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小売業のオペレーションを効率化する 7 つのスマートストア戦略

小売業界では、消費者行動の劇的な変化、商品構成の大幅な変更、オンライン注文の大幅な増加に取り組んでいますが、革新的な企業は、このような市場の変化に対応するために、テクノロジーを駆使したカスタマーエクスペリエンスの取り組みを進めています。私たちは、こうした取り組みを心から称賛します。

しかしながらそれでは十分ではありません。

小売企業は、店舗のバックオフィス業務にも注力し、自動化、効率化、コスト削減を図らなければなりません。なぜなら、これらの要素は、顧客対応と財務の健全性に不可欠だからです。従業員や内部プロセスを無視して、顧客体験のテクノロジーへの投資を行っても、意図したとおりの効果は得られないでしょう。

誤解しないでいただきたいのは、小売企業が顧客体験よりもオペレーションの効率化を選ぶことを勧めているわけではありません。私がお勧めしているのは、オペレーションと顧客向けの取り組みを一致させ、テクノロジーを駆使した差別化されたインストア戦略を構築することです。

我々はこれをスマートストアと呼んでいます。

以前のブログ記事で、同僚のジョアン・ジョリエットが「スマートストアテクノロジーで顧客体験を変革する5つの方法」を紹介しました。今回の記事では、競争の激しい今日の小売市場で優位に立つために、効率性を高め、財務を改善するための 7 つのスマートストアの戦略的原則の裏側をご紹介します。

原則 1 :フィジカルとデジタルの融合

オムニチャネルの小売企業にとって、実店舗はオンライン注文を処理するための最も効果的で費用対効果の高い方法として存続しています。一部の小売企業では、オンライン注文の90%を店舗で処理しています。 この方法では、小売業者はマイクロ・フルフィルメント・センターにならざるを得ませんが、店舗レイアウトが商品のピッキングやフルフィルメントに最適化されていない場合は、理想的な状況とは言えません。その結果、注文 1 件あたりの人件費やコストが増加し、ブランドに悪い影響を及ぼす可能性があります。

この問題は、パンデミック時にお客様がオンライン注文に移行したことで、特に食料品分野で顕在化しました。食料品メーカーは、AI/ML ベースの予測型フルフィルメントツールを店員に装備させ、迅速かつ効率的に注文の受け取りや配送の準備を行う必要があります。460 万人以上のアクティブメンバーを擁する英国最大の消費者協同組合である Co-op は、デジタルコマース戦略の一環として、AWS パートナーである Naveo Commerce 社の店舗内デジタルフルフィルメントテクノロジーを利用して、商品のピッキングを高速化し、人件費を削減しています。

原則 2 :店舗スタッフがお客様とのコミュニケーションを円滑にするための装備

お客様が店員とのより魅力的なやり取りを求めるようになると、小売業者は顧客対応を行う従業員にモバイルツールを装備させ、情報伝達や販売取引などのやり取りを強化する必要があります。店員は、接客をパーソナライズし、店舗やチェーン全体の在庫状況をリアルタイムで把握し、顧客が望むときに、望む場所でシームレスに購買を完了する必要があります。

パンデミックが始まった 2020 年 3 月、ニーマン・マーカスは実店舗の閉鎖を余儀なくされました。ニーマン・マーカスは、わずか 2 週間で、AWS LambdaAmazon Simple Storage Service(Amazon S3)、AWS AmplifyAmazon API GatewayAmazon DynamoDB などの AWS サービスを利用した 100% AWS のサーバーレスアプリケーション「NM Connect」を開発し、迅速に対応しました。Connect アプリケーションは、店舗の販売員が自宅で仕事をし、顧客に直接販売することを可能にしました。これによりニーマン・マーカスは、これまでの e コマースの売上規模を超え、1 日の売上を 300 万ドル増加させ、2,500 %という驚異的な ROI を実現しました。

原則 3 :買い物客の流れや行動、やり取りの理解

小売業者はPOS分析から重要な洞察を得ていますが、店舗内での他の顧客行動を認識することで、店舗運営を改善することができます。AWS Panorama のようなコンピュータ ビジョン テクノロジーは、店舗内の各所に設置されたビデオカメラに AI/ML を適用することで、小売業者は買い物客の流れ、顧客行動、棚や商品とのやり取り、レジの列、店員とのやり取り、万引防止やそれらのパターンにアクセスすることができます。AWS Panorama アプライアンスは、検出された行動やパターンをクラウドベースのアナリティクスデータフレームワークに配信するだけです。

カナダのコンビニエンスストア Parkland は、AWS パートナーの TensorIoT と協力して、このビデオベースのショッパーインサイトソリューションを使用して、店舗レイアウトの改善、商品の品揃えの最適化、レジの長蛇の列の削減などを行い、業務効率と顧客満足度を高めています。

原則 4 :インテリジェンスを活用した小売店の在庫状況の改善

小売業者は、常に商品の在庫切れをなくし販売機会を増やす努力をしなければいけません。リアルタイムの棚センサー、ビデオ・インテリジェンス、モバイル・ロボティクスを活用することで、小売業者は在庫切れを迅速に把握し、商品を補充することができます。AWS のパートナーである Trax Retail 社の AI 画像認識技術プラットフォームは、棚にある商品の在庫状況を検知し、在庫管理を改善できます。

原則 5 :自動化とロボットを使い反復的なタスクを管理

現在、小売業者向けに、床の清掃や在庫補充などの大量で面倒な作業を自動化するための先進的なロボットソリューションがいくつか提供されています。米国の食料品店 GIANT EAGLE は、AWS パートナーである Brain Corp 社のインアイル・ロボット・プラットフォームを利用して、在庫や店舗の状況を分析し、補充や店舗の維持管理を効率化しています。

原則 6 :IoT デバイスを導入して小売機器をプロアクティブに監視

IoT 対応のスマートデバイスを使えば、小売業者はセンサーやテレメトリーデータを収集してオペレーションを効率化することができます。冷凍庫、冷蔵室、デリケース、計量器、コーヒーメーカー、HVAC システムなどの稼働状況をリアルタイムに把握できれば、HACCP などの食品安全規格への準拠がより簡単になります。また、いつ機械のメンテナンスが必要になるかを事前に予測することができ、サービス停止に追われることなく、修理の計画を立てることができます。
AWS は、AWS IoT Device ManagementAWS IoT GreengrassAmazon Kinesis Data StreamsAmazon Kinesis Data FirehoseAmazon EventBridge など、複雑な IoT 接続やデータ管理ソリューションをサポートする強力なインフラを提供しています。
米国のコンビニエンスストア QuikTrip は、AWS パートナーの Ayla Networks と協力して、包括的な IoT 管理フレームワークを展開しています。AWS のサービスを利用して、店舗内のさまざまなデバイスをリアルタイムに可視化しています。このインサイトは、機器のダウンタイムを減らし、店舗運営の改善に役立っています。

原則 7 :店舗スタッフを忘れてはならない

従業員のトレーニングは、テクノロジーを導入する際の重要な要素です。スマートストアを計画する際には、プロジェクト計画にトレーニングを含めるようにしてください。この記事で紹介したすべての戦略を完璧に実装したとしても、従業員がさまざまなテクノロジーを使用し、理解できるようにトレーニングを行えば、より高い ROI を達成することができます。AWS では、従業員が良い体験ができるように、店員の視点でユーザビリティ、ワークフロー、データを熟考しています。店舗スタッフのことを忘れてはいけません。スタッフがソリューションを最大限に活用できるように、トレーニングを行い、必要に応じて軌道修正しなければなりません。

スマートストアの実現に向けて、AWS と幅広いパートナーネットワークがお手伝いします。今すぐアカウントチームにお問い合わせください。


著者について

Scott Langdoc

Scott Langdoc は、AWS において食料品チェーン、ドラッグストア、コンビニエンス/燃料販売セグメントの領域でグローバル戦略とソートリーダーシップを主導しています。彼のロールにおいては変化の速い小売企業がテクノロジーを使用して、変化する顧客の期待と市場のダイナミクスに対応する支援を行っています。Scott は AWS に入社以前も 30 年以上にわたってテクノロジー、市場調査、コンサルティングの分野で活躍し、小売企業のリーダーシップ役職も経験しています。

翻訳は Solutions Architect 玉置が担当しました。原文はこちらです。