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米国政府機関に学ぶ、クラウド調達の4つのベスト・プラクティス
今回のブログでは、 AWSジャパン・パブリックセクターより、「米国政府が見出した、クラウド調達のベスト・プラクティス」を紹介します。
クラウドの「買い方」には、独特の”コツ”がある──というのが、クラウドの導入と調達において先行する米国政府機関からの学びです。ご不明の点、「Contact Us」までお問合せください。以下、米国現地の公共調達渉外チームが執筆したブログの翻訳となります。
米国政府が見出した、クラウド調達のコツとは?
【1】契約の”立て付け”をクラウドに最適化することで、そのメリットを最大限に引き出す:
クラウドコンピューティングは、固定コスト (多くの場合、硬直的であり無駄の温床) や物理的アセットを、IT リソースの変動ニーズに適合する柔軟なオンデマンドサービスに置き換える機会を提供します。これがクラウドのもたらす恩恵の源泉です。ゆえに、クラウドの調達を成功させるには、パフォーマンス要件に基づいてメトリクスを作成し、その都度契約を変更する手間を生じさせることなく、新しいサービスや機能の使用を可能にする柔軟な契約品目明細番号 (CLIN; contract line item number) 構造を採用する、あるいは随時追加が可能なサービスリストを調達仕様書において採用するなどの、「立て付け」上の工夫を行う必要があります。クラウドの購入方法については、こちらもご覧ください。
【2】クラウド・サービス・プロバイダー(CSP)と顧客機関の間での、セキュリティに関する責任分担を明確化する:
データ・セキュリティの責任を定義する場合、誰がどのような責任を負うのかを理解する必要があります。AWS は、これを責任共有モデルで明快に定義しています 。つまり、AWS はすべての AWS のサービス (ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーキング、物理的なデータセンター施設を含む) を実行するコア・インフラストラクチャを保護する責任を負い、他方でお客様側の責任は選択したサービスに応じて決まります。これは、組織が構築およびデプロイしようとしている IT アーキテクチャが、”誰が何に対して責任を負うか”に関する線引きに影響を与える可能性があることを意味します。
【3】クラウドを”直接”購入するか、”間接”的に購入するかを決定する:
クラウドは、直接購入(Direct)することもできますし、間接的に購入する(Indirect)ことも可能です。お客様側の意思 (──プロバイダーから直接クラウドサービスを購入するか、マネージドサービスを活用するか、システムインテグレーターと提携するか、 AWS Marketplace からソフトウェアを購入するかなど──) や、組織として保有する調達事務作業の内製処理能力に応じて、AWS から直接購入するか、パートナープロバイダーや再販業者を通じて間接的に購入するオプションを選択します。ご希望の購入方法を選択いただく際には、エンドユーザーのニーズや利用を希望するサービスを起点に考えて、調達プロセスを検討いただくことを推奨しています。
【4】ツールやメカニズムを使用して予算を管理し、コストを監視する:
クラウドは、”導入して終わり”、ではありません。クラウドに移行することで、納税者が託してくれた予算を節約できます。調達の一環として、リソース最適化、予算管理、リソース監視のツールを使用して、予定外のコスト発生を回避するために、支出を綿密に監視することを推奨しています。AWS では、予算管理やそのモニタリングのために AWS 料金計算ツール、Amazon CloudWatch、AWS Budgets、 AWS Cost Explorer を提供しています。また、AWS は、予算の効率化を支援するため、複数年にわたる割引プログラムやさまざまな料金プランもサポートしています。AWS Trusted Advisor は、コストを最適化する方法について各利用機関に助言を提供します。
その他のクラウド調達に関するヒントについては、ウェビナー「米国連邦政府向けクラウド調達のベストプラクティス 」も併せてご覧ください。 調達のベストプラクティスの具体例をお探しの方、または当社のエキスパートチームに質問がある場合は、日本の公共調達渉外のチーム aws-jpps-capture[@]amazon.comまでお問い合わせください。
Learn More
- AWS Public Sector Blog:「A Cloud Timeline: U.S. Government’s Modernization Journey」
- オバマ政権下の2010年「クラウド・ファースト」宣言の背景を説明しています。
- AWS より「How to Buy Cloud – Strategies for Cloud Procurement (クラウドの買い方 – クラウド調達戦略)」と題したコースを、Coursera, edX, そしてUdemy という3つのオンライン教育・プラットフォームにて一斉提供を開始
- (*現時点では、このトレーニングは英語音声・英語字幕付きでの提供となりますが、日本語版がローンチされた際には追ってアナウンス行います。)
- “IT部門「以外」のプロフェッショナル向けに、 AWS “クラウド調達”トレーニングを無料提供開始” (2021年5月)
- 先行して展開されている「AWS Getting Started with Cloud Acquisition デジタル・トレーニング」へも、ぜひアクセスいただき、AWS クラウド調達について学び始めてください。
- 約80分、日本語環境でご用意しています。AWS トレーニングとサーティフィケーション担当ディレクターである Maureen Lonergan は、「特に IT ”以外”の役割を担うスタッフに対して、”Cloud-Fluency[クラウドに関する流暢さ]” を培うことは、クラウド戦略の展開とそのオペレーションにおいて成功を収めた組織で明確に見受けられる、数多くのベストプラクティスのうちの 1 つです。このトレーニングでは、自分のペースでクラウド調達とその導入に関するベーシックな知識を身に付けることができます。”Cloud-Fluency[クラウドに関する流暢さ]”への道を歩み始めることは、クラウドによる組織のデジタル・トランスフォーメーション目標の実現に大いに役立ちます」と話しています。
- こちらは、受講にAWSアカウントが必要となります。ぜひこの機会にメールアドレスをご用意いただき、登録をお済ませください。
- ”AWSが加盟する欧州のクラウド推進団体が、クラウド調達時の仕様書作成に役立つホワイトペーパーを公開“ (2020年7月)
- ”AWSも参加した調査研究として(社)行政情報システム研から「パブリッククラウド活用」の報告書が発表されました”(2020年6月)
- “AWS『クラウド調達に関する10の考慮事項』のホワイトペーパー和訳版を公開しました” (2019年11月)
日本の公共部門の皆様へのご案内
AWSでは、政府・公共部門、パブリックセクターの皆さまの各組織におけるミッション達成が早期に実現するよう、継続して支援して参ります。
今後ともAWS 公共部門ブログで AWS の最新ニュース・公共事例をフォローいただき、併せまして、「英国政府、ポルトガル政府との政府包括契約」「気象庁の衛星ひまわり8号のデータセット」や「re:Invent 公共部門セッションのサマリー」など国内外の公共部門の皆さまとの取り組みを多数紹介した過去のブログ投稿に関しても、ぜひご覧いただければ幸いです。「クラウド×公共調達」の各フェーズでお悩みの際には、お客様・パートナー各社様向けの相談の時間帯を随時設けておりますので、ぜひAWSまでご相談ください(Contact Us)。
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このブログは英文での原文ブログを参照し(著者は下記のGregとGabriela)、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 パブリックセクター 統括本部長補佐(公共調達渉外担当)の小木郁夫が翻訳・執筆しました。
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