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re:Invent 2021- パブリックセクター・セッションのハイライトをお届けします

今回のブログでは、 AWSジャパン・パブリックセクターより、「re:Invent 2021で開催されたパブリックセクター・セッションのハイライト」を紹介します。ご不明の点、「Contact Us」までお問合せください。(以下、AWS Public Sector Blog へ掲載された投稿の翻訳となります。)

Innovating on Earth and beyond

10周年を迎えたre:Inventでは、AWSのワールドワイド・パブリックセクター担当バイスプレジデントであるマックス・ピーターソン(以下、マックス)がリーダーシップセッションに登壇し、パブリックセクターのお客様がどのように地球上、そして世界各国でイノベーションを加速しているか──を語りました。

マックスは、AWSのお客様がコミュニティに力を与え、研究の未来を変えるために行っている幾つもの革新的な取り組みを紹介しました。また、クラウドを活用した宇宙開発への新たなジャーニーと、それが地球上の私たちの生活に与える影響についても触れています。加えて、クラウドを活用して固有のミッションを推進しているお客様の事例も多数紹介されました。さらに公共部門のお客様向けにローンチされる、一連の新しい取り組みもこの場で発表されています。以下、re:Invent 2021でのリーダーシップセッションの内容をご紹介します。

世界を変えるため、人々をエンパワーする

2021年のImagine Grant受賞者は、クラウドを活用して世界の変化を最大化する

世界の最も差し迫った課題を解決するためには、多様で革新的な頭脳集団によるソリューションの開発が必要です。2018年、AWSは、重要なニーズを満たすためにクラウド技術を使用する米国の非営利団体を支援し、資金を提供するために「Imagine Grant」を創設しました。それ以来、テクノロジーを駆使したミッション達成を支援するために、46の非営利団体に450万ドル以上の使途が自由な資金、AWSプロモーション・クレジット、AWSトレーニング支援を提供しています。セッションの中で、マックスは2021年の助成金の受賞者20名を発表しました。2021年「Imagine Grant」の受賞者についてはこちらをご覧ください

アフリカン・リーダーシップ・グループとAWSは、
世界で2,000万人の人々をトレーニングと仕事に結びつける

世界経済が急速に変化する中、世界中の人々が未来の経済で成功するための能力を身につけるためには、教育、トレーニング、再教育のすべてが不可欠です。アフリカン・リーダーシップ・グループは、グローバルな人材を需要の高い技術的なキャリアに結びつけるためのマッチングプログラムを構築することを発表しました。AWSは、「The Room Intelligence Platform」を強化し、クラウド トレーニング カリキュラムを提供することで、この取り組みを支援します。The Roomは、10年間で世界中の2,000万人の人々をエンパワーし、マッチングし、トレーニングすること──を目指しています。詳細はこちら

IronNet社はAWSを用いて都市の電力網と、
ニューヨーカーの日常を守る

AWSパートナーであるIronNetは、ニューヨーク州最大の電力会社であるニューヨーク電力公社(NYPA)と力を合わせ、NYPAとその主要なサプライチェーン・パートナーに集団的な防御を提供するクラウドベースのサイバーセキュリティ・ソリューションを開発しました。AWSを採用したIronNet独自の機械学習(ML)と人工知能(AI)により、NYPAのサプライチェーンを構成する組織間でリアルタイムに脅威を検知・相関させることで、サイバー攻撃の早期発見、脅威の即時共有、攻撃の早期阻止を可能にしています。このような連携は、発電所、学校、病院などの重要なビジネスやインフラを停止させる悪意のあるサイバー攻撃から、ニューヨーク市民に提供されている電力網を守ることを目的としています。

AWSは、新しい “Buy Local “検索プログラムで
ペンシルバニア州の中小企業の成長に貢献

ペンシルバニア州では、パンデミックの際、多くの消費者がオンライン・ショッピングに移行したため、地元企業は特に大きな打撃を受けました。AWSは、AWSパートナーであるMindGrub社と共同で、ペンシルバニア州を拠点とする企業を優先的に検索する「バイ・ローカル」検索プラットフォームを立ち上げ、現在、地元の企業の参加を募っています。このプラットフォームは今後数ヶ月のうちに立ち上げられる予定で、「中小企業を支援する」という連邦政府の目標を達成するのにも貢献するものです。

2020年のドバイ万博では、クラウドを利用して相互に接続されたグローバルな体験を実現

ドバイ国際博覧会(Expo 2020 Dubai)の統合オペレーション担当副社長であるタイフ・ムハシン(Taif Muhsin)氏は、Maxのリーダーシップセッションにおいて、Expo 2020 Dubaiがパンデミックに対応して大規模な国際イベントの中核的な技術としてクラウドを利用し、現在ではグローバルイベントが世界中の人々を結びつける方法のモデルを確立していることをオンラインの登壇で語りました。

万博のインフラの多くがすでにクラウド上にあったため、Muhsin氏は、万博の[1年の]延期期間中にコストを70%削減するなど、迅速な拡張に必要な柔軟性を備えていたと説明しています。延期中、万博チームは、Expo Dubai Xplorerのような新しいバーチャル体験を構築しました。これは、ユーザーが万博の中をリモートで歩くことができるインタラクティブで教育的なゲームアプリです。また、万博チームは、イベント再開時に対面での体験を改善するためにテクノロジーを活用しました。AWSでデータサイエンス・プラットフォームを構築し、人流管理や予測などのためのインサイトを提供したのです。AWSのマルチ・リージョナル・ディザスタリカバリは、Expoが最高のゲスト・エクスペリエンスを提供し、ダウンタイムを回避するために必要な高可用性と回復力を確保しています。

「この6年間で多くのことを学び、世界的なイベントが世界中の人々を直接、あるいはバーチャルに結びつける方法のモデルを確立する道を切り開くことができたことを、とても嬉しく思います」とMuhsin氏は述べています。ドバイ国際博覧会(Expo 2020 Dubai)は、2022年3月まで開催されます。

AARPは会員に力を与え、年齢に応じた生き方に革命を起こしている

米国の高齢者団体「AARP(「American Association of Retired Persons;全米退職者協
会)」のCIO(最高情報責任者)であるNajeeb Uddin氏は、Maxのリーダーシップセッションに登壇し、AARPがいかに有効にクラウドを活用して50歳以上の膨大な人口をサポートしているかを語ってくれました。「私たちのクラウドへの取り組みは10年前に始まりました。今日、会員の皆様は、昼夜を問わず、どんなデバイスでも、どんな時間でも、どんなチャネルでも、一貫した方法で必要な支援やリソースを得ることができます」。

このようなクラウドジャーニーは、パンデミック時のAARPの変革をサポートし、会員を最大限にサポートしました。パンデミック以前、AARPの53箇所ある各州レベルのオフィスでは、数千の対面イベントに加えて、数十のバーチャルイベントしか開催できませんでした。「昨年は、これまでとは一転して、5,000以上の高品質なバーチャルイベントを実施し、450万人以上の人々にリーチすることができました」とUddin氏は語ります。AARPはクラウドを活用することで、パンデミックの際に会員に情報を提供するための新しいソリューションを提供し、その規模を拡大することができました。例えば、クラウドベースのヘルプセンターでは、152%増加したインバウンドのリクエストに対応することができました。ウディンはプレゼンテーションの最後に、聴衆に Think Bigを促しました。”あなたがAWSで素晴らしいものを生み出すとき、あなたが何歳であろうと、「(年齢を重ねた)将来のバージョンの自分のために”何”をデザインするかだろうか」を考えてほしい “──と、このように述べました。

地球を守り、命を救うために研究の未来を変革する

UC Davis HealthとAWSがアカデミック・メディカルセンター初のクラウド・イノベーション・センターを発表

AWSは、カリフォルニア大学デービス・ヘルス校と共同で、世界初となるアカデミック・メディカル・センターを拠点としたクラウド・イノベーション・センター(CIC)を開設しました。UC Davis Health CICは、アマゾンの「Working Backwards」の原則を実践し、臨床医、患者、開発者がアイデアを交換し、プロトタイプを作成し、オープンソースのソリューションを検証する場を提供します。UC Davis Health CICは、デジタル・トランスフォーメーションが急速に進んでいる医療システムを背景に、健康の公平性、医療へのアクセス、住民の健康に関する最も差し迫った課題に取り組みます。AWSを活用したUC Davis Health CICの詳細はこちら

Lockheed Martin社はAWSを利用し、自然災害シミュレーターで気候変動への備えを強化し、政策の立案者にインサイトを与える

気候変動や自然災害の増加に伴い、意思決定者は来るべき危機に対処するための「装備」を整えることが不可欠です。AWSはロッキード・マーティン社と提携し、自然災害シミュレーションを開発しました。このシミュレーションでは、現実世界では危険で時間やコストがかかりすぎるシナリオをモデル化することができます。このようなシミュレーションは、クラウドコンピューティングの能力によって可能となるものであり、政策立案者やその関係者が情報に基づいた意思決定を行い、災害への備えを強化し、人々の安全を守るために不可欠なものです。

UBCが海洋生物の生息地と野生生物の保護を目的としたグローバルな研究活動を開始

ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)は、漁業が海洋環境に与える影響を評価するための国際的な研究イニシアチブ「Sea Around Us」を立ち上げました。このクラウドベースのイニシアチブには、世界中の学術機関が参加しており、1950年以降のすべての海洋国の漁業関連情報を収集、分析、保存することができます。このリアルタイムのデータは、海洋生息地の保全や重要な野生生物の保護を改善するために、様々な利害関係者に緩和策を提供する洞察力に変換されます。UBCは、クラウド・イノベーション・センター(CIC)を活用して、新しいアイデアを試し、AWSの技術的な専門知識を利用するなどの取り組みを継続しています。

オックスフォード大学は、クラウドを利用して最先端の研究と進歩を推進

オックスフォード大学の副学長であるLouise Richardson氏は、マックスのリーダーシップ・セッションにバーチャルで登壇し、オックスフォード大学がAWSとのコラボレーションとクラウド技術の利用により、最先端の研究を推進していることを紹介しました。過去24ヶ月間、何百人ものオックスフォード大学の学生や研究者が、研究のためにAWSのサービスを利用しました。「AWSとの連携により、オックスフォード大学は、古代の遺物や生態系の理解を深めることから、最先端の信頼できる人工知能システムや高度な自律型ロボットの開発に至るまで、多様な研究ポートフォリオを加速することができました」とリチャードソン氏は述べています。

1683年に世界で初めて一般公開された博物館であるオックスフォード大学のアシュモリーン博物館のチームは、AWSを利用してMLモデルのコレクションを構築・展開し、30万枚の古代ローマ時代のコインのカタログ化を実現し、従来の方法と比較して推定「3年分」もの作業時間を短縮しました。

また、オックスフォード大学のウィサム・ウッズは、古代の森林であり、先駆的な生態系研究の場でもあります。同大学の学際的なチームは、AWSをバックボーンとして、草地の区画に設置された40個のIoT(Internet of Things)センサーから、マルチスペクトルや3Dイメージングツールで区画を調査するドローンやモバイルロボットへのライブ接続を行っています。リチャードソン氏は、「この環境センサーのネットワークから得られるデータは、気候変動が生物多様性に与える潜在的な影響を調査し、クラウド上で予測モデルを構築して、古代の森林における実際の生態系のデジタル・ツインを形成するのに役立ちます」と説明しています。

リチャードソン氏はre:Inventの聴衆に向かって、「皆さんの予想に違わず、オックスフォード大学とAWSの共同研究は非常に大きなものです。協力する者同士として、私たちはオープンで前向きな姿勢を保ちます。まだまだやるべきことはたくさんありますが、その挑戦を楽しみにしています」──と語りかけ、登壇を締めくくりました。

宇宙開発をre:Imagineする

Astra社はクラウドを利用してロケット技術の革新と加速を図る

Astra社のソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長のストラトス・ダブロス氏は、re:Inventのステージでマックスと一緒に、アストラがどのようにクラウドを利用してロケットを設計・製造し、データからのインサイトをより迅速に得られるようにしているか、そして最終的には宇宙から地球上の生活を改善するという同社のミッションを推進しているかを説明しました。Astra社は、より効率的で手頃な価格の農業を実現したり、世界中のサービスを受けていない人々にブロードバンド接続を提供するなどのミッションでお客様をサポートしています。

「クラウドファーストの企業であることは、私たちのDNAに組み込まれています」──とダブロス氏は言います。「Astra社は、迅速に行動し、データに基づいた意思決定を行うことができるように、意図的にクラウド上に構築されました。ダブロス氏は、部品やシステムの設計から、材料の調達、ロケットの初期テストやフライトシミュレーション、財務情報の管理に至るまで、Astra社が行うすべての作業がクラウド上で行われていることを説明しています。」

さらに、AWSのサービスは、MLなどで得られたインサイトを用いて、Astra社の急速な進化を支えています。ダブロス氏は、「これまで業界では10年以上かかっていた第1世代ロケットから第3世代ロケットへの反復を、わずか数年で行うことができました」と、続けます。。

「これらのAWSとの取り組みにより、お客様がより早く、よりコスト効率よく、より確実に宇宙に行けるようになり、私たち全員にポジティブな結果をもたらすことができることに、私たちは非常に興奮しています」──とダブロス氏は語りました。

シンガポール政府との戦略的声明発表により、
アジアにおける宇宙イノベーションの新たな扉が開かれる

AWSは、シンガポール政府の宇宙局であるOffice for Space Technology & Industry (OSTIn)と戦略的意図と協力に関する声明(Statement of Strategic Intent)を締結しました。この戦略的意図の表明は、アジアにおけるAWSにとって初めてのものであり、新しい宇宙時代に顧客やパートナーのために革新をもたらすというAWSのコミットメントと、経済成長と技術開発のための新しい分野として宇宙を重視するシンガポール政府の両方をサポートするものです。我々の協力は、ビジネスをサポートし、人材を教育・訓練し、新しい革新的な製品やサービスの開発を可能にするために、AWSのリソースを提供することで、シンガポール政府の長期的な宇宙での目標達成をサポートします。宇宙技術を支援するための同国政府との戦略的意図の表明についてはこちらをご覧ください

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マックスはセッションの最後に、次のように述べました。「このセッションが、皆さんにとって”可能なものは何なのか”を大きく考える(Think Big)きっかけになり得たことを、願っています。あなたの所属する組織が未来をリードできるか、未来への準備ができているかどうか、ぜひ確認してください。AWSはそのお手伝いをしたいと思っています。」

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マックス・ピーターソン氏のリーダーシップ・セッションをはじめ、その他の基調講演やブレイクアウト・セッションなどは、re:Inventのバーチャル・プラットフォームからオンデマンドでご覧いただけます。[*2022年4月追記:配信は、YouTubeへ移動しました。]

日本の公共部門の皆様へのご案内

AWSでは、政府・公共部門、パブリックセクターの皆さまの各組織におけるミッション達成が早期に実現するよう、継続して支援して参ります。

今後ともAWS 公共部門ブログで AWS の最新ニュース・公共事例をフォローいただき、併せまして、国内外の公共部門の皆さまとの取り組みを多数紹介した過去のブログ投稿に関しても、ぜひご覧いただければ幸いです。「クラウド×公共調達」の各フェーズでお悩みの際には、お客様・パートナー各社様向けの相談の時間帯を随時設けておりますので、ぜひAWSまでご相談くださいContact Us)。

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このブログは英文での原文ブログを参照し、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・執筆しました。

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小木 郁夫
AWSジャパン パブリックセクター
統括本部長 補佐(公共調達渉外)
BD Capture Manager
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#AWSCultureChamp (2021年7月~)