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AWS 初学者向けの勉強方法 6 ステップ!2022 年版!
2024 年 4 月追記:本記事の内容は 2024 年 4 月に公開された AWS 初学者向けの勉強方法 6 ステップ!2024 年版! という記事にてアップデートされています。リンクの最新化と勉強方法の追記を行っておりますので、アップデートされた記事をご確認ください。
こんにちは、AWS テクニカルトレーニング マネージャー の西村航です。
皆さん、もしくは皆さんの周りでこんな方はいませんか。「AWS を勉強したいんだけど何から勉強すればよいだろう。どこかに勉強方法がまとまってないかな?」という悩みを抱えている方、または「同僚や部下に AWS の勉強を促しているけど、ちょうど良い教材とか無いかな?」という悩みを抱えている方。本記事はそういった AWS を勉強する際の悩みを抱えた AWS 初学者の方や AWS 初学者を育成する立場にある方を対象にした記事になります。
どのようなステップで知識を深めていけばよいのか、この勉強方法がなぜオススメなのか、疑問点やハマりどころに直面した際にどこのサイトをチェックすればいいのか、などハラオチしながら勉強を進められるように具体的に記載しています。
それでは、私がこれまでにお客様からいただいた質問をベースに、AWS 初学者向けの勉強方法を 6 ステップで順番にお話しします。
ステップ1. まず最初に何をするべき?
まず最初は、AWS が選ばれる理由や、ビジネスでの活用方法やビジネスにもたらす効果を事例ベースで学びましょう。AWS でどういうことができるのか、クラウドのメリットとは何なのか、を理解することで、「なぜ自分は AWS を勉強するのか」という勉強の理由をハラオチさせることができます。
また、皆さんがよく使う動画視聴サービスや EC サイトなど普段利用しているアプリケーションの裏側の仕組みも知ることができるため非常に面白いです。それでは、オススメのリンクを 3 つ紹介します。
1. AWS のクラウドが選ばれる 10 の理由 ★西村イチオシ
AWS がお客様に選ばれる理由に関して説明されています。図や表を用いて読みやすく記載されています。「必要な時に、必要なだけ、低価格で IT リソースを提供」「サービスを開始してから〇〇回以上の値下げを実施」など AWS のポイントがシンプルな言葉で説明されていて、分量もちょうど良いです。
2. お客様の導入事例
多種多様な業種や企業規模のお客様がどのようにクラウドを活用いただいているのかが網羅的にまとまっています。フィルター条件を適用することで エンタープライズ や スタートアップ などのセグメント別でも見ることができますし、業種別、利用用途別で見ることもできます。お客様の AWS の活用方法や、お客様のビジネスへの効果などが記載されているため、ビジネスの現場での AWS の活用シーンをイメージしやすくなります。
なお、分かりにくい単語に関しては AWS の用語集 を確認することで理解が深まります。
3. AWS Summit Japan セッション資料・動画一覧 ( 2013 / 2014 / 2015 / 2016 / 2017 / 2018 / 2019 / 2020 / 2021 )
当日のセッションが資料または動画で視聴できます。特にお客様事例セッションは、お客様のシステムにかける”熱意”が伝わってきますし、ビジネス上の課題を AWS でどのように解決していくのかのストーリーが分かりやすく、「AWS を勉強してみよう!」という気分になります。
ステップ2. AWS サービスの全体像を掴むには?
先ほどのステップでは、AWS が選ばれる理由やビジネスでの活用例に関して説明しましたが、資料に目を通して AWS が提供するサービス数の多さに驚かれた方もいらっしゃると思います。 AWS のクラウドが選ばれる 10 の理由 でも記載されている通り、AWS はお客様の満足度を何よりも大事にしています。そのため、サービスの機能改善は 90 %以上がお客様の要望をもとに実装されていますし、200 を超えるサービスが提供されています。
とは言いつつも、サービスの多さゆえにサービスの全体像を理解するのが少し難しい、というのが初学者の方が最初に直面する壁です。その壁を乗りこえるためには、AWS のサービス群の全体を俯瞰しながら理解していき、点と点を線でつないでいきましょう。オススメの勉強方法は以下の 3 つです。
1. AWSome Day Online Conference
AWS クラウドジャーニーのはじめの一歩として、AWS に関する基礎知識を約 3 時間で学ぶ無償のオンライントレーニングイベントです。毎月第一水曜日に配信していますので、ぜひご参加ください。コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワークといった AWS の主要なサービスを段階的に学ぶことができます。ウェビナー開催中は 1:1 のチャットで AWS エキスパートに質問できますので、疑問点もその場で解決できます。
2. AWS Cloud Practitioner Essentials (Japanese) (日本語実写版) ★西村イチオシ
AWS トレーニングポータルでは、何度でも視聴できるオンデマンドの デジタルトレーニング が無料で提供されていますし、様々な言語で視聴でき 120 を超えるコースが日本語化されています。その中でも本コースは、先ほど紹介した AWSome Day と同等の内容で、AWS を全体的に理解したい方を対象としている基礎レベルですので、技術職の方に限らず営業職の方など含めてオススメのコースとなっています。なお、2021 年に本コースはリニューアル( AWS クラウドに関する知識を習得するための AWS Cloud Practitioner Essentials デジタルコースが新しくなりました )しており、日本の AWS 認定インストラクターが日本のスタジオで収録した日本語実写版がオススメです。
3. Cloud Practitioner Essentials for Entry
このオンデマンドのウェビナーでは 、キャパシティプランニングや CIDR といった IT に関する専門用語について適宜解説しながら進行しますので、AWS に関心がある非 IT 領域の方や学生の方にオススメです。ウェブサービスや AWS クラウドがどういうものなのかといった、AWS の学習をはじめる際に前提となる知識を効率よく学ぶことができます。また、ウェビナーの後半ではいくつかの代表的な AWS サービスについてとりあげ、その概要について紹介します。
ステップ3. AWS の各サービスに詳しくなるには?
これまでのステップでは、AWS 全体に関する説明をしてきました。おそらく、各サービスの概要を知るにつれ、知りたいことや疑問点などが出てくると思います。例えば、「サービス A とサービス B は似ているように見えるが違いは何なのか」「サービス C の料金体系はどうなっているのか」「サービス D の設計時の制限値などは無いのか」などなど。
そのため、このステップではさらに一歩ふみこんで、疑問点を解消しつつ AWS の各サービスを深堀りしていくためのオススメのリンクを 5 つ紹介します。
1. AWS サービス別資料 ★西村イチオシ
真っ先にオススメするのが、「サービス別資料」になります。サービスの要点をギュッ!と凝縮しつつ、サービス設計時の勘所を押さえた資料になっています。難しい専門用語も比喩表現を交えて分かりやすく解説されているため、気になるサービスに関しては最初に「サービス別資料」に目を通しましょう。
まずは、コンピューティングの Amazon EC2 、ネットワークの Amazon VPC 、データベースの Amazon RDS 、ストレージの Amazon S3 などのシステム構成の核となるサービスからチェックしてみましょう。SlideShare / PDF / YouTube などのフォーマットでも見ることができます。
2. AWS ドキュメント
「サービス別資料」でサービスの概要を理解した後に、より詳細にサービスの仕様などを理解したい場合は「AWS ドキュメント」を参照しましょう。HTML 形式で見やすい目次が画面左に表示されるので、知りたい情報に簡単にアクセスできます。ユーザーガイドだけでなく、開発者ガイドや API リファレンス、そしてチュートリアルも記載されています。
3. よくある質問
各サービスを勉強していて疑問がわいた時に、最初にアクセスするべきサイトが「よくある質問」になります。各サービスに関する製品および技術上の FAQ 集となっており、どういうサービスで何ができるのかといった基本的なことから、使用できるオプションなどの詳細まで網羅的に記載されています。
4. AWS ナレッジセンター
サービスを実装する際の具体的な手順に関して疑問がわいた時には「AWS ナレッジセンター」にアクセスしましょう。例えば「〇〇というエラーを解決する方法を教えて下さい」「〇〇を設定する方法を教えて下さい」などの実装に関する FAQ が豊富に記載されていますので、実装でつまずいたらアクセスしましょう。
5. AWS で最低限知っておきたい 10 のことシリーズ
例えばデータベースを AWS 上で構築したい場合や、ファイルサーバーの AWS への移行を検討している場合など、最初にざっくりと要点を把握することでサービスやソリューションの全体像を把握したい場合に最適です。例えば AWSへデータ移行をする際に押さえておきたい10のこと や、 AWS で分析を始めるのに必要な 10 のこと など AWS で実装してみたい各ソリューションの要点をおさえましょう。
ステップ4. さらに知識を深めるには?
「習うより慣れろ」という言葉がありますが、手を動かすことは学習定着率を高める上で非常に有効な方法です。勉強したサービスをハンズオンなどを通じて実際に触ってみることで、知識と実践を結びつけて理解することができます。
しかし、「どのサービスが入門に適しているのか分からない」「構築する際の手順書が欲しい」「できれば簡単なものから始めたい」と言った方もいらっしゃると思いますので、オススメのハンズオンを 2 つ紹介します。
1. AWS ハンズオン資料 ★西村イチオシ
動画で勉強しつつ、用意されたシナリオと手順書に沿って進める入門者向けのハンズオンになります。特徴として「短い動画を見てからハンズオンで実際に触る」ステップを繰り返す構成になっていますので、歩幅を小さくじっくり理解しながら進めることができます。どのハンズオンから始めようかなと悩んだ方は Hands-on for Beginners で AWS を使いはじめよう ! 〜目的にあわせてハンズオンをおすすめします〜 の記事に記載されているチェックシートを見ながら、目的に応じたハンズオンをピックアップしてみてください。
2. 実践的チュートリアル
10 分程度で実施できる初級ハンズオン(チュートリアル)から数時間かかる上級ハンズオンまで、様々なレベルのハンズオンが画面キャプチャ付きの手順で記載されています。オススメする理由として、各ハンズオンの右上に「無料利用枠」と記載されているものに関しては AWS 無料利用枠 の範囲で実施できます。例えば EC2 インスタンスでコマンドをリモートで実行する のチュートリアルでは、Amazon EC2 インスタンスを作成して AWS Systems Manager を使用してリモートからコマンドを実行するだけでなく、最後に後片付けとして Amazon EC2 インスタンスを削除する手順まで含めて記載されています。とりあえず作ってみて消してみる、を繰り返してみましょう。
ステップ5. 最新情報をキャッチアップするには?
AWS のサービスは改善のサイクルが非常に早いため、サービスを使用する側も常に知識の鮮度を高める必要があります。また、最新技術を知ることで設計の幅を広げることもできます。
そのため、このステップでは各サービスの最新情報を効率よくキャッチアップできるオススメのリンクを 5 つ紹介します。
1. AWS の最新情報
AWS の各サービスに関して、「〇〇サービスが東京リージョンで利用可能になりました」などの最新のアップデートが掲載されています。新しい機能拡張など設計にひびくアップデートもありますので、チェックしましょう。なお、本サイトは RSS 登録が可能ですので、RSS リーダーのスマートフォンアプリを利用することで、更新情報を自動的に取得することもできます。
2. Amazon Web Services ブログ ★西村イチオシ
本記事を掲載している Amazon Web Services ブログ です。こちらも RSS 登録が可能です。AWS のサービスに関するアップデートを詳しく説明した記事など AWS 関連の様々な情報を掲載していますが、特に 週刊 AWS は要チェックです!前の週に公開された主要なアップデートや、日本のお客様に興味を持っていただけそうなものをピックアップして紹介しているので、「ちょっと先週は忙しくて AWS の最新情報を追いきれてない…」という方の助け舟になりますし、ダイジェスト版として重宝いただけると思います。
また、関連するブログとして AWS Startup ブログ と AWS JAPAN APN ブログ もオススメですので合わせてチェックしましょう。 アーキテクチャを考える際に指針となる スタートアップのためのマイクロサービス入門 など読み応えがある記事が数多くあります。
3. builders.flash
ディベロッパー向けのウェブマガジンで、様々なレベルの方に向けてバラエティに富んだ記事構成になっています。 お役立ち Twitter Bot を作りながら学ぶ AWS ドリル~第 1 回 おはよう Bot 編 などの AWS サービスを手を動かして実装する記事だけでなく、ハンズオンの「腹落ち問題」を改善する 5 Tips といった役立つ Tips をまとめた記事まであります。また手前味噌ですが、有識者に勉強方法をインタビューする ネットワークの勉強方法を聞いてみた や サーバーレスの勉強方法を聞いてみた といった初学者向けの記事などもあります。メンバー登録することでハンズオン記事をためす際に使える無料クーポンが配布されるなど様々な特典が用意されていますので、ぜひメンバー登録をしましょう。
4. SNS ( Twitter / Facebook / YouTube )
オンラインイベントの配信開始などリアルタイム性のある内容に関しては Twitter や Facebook をフォローすると情報を追いやすくなりますし、ブログ更新やセミナーの資料公開などの通知系の内容も投稿されています。また、様々な基調講演の内容なども YouTube で随時アップされますので、こちらもチャンネル登録しておきましょう。
5. AWS イベントスケジュール
開催を予定しているライブ配信イベントを一覧で確認することができます。また早期登録キャンペーンなど得する情報もチェックすることができますし、定期期にイベント情報をメールで取得することも可能です。なお、ライブ配信だけでなくオンデマンド配信のコンテンツも検索できますし、カテゴリーでお好みのイベントをフィルタリングすることもできます。
ステップ6. 中級レベルの情報を身に付けるには?
これまでに紹介した勉強方法を実践して基礎が固まってきた方、高度な情報にアクセスしたくなった方、より現場寄りなハンズオンを実装したい方に向けた勉強方法を 4 つ紹介します。
1. AWS アーキテクチャセンター ★西村イチオシ
エキスパートがまとめた AWS の技術リソース郡を一覧できます。ドキュメントに関しては AWS ホワイトペーパーとガイド ではベストプラクティス等が記載された技術文書が集まっていますが、特に AWS Well-Architected Framework は設計原則と質問から構成される必読の AWS クラウドのベストプラクティス集になります。また The Amazon Builders’ Library では Amazon のエンジニアが実際に開発・設計・リリース・運用する方法を説明していて、設計に関する考慮事項などの生の声が記載されていてオススメです。
2. AWS ソリューションンライブラリ
AWS によって検証済みの実装例が参照できます。構成例に関しては 目的別クラウド構成と料金試算例 で代表的な構成とその試算例を幅広く紹介されていますので初回導入検討時の情報として活用いただけますが、より多くの構成例を確認したい場合は AWS リファレンスアーキテクチャ図 をご確認ください。200 を超えるアーキテクチャ図が掲載されていてポイントごとに解説もありますし、カテゴリ別・業種別にフィルタリングもできます。なお、お客様とパートナー様が実装したアーキテクチャを解説する動画を視聴できる This is My Architecture もオススメです。
3. ハンズオン
初級者向けのハンズオンとして 実践的チュートリアル をご紹介しましたが、他にも複数のワークショップがあります。AWS Workshops と Modernization Workshops で探すことができます。どのワークショップも前提条件や手順など含めて詳細に記載されています。オススメできるポイントとしては、レベルだけでなく、カテゴリ(セキュリテイ、IoT など)やタグ(Amazon VPC などのサービス名)が各ハンズオンで記載されていますので、習熟度や目的に応じてハンズオンをピックアップすることができます。
ちなみに、 AWS Samples や Amazon Web Services – Labs では GitHub 上に様々なワークショップのソースコード等を公開していますので、合わせてチェックしてみてください。
4. イベント
多くの新サービスや新機能が発表される AWS 最大のラーニングカンファレンスである AWS re:Invent など各イベントのコンテンツを一覧で確認できるのが AWS Events Content になります。ページ左側のフィルターでイベントだけでなく、レベルやカテゴリもピックアップできます。新サービスや新機能だけでは無く、サービスのベストプラクティスやデータ移行のワークロードなど面白いセッション資料も多数用意されていますので、是非目を通してみましょう。
お知らせ(AWS 認定資格とクラスルームトレーニング)
「せっかく勉強したから、勉強の成果を確認するために資格を取りたい。」という方もいらっしゃると思います。 AWS認定資格 の試験準備をしているお客様向けに、無料ウェビナーの AWS 認定試験ワークショップ を毎月開催しています。
AWS Certified Cloud Practitioner 試験、AWS Certified Solutions Architect – Associate 試験、AWS Certified Developer – Associate 試験、AWS Certified Solutions Architect – Professional 試験に関して、AWS 認定インストラクターが出題分野の概要や試験問題のポイントを解説しています。ライブ QA も付いていますので、是非無料ウェビナーに参加して認定資格の取得を目指しましょう。
AWS 認定試験ワークショップの開催日程で調整が難しいという方は、AWS のデジタルトレーニングで Exam Readiness ( 日本語 、英語 ) と検索すると、各認定試験の試験準備コースをオンデマンドでいつでも視聴できます。特にコース名に「日本語実写版」と含まれているコースは、日本スタジオで日本の AWS 認定インストラクターが収録したデジタルトレーニングになりますので、是非チェックいただければと思います。
なお、短期間で体系的に学びたいお客様のために、AWS 認定インストラクターが実施する有償の 集合研修クラスルームトレーニング も用意されており、2022 年 4 月時点ですべてのクラスルームトレーニングがオンラインにて実施となっております。トレーニングをライブで配信するため、教室に集合することなく、ご都合の良い場所からご自身の PC でトレーニングを受講することができます。AWS 認定インストラクターによる座学だけでなくハンズオンなども含めた充実した内容となっていますので、是非受講をご検討ください。どのコースを受講するかお悩みの方は AWS 認定インストラクターによる有償トレーニングコースの選び方 を、そして有償トレーニングならではの価値を確認するために AWS 有償トレーニングのメリットってなんだろう も合わせてチェックしていただければと思います。
まとめ
本記事では、AWS 初学者向けの勉強方法を紹介しました。今日から早速始めてみましょう。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
著者について
西村 航 (Wataru Nishimura) @kuwablo
AWS トレーニングサービス本部 テクニカルトレーニング マネージャー
焼肉が好きです。