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連邦選挙委員会は”Auto-Scaling”により、未曾有の5億件超の選挙献金を迅速に処理・開示

政府庁舎前の旗

Photo by Jonathan Simcoe on Unsplash

米国では、選挙献金が──件数・金額ともに── 指数関数的に増加しています。1980 年には、約 50 万件の献金がなされました。連邦選挙委員会 (Federal Election Committee = FEC) は、2020 年だけで献金の件数が総計で 5 億 “件”を越えると見込んでいます。この間、テクノロジーの進化は、アメリカ人が選挙献金をする方法を劇的に変え、多くの”少額”の献金が容易になりました。データの”透明性/追跡容易性”に対する前例のないほどの需要の高まりを満たすために、連邦選挙委員会はクラウドへの移行を決行しました。

選挙献金の財務上の透明性

連邦選挙委員会は、選挙献金の支出入を監視し、米国の選挙献金関連の法規を施行し、情報の公表と共有を行うことにより、大統領・上下両院の各選挙を含めて選挙献金全般に関する財務プロセスの健全性を保護・向上させることを目指しています。この高度な独立性を保った行政機関は、1974 年に連邦選挙運動法( Federal Election Campaign Act)に基づき創設され、選挙献金活動法(campaign finance law)を施行し、政治活動に関わる財務情報の開示を可能にしています。こうしたミッションは、選挙資金制度や国政選挙の完全性(integrity)を守るうえで重要です。

前例のない需要急増に対応する拡張性

連邦選挙委員会は、ミッション・クリティカルな対市民向けのウェブサイト・アプリケーションをクラウドへ移行した 2014 年以来、AWSを利用しています。 ただし、2014 年に比すると年を追って、同委員会のサイトに対して送信されるデータの”量”は大幅に増加しています。2024 年には、連邦選挙委員会は (2020年時点の倍の)”10 億件”の個別の選挙献金をレビュー、処理することになると見込んでいます。こうした献金件数やデータの量そのものの増加は、同委員会が解決しなければならない幾つかの喫緊の課題を生み出しています。

連邦選挙委員会の副CIOである Wei Luo 氏は次のように述べています。「この対-国民向けウェブサイトのAWS移行という”成功”を受けて、より多くの大規模なエンタープライズ・アプリケーションをクラウドに移行する長期計画をわれわれは検討しています。 2020 年の大統領選挙が間近に迫り(*訳注:英語版のBlog執筆は同年7月)、同委員会の役割がさらに重要となっていくため、連邦選挙委員会は AWS をより深く、徹底的に活用することを決定しました。連邦選挙委員会の設定した目標は、1)ウェブ サイトのクエリのパフォーマンスを向上させ、2)データの取り込みプロセスを改善し、3)蓄積されたデータへのアクセスや分析を容易にしインサイトを引き出すこと──です。2014 年に軽量級のウェブサイト・プロジェクトとしてスタートしたクラウド・ジャーニーは、大型の全組織的なデジタル・トランスフォーメーション(DX)へと拡大しました。

「準備を徹底して重ねたため、想定外の事態は、ほとんど起こる可能性が無くなりました」──と、Wei 氏(副CIO)は述べます。

AWS は、クラウド環境として「Landing Zone」を確立し、クラウド・セキュリティ・オペレーションの構築を支援しました(訳注:Landing Zoneは、AWS のベストプラクティスに基づいて、セキュアなマルチアカウントの AWS 環境を顧客がより迅速に設定できるようにするソリューションです)。また、より広範かつ大規模なクラウド移行に備えるために、同委に対してクラウド移行のレディネスを査定する計画(MRP; Migration Readiness and Planning)の立案を通じてクラウド・ジャーニーをサポートし続けています。処理可能なトランザクションが大幅に増加し、クラウドによって実現される追加のウェブサイト機能が多様化しても、それでもなお、AWS に移行することで 連邦選挙委員会が支払う金額は著しく節約されました。加えて、最も重要なこととしては、 同委員会はユーザーである米国民の要求にすばやく応えるようにインフラストラクチャを自動で拡張することができるようになりました。

複数データベースの効率的な管理

選挙キャンペーンを通じて各種のデータは絶えず流入してくるため、連邦選挙委員会は 3 つの主要なデータベース ( a:プライマリ・データベース、b:一般向けデータベース、そして、c:受信処理用データベース) を管理しています。これらの複雑なデータベースの連携においては、毎晩のデータ転送・同期が必要とされています。なお、「一般向けデータベース」は、同委のウェブサイトで閲覧することができます。誰でも FEC.gov にアクセスして、各種の連邦議会選挙への政治献金の履歴を見ることができます──それが、あなたの好きなセレブであれ隣人であれ、あるいは同僚に関しての履歴であれ、1976 年まで遡ぼることができます。

毎晩のデータの同期が必要とされる運用が続いた結果、連邦選挙委員会は、最近になってウェブサイト・データベースを Amazon Aurora に移動しました。このクラウド移行により、同委のデータベースコストの、実に50% が節約され、パフォーマンス時間もまた 50% 短縮されました。また、Amazon Glue を実装して、大規模なデータの”抽出・転送・読み込み (ETL)”プロセスを数時間からわずか数分に短縮しています。

また、AWS は、クラウド・データウェアハウス Amazon Redshift とビジネス・インテリジェンスツール Amazon QuickSight を使用したデータレイク・アーキテクチャも提供し、同委がデータにアクセスしインサイトを引き出せるよう支援しました。

同委の副CIOのWei 氏は、再度、こう述べています。「プロジェクトを始めると、毎日新しいことを学びます。AWS は、この行政機関の最高幹部をクラウド移行に動機づけるための初回のミーティングに始まり、そしてクラウドジャーニーが成果を生み出しつつある今現在に至るまで、全プロセスを常に先導してくれました。AWS は連邦選挙委員会が米国民に提供するサービスとアプリケーションの核心的な部分であることを、彼ら自身も理解してくれています。」

”コスト”は入り口。クラウドの真のメリットは、
”安価だが高インパクトのイノベーション”

クラウドへの移行の主な利点は”スケーラビリティ”と”コスト削減”に求められがちですが、同委の副CIOのWei 氏は、「非常に簡単に誰もがクラウドを”触る”ことが出来るようになったことの帰結として、”イノベーションの加速と迅速な実験”を可能にしてくれるというクラウドの特質と価値を、高く評価しています。「通常、イノベーション安くはありませんが、クラウドによって”安価だがインパクトのあるイノベーション”が実現できる環境が整うのです」──と、Wei 氏は述べています。「こうした IT モダナイゼーションの取り組みの中で、スタッフの一人がサンドボックス環境を構築しました。この一例を見ても、わが機関の職員が積極的にイノベーションを”試している”ことを示しています。クラウドのおかげで、新しいアイデアを試すのを恐れる必要がなくなったのです。」

Wei 氏は、クラウドへの移行を検討している他の政府・行政機関が「人」に焦点を絞ることを推奨しています。「すべては”人”に関しています。適切な”人材”を確保し、適切な“エグゼクティブ”による全面支援を獲得しましょう。ビジネス・ケースを作成したら、学びたいという強い意欲を持つ”メンバー”にリソースを与えて挑戦を応援する必要があります」──と、Wei 氏は述べています。「私たちはとても幸運でした。リーダーシップチームやエグゼクティブメンバーから大きなサポートを受けることができました。連邦選挙委員会には、同委のミッションや AWS とのパートナーシップについて同じ情熱を共有する素晴らしい”チーム”があります。これは、”組織”の成功にとって、不可欠なものです。」

政府・行政機関のクラウド移行ラッシュが加速

ここまで紹介してきたAWS と 連邦選挙委員会 の連携は、政府・行政機関がクラウドを活用し、ミッションを達成するのを AWS が支援している実例の一つです。AWS があらゆる種類のミッションや、その組織の規模を問わず、政府・行政機関を幅広く支援する方法の詳細については、連邦政府機関向けのクラウドのHPをご覧ください。

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さらなる詳細な情報については、特設サイト:選挙キャンペーンにおいても活用されるAWS (Elections on AWS)をぜひご覧ください。併せて、AWSの選挙関連ビジネス部門のリーダーであるMichael Jacksonが担当する17分間のWebinar「選挙管理者、政治運動、市民団体が AWS を使用して投票者エクスペリエンスを向上させる方法 」をご覧ください。また、公共部門より定期的に配信している Fix This ポッドキャスト/ Spotify のエピソード #23 (”National voter registration day”)のチェックもおススメです(リンクはこちら)。

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このブログは、 AWS Public Sector Blog Teamによる英語原文のBlog投稿をもとに、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・日本語読者向けに”Read More”部分の加筆を担当しました。

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