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公共部門向け、AWS re:Invent 2019におけるハイライト

AWSパブリックセクターより、2019年のAWS re:Invent で開催されましたWorldwide Public Sector Breakfast Keynote における、政府機関・教育機関・NPO向けのハイライトをご紹介させていただきます。本年のre:Inventには、Keynoteの模様を伝えるこちらの動画の冒頭でWorldwide Public Sector, VP InternationalのMax Petersonが言及しております通り、6,000名を超える多数の政府・行政機関・教育機関・NPOの皆様より現地ラスベガスでのご参加をいただきました。2019年12月現在、世界中で7,000を超える政府・行政機関のお客様を含め、40,000を超える団体・機関の皆様よりAWSをご利用をいただいております。

 

政府・行政機関
AWS を活用する FINRAの統合監査: 米国の金融業規制機構 (Financial Industry Regulatory Authority ; FINRA) の子会社である FINRA CAT, LLC は、統合監査証跡 (Consolidated Audit Trail ; CAT) のクラウドプロバイダーとして AWS を選択したことを発表しました。CAT により、規制当局は、すべての米国株式証券および米国市場および取引所における上場オプションの注文情報の広範な監査証跡を作成して、証券市場の監視を改善できます。AWS のストレージ、コンピューティング、データベース、分析、セキュリティの各サービスを活用して、CAT は 1 日に 1,000 億を超える市場で発生するイベントを取り込み、22 カ所の証券取引所や 1,500 社のブローカーディーラー会社からのデータをまとめ、米国証券取引委員会および自主規制機関 (SRO) が CAT のデータを分析できるようにしています。FINRA CAT および AWS の詳細についてお読みいただくには、こちらをご参照ください。

“AWS Open Government ソリューション”の提供を開始:  AWS は、世界中の行政府によって開発および実装されたオープンソースコード、標準、アセットの精選されたカタログである “AWS Open Government ソリューション”の開始を発表しました。行政府と行政府が必要とするソリューションを結び付け、既に他国・他地域の政府機関によって解決された問題に対するソリューションを行政府が迅速に見つけられるようにします。

”City on a Cloud”の 受賞者発表:  本年の AWS City on a Cloud Innovation Challenge の受賞者が発表されました。この賞の趣旨としては、生活を改善するためにクラウドを使用して、市民のために、そしてその地域の市民と共に革新することで期待をはるかに超えている応募者を讃えます。受賞カテゴリとプロジェクトの範囲に応じて、受賞者には AWS プロモーションクレジットで最大 20,000 USD、資金援助で最大 20,000 USD、最大 5 つのトレーニングバウチャーが授与され、AWS ツールについてメンバーをトレーニングし、AWS パートナーを利用してクラウドソリューションを最大限に活用することで、プロジェクトの進行を支援します。18 人の受賞者の詳細についてはこちらをご覧ください。

レジリエントなロサンゼルスの構築:  上述のCity on a Cloud Innovation Challenge を過去 3 回受賞しているロサンゼルス市が、同市の早期地震警報システムと、そのシステムが住民、インフラストラクチャ、建物、コミュニティへもたらしうるの影響について登壇発表を行いました。同市が開発したアプリ「ShakeAlertLA」は、AWS のデータサイエンスを使用して、地震が発生する直前に早期警告を発することができます。現在 90万回以上もダウンロードされているこのアプリは、地震の発生中および発生後のユーザーへの支援も提供します。たとえば、ユーザーを地域の復旧センターや支援センターに誘導するなどです。ロサンゼルスの受賞アプリの詳細についてはこちらをご覧ください。

AWS 災害対応プログラムの 開始:  この秋、AWS 災害対応チーム (Disaster Response Team; DRT) が北米全体に展開し、大型ハリケーン「ドリアン」に対応しました。DRT のサポートにより、非営利団体の NetHope は 40 を超える医療施設とシェルターに端末接続と通信ネットワークを設定することが出来ました。また、AWS は 2 つの AWS Snowball Edge デバイスを非営利団体の Help.NGO に提供し、これらのデバイスを使用して被害地域の航空写真をより速く処理し、最も被害を受けた島への影響の高解像度画像を迅速に配信できるようにしました。AWS 災害対応プログラムと、新たに発表された AWS 公共安全および災害対策コンピテンシーの詳細も併せてご覧ください。

米退役軍人省が大型システムをクラウドに移行:  アメリカ合衆国退役軍人省 (The Department of Veterans Affairs; VA) は、AWS GovCloud (米国) を使用して重要なワークロードを移行し、退役軍人たちがより迅速かつ簡単にケアにアクセスできるようにしています。「ほとんどのコンサルタントは、プロジェクトを小さく始めてそこから拡大するように指示します。私たちは別の方法を採用し、最大のシステムの 1 つをAWSに移行しました」と、VA のエンタープライズクラウドソリューションオフィスのディレクターである David Catanoso 氏は述べました。VA は、退役軍人給付管理システム (4,000 以上の同時ユーザーと 8 億以上のドキュメントを扱うシステム) を、利用を中断することなくクラウドに移行しました。その結果、パフォーマンスと可用性が向上し、コストが削減されました。VA のクラウドへの過程の詳細を読むにはこちら

米国の行政機関「ATF」は AWS へ「オールイン」: 連邦政府機関の「アルコール、タバコ、火器及び爆発物取締局 (Bureau of Alcohol, Tobacco, and Firearms; ATF)」 は、クラウドへの移行が有益であることは知っていましたが、1つ1つを別個に移行するアプローチではなく、所有するすべてのアプリケーションのデータ層全体の移行に取り組み、すべての ATF アプリをホストする AWS エンタープライズ環境の構築に取り組んでいました。そして、すべての開発、テスト、本番稼働データをクラウドに移行し、運用するための完全なセキュリティ承認を確保しました。現在、ATF は AWS に「すべてを移行=オールイン」しており、更新されたアプリケーションとシステムを AWS にデプロイしています。ATF は 20 年以上におよぶ技術的負債(Technical Debt)を解消できたため、本来の注力すべき組織としてのミッションに邁進できるようになりました。AWS での ATF のクラウドジャーニーの詳細をご覧ください。

 

非営利団体(NPO)
Podcast “Fix This” が開始 AWSよりお送りする新しいポッドキャストである Fix This が、Apple PodcastsGoogle PlaySpotifyStitcherTuneInOvercastiHeartRadio、および RSS を通じてストリーミングおよびダウンロードできるようになりました。Fix This は、テクノロジーが世界をより良くする方法についてのショートストーリーで構成される隔週のポッドキャストです。世界中のリーダーが、テクノロジーを使用して世界で最も差し迫った問題のいくつかを解決する方法を共有しています。Fix This ポッドキャストの詳細をご覧ください。

Imagine Grantの受賞者を発表 小児がんの治療法を見つける──。海洋への違法な燃料投棄を停止させる──。知識と文化を共有する──。銀行口座を持てない人々に経済的な声を与える──。命にかかわる乳がんの診断に直面している女性を補助する──。退役軍人が獲得できる支援リソースにアクセスできるようにする──。今年の AWS Imagine Grant プログラムの受賞者は、テクノロジーを活用して大きな課題に取り組んでいます。受賞者たちに関する詳細を読むにはこちらから。動画もご参照ください。

”GameChanger” に 25万ドルを寄付: ギビングチューズデー (Giving Tuesday) を記念して、AWS は GameChanger Charity に 25万ドルを寄付しました。GameChanger の使命は、ゲーム、テクノロジー、イノベーションを活用して、患者のクオリティ・オブ・ライフを向上させることです。ビデオゲーム、キャラクターベースの学術奨学金、仮想現実 (VR) や拡張現実 (AR) などの最先端技術により、GameChanger は長期または短期の入院に直面している子どもたち、特に治療のために隔離されている子どもたちの直面している障壁を打ち破ります。この資金は、がんの治療を受けている子どもたちの患者体験の改善に焦点を当てた今後のプロジェクトに使用されます。GameChanger Charity と Giving Tuesday の詳細をご覧ください。

 

教育分野
オーストラリアでの革新的な教育:  ロイヤルメルボルン工科大学 (RMIT) のマーティンビーン 副大臣兼学長が、同大学がどのようにして新しい経済のためのスキルを構築し、クラウドスキルの需要を満たしていくのかについて知見を共有しました。2020 年に、RMIT は AWS RoboMaker を使用する人工知能 (AI) の修士課程を開始します。RMIT は、学生が大学に関する質問に対する回答を得るのを支援する自動化された学生アシスタントである AIDA を開始しました。これは Amazon Lex により構築されています。AIDA をデプロイしたことで、RMIT は 1,500 時間の労働時間を節約し、より積極的でアウトバウンドな支援に振り替えることができました。 AIDAへの満足度は 80% にも達します。AWS Cloud Innovation Center (CIC) の詳細はこちら

成長を続ける AWS Educateクラウドテクノロジーのスキルを構築するための包括的なリソースを学生に提供する Amazon のグローバルイニシアチブである AWS Educate は、現在 10 か国語で利用できるようになり、223 か国以上の人々がアクセスしています。バージニア州ルイジアナ州テキサス州バーレーン大学カリフォルニア州ベイエリアなどの教育機関や州政府が、将来的なクラウド対応能力を持った従業員要請のためのパイプライン構築で AWS と連携しました。AWS Educate の詳細に関してはこちら

IceCube 実験が宇宙からのメッセージを受信:  IceCube 実験プロジェクトとカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者は、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) のオンデマンドインスタンスとスポットインスタンスを含む 51,500ものクラウド GPU を使用して「宇宙からのメッセージ」を解析すべく、史上最大のクラウドシミュレーションを完了しました。IceCube 実験では、5,160 個の光学センサーで構成され、独自に埋め込まれた “1立方キロメートルサイズ”の巨大望遠鏡を使用して、南極の氷の奥深くでニュートリノと呼ばれる質量の無いゴーストのような粒子を探します。超新星、ブラックホール、ガンマ線バーストなどの宇宙の諸事象は、電磁波や重力波ならびにニュートリノ粒子の形でメッセージを送ってきており、宇宙の成り立ちへのインサイトを人類に提供してくれます。IceCube 実験の詳細をご覧ください。

 

re:Invent 2019の参考資料
なお、AWS re:Invent 2019で行われた多くの発表に関しましては、以下のサイトもご参照ください:

【AWS Black Belt Online Seminar】AWS re:Invent 2019 アップデート 速報(日本語)

週刊AWS – 2019/12/2週(re:Invent特別号)

・現地で行われた5つのKeynote : [1]Keynote with Andy Jassy, / [2]Keynote with Dr. Werner Vogels / [3]Monday Night Live with Peter DeSantis[4]Global Partner Keynote with Doug Yeum[5]Worldwide Public Sector Breakfast Keynote features Teresa Carlson, VP, Worldwide Public Sector for AWS

・YouTubeで公開されている全登壇セッション

 

日本の公共部門の皆様へのご案内

政府機関・教育機関・非営利団体の皆様に、ぜひともご来場を検討いただきたいイベントが2020年にも多数予定されております。まず、2020年5月13日~15日にパシフィコ横浜で開催されるAWS東京サミットにおいても公的部門皆様向けに特化したセッションを開催する予定です(昨年の動画はこちらなど)。また、ワシントンDCではAWSパブリックセクター・サミットが2020年6月2日・3日に開催予定であり、連邦政府機関のAWS活用事例が多数紹介される予定です(昨年の動画はこちら)。また、本ブログでご紹介しましたre:Inventにおける「政府・行政機関向け訪問団プログラム」に関しましても、日本からのご参加を呼びかけさせていただければと思います。

今後ともAWS 公共部門ブログで公共部門に関する AWS の最新ニュースをフォローいただき、併せましてクラウドを利用してミッションを推進している世界中の AWS のお客様を紹介するこちらのビデオもぜひご覧いただければ幸いです。

このブログは、Keynoteの模様を伝える英語版のブログ及び動画をもとに、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が執筆いたしました。