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AWS IoT の最新アップデートとイベント情報

こんにちは、IoTソリューションアーキテクトの飯塚です。今回はIoTに関するサービスやコンテンツ、イベントの最新情報を本記事にまとめ、ご紹介しようと思います。

AWS IoT のサービスアップデート

まずは、AWS IoT のサービスアップデートについてご紹介します。IoTに関するこれらの最新情報はこちらにあります。ここではこの中から直近数ヶ月の大きなアップデートをいくつかご紹介します。

AWS IoT Core が単一の IoT デバイスの複数のシャドウをサポート開始

これまで、デバイスに関連付けることができるシャドウは 1 つのみであり、すべての状態データのセットを 1 つのシャドウに格納する必要がありました。その結果、シャドウサイズの制限に達してしまったり、各リクエストごとにシャドウ全体を取得する必要があったため、必要ないデータの参照が発生する場合がありました。本機能により、様々なデバイス状態データをさまざまなシャドウに格納できるため、必要なときに必要な状態データのみにアクセスし、個々のシャドウのサイズを小さくすることができます。

AWS IoT Core マルチアカウント登録で、IoT デバイス登録が簡素化し、AWS アカウント間のデバイス移動が簡単に

これまでは1 つのデバイスに対しさまざまな証明書を管理して、複数のアカウントに接続する必要がありました。今後はマルチアカウント登録を利用することで、同じ AWS リージョン内にある複数の AWS アカウントに同じデバイス証明書を登録できます。これで、デバイスが接続している AWS IoT Core エンドポイントを変更するだけで、デバイスを 1 つのアカウントから別のアカウントに簡単に移動できるようになります。

AWS IoT Core フリートプロビジョニングの一般提供をお知らせいたします。これは、多数の製造デバイスを大規模で AWS IoT Core に簡単にオンボードできる新機能です。

多くの顧客、特に相手先商標製造会社 (OEM) のような大量のデバイスを製造しているお客様にとって、IoT デバイスを一意に構成してクラウドに接続するプロセスは、依然として手動で時間のかかるステップのままです。AWS IoT Core フリートプロビジョニングでは、フルマネージド型でテンプレートベースのデバイスプロビジョニングとオンボーディングワークフローを使用して、このプロセスを自動化および簡素化できます。デバイスが AWS IoT Core に初めて接続したとき、またはデバイスが新しい認証情報や更新された構成を受信する必要があるときに自動的に行われるため、お客様の貴重な時間を節約できます。

AWS IoT Greengrass で Advanced Package Tool (APT) によるパッケージ管理のサポートを開始

これまでは配信されているファイルをダウンロードし、インストールする作業が必要でした。今後はサポートされている Debian ベースの Linux ディストリビューションでは、apt コマンドを使用して AWS IoT Greengrass Core ソフトウェアの最新バージョンをお使いのデバイスにインストールできます。また、APT を使用して AWS IoT Greengrass Core ソフトウェアを新しいバージョンにアップグレードすることもできます。

AWS が AWS IoT Device Management Jobs の 90% 以上の値下げを発表

Device Jobs のリモートアクションあたりの現在の価格を 90% 削減し、2 段階目の価格帯を導入して、250,000 リモートアクション/月を超える増分ワークロードごとに、さらに 50% の割引を提供します。この値下げにより、これまで料金の理由からJobを採用できなかったお客様にもJobをご利用いただけるようになると思います。

AWS IoT Events がカスタムアクションペイロードとカスタムタイマーを新たにサポート

これまで AWS IoT Events ではアクションの際に任意のメッセージを発行することができませんでした。このサポートにより、カスタムテキストを追加したり、AWS IoT Events により送信されるメッセージから関連性のないデータを削除したりすることができるようになりました。さらに今回のリリースでは、各デバイス (または検出器インスタンス) に対して個別にタイマーの時間や一意の MQTT トピック名を定義することもできるようになりました。

AWS IoT SiteWise の一般提供が開始

AWS IoT SiteWiseは、産業用機器からのデータ収集を容易にするマネージドサービスです。また物理資産やプロセス、施設のモデル化、一般的な産業パフォーマンスメトリクスの迅速なコンピューティングなどを容易にします。これまでパブリックプレビューとして提供してきましたが、今回、US East (N. Virginia)、Europe (Ireland)、Europe (Frankfurt)、US West (Oregon)のリージョンで一般提供が開始されました。

Amazon Kinesis Video Streams が、メディアクリップを簡単に取得するための API サポートを追加

Amazon Kinesis Video Streams に保存されたデータを取得するためには、これまで GetStreams API を利用してフラグメント単位のデータを取得する方法しかありませんでした。また取得したデータは Matroska (MKV) 仕様となっており、一般に利用される MP4 へは変換する必要がありました。本機能のリリースにより、MP4形式の動画ファイルを API で簡単に取得できるようになりました。

IoT おすすめブログ記事

上記のサービスアップデートで最新情報を手に入れたら、それら最新技術に関する詳細な情報が欲しくなりますよね。そこで我々は、IoT技術の最新情報や使用方法、事例などを詳しくご紹介するため、ブログも発信しています。IoTカテゴリの最新ブログの一覧はこちらからご覧いただけますので、チェックしていただくと良いと思います。ここでは、その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

AWS IoT Device Management セキュアトンネリングを利用して、SSHやリモートデスクトップでトラブルシューティングを行う方法

IoT のユースケースでは、デバイスで不具合や問題が起きた際にログを収集することができないため問題の切り分けが難しい、デバイスが遠隔地にありトラブルシューティングに時間やコストがかかる、といった声をよく耳にします。AWS IoT Device Management ではセキュアトンネリングという機能を提供しており、デバイスの属するネットワークの既存のインバウンドファイアウォールルールを更新することなく、遠隔地のデバイスに対してSSHやリモートデスクトップなどでログインし、状態の確認やログの収集などのトラブルシューティングを行ったり、製品のオーナーに対してリモートからの設定サポートを実施したりすることができます。
この記事では、AWS IoT Core で管理されているデバイスに対して、AWS IoT Device Management のセキュアトンネリングを利用して遠隔からトラブルシューティングを行う方法を紹介します。

レジなし無人販売冷蔵庫を構築できる、This is my Smart Cooler プログラムを公開しました

AWS は、デジタル変革を進める小売業のお客様からの 「最先端のリテールソリューションを内製したい」というご要望にお応えするために、お客様自らがレジなし無人販売冷蔵庫を迅速に構築し学習や体験ができる This is my Smart Cooler プログラムを発表します。

S+Camera と Amazon Rekognition を組み合わせて来客分析を行う

IoT@Loft #9 で ソラコム様にご紹介いただいた、S+Camera Basic (以下 S+Camera) と Amazon RekognitionAmazon Elasticsearch Service などを組み合わせたデモを実現する方法を説明します。このデモでは、店舗の入り口に設置した S+Camera で顔を検出、検出した顔を Amazon S3 にアップロード、Amazon Rekognition を用いて分析することで、顧客の年齢や性別などの分析や、お得意様来店時の通知などを行うことができます。

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Pelion Device Management 管理下のマイコンデバイスにおけるデータの分析・可視化とアラート通知

Arm Pelion Device Management上で管理されているデバイスから、ログデータをAWS IoT にアップロードし、分析・可視化を行う方法について、具体的な構築手順をご紹介します。ここではWi-Fi環境がない設置場所を想定し、通信手段として3G回線を使用します。また施設内のアラートを管理者に伝えるといったシーンを想定し、記事の後半ではデバイスのボタンを押すと管理者にメールが届く仕組みも構築します。最後に、身近なデバイスでクラウド開発のPoCをクイックに進める手段として、Pelion Device Managementで管理されているRaspberry PiでAWS IoT Coreに接続する方法を紹介します。

ユーティリティにおけるAWS IoTを用いた分析・可視化(北海道ガス株式会社の事例)

この投稿では、一つの事例として、北海道ガス株式会社(以下、北ガス(読み方:キタガス))様の例を取り上げます。北ガス様は、AWS IoTのサービスを活用することで、大規模なインフラ構築の投資不要で、高速にPoCを実施しています。北ガス様の抱える課題と、その課題解決のためにどのようにAWS IoT のサービスを活用しているかについて、技術的な視点でご紹介したいとおもいます。

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イベントの開催情報

ブログで技術の詳細を学べたら、その事例や活用例について知りたくなりますよね。そこで我々は、IoT関連ビジネスで開発を担当するデベロッパーのため、IoT@Loftというイベントを毎月開催しています。IoT@Loftでは、IoT製品やサービスを開発されているお客様にお話しいただいたり、AWSからAWS IoTの活用方法についてご紹介しています。

次回のIoT@Loft

次回はIoTスタートアップ vol.2をテーマとし、8/19 19:00からオンラインで開催します。IoTのハードウェアの開発からクラウドでのサービス構築まで、IoTのスタートアップを開始するために必要なエッセンスを様々な登壇者にご紹介頂きます。AWSからは、迅速にプロトタイプ開発を進めるためのAWSの活用方法をご紹介します。次回の詳細情報や参加登録はこちらのページをご覧ください。Connpassのイベントページはこちらになります。ぜひご参加ください。

直近の開催ブログ

また直近のイベント開催ブログを以下にまとめます。これらのブログでは、登壇概要や登壇資料のリンクを掲載していますので、ぜひ確認してみてください。

IoT@Loft#11 スマートビルディングにおけるIoT活用の取り組み
IoT@Loft #10 スマート工場(IIoT)に向けた課題と取り組み 〜見える化、予知保全、品質管理〜 vol.2

公開ハンズオン

ブログやイベントを通して技術情報を得ることができたら、次はサービスや機能に触れ、動かしてみたくなりますよね。そこで出来るだけ多くの皆さんにIoT関連のサービスに触れていただきその使い方を学んでいただくため、ハンズオンをWeb化し以下のように公開しております。ぜひご自身のアカウントでこれらのハンズオンを試してみてください。

AWS IoT Device Managementハンズオンを公開 – デバイスのプロビジョニング方法と登録したデバイスの管理を体験することができます

AWS IoT Greengrassハンズオンを公開 – AWS IoT Greengrassをゲートウェイと見立てて、デバイスとのメッセージングやデータ収集について学べます

Amazon Kinesis Video Streams ハンズオンを公開 – カメラデバイスからの動画の収集、ストリーミング再生、分析方法を学ぶことができます

KVSハンズオン構成

AWS IoT Device Defender ハンズオン

最後に

本記事では、AWS IoT のサービスアップデートから最新ブログ記事、イベントと公開ハンズオンの情報をまとめました。AWS IoTを活用したIoT製品やサービスの開発者の皆様にとって有用な記事となれば幸いです。

 

著者について

 

飯塚 将太

IoT Specialist Solutions Architect