Amazon Web Services ブログ

富士通の「Global Delivery Center」ではAmazon Connectを用い、月間38万件超の電話問合せに対応

今回のブログでは、Fujitsu(富士通)のHead of Cross Global Delivery Networks を務めるAlex Sanchez 氏(経歴は本ページの最下部)の経験をもとに、AWSジャパン・パブリックセクターより、富士通によるグローバルでのAmazon Connect 活用事例を紹介します。──── 日本の政府機関・公共機関(自治体・独法・教育・医療/ヘルスケア・NPO)のお客様向けにも、Amazon Connectを用いた市民接点の構築を加速いただけるパートナー各社との連携を進めていきたいと、AWSでは考えています。

*今回のブログは、AWS Partner Summit 2021の開催に併せまして、AWSジャパン・パブリックセクターより同時公開する3本のブログのうちの、1本となります。

クラウドの「コンタクトセンター」がお客様からの信頼を高める

[*以下、上述のAlex氏の談:]「お客様の信頼」を得るには、どうしたらいいでしょうか? ──そのためには、会社のブランド・製品・および社員が信頼するに足ることを、継続してお客様に対して証明するケイパビリティが重要です。お客様とのエンゲージメントはどの瞬間を切り取っても、信頼を築く機会にもなり、また、信頼を損なう機会にもなります。この「ジャーニー」は多難な道のりです。では、お客様の信頼を築き、それが長続きすることを確実にするにはどうすればよいのでしょうか?  Alex氏[=Fujitsu(富士通)のHead of Cross Global Delivery Networks を務めるAlex Sanchez 氏]は、幾度となくお客様とやり取りしてきた末に、信頼とは、お客様それぞれに見合ったサービスを、お客様が必要とする時はもちろん、必要であることをお客様が認識する「前」に迅速に提供することによって得るものである────という学びを得ました。そこで重要になるのがコンタクトセンターです(訳注:従来”コール・センター”と呼ばれていた頃の電話応対業務に加え、資料送付やWebページ、電子メールといった複数チャネルでの顧客対応を行うようになった顧客接点を「コンタクトセンター」とこのブログでは呼称します)。このブログでは、お客様の信頼を築いて維持することに関してAlex氏が学んだエピソード、つまりは、 Amazon Connect を役立てる方法、および 富士通がお客様の信頼(Customer Trust)に向き合う方法について説明していきます。

コンタクトセンターでの信頼の獲得

コンタクトセンターは、さまざまなチャネルにまたがるカスタマーエンゲージメントを管理する拠点であり、お客様とブランドとの間に価値のある関係を築く場所でもあります。しかし、COVID-19 から生じた直接的な結果として、AWS を利用する多くのお客様は、その旧来型の、いわゆるレガシーなコンタクトセンター・ソリューションに由来する管理上の課題を訴えておられます。コンタクトセンターの安定性(Stability)と俊敏性(Agility)の両方が、対応件数の増加に全く追いついていませんでした。

コンタクトセンターの安定性はお客様からの信頼を得るための要であり、お客様が常に必要なサポートにアクセスできることを確実にしますが、多くの企業は、お客様がピーク時間全体を通じてコンタクトセンターを利用できるようにしておくことに未だに苦慮しています。レガシーなソリューションは、ネットワークや接続性の問題によってダウンしたり、中断されることがよくあります。これらの課題は、往々にしてスーパーバイザーの専門外であり、障害チケットの発行と、オンライン復帰のためのプロバイダーとの連携に貴重な時間を費やさなければなりません。Forrester 社が実施した Total Economic Impact (総合的経済効果) 調査によると、「インタビューしたほとんどの組織は、レガシー・コンタクトセンター・ソリューションでの頻繁かつ深刻なシステム停止に直面し、悩んでいました。これらのシステム停止はカスタマー・エクスペリエンスを著しく損ない、担当部門とシステム管理者の労力を無駄にし続け、最終的には[AWSクラウド導入による刷新という]重大な変化を促すことになりました。」

お客様の信頼にとって同様に重要なのは、俊敏性を維持し、コンタクトセンターの業務において生じるあらゆる変更を迅速に反映する能力です。コンタクトセンターには、[FAQの更新や新規のメッセージングなど]新しい業務内容を追加した場合、またはお客様に影響を及ぼすイベントが発生した場合に、付加的な対応件数を処理したり、新しい人員を迅速にオンボードしたりする準備が整っているでしょうか。 カスタマーエクスペリエンスは常に動的であり、お客様のニーズにおける変化を反映するために変化し続ける必要があります。しかし、レガシー・ソリューションを使用するコンタクトセンターのマネージャーには、俊敏性を維持し、臨機応変に更新を実施するツールが”ない”場合がほとんどです。コンタクト件数が急激に増加する状況においては、コンタクトフローに必要となるどのような変更にも、数週間から数か月の期間と、複数のベンダーの協力が不可欠でした──これまでは。コンタクトセンターは、その間にも長いキュー、不正確な情報、および非生産的なエージェントとのやり取りという課題に直面し、こういったコミュニケーションの全ては、お客様とエージェントの両方にとって苛立たしいものです。

AWS のお客様は、Amazon Connect を使用することによってこれらの課題に対処し、一貫した快適なエクスペリエンスを通じて顧客の信頼を得ています。Forrester 社の Total Economic Impact (総合的経済効果) レポートによると、レガシーソリューションの 99.6% から 99.95% の稼働率と比較して、Amazon Connect は 99.998% から 100% という高い稼働率を実現しています。コンタクトセンターのお客様は、電話が途中で切れたり、通話中にトーンが聞こえたりすることを心配する必要はありません。Amazon Connect では、あらゆる変更の実施も驚くほど迅速で簡単です。直感的な UI により、ユーザーは数か月の期間と何百万ドルものコストがかかり得るカスタム開発を必要とする代わりに、コードディングなしで直感的に音声とチャットのコンタクトフローを作成できます。Amazon Connect は、信頼性の高い革新的なコンタクトセンターを提供し、新機能設計の迅速な開発をサポートできます。

お客様と信頼関係を築くことのメリットは、コスト削減にとどまらず、企業の真のサポーターを生み出すことによる収益の増加まで、無限に広がります。一例としては、Amazon Connect をその優先コンタクトセンターパートナーとして指定する Salesforce は、お客様の 95% が信頼する企業に対して忠誠心を持ちやすい傾向にあることを示す調査結果を発表しました

富士通が Amazon Connect を使用してお客様の信頼をサポートする方法

私(=Fujitsu(富士通)のHead of Cross Global Delivery Networks を務めるAlex Sanchez 氏])が見てきた中でも、お客様の信頼をコンタクトセンターの中核とすることにきわめて長けている企業のひとつが富士通です。「富士通グローバルデリバリーセンター」は、病院、銀行、工場、店舗、およびオフィス内のシステムに対するお客様のデジタルトランスフォーメーションとメンテナンスをサポートするために、専門的なテクノロジーサービスを提供しています。戦略的に配置されたデリバリーセンターは、年中無休の 24 時間体制で、40 以上の言語を使って 100 か 国を超える国々のお客様をサポートします。このレベルでのお客様とのパートナーシップを達成するために、富士通はあらゆる機会において信頼を築き、その高品質の多言語サービスデスクの成功を最優先して、お客様が必要とするサポートを提供します。

しかし、富士通は、お客様に重要なテクニカルサポートを提供する上で古いコンタクトセンター・インフラストラクチャに依存しており、90 か国を超える異なる国々のための 4,500 を超えるコンタクトフローの管理に対処しなければなりませんでした。富士通がこれまでに用いてきたプロバイダーでは、システムが頻繁に停止し、維持コストが高く、コンタクトフローを更新するときには膨大な量の手作業による介入が伴ったため、遅延の発生につながっていました。これらの問題は、グローバルデリバリー戦略の課題となりました。この戦略では、まず「基礎を正しく築く」ことに焦点を当て、堅実なデリバリー、イノベーション、およびコラボレーションを組み合わせて付加価値を提供することによってお客様との関係を深めることを目標としています。

COVID-19 パンデミックが始まったとき、富士通ではお客様がそのインフラストラクチャにおける重要な変化を乗り切るための支援を行う態勢が十分に整っていました。クラウドへの移行と、従業員のリモート環境への移行の支援において世界中のお客様が富士通に頼っていたため、富士通ではコール時間が 48% 増加しました。コンタクトの予期しない急増に直面したとき、毎月 38万7,000 件のコンタクト回数に相当する大量のお客様のリクエストをシームレスに処理することは、富士通にとってきわめて重要な事柄でした。要は、お客様のためにサービスデスクを 24 時間年中無休で利用できるようにし、変化するビジネス状態に迅速に対応できるようにする必要があったのです。Amazon Connect は、4,000 人のエージェントをサービスに素早くオンボードする状況にあっても、少しもダウンタイムを生じずに需要を満たす信頼性と容易な拡張性を実現しました。

[新規の応答内容をコールセンターに導入する際などに]これまでは複数のベンダーとの電話に数日間を費さねばならなかった煩雑さとは対照的に、Amazon Connect は、富士通が俊敏になり、数分間でコンタクトフローに変更を行うことも可能にしました。こうしたクラウドの特徴は、100 か国以上の異なる国々のお客様がパンデミックの影響を受けるにつれて、ますます貴重になりました。富士通は現在、お客様が聞く必要がある重要なメッセージがある場合に、15 以上の言語でテキスト読み上げを自動化することができます。これは、富士通がこれまで丸 1 日かけていたタスクです。富士通はまた、コール属性にタグ付けすることによって、お客様がコールキューを 4,500 件から数日間で 400 件未満に削減できるようにし、その IVR を簡素化しました[*(Interactive Voice Response )とは、お客様からの入電の際、あらかじめ用意された音声による案内や、その入電理由に応じた番号入力でコミュニケーターへ対応の振り分けを行うシステム]。そして、富士通はパンデミックが始まったばかりの時期に、ピーク時間中における統合されたセルフサービスオプションとコールバックオプションをお客様にすばやく提供することで、自社グループで擁する対応エージェントの 95% に自宅から仕事をするための適切なツールを提供することができました。

富士通のコンタクトセンター業務は、COVID-19 パンデミックにおいて十分に機能し、新たな課題に直面するお客様にきわめて必要性の高いサポートを提供することができました。最終的に、Amazon Connect は富士通が 1 つのアカウントに必要なコールフローの量を最大 75% 削減することを可能にしました。これは、お客様のオンボードにかかる時間を数か月間からほんの数週間に短縮しました。適切なテクノロジーに頼ることによって、富士通は先行きが不透明な時期に一貫性をお客様に提供して、未来の働き方を再考する一端を担うことができました。勤勉で優秀なチームに恵まれた富士通のコンタクトセンターは、未だかつてない課題に直面する時代において、お客様をサポートし、信頼を築くための支援を行う上で不可欠であることが証明されました。

クラウド時代のコールセンターは、機械学習・人工知能を取り入れて進化

カスタマーエクスペリエンスとブランドロイヤリティの土台は、意欲に満ちあふれたエージェントで構成される俊敏かつ安定したコンタクトセンターによって築かれます。富士通にとって、これはより優れた豊かなカスタマーエクスペリエンスを構築するために役立つ Amazon Machine Learning と人工知能機能を実装することを意味していました。富士通のグローバル戦略アライアンス担当Vice Presidentである Fleur Copping 氏もこれに同意し、「Amazon Connect の自動化された通話録音、感情分析、および統合されたコールバック機能により、私たちはお客様をより迅速にサポートすると同時に、サービス品質を向上させることができました。さらに、面倒なタスクを処理する Connect に組み込まれたオートメーション機能によって、より俊敏になり、お客様の信頼を築くためにリソースを集中させることができました」と話しています。 Amazon Connect のウェブサイトにアクセスして、今すぐ使用を開始することを推奨します。──以上、Fujitsu(富士通)のHead of Cross Global Delivery Networks を務めるAlex Sanchez 氏の英語原文を基に構成しました。

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日本の公共部門の皆様へのご案内

AWSでは、政府・公共部門、パブリックセクターの皆さまの各組織におけるミッション達成が早期に実現するよう、継続して支援して参ります。

【New!!】視聴登録のご案内:2021年4月16日(金)に、AWS公共部門サミット・オンラインが開催されます(登録はこちら)。午前10時からの無料配信となりますので、ぜひご登録ください。ご登録をいただければ、後日のオンデマンド視聴も可能です。米 国防総省の関連機関であるアメリカ国防兵站局など海外政府機関や、女性エンジニア育成にコミットする「Girls Who Code」等の公的機関の事例を中心に40以上のセッションが予定されており、日本からも京都大学より事例登壇をいただく予定です。

今後ともAWS 公共部門ブログで AWS の最新ニュース・公共事例をフォローいただき、併せまして、「農水省DX室」「気象庁の衛星ひまわり8号のデータセット」や「re:Invent  公共部門セッションのサマリー」など国内外の公共部門の皆さまとの取り組みを多数紹介した過去のブログ投稿に関しても、ぜひご覧いただければ幸いです。

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このブログは、Alex Sanchez 氏(経歴は下記のとおり)の経験を基に投稿された「How contact centers grow customer trust」と題した英語原文の投稿をもとに、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・執筆しました。

Head of Cross Global Delivery Networks – Fujitsu(富士通)、Alex Sanchez 氏

Sanchez 氏は、グローバル・デリバリー・センター全体における標準化されたネットワークの実装と確保に対する責任を担っています。複数の主要拠点にまたがる Amazon Connect の実装の指揮を執り、より優れた従業員エクスペリエンスとカスタマーエクスペリエンスを推進するために奮闘しています。電気通信とプロジェクト管理の両方で修士号を取得した Sanchez 氏は、イノベーション、テクノロジー、そして継続的な改善に情熱を注いでいます。

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