリティを高める大小さまざまな発明に使用されます。製品、サービス、または体験がお客様の手に渡る瞬間までの重要な移行パスに関する主要な目標を特定するために、部門横断型のチームが協力してお客様起点(backword)で働きます。ビジネスアジリティから得られる価値には、経済的支出とは異なる KPI があります。たとえば、カナダ国立銀行は AWS を使用して、何時間もかかっていた取引分析の実行時間を、資産の価格設定をリアルタイムに適用できるまで短縮しました。この結果、銀行のクオンツチームは、営業時間中により迅速に業務の起動修正と分析ができるようになっただけでなく、その洞察をフロントオフィスチームに提供できるようになりました。¹

ビジネス価値を移行に結び付けることが難しいのはなぜか?組織はまず、アジャイル中心の考え方に移行する必要があります。そこでは変化が歓迎され、頻繁な方向転換の必要性がポートフォリオ管理に影響を与えます。企業は、クラウドの世界のプロセスとベストプラクティスを採用する必要があります。これらは、オンプレミスのデータセンターの世界のベストプラクティスとは異なります。たとえば、需要検知(デマンドセンシング)とキャパシティ予測、バリューストリームの資金調達とサイロ化されたコストセンター、プロダクトとプロジェクト、および年間の継続的な意思決定と年に 1 回の計画策定などです。組織は、優先順位付けと計画を行うにあたって、ビジネスの利害関係者を巻き込む必要があります。これにより、ビジネスがプロダクトオーナーの席に座り、AWS への移行を導くアジャイルな環境を構築します。

企業はビジネス価値を実現するためにどのように最適化しているか?優れた業績を上げている企業は、クラウドの力を活用できる新しい役割と責任を取り入れることで、クラウド導入/移行の基盤を築きます。まず、次の観点から組織にとっての価値を定義することに重点を置きます。1. 経済性、2. 製品実験によるアジリティと time to market (製品を市場投入するまでの時間)、3. 運用予算とリリーススケジュールの範囲内でのアジリティの向上、4. 価値創造プロセスのすべての段階にセキュリティとコンプライアンスを含めること。

では、基盤でこれに対処するために組織のクラウド移行能力にアジリティを組み込むにはどうすればよいでしょうか。

ステップ 1: ボトルネックを解消し、エンドカスタマーへの価値提供の遅延を減らすために、取り組みの特定と資金調達を行う既存の方法を見直します。
AWS のアプローチ: お客様/ビジネスのニーズからお客様起点(backword)で働きます。

ステップ 2: 需要取り込みのための無駄のないプロセスを開発および設計します。製品戦略が明らかになり安定するまで、頻繁な方向転換に備えます。
AWS のアプローチ: 導入と製品の指針となる、組織が定義する Cloud value framework

ステップ 3: タスクではなく、価値やソリューションを中心にスキルとリソースを整理します。チームはなぜ?何を?どのように?を考える必要があります。
AWS のアプローチ: Cloud Operating Model

ステップ 4: 従来のコストセンターの資金調達アプローチではなく、プロダクトまたはソリューションの寿命に焦点を当てるように、資金調達モデルを変更します。
AWS のアプローチ: AWS コスト管理のベストプラクティス

ステップ 5:導入、資金調達、および提供を合理化するために測定と定期的な調整を行うことにより、価値提供フローを継続的に改善します。
AWS のアプローチ: 目標からどれだけ離れているかを測定するための成功指標を設定します。価値の実現利益の管理にクラウドオペレーションを活用します。

ステップ 6: お客様の成功をもたらすビジネス成果の整合性と可視性を理解し、強化するために、最高の人材を採用し、育成し、維持します。
AWS のアプローチ: 導入や変更管理を支援する Skills Guild

クラウドの経済性と、クラウド機能から継続的にビジネス価値を引き出すことは、既存の組織構造が危機に瀕している機会を完全に捉えることに向いていないために、複雑なものになっています。優れた業績を上げている企業は、クラウド調達とクラウド消費を管理するために、技術および財務の人材を機能横断的なクラウド財務運用(FinOps)チームに意図的に集めています。重要なのは、これらの企業は、組織の戦略的成長とクラウド支出の資金調達を促進するビジネス、財務、および企業運用を可能にし、影響を与える無駄のないポートフォリオ管理方法を実施している点です。彼らはビジネスのニーズを予測することによってポートフォリオ管理に影響を与える専門知識を構築します。それによって、実験のためのスペースを作り、お客様の目線から成功を測定します。

1 https://aws.amazon.com/solutions/case-studies/national-bank-of-canada/


原文著者

Rajneesh Sethi

Rajneesh Sethi は Amazon Web Services のシニアプラクティスマネージャーです。彼は CxO 組織の取締役会における問題、コストと成長戦略の開発、クラウド導入ロードマップの準備、製品戦略や革新的なコンサルティングと運用モデルを導き、顧客の上級リーダーシップを支援するカナダアドバイザリープラクティスを率いています。

Somnath Ghosh

Somnath Ghosh は Amazon Web Services (AWS) のエンタープライズトランスフォーメーション&クラウドストラテジーのプリンシパルです。彼は世界のエンタープライズのお客様に対して、大規模なエンドツーエンドのクラウドトランスフォーメーションを推進するためのアドバイスを行っています。彼は成長戦略の策定、プラットフォーム中心のビジネスモデルの作成、デジタル製品/エクスペリエンスの提供、トップラインの収益拡大のための革新によって、ビジネス価値を加速させることを専門としています。

翻訳はカスタマーソリューションズマネージャー 仁科 みなみ が担当し、山泉 亘 が監訳しました。原文はこちらです。