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週刊AWS – re:Invent 2021特別号(2021/11/29週)

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの下佐粉です。
今週も週刊AWSをお届けします。

先週はAWS re:Inventが開催されましたね。各種キーノートやテクニカルセッションなどに、日本からもオンライン参加された方が多かったのではと思いますが、楽しんでいただけましたでしょうか?

期間中は例年通りエキサイティングな発表が多数ありました。そこで今号はre:Invent特別号として、いつもとは違いサービスのジャンルごとにいくつかピックアップ&サマリして紹介する形になっています。発表内容をほぼ網羅したセミナー「AWS Black Belt Online Seminar AWS re:Invent 2021アップデート速報」での資料と動画が以下に出ていますので、こちらも合わせてご覧ください。

それではre:Invent 2021期間に発表された主なアップデートについて振り返っていきましょう。

AWS re:Invent 2021期間に発表された主要なアップデート (2021/11/29週)

Compute & Container

  • 新しいEC2インスタンスファミリーの発表
  • Amazon EC2 M1 Macインスタンスを発表
    • Apple M1チップを搭載したAmazon EC2 M1 Macインスタンスが発表されました。iOSとmacOSのアプリケーションのビルドに最適です。現在バージニアとオレゴンリージョンでプレビューが開始になっています。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • Amazon ECRがキャッシュリポジトリ機能を発表
    • Amazon ECRでPull Through型のキャッシュリポジトリ機能が利用可能になりました。セキュリティポリシー上、外部のリポジトリにアクセスが難しいような環境でも、ECRを経由してパブリックなリポジトリにアクセスしてコンテナイメージを取得することが可能になります。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • •AWS Outpostsのラックマウント可能なモデルを発表
    • オンプレミス環境にAWSサービスを延伸するサービスであるAWS Outpostsに、ラックマウント可能な小型の1U、2Uモデルが追加されました。より多様な環境条件やニーズに対応できるようになりました。詳細はこちらのページをご覧ください。

Storage

  • Amazon S3 Glacier Instant Retrievalを発表
    • アーカイブ用途で安価にデータを保存できるAmazon S3 Glacierに、即座にデータを取り出すことができる新しいストレージクラスGlaier Instant Retrievalが発表されました。全てのAWSリージョンで利用可能になっています。これまではGlacierからの取り出しにはある程度の待ち時間が必要でしたが、Instant Retrievalを利用することでミリ秒単位で取り出しが可能になります。合わせて旧来のGlacierはS3 Glacier Flexible Retrievalという名前に変更され、バルク取出し費用が無料化、容量単価の10%値下げが発表されています。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • Amazon S3で最大31%の値下げを発表
    • Amazon S3のS3 Standard-Infrequent Access(標準 – 低頻度アクセス)とS3 One Zone Infrequent Accessの値下げが発表されました。東京・大阪リージョンともに値下げの対象になっています。値下げは2021/12/1より有効になり、自動的に適用されます。詳細はこちらの発表をご覧ください。
  • Amazon FSx for OpenZFSを発表
    • フルマネージド型のファイルストレージサービス、Amazon FSx for OpenZFSが発表され、一般提供開始(GA)になりました。東京リージョンでご利用いただけます。数クリックでファイルシステムを作成し、透過的な圧縮、継続的な整合性の検証、スナップショット、copy-on-write など、OpenZFS のメリットをすぐに活用可能なサービスです。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • AWS Backupの機能追加が発表
    • バックアップの管理サービスであるAWS Backupに2つの新機能が発表されました。1つはAWS Backup for Amazon S3 (Preview)で、S3バケットのバックアップをAWS Backupでコントロールする事が可能になりました。もう1つがVMwareワークロードのサポートで、オンプレミスもしくはVMware Cloud on AWSの一元的なバックアップ管理をサポートするようになりました。VMwareワークロードサポートについてはこちらのブログをご覧ください。

Networking & Edge Service

  • AWS Cloud WANを発表
    • グローバルなWide Area Network(WAN)を構築し、管理し、監視できる新しいマネージドサービスであるCloud WANが発表されました。現パブリックプレビューが開始になっており、東京リージョンでお試しいただけます。オンプレミスとAWS間をつなぐネットワークの状態やセキュリティを可視化するダッシュボードを提供することで、運用管理を楽にするサービスです。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • AWS Private 5Gを発表
    • 企業の拠点等でプライベートな5Gモバイルネットワークをセットアップ・スケールさせるためのマネージドサービス AWS Private 5G のプレビューが発表されました。現在は米国内のみプレビューを受付中になっています。詳細はこちらのページをご覧ください。
  • AWS Direct Connect SiteLinkを発表
    • AWSが管理するグローバルネットワークを介してオンプレミス間を接続できるAWS Direct Connect SiteLinkが発表されました。一般提供開始(GA)になっており、東京・大阪リージョンでもご利用いただけます。従来、AWSのネットワークバックボーンを活用してオンプレミスサイト間を接続するには、一旦DXロケーションからAWSの特定リージョンに接続し、TransitGateway等でルーティングするという構成が必要でしたが、そういった設定無しにDXロケーション間での通信経路を確立できるようになりました。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • Amazon VPC Network Access Analyzerを発表
    • VPC内の通信状況を分析し、インスタンスやRDSが満たすべきアクセスポリシーに準拠していることを確認できる新機能、Amazon VPC Network Access Analyzerが一般提供開始(GA)になりました。例えばリソースに意図しないネットワークアクセスがないかを簡単に特定することが可能になります。東京リージョンでもご利用いただけます。詳細はこちらのブログをご覧ください。

Database

  • Amazon RDS Custom for SQL Serverを発表
    • Amazon RDSはフルマネージドのサービスですので、運用管理が簡素化される代わりに、OSにログインしたり、ユーザ側にミドルウェアにパッチをあてるという事はできません。今回発表(一般提供開始)されたAmazon RDS Custom for SQL Serverは、そういったカスタマイズをある程度可能にするもので、EC2上に手動で導入する手法とこれまでのRDSとの中間に位置するものです。詳細はこちらのブログをご覧ください。なお同様の機能を提供するAmazon RDS Custom for Oracleはすでにリリースされています。
  • Amazon DevOps Guru for RDSを発表
    • 機械学習のテクノロジを用いてデータベースに関する性能問題の検知と解決を迅速化するサービスAmazon DevOps Guru for RDSが発表され、一般提供開始(GA)になりました。データベースに意図しない高負荷が発生した場合等に、原因となるSQL文を特定し、原因と影響範囲を通知したり、解決案の提示を行うサービスです。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • Amazon DynamoDB Standard IA table classを発表
    • DynamoDBのストレージコストの削減を可能にする新しいテーブルクラス、Standard Infrequent Accessが発表されました。中国とGovCloud(US)以外の全リージョンで一般提供開始(GA)になっています。読み書きの費用は通常のテーブルクラスより高いものの、保存費用が安くなるクラスで、アクセス頻度の低いデータを格納すると最大60%のコストを削減可能です。詳細はこちらの発表をご覧ください。

Analytics

  • 3つのサーバーレスサービスの発表
    • 新しいサービスとして、Amazon Redshift Serverless、Amazon EMR Serverless、Amazon MSK Serverlessが発表されました。
    • Amazon Redshift ServerlessはRedshiftクラスターの事前プロビジョンをする必要なく、Redshiftのほぼ全機能が使えるサービスで、現在東京リージョンを含む6リージョンでプレビュー開始になっています。詳細はこちらのブログをご覧ください。
    • Amazon EMR Serverlessは、ユーザが利用するコンピュートリソースの詳細を指定することなく、Hadoop/Sparkのジョブを実行可能にするサービスで、バージニアリージョンでのプレビューが開始になっています。詳細はこちらの発表をご覧ください。
    • Amazon MSK Serverlessは、キャパシティを事前に確保することなく、Apache Kafka ワークロードを実行可能にするサービスです。現在パブリックプレビューがオハイオリージョンにて開始になっています。詳細はこちらの発表をご覧ください。
  • Amazon Kinesis Data Streams On-Demandを発表
    • Kinesis Data Streamsで、On-Demandモードが利用可能になりました。名前の通りトラフィックの変化に応じてキャパシティーが自動的にスケーリングされるため、ユーザはキャパシティの運用管理から解放されます。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • AWS Lake Formationで3つの新機能が一般提供開始(GA)
    • 以前より、パブリックプレビューであったAWS Lake Formationの3つの新機能、ACIDトランザクション管理 (Governed Table)、データ保存の最適化(小さいファイルが多数ある場合にまとめる)、行・セルレベルのセキュリティ機能が一般提供開始(GA)になりました。これらの新機能は、こちらの日本語ブログシリーズで解説されています。
  • Amazon AthenaでIcebergとACIDトランザクションをサポート
    • Amazon AthenaのACIDトランザクションがパブリックプレビューとして発表されました。これはS3上のデータへの読み取りだけでなく更新を行うことができるようになる機能で、データフォーマットはApache Icebergが利用可能です。現在バージニア、オレゴン、アイルランドのリージョンでプレビューが利用可能です。詳細はこちらの発表、およびこちらのドキュメントをご覧ください。

AI & 機械学習(ML)

  • Amazon SageMaker Canvasを発表
    • グラフィカルなUIを備え、機械学習の経験がなくともGUI操作で予測モデルを構築するためのサービス、Amazon SageMaker Canvasが一般提供開始(GA)になりました。詳細はこちらのブログをご覧ください。一か月750時間、最大10モデルの作成までは無料枠として利用可能です。
  • Amazon SageMaker Training Compilerを発表
    • Amazon SageMakerのTensorFlowおよびPyTorchと統合された、新しい機械学習モデルコンパイラが一般提供開始(GA)になりました。ディープラーニングモデルを最適化するコンパイラを提供することで、トレーニングにかかる時間を最大50%高速化するものです。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • Amazon SageMaker Serverless Inferenceを発表
    • 機械学習の推論(Inference)を実現するための新しいサーバレスのオプションが発表されました(プレビュー)。推論リクエストの数に基づいて、処理能力を自動的にプロビジョニング、スケーリング、削除する仕組みを提供します。詳細はこちらの発表をご覧ください。
  • Amazon SageMaker Studio Labを発表
    • 機械学習の開発環境であるAmazon SageMaker Studioの無料版となる、 SageMaker Studio Labが発表されました(プレビュー)。AWSアカウントを作成することなくサインアップでき、ブラウザだけで簡単に利用開始できます。セッションあたり12時間分のCPUもしくは4時間分のGPU利用と16GBメモリ、プロジェクトあたり15GB分のストレージが無料で利用可能です。詳細はこちらのブログをご覧ください。

IoT

  • AWS IoT RoboRunnerを発表
    • 拠点の中で協調的に動作させる必要があるロボット群を管理するためのサービス、AWS IoT RoboRunnderのプレビューが開始になりました。インフラを構築することなく、シミュレーション実行や自動化ができるサービスです。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • AWS IoT FleetWiseを発表
    • 自動車メーカーが簡単に、車両データをほぼリアルタイムで収集・変換・転送することを可能にするサービス、AWS IoT FleetWiseがプレビュー公開されました。車両側にIoT FleetWiseアプリケーションを搭載し、FleetWiseにデータを連携する仕組みを容易に構築できます。詳細はこちらの発表、もしくはデベロッパーガイドをご覧ください。
  • FreeRTOSの延長メンテナンスプランを発表
    • 組み込み機器向けリアルタイムOSであるFreeRTOSの延長メンテナンスプラン(Extended Maintenance Plan, EMP)が発表されました。EMPは年間サブスクリプションの形式で提供され、Long Term Support(LTS)バージョンにはリリースから最大10年間に渡って致命的バグとセキュリティパッチが提供されるようになる予定です。詳細はこちらの発表をご覧ください。

Developer Tools & Application Integration

  • AWS Cloud Development Kit(CDK) v2を発表
    • AWS CDK v2が一般提供開始(GA)になりました。JavaScript、TypeScript、 Java、Python、 .NET用のCDKが用意されています。またプレビューでGo言語のサポートも開始になりました。 各種情報はこちらの発表からリンクされています。
  • AWS SDKが新たに3つの言語に対応
  • AWS Amplify Studioを発表
    • Amplify用の新しい開発環境、AWS Amplify Studioが発表されました(プレビュー)。UI部分の開発を少ないコーディングで行うことを目的とした開発環境です。詳細はこちらのブログをご覧ください。

Management & Governance

  • Amazon CloudWatch RUMを発表
    • Amazon CloudWatch RUMが一般提供開始(GA)になりました。東京リージョンでもご利用いただけます。RUMはReal-User Monitoringの略で、Webアプリケーションのパフォーマンスをユーザサイドからモニタリング、分析を可能にするサービスです。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • Amazon CloudWatch Evidentlyを発表
    • CloudWatchの新機能、CloudWatch Evidentlyが一般提供開始(GA)になりました。東京リージョンでもご利用いただけます。これはA/Bテスト、もしくはフィーチャーフラグとよばれるリリースの手法をサポートする機能です。CloudWatch RUMと統合されているため、RUMのメトリクスも利用可能になっています。詳細はこちらのブログをご覧ください。
  • Amazon CloudWatch Metrics Insightsを発表
    • CloudWatchメトリクスのアグリゲーションやグループ化の処理をSQLで実行できるようになる、Amazon CloudWatch Metrics Insightsがプレビューとして発表されました。GUIベースのクエリエディタも同時に提供されえいます。詳細はこちらの発表をご覧ください。全てのリージョンでプレビューとして利用可能になっています。

re:Invent特別号という事でいつもと違うフォーマットにしてみました。長めの記事になっていますが、上記で触れることができていない新機能・新発表はまだたくさんありますので、ぜひ前述の「AWS Black Belt Online Seminar AWS re:Invent 2021アップデート速報」の資料・動画を確認してみてください。

それでは、また来週!

ソリューションアーキテクト 下佐粉 昭 (twitter – @simosako)