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【開催報告】AWS で始める!出版業界向け生成 AI 活用のご紹介~大規模言語モデルから画像生成まで~

はじめに

2023 年 6 月 29 日、出版業界のお客様向けに生成 AI の活用というテーマでセミナーをオンラインにて開催しました。このセミナーの開催報告として当日ご紹介した内容や資料をご紹介いたします。
本セミナー開催の背景についてご説明します。ビジネスへの活用が期待されている生成 AI は日々発展を続けており、新しい基盤モデルや新サービスの発表が相次いでおります。その様な環境の中、出版業界のお客様向けに、生成 AI を使った業務効率化やコンテンツ・IP の活用に関して、AWS で実現できる事のご紹介をさせて頂きたいと考え、セミナーを開催させて頂きました。セミナーの中では、AWS で生成 AI を活用する方法や、出版業界のお客様向けのユースケースのご紹介を致しました。
全体の資料はこちらよりダウンロード可能です。

AWS の生成 AI に関する取り組み

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
メディアソリューション部 ソリューションアーキテクト
本多 和幸

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 本多より、AWS の生成 AI に関する取り組みと、今すぐ AWS 上で生成 AI を使い始める方法についてご紹介しました。生成 AI をビジネスに活かすためには、3 つの点が重要であるとお伝えしました。1 つ目は、1 つのモデルに依存せず幅広い基盤モデルの中から用途に適したモデルを選択する事、2 つ目は最適なパフォーマンスとコストの両立、3 つ目はアプリケーションへの統合を迅速に行える開発の利便性です。AWS ではこの 3 点全てにおいて、お客様のご要望にお応えできる環境をご用意しております。また、AWS 上で生成 AI の基盤モデルを動かす事ができるサービスは主に次の 3 つがあり、Amazon BedrockAmazon SageMakerAmazon EC2 それぞれについてご紹介しました。
Amazon Bedrock は、複数の基盤モデルをサーバーレスでお使い頂ける 2023 年 4 月に発表された新サービスです。お客様のユースケースに沿って AI21 Labs, Anthropic, Cohere, Stability AI, Amazon の基盤モデルを選択して頂けます。Amazon SageMaker は、機械学習に特化したプラットフォームです。Amazon SageMaker JumpStart では、事前に用意されている基盤モデルを数クリックでホスティングする事ができます。Amazon EC2 では生成 AI に必要な学習と推論に特化した最新インスタンスが先般発表されました。Amazon EC2 は基盤モデルを独自開発するためのリソースとしてお使い頂けますし、基盤モデルの推論のリソースとしてもお使い頂けます。

AWS を活用した出版業界での生成 AI のユースケース

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
メディアソリューション部 ソリューションアーキテクト
前川 泰毅

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 前川より、出版業界で応用できる生成 AI のユースケースをご紹介いたしました。今回ご紹介したトピックは大きく分けて、大規模言語モデル、音声要約、画像素材の生成/編集です。これらを応用する事で以下のような業務効率化、クリエイティブなアウトプットの生成が期待できます。

  • 大規模言語モデル: 社内の編集部ごとに分割管理された資料をソースにした社内専用チャットボット
    間違った回答をする可能性がある大規模言語モデル の弱点を補う事ができるソリューションです。
  • 音声要約: 取材、インタビューのサマリや、音声から記事草案の自動生成
    音声をテキストに変換する Amazon Transcribe と大規模言語モデルを組み合わせる事で実現できます。
  • 画像素材の生成/編集: 記事の挿絵や、背景画、広告クリエイティブの自動生成、古いコンテンツのリマスター
    画像生成の基盤モデルである Stable Diffusion を GUI で扱う環境の構築方法もご紹介しました。

併せて、それぞれのユースケースで直ぐに生成 AI を試せるリソースとして、基盤モデルの学習に使えるサンプルコードや AWS CloudFormation のテンプレートファイルもセミナー内でご紹介致しました。本セミナー資料内でサンプルコードやテンプレートファイルや構築方法をガイダンスしたブログ記事もご紹介していますのでぜひご参照ください。

学習データに使うコンテンツのデータ保護について

続いて、前川から AWS 上で基盤モデルの学習を行う際のデータ保護についてご説明しました。
重要な知的財産を扱う出版各社様にとってコンテンツの保護は非常に重要な課題です。基盤モデルを利用すると入力した情報が AWS や大元の基盤モデルの改善に使われるのではないかというお問合せも多く頂きますが、AWS 上のお客様のデータもお客様専用にチューニングしたモデルも、お客様の AWS 環境内でセキュアに管理可能です。AWS が勝手にデータやモデルを利用することはなく、また基盤モデルの学習に使用されることもありません。

セミナー後の最新情報について

2023 年 7 月末に開催された AWS Summit New York において、Amazon Bedrock の拡張を発表しました。今回の拡張により、基盤モデルを提供する企業として知られる Cohere、Anthropic と Stability AI の最新の基盤モデル、さらには、専門知識がなくても数回クリックするだけで、フルマネージドエージェントを作成できる革新的な新機能が追加されることになりました。
詳細は、こちらの記事をご覧ください。

おわりに

本ブログでは、2023 年 6 月 29 日に開催された「AWS で始める!出版業界向け生成 AI 活用のご紹介~大規模言語モデルから画像生成まで~」の内容をご紹介させて頂きました。本セミナーにご参加頂いた皆さま、誠にありがとうございました。引き続き皆様に役立つ情報を、セミナーやブログで発信していきます。どうぞよろしくお願い致します。

本ブログは、ソリューションアーキテクト本多が担当しました。