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【登壇報告】Virtual NAB 2020セミナー

毎年 4 月に開催される 全米放送協会 NAB (National Association of Broadcasters) が主催する世界最大の放送機器展 NAB Show ですが、今年は COVID-19 感染拡大の影響を鑑み Las Vegas での開催は中止、いくつかのデジタルイベントを実施することになりました。AWS は NAB Show で公開する準備を進めていた内容を下記のオンラインセミナーで紹介させていただきました。

4/21 (火)に US では AWS 主催のイベント「AWS NAB News & Update」を開催しました。
動画は こちら 資料は こちら です。

日本でも 4/22 (水)に伊藤忠ケーブルシステム様のバーチャルイベント「Virtual NAB 2020 セミナー」において、「NAB 出展概要とテクノロジーハイライト」というタイトルで、ソリューションアーキテクトの小林が登壇させていただきました。それらの内容について Blog で報告させていただきます。

Virtual NAB 当日の資料は こちら です

アジェンダ:
1. AWS はメディアのための場所
2. クラウドをより身近に
3. 放送がクラウドに移行
4. 超低遅延ストリーミング
5. AWS メディア向けのツール
6. 新サービス紹介(イベントサポート、Elemental Link)
7. MediaServices 機能アップデート

1. AWS はメディアのための場所

AWS ではメディアワークロードを大きく 4 つのブロック(1.コンテンツ制作とプロダクション、2.アセットの作成と資産管理、3.コンテンツの配信、4. 1~3 の全体を支える機械学習と分析)にまとめてソリューションを展開しております。AWSのサービスとパートナーのソリューションを組み合わせることで、幅広いワークロードに対応しており、その豊富な実績をもとに日本を含む世界中のメディア企業様に採用いただいています。

Turner では編集ワークフローをクラウドで実現しており、Untold Studios ではフルクラウドで作られたクリエイティブスタジオを構築しています。ロックンロールの殿堂ではメディア素材を保管し機械学習サービスを活用して、豊富なコレクションの中から特定のアーティストや機材を簡単かつ迅速に発見・取得できるようにしています。インドの Hotstar では、クリケットのライブ同時視聴数 2,530 万の新記録を出すほどの大規模配信を実現しています。

最近のニュースでは、エミー賞の技術およびエンジニアリング部門において evertz、sdvi、ウォルト・ディズニー、ディスカバリーコミュニケーションズとともに AWS はコンテンツの取り込み、管理、配信のためのクラウドベースのメディアサプライチェーンを開拓したことで評価されました。(AWS Blog)


近年の特徴として、コンテンツ制作におけるパートナー様がとても増えてきています。この領域でのクラウド利用の需要が高まっているといえます。この流れは昨今のリモートワークの広がりもあり、より強くなるものと考えています。

2. クラウドをより身近に

リモート制作の際などに課題となる遅延ですが、対応する 3 種類のサービスを提供しています。AWS Local Zones はリージョンよりお客様に近い場所で AWS のサービスを使用することが可能となります。想定される利用用途としては低遅延での操作が必要とされる VFX やリモート編集、スイッチングなどの放送制作等が考えられます。AWS Outposts はお客様のマシン室に一部の AWS サービスを実装することで、低遅延やエッジコンピューティングのニーズに対応するものです。AWS Wavelength はモバイル開発者向けで、イベント会場からの低遅延のライブ投稿やエッジで機械学習の推論を動かすなど、10 ミリ秒未満の遅延の要求に対応するアプリケーションを構築できます。このように、よりお客様の近くで実行して遅延を短縮するための選択肢は増えてきています。


※現時点で東京リージョンでは AWS Local Zones, AWS Wavelength のサービスを提供開始しておりません

コンテンツ制作は遅延影響を避け、高いパフォーマンスが必要な業務です。AWS は物理的に距離を近づけるサービスの他に、EC2 G4 インスタンス向けに NVIDIA の Quadro Virtual Workstations を提供しています。リモートで作業する際の簡易性や共同作業の必要性は高まっています。必要な時間だけの費用で、低遅延かつ高いパフォーマンスのコンピューティングリソースを利用することができます。

また、レンダリングの分野ではお好みのソリューションを使用することはもちろん、AWS Thinkbox Marketplace からライセンスを入手することで、AWS Thinkbox Deadline を簡単に使用することができるようになっています。オンプレミスとハイブリッドでの利用や全ての環境をクラウドで構築することで、迅速かつ大規模にレンダリングを行うことができます。

3. 放送がクラウドに移行

FOX はクラウドおよび機械学習の環境として AWS を選択、クラウドベースのメディア制作および配信プラットフォームの構築を進めています。このプラットフォームは FOX の主要なスポーツ、ニュース、エンターテインメントのコンテンツを、複数のケーブルテレビ、衛星放送、OTT プロバイダに配信しています。

放送および配信のプラットフォームの刷新において課題は多くあります。例えば「コンテンツ制作、マスターなどのテレビ放送用のインフラ」、「全てのデバイスにコンテンツを配信することなど、急激な変化に適応する」ことが挙がります。
FOX の取り組みでは低遅延を実現する Local Zones や Outposts の他、AWS Media Services とパートナーソリューションを活用し、クラウド上でのコンテンツ制作、VOD 生成を行い、放送, 配信サービスに対してコンテンツ管理や配信を自動化します。
更にメタデータを自動的に付与することで、ユーザに対して新たな視聴体験の実現に取り組んでいきます。

4. 超低遅延ストリーミング

本年 1 月に公開された、地上デジタル放送と超低遅延ストリーミングの同時配信を実現された、フジテレビ様の事例は記憶に新しいところです。(AWS Blog)
今回の NAB では映像が取り込まれてから、デバイスで表示されるまで (Glass–to-Glass) の遅延 約 3 秒を実現するデモの展示と、DRM のサポートやサーバーサイドでの広告挿入を含むデモが行われる予定でした。DRM についてはハードウェアエンコーダーの AWS Elemental Live で利用可能です。サーバーサイド広告挿入は AWS Elemental MediaTailor で実現することが出来ます。

5. AWS メディア向けのツール

機械学習のユースケースの 1 つに画像のラベル付けがあります。例えば、健康状態の異なる野菜の葉っぱの画像を用意します。Amazon SageMaker Ground Truth で健康、感染、損傷の 3 つの健康状態をラベル付けします。このデータセットを学習することで、独自のカスタムモデルを作り画像を判定することが出来ます。

メディアのお客様の強みが活かせる有用なユースケースとしては、コンテンツのクオリティやコンプライアンスチェックの用途があります。これまで人の手で行われていた業務に機械学習を活用することで省力化ができ、より重要な業務にリソースを集中することができるようになります。

6. 新サービス紹介

1つ目はメディアイベントサポートです。お客様のイベントに対し AWS Elemental が専門のチームを組み、イベント前にワークフローや要件、監視計画のレビューの実施します。イベント当日は Live サポート、終了後には配信結果、パフォーマンスを分析したレポートを報告します。

2つ目は AWS Elemental Link for MediaLive です。スライド右下の黄色いローカルエンコーダーから、クラウドライブエンコーダである AWS Elemental MediaLive へセキュアにパケットロス耐性のあるプロトコルでストリームが転送されます。Amazon CloudWatch を使用して、リアルタイムのモニタリング・アラート・ログの集約を行うこともできます。ハードウェアのエンコーダとクラウドサービスを組み合わせて提供することで、クラウドを活用したライブ配信を、今までよりも簡単にご利用いただくことができます。
AWS Elemental Link for MediaLive のデモ動画は こちら です。

※現時点で日本ではメディアイベントサポート、AWS Elemental Link for MediaLive のサービスを提供開始しておりません

7. MediaServices 機能アップデート

MediaServices の 6 つのサービス (AWS Elemental MediaConnectMediaConvertMediaLiveMediaPackageMediaStoreMediaTailor) に多くの機能追加がありました。この Blog でも発表の一部を紹介させていただきます。

ライブエンコードサービスの MediaLive では入力ソースのフェイルオーバーの機能が追加されました。障害が発生した場合に2つ目のソースに自動的に切替を行います。


映像伝送サービスの MediaConnect にも入力ソースのフェイルオーバー機能が追加されました。ソースが SMPTE2022-7 に準拠されている場合、メインソースのパケットロス分をサブから拾います。他に Output の制限は 50 まで拡張VPC の入出力もサポートされ、DirectConnect と組み合わせることで閉域での伝送が可能となっています。

ファイルトランスコーダの MediaConvert では AV1 エンコードの導入、処理待ちのジョブを別のキューに移動させるキューホッピングの機能が追加されました。パッケージングサービスの MediaPackage では CDN 認証マニフェストフィルタリングの機能が追加され、Live to VOD のサポートが 24 時間まで拡張されました。


MediaStore では簡単にコンテナの中身を空にしたり、コンテナ単位で CloudWatch のメトリクスを有効化することができるようになりました。また、作成後のオブジェクトを低頻度アクセス (IA) クラスへ移動してストレージコストを抑えることができるようになりました。


サーバサイド広告挿入サービスの MediaTailor ではパーソナライズしきい値フィールド、動的広告変数が追加されました。


Media Services の最新情報については こちら をご確認ください。

次回のイベント

メディア業界向けのイベントとして、AWS Insights オンラインカンファレンスが 6 月 2 日に開催される予定です。今回の内容に加えて、より詳細な情報がセッションで説明やデモを実施する予定です。
セッションの内容は AWS Blog でご紹介しています。お申し込みは こちら です。


このブログは SA 森が担当しました。