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AWSへの移行を加速させる

この記事は、Accelerating your Migration to AWSを翻訳したものです。

AWSへの移行を成功させる鍵は、よく練られた計画、有益なツール、過去の移行経験、そして質の高い実装にあります。このブログでは、移行を計画し、加速させるためのベストプラクティスを紹介します。移行における2つの重要な概念である、ポートフォリオの評価とマイグレーションについて説明します。それでは、始めましょう。

Figure 1. AWS recommended tools for migration

図1. AWSが推奨する移行のためのツール

ポートフォリオ評価

ポートフォリオ評価は最初のステップです。AWSのツールは、ビジネスや技術に関する情報を迅速に評価し、意思決定することを支援します。AWSのツールを利用してポートフォリオを評価することは、利益を定義し、インサイトを提供し、進捗状況を追跡するのに役立つ、クラウドジャーニーの重要な最初のステップです。

AWS Migration Evaluatorでビジネスケースを構築する

移行を成功させるための基盤は、成長や新規サービスなどのビジネス目標を定義することから始まります。ビジネスドライバーを実現するためには、既成のビジネスケースを、セキュリティや弾力性の向上などの技術的な能力と整合させる必要があります。AWS Migration Evaluator(旧称 TSO Logic) は、これらの目標を達成するのに役立ちます。
AWS Migration Evaluatorを利用するために、まず、Configuration Management Database(CMDB)などのサードパーティツールによって取得された情報をアップロードするか、コレクタエージェントをインストールするかを選んで実施します。データ収集後、AWSクラウドでオンプレミスのワークロードを実行した場合の予想コスト見積もりと節約額を含むアセスメントを受け取ります。この見積もりは、使用パターンに基づいてAWSでリホストした場合に予測されるコストの概要を提供します。インフラストラクチャとソフトウェアライセンス別のコストの内訳が表示されます。この情報を使用してビジネスケースを作成し、次のステップを計画することができます。

ADSで詳細を確認する

次のステップは、AWS Application Discovery Service (ADS)です。ADSは、オンプレミス等でホストされたインフラストラクチャを検出します。検出結果には、サーバーのホスト名、IPアドレスやMACアドレス、リソース割り当て、主要なリソースの利用状況などの詳細が含まれます。

インフラストラクチャが他のサーバーとどのように相互作用しているかを知ることは重要です。ADSは、各サーバーのインバウンドやアウトバウンドのネットワークアクティビティを記録することにより、サーバーの依存関係を特定します。ADSは、サーバーのパフォーマンスに関する詳細を提供します。ホストCPU、メモリ、ディスクの使用率などのメトリクスを測定することにより、アプリケーションやプロセスのパフォーマンス情報を取得します。また、事前に定義済みのクエリを使用してAmazon Athenaで検索することもできます。

AWS Application Discovery Serviceを利用して、オンプレミスサーバーを検出し、移行を計画することが無料でできます。

AWS Migration Hubによる計画と管理

検出データが収集されたので、次はAWS Migration Hubを使用します。AWS Migration Hubは、ADSやその他のソースからのデータを自動的に処理します。ポートフォリオの評価と移行計画を支援し、理想的なアプリケーションの移行パスを決定するのに役立ちます。

AWS Migration Hubは、アプリケーション移行の進捗を可視化し、追跡するための単一の場所を提供します

ポートフォリオの進捗状況を確認できたので、移行フェーズを開始します。

移行 – AWS推奨ツールで加速する

移行は、ポートフォリオ評価が完了した時点で開始することができます。AWSが推奨するツールを使用することで、柔軟かつ自動化された信頼性の高い方法でプロセスを加速させることができます。

AWS Application Migration Service (MGN)を利用したリホスト

移行アプローチの1つとして、リホスト(リフトアンドシフト)が知られています。リホストは最も一般的なアプローチで、AWSが推奨するツールを使用してプロセスを自動化できます。アプリケーションを実行しているOSを既存のハイパーバイザーから移動し、Amazon EC2上にリホストします。

AWS Application Migration Service (MGN)は、オンプレミスのソースサーバーをほぼ継続的にブロックレベルでAWSアカウント内のステージングエリアにレプリケートするサービスです。AWS MGNは、迅速で大規模な移行を行うために設計されています。AWS MGNは、従来の時間がかかり、ミスを犯しやすい手動プロセスを最小限に抑えます。物理、仮想、クラウドの各インフラから移行元のサーバーを自動的に変換し、AWS上でネイティブに動作させます。起動したインスタンスがAWS上で適切に動作していることを確認した後、ソースサーバーを削除することができます。リホストを行うことで、その後、追加のAWSサービスや機能を活用して、アプリケーションをモダナイズしていくことが選択肢となっていきます。

AWS MGNは、移行元サーバー1台に対して2,160時間無料で利用することができます。継続的に利用する場合、約90日間となります。ほとんどのお客様が、無料期間内にサーバーの移行を完了しています。

AWS App2containerによるリプラットフォーム

ワークロードの中には、Webアプリケーションの移動など、サーバーの完全な移行を必要としないものもあります。

AWS App2Containerを使用すると、既存のアプリケーションをコンテナ化し、監視、運用、ソフトウェア配信のための単一のツールセットを標準化することができます。コンテナ化により、アプリケーションの運用に必要なインフラストラクチャとスキルセットを統合し、インフラストラクチャとトレーニングの両方のコストを節約できます。AWS App2Container(A2C)は、.NETやJavaのWebベースのアプリケーションをコンテナに直接リプラットフォームするためのツールです。

この場合、コンテナ化したいアプリケーションを選択します。次に、A2Cはアプリケーションアーティファクトと識別された依存関係をコンテナイメージにパッケージ化し、ネットワークポートを設定し、必要な定義を生成します。A2Cは、コンテナ化されたアプリケーションを本番環境にデプロイするために必要なクラウドインフラストラクチャとCI/CDパイプラインをプロビジョニングします。A2Cを使用すると、既存のアプリケーションをモダナイズし、コンテナによるデプロイと運用を標準化することができます。

App2Container自体は無料提供であり、課金は、このサービスによって作成されたAWSリソースに対して行われることになります。

AWS Database Migration Serviceによるリプラットフォームとデータの同期化

多くの場合、オンプレミスのデータベースをAWSに移行する必要があります。大量のデータを移動し、別の場所に同期させるには、カスタムツールや高価なベンダー固有のツールが必要となり非常に困難な場合があります。

AWS Database Migration Service (DMS)には、2つの優れたユースケースがあります。

  1. Amazon RDSデータベースへの移行や、あるプラットフォームから別のプラットフォームへの変更(OracleからPostgresへの変更など)
  2. EC2でホストされるデータベースへの移行

AWS DMSは、AWSへのデータベースの移行と同期を迅速かつ安全に行います。移行元(オンプレミス)のデータベースは、移行中も完全に動作するため、カットオーバーの準備が整うまでのダウンタイムを最小に抑えることができます。AWS DMSは、ほとんどのオープンソースや商用データベースをサポートしています。

Amazon AuroraAmazon RedshiftAmazon DynamoDBAmazon DocumentDB(MongoDBとの互換性あり)に移行する場合、AWS DMSは6ヶ月間無料です。

まとめ

この記事では、AWSツールの一部を紹介するとともに、移行を促進するための推奨事項をいくつか紹介しました。すべての顧客ポートフォリオとアプリケーションの要件はそれぞれ固有であることを念頭に置くことが重要です。したがって、ビジネスとアプリケーションオーナーとの間で移行計画を検証し、レビューすることが重要です。適切な計画、エンゲージメント、そして実装があれば、AWSへの移行はスムーズかつ迅速に行えるはずです。

何か質問があれば、コメント欄でご意見をお寄せください。

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翻訳はソリューションアーキテクト 小宮山 裕樹 が担当しました。原文はこちらです。