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Amazon Alexaを活用して地域社会の安心・安全に貢献するミライエ社のご紹介

こんにちは。アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 パブリックセクター 事業開発マネージャー(Startup)の岩瀬霞です。2022年 11月 30日に、Amazon ブログにて、「Amazon Alexa (アマゾン・アレクサ)が高齢者やご家族の見守りをサポート。高齢化社会に向けたAmazonと日本郵便の取り組み」が紹介されました。高齢者の見守りサポートの裏側では、 GovTech 企業ミライエ 社が開発を担われています。今回はミライエ 社の代表取締役 小幡 進 氏に AWS オフィスにお越しいただき、お取り組みについてお伺いしました。


株式会社ミライエ 代表取締役社長 小幡 進氏

音声技術というUIに可能性を見出し、起業

――まずは御社のご紹介をお願いします。

ミライエは、「AIを活用して愛のある未来へ」をミッションとして、先端技術を日常生活に落とし込むための橋渡しをしたいと思って設立しました。気配りや配慮、思いやりを UI で表現したいという想いが社名に込められています。

具体的には、例えば日本郵便株式会社(以下、「日本郵便」)の、スマートスピーカーを活用した郵便局のみまもりサービスを開発したり、浜松市に対して、Amazon Alexa や LINE によるお知らせ配信システムを提供しています。また、令和 3 年度から伊勢原市に防災放送多媒体一括配信システムを提供しています。職員がWEB管理画面から入力された内容を、複数のメディアで一斉配信可能です。

防災放送多媒体一括配信システム

――どういったきっかけで起業されたのですか?

元々個人的に、離れた場所から操作ができる、音声技術のUI(ユーザー・インターフェイス)に可能性を感じており、Amazon Alexa に興味を持っていました。以前勤めていた企業では、Amazon Alexa を使って様々なサービスを開発し始めていました。(出資者である)三愛電子工業株式会社の社長が、「Amazon Alexa を使って防災放送を配信したい」というアイデアを持たれていて、Alexa の開発ができる私にお声がかかり、会社設立に至りました。

音声UIで高齢者と家族の安心・安全を実現

――2022年1月には、日本郵便が、地方自治体向けに提供を開始した「スマートスピーカーを活用した郵便局のみまもりサービス」を開始しており、御社はその開発を担われています。開発に関わられた経緯について教えてください。

元々事業開始時に、浜松市様の案件で Amazon Alexa のチームに相談していたのですが、その繋がりで、日本郵便様から Amazon Alexa チームに問い合わせが入った際に弊社にお声がかかりました。音声のソリューションは、デバイスから離れた場所からでも操作できるため、高齢者などの生活に不便を抱えられる方と相性がいいと感じていましたので、素晴らしい機会だと思いました。

――「スマートスピーカーを活用した郵便局のみまもりサービス」について教えて下さい。

高齢者の自宅に、Echo Showを設置します。定時になると日本郵便のキャラクター「ぽすくま」が登場して、音声で服薬や体調、血圧等を質問します。

例えば、「昼のお薬はもう飲みましたか?」とAlexa が質問。高齢者の方には『はい』か『いいえ』で答えていただきます。回答の状況は家族に LINE で通知される他、自治体職員の WEB 管理画面からも参照することができます。そのほか、体操動画を再生することができるなど、高齢者の健康維持に寄与できるよう設計していています。

また、何か災害が起こった時も、自治体からの防災のお知らせを Alexa が読み上げることができます。この機能はどの自治体の方も「ぜひ搭載してほしい」と要望されます。

ぽすくまが「朝のお薬は飲みましたか?」と尋ねる様子

実はこのサービスはアクティブ率も高いです。時間になったら Alexa から呼びかけるようにすると、アクティブ率が大きく跳ね上がりました。

また、ご家族の LINE から送られた画像を Echo Show の画面で見せることができるので、ご家族が孫の写真を送る際などに、よく使ってもらっています。LINE からメッセージが来ると、Alexa が「メッセージが届いています」と通知が読み上げられます。その他、クイズを出してくれるなど飽きずに使える工夫をしています。

――Alexaは非常に自然な声で話していますね!

ユーザーの方からもっと自然な声できないか、という要望があり、Alexa ブログ( Alexaの発話スタイルと感情表現が、より多くの言語に対応しました )を参考にして、Alexa の声に感情をつけました。

AWSソリューションアーキテクトに相談しながらアーキテクチャーを構築。信頼性、情報の豊富さ、スケーラビリティが決め手

――AWSの利用についてお伺いします。高齢者みまもりソリューションに関連したシステムアーキテクチャーを教えてください。

AWSの構成は、AWSのソリューションアーキテクトに相談していく中で決めました。AWS Well-Architectedフレームワークに沿って構成しています。セキュリティ対策として、Amazon GuardDuty(マネージド型の脅威検出サービス)や AWS CloudTrail(AWS 上のアクティビティログ記録・監査)などを導入していますが、これもソリューションアーキテクトの方に助言を受けました。

Amazon Alexaは AWS Lambda(サーバーレスのコード実行環境)経由で使っています。これも Amazon Alexa チームの方に Alexa スキルについて相談していた時にお勧めされました。

高齢者見まもりソリューションのAWS構成図

――AWSを選ばれた理由は何ですか?

まずは信頼性です。3 年間、十数台のインスタンスを運用していますが、自社でサーバーを用意していた時と比べて、とにかく安定していますし落ちないので助かっています。

2つ目に、情報の豊富さも決め手になりました。公式ドキュメントも充実していますし、インターネット上の解説記事がたくさんあるので、わからないことはすぐに調べることができます。

3つ目に、スケーラブルなので、最小限のリソースでプロトタイプを作成して顧客提案した後、そのまま同じソフトウェア構成で商用構成や、トラフィック増加への対応が可能なのが助かっています。

左から、株式会社ミライエ 代表取締役社長 小幡 進氏、AWSパブリックセクター 事業開発マネージャー(Startup)岩瀬 霞

――AWSのスタートアップ支援を受けられたきっかけを教えてください。

今後も Amazon や AWS から公共案件などの支援を受けたいと考えたからです。実際に AWS  の担当の方から、自治体の案件募集のお知らせをいただいたことをきっかけに、商談に繋げられたケースもあり、そういった情報共有は大変助かっています。

――最後に、今後の事業展開について教えてください。

今後は、音声による屋内での防災情報の配信に取り組んでいきたいです。近年、地球温暖化の影響か、台風や大雨による被害が甚大化しています。

屋外スピーカーからの防災放送は、聞こえづらいことも多いと思います。Amazon Alexa 等のデバイスを活用して、屋内でも防災放送が届く環境を実現していきたいと考えています。

――これからの御社の事業成長が楽しみです。本日は AWS のオフィスまでお越しいただきありがとうございました。

株式会社ミライエ 代表取締役社長 小幡 進氏

このブログは、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 パブリックセクター 事業開発マネージャー(Startup)である岩瀬 霞が執筆しました。