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クラウド利用には成熟しています。次は何を?

多くの企業はすでに、クラウドの利用経験が豊富です。 彼らはワークロードのかなりの部分を移行し、必要なクラウドスキルを学び、積極的なセキュリティ体制を確立し、少なくとも初期の実行可能な運用モデルを開発しました。 次は何ですか? クラウドの価値を最大化するために、その基盤上にどのように構築しますか? ここにいくつかの提案があります。

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FinOps による財務管理

クラウドでは、財務管理は継続的なプロセスです。 多くの利用可能なコスト削減手段により、継続的に調整しながらコストを管理します。クラウド FinOps の考え方は、財務管理の領域で成熟するために必要なプラクティスを提供します。 他の要因の中でも、コスト管理の責任をどのように割り当てるかについて決定することは重要です。たとえば、技術者(通常は分散したチームで作業する)は、多くの場合、運用コストを低減するようにシステムを設計できます。 彼らは、最適化が必要な設計パラメータの一つとして、コストを扱うことを学ぶことができます。一方、一元化された財務監視チームは、組織全体で集約された購買力を行使してサプライヤー契約を交渉し、リザーブドインスタンス( RI )と Savings Plans の使用に関する決定または推奨を行い、企業全体にコストの可視性を提供するのに適した立場にあります。

コストだけではありません。 クラウドリソースのタグ付け戦略により、ビジネスの経済性と顧客とのデジタルなやり取りに関する洞察を得ることができます。本質的には、コストを詳細な粒度に分割することで、自社が提供しているデジタルな機能を顧客がどのように使用しているかを調べることが可能になります。 以前のブログ投稿では、デジタルトランザクション内の活動基準原価計算( ABC )を実行して、ユニットエコノミクスに対する前例のない洞察を得ることについてもお話しました。

参考資料: Unlocking the Business Value of Machine Learning—With Organizational Learning; Strategy for Efficient Cloud Cost Management; Financial Liberation: Taking Control of Costs in the Cloud; FinDev and Serverless Microeconomics: Part 1; FinDev and Serverless Microeconomics: Part 2—Impacts; Introducing FinOps—Excuse Me, DevSecFinBizOps; Micro-Optimization: Activity-Based Costing for Digital Services?; Decisions at the Margins

環境持続可能性と ESG

同様に、二酸化炭素排出量を管理するために多くのことを行うことができます。実際、コンピューティングをより効率的にして削減すると、通常は炭素排出量も削減されるため、コストの最適化と重複することがよくあります。繰り返しになりますが、技術者が行ったエンジニアリングとアーキテクチャの決定は、二酸化炭素排出量を決定する上で役割を果たします。 AWS の Well-Architected フレームワークには、現在、持続可能性を考慮して設計する方法に関する柱が含まれています。

クラウドは、組織の ESG (環境・社会・ガバナンス)イニシアチブの多くで役割を果たすことができます。特に、 DEI (多様性・平等性・インクルーシブ)関連や、ビジネスをする上でコミュニティに影響を与えるかもしれない領域に関連する課題について確認しておきたいと思われるでしょう。

参考資料: IT and Environmental, Social, and Corporate Governance (ESG), Part One: A CEO and Board Concern; IT and ESG Part Two: How IT Can and Must Further the Company’s ESG Efforts; Engineering for DEI: Tapping IT Creativity and Technique to Address Diversity, Equity, and Inclusion; Addressing the Digital Workforce Gap through Diversity and Inclusion; Diversity, Equity, and Inclusion: ADP on Making DEI a Priority Internally and in Its Products

回復力(レジリエンス)

私たちは、将来直面する可能性のある大きな混乱をあらかじめ知ることはできません。 過去数年間、私たちはパンデミックといくつかの重大な気候の混乱を経験しましたが、企業はまた山火事、洪水、地震、その他の予期しない自然災害、そして戦争、貿易戦争、サプライチェーンの問題、テロ活動、ハッカーによって発見された新しい技術などの人為的な混乱に対しても脆弱です。そして…まあ、何が起こるかなんて分かりません。そこがポイントなのです!

これらすべてに対して準備ができていることを、どのように確認できますか? おそらくできないでしょうが、予期しないことにもっと機敏に対応できるように俊敏性を高めるいくつかの一般的な原則があります。 クラウドは、データと計算処理に回復力を組み込むためのアーキテクチャパターンとツールを提供しています。COVID の大流行の間、多くの企業は勤務場所の柔軟性、すなわち、単なる自宅勤務だけでなく必要に応じてどこからでも勤務することを可能にすることで、この種の俊敏な回復力に向けて大きな一歩を踏み出しました。クラウドの使用が成熟している企業は、さまざまな災害シナリオに対してテストを行い、技術的な回復力と事業運営の継続性の両方を検証し、有事における存続可能性の継続的な改善に取り組むことができます。

参考資料: Resilience, Part One: Preparing for Unknown Unknowns; Resilience, Part Two: Focusing on People

可用性

災害はさておき、会社の IT システムは継続的に利用できますか? 計画的なダウンタイムと計画外のダウンタイムの両方について考えてください。今日では、自動化されたインフラストラクチャとデプロイ手法により、計画的なダウンタイムは、ほとんど必要なくなっています。以前は、可用性レベルを高めるのは高価になると想定していましたが、クラウドでは、予想よりもはるかに安価な可能性があります。 多くの場合、それは特定のシステム構成要素をモダナイズするか、自動化の実装範囲を増やすだけの問題です。 可用性を測定し、それを改善するための費用対効果がとても高い方法がどこにあるか、確認してください。

市場投入までの時間と無駄の無さ

クラウドはスピードを上げるための強力なツールです。 しかし、この「スピード」は、従業員にもっと速く働くように求めることからではなく、プロセスをよりスリムにし、無駄を取り除くことから来ています。市場環境の状況の変化に応じて、新製品を作成したり、ビジネスに変更を加えたりするためのリードタイムについて考えてみてください。 クラウド上に基盤を構築した今、その時間を短縮するために何ができるでしょうか。多くの場合、重要なのはクラウドを使用して新製品や新機能を段階的にリリースすることです。これにより、重荷となるガバナンスや監督も軽減できる方法でリスクを軽減できます。また、クラウドで利用可能な高レベルのサービス(機械学習、エッジコンピューティングなど)を使用して、新製品をすばやく組み立てて展開することもできます。新しいアイデアから、展開された製品または機能に至るまでに必要なものを詳細に見ていくと、無駄なプロセスを取り除くためのクラウドの活用方法を見つけることができます。市場投入の遅れの多くは、複数年にわたるビッグバンのリリースサイクルのために、リスクとその結果としての管理オーバーヘッドが必然的に高くなった、古いウォーターフォールの世界からのガバナンスプロセスを使い続けていることに起因することが分かっています。

参考資料: Governance in the Cloud and in the Digital Age: Part One; Governance in the Cloud and in the Digital Age: Part Two; Experiment More, Fail Less; Does Your Technology Organization Have a Nimbleness Metric?; The Future of Faster Enterprises; CFO Series: An Executive View of Lean and Agile IT

リスク評価と対策

従来、私たちは IT イニシアチブに対して、売上増加またはコスト削減によって予測される収益に基づいて評価し、資金を拠出してきました。 しかし、考慮すべきもう 1 つの重要な角度があります。それは、リスクの軽減です。これらの潜在的な投資に対する評価は、難しいものです。なぜなら、収益の損失やコスト増を引き起こし、さらには会社の存在そのものを脅かしかねないインシデントを、確実に防止できるわけではないためです。 リスク管理は、取締役会にとって特に重要です。 CIO と CFO の間の会話において、重要だがしばしば欠落している部分は、リスクの特定とそれらを軽減するための計画の策定です。コンプライアンスリスク? セキュリティリスク? 新しい政府規制に関するリスク? 破壊的な競合他社からのリスク? 技術的リスク? これらの多くは IT ソリューションで対応可能であり、特にあなたが自由に使いこなせるようになったクラウドが適しています。特に、レガシー技術を使用し続けることから生じるリスク、自動化によるコンプライアンス改善の余地、および、対応の迅速化でリスクを軽減する方法について考えてみてください。

参考資料: The CIO-CFO Conversation: Capturing the State of IT

イノベーション

クラウド環境が整ったら、組織のイノベーションを解き放つことができるいくつかの利点があります。 クラウドでは、サンドボックスを作成して新しいアイデアを試すことができます。新しいテクノロジーやクラウドサービスを試したり、製品を段階的に構築したりできます。 顧客の一部分に対して新しい機能や製品を試したり(たとえば、A / B テストを使用して)、クラウドで提供される新しいテクノロジーを組み込むことができます。また、クラウドは従量課金モデルを使用しているため、これらすべてを低リスクかつ低コストで実行できます。最初にアイデアをテストするときは、クラウドサービスの使用量が非常にわずかであるため、コストは極めて少額で済みます。 リソースを大きく投入する前に、新しいアイデアが正しいか、確認することができます。イノベーションを促進するためのクラウド活用がまだ進んでいない場合、企業文化などを含め、どのような障害があるのか確認してみてください。

まとめ

おめでとうございます。御社はクラウドの基本的な活用環境が整備され、手順もある程度成熟しているため、クラウドのメリットを享受することに集中できます。プラットフォームとスキルに投資し、俊敏性を活かしてクラウドが提供するものを制御できるようになりました。通常、その次のフェーズで狙うメリットには、FinOps を使用したコストの最適化、デジタルコストと収益の詳細な透明性を備えたユニットエコノミクスの管理、イノベーション実現と市場投入までの時間短縮をサポートする技術を使うためのガバナンスプロセスの調整、回復力(レジリエンス)対策を通したリスクの軽減、環境持続可能性の改善があります。 ほとんどの企業にとって、計り知れない可能性があります。

Mark Schwartz

Mark Schwartz

Mark Schwartz は、アマゾンウェブサービスのエンタープライズストラテジストであり、The Art of Business Value and A Seat at the Table:IT Leadership in the Age of Agility の著者です。 AWS に入社する前は、米国市民権・移民業務局(国土安全保障省の一部)の CIO、Intrax の CIO 、および Auctiva の CEO を務めていました。 彼はウォートン大学で MBA を取得し、イェール大学でコンピューターサイエンスの理学士号を取得し、イェール大学で哲学の修士号を取得しています。

この記事はアマゾンウェブサービスジャパンの大塚信男が翻訳を担当しました。(オリジナルはこちら