Amazon Web Services ブログ

AWSはコロナ禍でのコンタクト・トレーシングを支援──スケーラブル・高速・安全なクラウド・ソリューションを通じて

AWSはCOVID-19との闘いを支援

アマゾン ウェブ サービス (AWS) は、 COVID-19 がもたらす課題に政府機関・医療機関・民間企業のお客様が迅速に対応できるよう、支援を継続しています。パンデミックが始まってから数か月で、世界中の政府や組織が、ウイルスの追跡や感染を把握し、感染の拡大を更に効率的に防ぐための取り組みを加速できるようAWSは支援してきました。これらは、世界保健機関 (WHO) とその事務局長である Tedros Adhanom Ghebreyesus 博士が強調した原則です。同事務局長は、「すべての症例が迅速に発見され、検査され、隔離されるほど、このウイルスは拡散しにくくなる。この原則が、多くの命を救うでしょう」と述べています。 世界的な症例数が驚くべき速度で増加し続けているため、ウイルスの拡散を遅らせ、命を救い、経済を完全に再開するために、患者の発見・検査・隔離が世界的に不可欠です。

こうした公衆衛生の必須条件を満たすために、各国政府は「コンタクトトレーシング」と呼ばれる確立された技術の使用を拡大しています。 コンタクトトレーシングとは、公衆衛生で最も古い手法の 1 つであり、 エボラウイルス結核麻疹などの感染症の広がりを制限するために活用されてきました。

現在のパンデミックに対峙する際に、革新的な企業や政府は、AWS が提供する広さと深さがあるサービスを活用して、確認されたケースや疑いのあるケースを公衆衛生従事者が調査し、感染の可能性のある個人を特定し、さらなる感染を防ぐためにそうした個人を隔離し、病気の兆候を監視するためのツールを強化しています。

公衆衛生最前線で活用される、データ収集ソリューション

COVID-19 は症状が現れる前に個人間で拡がる可能性があるため、症例調査と接触追跡活動は迅速に行われ、かつ、徹底して行われなければなりません。従来の電話等のツールによる追跡の手法と組み合わせることで、デジタルツールは症例の調査を強化、大幅にスピードアップし、パンデミックを抑制するために必要な大規模な新しい症例管理に役立ちます。

AWS パートナーネットワーク (APN) パートナーである Dimagi は、MIT メディアラボ、Harvard-MIT ヘルスケアサイエンスおよびテクノロジープログラムによって 2002 年に設立され、COVID-19 を含めて、疾患および健康管理のために最前線の医療従事者によって広く使用されている安全な追跡ソリューションを提供しています。Dimagi の CommCare は、COVID-19 に対応しており、ニューヨーク州がこのツールを接触追跡機能をスケールアップするために使用しています。

「ニューヨーク州は、Dimagi の CommCare プラットフォームと Amazon Connect を使用して、公衆衛生担当者が州全体の重要な情報を大規模に活用し、伝達できるようにする総合的な接触追跡システムを速やかにデプロイしました」と、ニューヨーク州最高保健情報責任者である Mahesh Nattanmai 氏は述べています。「Dimagi の公衆衛生に関する専門知識とクラウドベースのテクノロジーを組み合わせることで、公衆衛生関係者からのフィードバックに基づいて接触追跡アプリケーションを定期的に改善し、このパンデミックの進展に応じて、スピードと俊敏性をもって改善することができました。」

CommCare はモバイルデータ収集およびサービス提供プラットフォームであり、医療機関は、スクリーニングや接触追跡から患者のモニタリング、ケア後のサポートまで、効果的な COVID-19 対応のすべてのフェーズに応じたカスタムモバイルアプリケーションを迅速に構築およびデプロイできます。CommCare は AWS 上に構築されているため、政府や組織は追跡アプリケーションを迅速に拡張できるため、疾病の広がりをより迅速に把握し、公衆衛生の対応策を策定することが可能になります。

Dimagi の共同創設者兼最高経営責任者 (CEO) である Jonathan Jackson 氏は、「活動性の疾患サイクルにおける最も重要な対応者は、疫学者、公衆衛生調査官、および接触追跡者であり、疾病がどこに蔓延しているかについての情報をすばやく収集して評価するためのツールが必要です」と述べています。「CommCare は、スケーラブルで安全であり、現地の要件に適応できるように設計されています。医療従事者は効率的に作業し、データをクラウドにすばやくアップロードできるため、医療関係者は情報に基づいた意思決定を行うことができます。」

 

新規患者にリーチするためのコンタクトセンターの拡張

感染が検出されると、感染の危険性に晒された個々人が警告されるまでの所要時間に応じ、封じ込められるか、それとも拡散を許してしまうのか──決定的にシナリオが分岐します。手動での接触追跡では、患者に連絡し、他人と接触した場所・位置・時間を思い出すように依頼することは、人力に頼った労働集約的な手法であり現場に疲弊を強いる非効率的なやり方です。ジョンズホプキンス大学は、米国だけでも 10 万人を超える接触追跡者を訓練し、コミュニティ・エンゲージメントを構築し、正確で完全な記録を維持し、患者が検査・医療・その他のサービスを確実に受けられるようにする必要があると推計しています。

「接触追跡は、COVID-19 の普及を管理する数少ないツールの 1 つであり、特に人口全体のソーシャルディスタンス対策を推進しています。従来の接触追跡手法とデジタルテクノロジーを組み合わせることで、このパンデミックを追跡および管理する当大学の能力をさらに高められる可能性があります」と、ジョンズホプキンス健康セキュリティセンターのシニアアソシエイト兼環境保健工学科の助教授である Crystal Watson 氏は語ります。「スピードが重要であり、病気を広める感染者がコミュニティにいなければ、伝染の連鎖を断ち切って、コミュニティ内での拡散を遅らせることができます。」

バーチャル・コンタクトセンターでは、電話、ウェブ、チャット、E メール、ソーシャルメディアなどの複数のチャネルを通じて、インバウンドおよびアウトバウンドのクライアント通信を処理できます。バーチャル・コンタクトセンターでは、人工知能や機械学習などの高度なテクノロジーを活用して、顧客の問題をより迅速に解決し、顧客エンゲージメントを追跡し、インタラクションやパフォーマンスデータを収集・把握します。

多くの州政府や国政府は、バーチャル・コンタクトセンターを利用して、手動による「路上の足跡」レベルの接触追跡機能を強化しています。Accenture と Salesforce は、Amazon Connect を使用して、ウェブベースのケース管理ソリューションと仮想コンタクトセンターを月単位ではなく数週単位で構築しました。カリフォルニアメリーランド、マサチューセッツの接触追跡者は、リモートで作業し、AWS の仮想クラウドコンタクトセンターサービスである Amazon Connect を使用して、接触の可能性がある人に連絡し、影響を受ける個人への高速で効果的な通信を大規模に行っています。

より速く、より完全な「データ・ドリブンな公衆衛生」に関する意思決定をサポート

接触追跡には、ウイルスが拡散している場所をより迅速に把握し、企業や学校を再開するタイミングを評価する必要がある情報を公衆衛生や政府関係者に提供できるなど、多くの利点があります。世界各国は、将来の流行を食い止めるために、コンタクト・トレース・アプリケーションを立ち上げています。Health Service Executive of Ireland (HSE) は、パンデミック対応スマートフォンアプリケーションを構築する基盤となるクラウドインフラストラクチャをホストするために AWS を選択しました。HSE は、AWS を使用して、安全性、拡張性、信頼性の高いソリューションを提供することができます。

AWS は、政府とそのテクノロジーパートナーが、現在および将来のコミュニティを保護するための安全でスケーラブル、迅速にデプロイ可能なソリューションを使用して、コミュニティの健康に対する従来のアプローチを最新化できるよう支援することを確約しています。この危機を解決しようとしている他のすべての人々と同様に、すべての答えを有しているわけではありませんが、私たちは支援のためのサービスをデプロイすることに専念しています。

COVID-19 に対する AWS の多様な取り組みの詳細はこちらです 。また、お客様のミッションがどのようなものであっても、必要な規模、速度、セキュリティ、信頼性を考慮して、世界中の政府機関が安全に構築できるよう支援する方法についての詳しいリソースもご覧ください。

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このブログは、Max Peterson による英語原文のBlog投稿をもとに、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・監修を担当しました。Max Peterson は、アマゾン ウェブ サービス (AWS) のWorld Wide Public SectorのVice Presidentです。

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