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クラウドジャーニーの歩み方 – Mobilize (移行準備) フェーズ – #3
まえがき
みなさん、こんにちは。カスタマーソリューションマネージャー (CSM) の安部です。カスタマーソリューションマネージャーは、クラウド導入を進めようとしているお客様のクラウドジャーニー全般を支援する活動をしています。 本ブログは、現状オンプレミス上で多くの IT 資産が稼働しており、AWS への移行を検討しているお客様向けに作成しています。 これまではクラウド移行の4つのフェーズの中でAssess (評価) フェーズに着眼し、各課題の深堀りと解決策についてお話しました。今回はMobilizeフェーズに焦点を当ててお伝えいたします。なお、AWSのクラウド移行およびクラウド活用の全体の道のりについては、「クラウドジャーニーの歩み方 (前編) 」でも紹介していますので、全体感を把握されたい方はご参照ください。
クラウドジャーニーにおける10のハードル
クラウド移行には、4つのフェーズがあります。 Assess (評価) から始まり、Mobilize (移行準備) に入り、Migration (移行) へと進みます。さらに、クラウド利用によるビジネスの価値を高めるため、Modernization (最適化) へ取り組む流れとなります。 本ブログでは、 下記図に示す「クラウドジャーニーにおける10のハードル」の3つ目のハードルである、「3.移行計画・移行戦略の策定ができない」に関して、課題の深堀りと解決策についてお話いたします。
「 3.移行計画、移行戦略の策定ができない 」
クラウドの移行戦略の策定ができない、クラウドへの移行計画が立案出来ないという課題は、Assess (評価) フェーズまで完了されている場合には、下記の状況が考えられます。
クラウド移行を進めるにあたり、何のために、何を、何処に、いつまでに、どの様に移行を進めるかが明確になっていないため、移行先アーキテクチャ選定の判断基準や選定フローがまとまっていない状況、そして、組織が持つシステム個々のシステム情報を集めたものの、移行計画の立案にあたって、どこから手を付けてよいかわからない状態で停滞している状況です。
クラウド移行戦略を検討するにあたって具体的な悩みの例としては、以下が挙げられます。
1. 現在の環境を見るとクラウド移行できるものと、出来なさそうなものがありそうだが、どうやって判断すればよいだろうか?
2. 現在の環境のサーバーを、単純にクラウドに再配置することだけでよいのだろうか?
3. 全て作り直すのはコストと時間がかかるため、 徐々にクラウドネイティブ化を進めることができないか ?
4. システムの分類をするなどして、クラウド移行戦略を立てる場合の指針のようなものがないか?
こういった状況の解決には、Assess (評価) フェーズで収集したシステム情報をもとに、移行対象システムを俯瞰的に分析して、クラウド移行の技術的な課題を特定して対策案を検討したり、どの程度クラウドに適しているか、移行の難易度はどの程度かの評価を進めていく必要があります。
システム情報からデータのたな卸しを行って分析を行うことで、システムごとの課題と適合度合いが明確になります。システムごとの課題と適合度合いが明確になれば、移行の目的、移行順序の優先順位付けが可能となり、移行パスの選定、つまり移行戦略としてまとめていくことができます。主な分析の項目と分析の観点を下記表にまとめました。
システム特性からは、どのような組織がどんな用途で利用しているか、どの様なアーキテクチャーで具体的にどんな課題を抱えているかを把握して、システムの要件を考慮しながら、移行への考察を行います。
サーバー特性からは、システムにおけるサーバー類の用途やハードやOSの構成情報が把握できますので、移行における選択肢の提示や考慮すべき事項を抽出します。
クラウド適合度ですが、当該システムの最適な利用、運用方法を明確にして、現状改善のクラウドによって期待されるIT観点の適合度と、潜在的なビジネス価値や期待値がどのくらい見込まれるかといったビジネス観点の適合度を見ます。
最後に、クラウド移行難易度ですが、クラウド上で運用するために要する時間、コスト、そしてリスクの高さの指標を判定していきます。IT観点では、移行のための変更の難易度、必要なテスト量、連携する他システムへの影響度合い、問題発生時のインパクトなどを分析します。
AWSは、移行プロセスを体系化したガイドラインとツール として、 AWS Migration Hub Journeys、 AWS Well-Architected Framework を提供しています。 これらのサービスを活用することで、システム棚卸も含めたベストプラクティスに基づいたクラウド移行計画の策定が可能になります。既存IT資産のクラウド移行について、技術的な難易度と対策を知りたい、システムごとの特徴を踏まえて、投資効率を高めリスクは抑えながら、早期の移行を叶えたい。そのようなご要望がございましたら、ご活用を検討ください。
まとめ
本ブログでは、 Mobilize (移行準備) の移行計画と移行戦略の策定の進め方について説明しました。#4では、移行を加速するための必要なスキルと、その向上についてご紹介します。お楽しみに!
カスタマーソリューションマネージメント統括本部
カスタマーソリューションマネージャー (CSM) 安部 俊作、上原 研太
参考リンク
クラウドジャーニーの歩み方 (前編)
クラウドジャーニーの歩み方 (後編)
クラウドジャーニーの歩み方 – Assess (評価) フェーズ – #1
クラウドジャーニーの歩み方 – Assess (評価) フェーズ – #2
AWS Migration Hub Journeys
AWS Well-Architected Framework